ビジュアル・エフェクト

先日BSで「スピード」(1994)が放映されてるのをたまたま目にして、冒頭の30分ほど見入ってました。さすがにキアヌ若ーい!冒頭のエレベータのシーンから面白い~って思いながら見てたのですが(この映画は私の生涯ベスト10に入ります)。バスが爆弾で吹っ飛ばされるシーンを見て、うーん、最近の映画やドラマと何か違う、でもそれは何だろうとしばらく考えてました。で、その原因はたぶんこれ。

本物の爆薬を使って吹っ飛ばすと黒煙が多く混じる。

VFXやCG処理した爆発って黒煙がすごく少なく見える。その方が視覚的にきれいな爆発に見えるからだと思う。あと炎のオレンジ色が若干薄いようにも。本物はもっと重たい感じのオレンジかなぁ。
ちなみに「マッド・マックス 怒りのデスロード」は2015年の作品だけど全部リアルで爆発させてるので黒い炎があがるあがる。見てるこっちも燃えます~。

特殊効果って昔はSFXって言ってたけど今はもうそう言わない?VFXとかCGとか?

VFXの会社CoSAが作ったプロモ動画。加工前/後の違いや制作過程が興味深い。

CoSA VFX Main Reel 2015

CoSA VFX Person of Interest Season 5 - VFX Reel


LOST シーズン4

Lost Season4 (2008)

S4の何がびっくりって、全14話だったことです。てっきりフルシーズン22話あるかと思ってたし、人気なのに打ち切りってわけじゃないしどうして?と思い調べたら、あー脚本家のスト!あったねそういえば!!この時期に放映中のドラマはみんな製作がストップしてましたが、そっか、LOSTもその頃のドラマだったのですね。

ということでS2~3に比べるとあっという間に駆け抜けて終わってしまったのが寂しい。なぜならすごく面白かったから。S4の最初の方はデズモンドに起こるタイムスリップのような現象に時間が費やされて、え~そっちに話が行っちゃうの?と思ったら、ヘリコプターで島にやってきた4人やそのヘリが発着する船に残っている連中の目的は生存者たちの救出ではなく、ベン(ベンジャミン)・ライナスの捕獲と島の残りの人間の抹殺。それが理由でロックたちとベンが行動を共にするようになり、このあたりから話が方向転換して俄然面白くなりました。
思うにロックとベンってしかるべき時期に母親からのしかるべき愛情を注がれなかったゆえの今の人生かなと思うので、私にはこのふたりはやっぱり似た者同士に見えるし一緒に行動するのも妙にしっくりくる。なんというか波長が合っているというか。ベンがもしジャックと共に行動したら、ジャックはまじめすぎてつまんないし、ソーヤーとだと多分行動開始から10分以内にキレたソーヤーに射殺されそうだし。ただでさえベンは以前ソーヤーにフルボッコにされてるしね。
しかしそれに伴いルソー、カール、アレックスが死亡。特にアレックスが容赦なく射殺されたのは驚きでした。ベンと血がつながってないのは、まぁそうだろうなとは思いましたが、しかしベンはベンなりに彼女を愛していた。このあたりから彼もまた血が通った人間なんだなと思えて好きになったなぁ。彼はその後オーシャニック航空の生存者たちとは別の手段で島を出て、チャールズ・ウィドモアに復讐しようと世界中を駆け巡っているようで。
いやいやしかしベンがジュリエットに恋してたとはね~。自宅に招いて彼女にディナーをふるまうシーンは見てるこっちが照れくさくてどうしようもなかった。冷血なベンジャミンも人の子だったんだな、と。でもジュリエットの気持ちはベンには向かずグッドウィンに。だから彼を危険な任務に就かせてうまいこと消したけれど、ジュリエットが次に心を寄せたのは自分の腫瘍を取り除く手術をしたジャック。うわ、切ない~と思わせる一方で、「オーキッド」の地下にやってきた船の男を殺し、C4が作動するスイッチを起動させたベン。「船に乗ってる人たちを皆殺しにしたんだぞ!」と怒るロックに"So? (それで?)"と言い放ったのはぞっとしました。


そしてS4から何度も出てくる島から出た後の世界。生き残って島から救出されたのはなんとたったの6人という事実に私はかなりのショックを受けました。もう少し多いかなと思っていたので。6人とはジャック、ケイト、ハーリー、サイード、サン、そしてアーロン。もしかして最後まで見たらそうじゃない世界が存在するのかもしれないけれど……かなり厳しいな、というのが正直な感想。ロックとソーヤーは生き残るんじゃないかと思ってたし。あーあーこれじゃもうグランドフィナーレ見たら私泣いてしまいそう。
ベンは助けてもらったのと引き換えに、ジャックとケイトに「島から出ていい」と。その場に一緒にいたハーリー、サイードと共にヘリコプターに乗り込み、先に船に着いていてあとからヘリに搭乗したサンとアーロンがそのまま生還できた6人となったんですね。ソーヤーも一緒に乗りましたが、積み荷を軽くしないといけないという操縦士の言葉に自ら海へと飛び降りました。これはいちばん体重が重いハーリーをかばうためってのもあるかなぁ。ソーヤーとハーリーは仲良かったので。
島を出た後の世界でジャックとクレアは異父兄弟なことが分かったんだけど、そうするとアーロンはジャックの甥になるよね。事実を知らされてジャックは驚愕してましたが、巡り巡ってジャックがアーロンの父親代わりになるなら、全く知らない他人じゃない誰かが面倒を見るよりいいとは思うんだけどな……。

前述のメンバーが墜落したヘリから脱出してボートで漂っているところを助けたのはペネロペ・ウィドモア。ドラマのトーン全体が、何が真実でどれが嘘なのか分かりにくい中で、デズモンドとペネロペの愛のパートは揺るぎない事実っていうのが私は好きでした。だからボートを見つけたのがペネロペっていうのはすごく素敵。
しかし娘が彼らを必死になって探す一方で、父親のチャールズ・ウィドモアは奇跡が起きるその島を利用したいと考えてるようで。でもチャールズはその島と奇跡のことをどうやって知ったのかが私はよく分からない。
それにしても世の中ほんとに色んな人間がいるんですね。何にもない孤島なのにそれに利用価値を見出したら乗っ取って自分のものにしたいっていう発想になるのかぁ。金があるから思いつくことなのかなと思いつつも、どうやったらそういう考えになるの?すごく欲深いよねぇ。


S4最終話もけっこうなクリフハンガーで終わらせてくれました。勢いが衰えることなく次シーズンに持っていくのはすごいと思うし、島を動かすってこりゃまたずいぶん大技を仕掛けて来たな、と。残り2シーズンは、移動して消えた島とその島に残った/残された人々と島を出た6人とベンのお話、になるのだろうか。
そしてS4終盤に名前だけが出てきて6人に関わる人物、ジェレミー・ベンサム。それはいったい誰のことなの?という謎は最後の最後に明かされました。昼間訪れた葬儀社に、夜中にまたやってきて忍び込こんだジャック。棺のふたを開けたところへ暗闇の中から現れたのはベン。「ひとりではあの島に入れない。全員で島へ戻らないと」と言い、ジャックも戻りたいと思っている。そしてジャックが開けた棺の中に横たわる男は、なんとジョン・ロック。彼がジェレミー・ベンサムらしい。
ベンの思惑は?なぜ戻りたいのか?島に残された人たちは本当に永遠に戻ってこられないのか?島に残りたいと思った人間はそのままそこで暮らしていけるのか?いまだに謎は山ほど残されているし、その謎がすべて解き明かされるかどうかは分かんないけど、残りのS5、6に期待。あとリチャードを筆頭とする、ベンと鏡の反射でコンタクトをとっていた武装した集団はどういう人たちなの?


ヘリで救出にやって来た隊員のひとり、マイルズにケン・レオン!これもすごくびっくりしました。レオン、お前か~!ってなった(笑)。ヘリの救出隊員レジーナにゾーイ・ベル。スタントじゃなくて俳優として出てるのは久しぶりに見ました。
そしてサン役のキム・ユンジンって、「シュリ」(1999)で主役の俳優さんなんですね!懐かしすぎです。気が付かなくてごめん!これには夫も驚愕。何せ初デートで観に行った映画が「シュリ」だったので。当時は「デートでなぜその映画を選ぶの!?」ってみんなに言われたけれど、でもすごくいいお話ですよね。また見たくなったよ~。


LOST シーズン3

Lost Season3 (2007)

S3は最後の3話が思いっきり面白かったです。そして、チャーリー!!!彼のエピはもう涙なしでは見られなかったよ……。ずるいよね、人生でいちばん素晴らしかった出来事を5つ書き残して遺書代わりにデズモンドに託すなんて。そんなの見せられたら泣くに決まってる。そして「ペニーの船じゃない」と大事なメッセージをマジックで手に書きなぐってデズモンドに伝えて。最後の最後までかっこいいチャーリーでした。
また、ハーリー、サイード、ソーヤーの活躍はしびれるほどかっこよかったね!なのにバーナード、お前はぺらぺら話しちゃってなんてことしてくれるんだ。

以下シーズン全体のとりとめもない感想を。
私は今までわりとロックに肩入れして見てたのですが、彼の人生がすごく悲惨であまりに気の毒で、途中から辛くなっちゃいました。あの父親、ほんとひどいよな。だから自分の母親が自殺したのは彼に騙されたと知ったソーヤーが殺しちゃったのは因果応報だと思ったし、同じ詐欺師であるジャック・フォードがなぜ「ソーヤー」と名乗るようになったのかも同時に明かされて、すさまじい復讐劇が展開されました。
生存者の過去を見ると、皆どこかで誰かと何らかの関係があったようで、それが徐々に徐々に明かされていくのも面白い。
しかしながら、ロックが潜水艇を爆破したのは、この島にいる限り自分は歩けるし、父親に追われることもないからという理由を知った後では彼に同情こそすれども、その潜水艇で島を出るはずだったジュリエットとジャック、特にジュリエットの希望を無残に打ち砕いたも同然で。自分の利己で他人を不幸にする道はなぁ。これはさすがにどうかと思った。
ヘンリー改めベンがロックに話す「魔法の箱」のくだりは、J.J.エイブラムスがTED2007で語った箱の中身の話に通じるものがあると思いました。
S3前半ではロックだけじゃなくて、不妊治療の専門医ジュリエットにもフォーカスが当たりました。彼女の姉が奇跡的に妊娠して生まれた子供の名がジュリエットの男性形である「ジュリアン」には泣けたし、彼女はそもそもベンを信用はしてないんだよね。だから島の仲間を裏切っているように見せかけて助けている部分もあり。このドラマってひとりの人間のいろんな側面を協力や裏切りの形で見せてくれるから、そこが面白くもあるんだけど、それが延々と続くとさすがにちょっと食傷気味でもあるねぇ。
その意味では、すべてを嘘で塗り固めているベンを全然信用できないし、どうにも好きになれない。いずれそれをひっくり返してくれるエピソードが今後出てくるのかな。ベンを演じてる役者を好きで見てるから、今よりもう少しは彼を好きになりたい(笑)。
あと、ベンは明らかにリーダー格の人間ではないと思うの。頭が良くて人をだますことにかけては天才的に頭が回るので、周りの人間は逆らうことはできないから従っているだけかなぁ。実際、ロックがベンたちの中に混じると、彼の押しの強さや説得力のある話に他のメンバーがロックを信用し始めて、それを見たベンがほんの少しうろたえる表情をしたのが印象的で。小柄でなで肩のベンに比べると体格の良いロックは堂々として見えるってのもあるかもしれない。
あとベンはロックに対して憧れと嫉妬が渦巻いた気持ちを抱いていると思う。たぶん似た者同士……なのかな?ジェイコブに会うためにふたりだけで出かける後ろ姿にそれを感じられて。4年間半身不随で車いすの生活をしていたのに今は歩けるロックと、脊椎の腫瘍を取り除く手術を受けた後、まだ完治はしておらず杖をついて歩くベンの姿が対照的でした。
もしベンたちの中から、もしくは外部から嘘偽りのない本当のリーダーが現れたら、ベンは今の座からあっけなく転落するだろうね。彼は島という閉じられた空間で狭い人間関係の中で頂点に君臨してはいるけれど、裸の王様だと思う。そういう意味ではジャックとベンは対照的なリーダー。
でもジャックだって決してリーダーになりたくてなったわけではない。そのことを誰よりもハーリーは分かってて、ジャック、ケイト、ロック、サイードがいないキャンプ内で次にリーダーになるならお前、とハーリーに言われてソーヤーは「リーダーなんて嫌だ」って答えるんだけど、それに対してハーリーの「ジャックも嫌だったと思うよ」の一言はソーヤーにすごく突き刺さったと思う。私にも。
ジャックだって完璧な人間ではないから、本心とは逆のことを言ったり、自分も弱音を吐きたいけどぐっと我慢して時には無理やり笑顔を作って、時には真摯に多少強引なまでにみんなを引っ張っていく役割を演じざるを得ないシーンがたびたびあるんだけど、でもやっぱりこの集団のメンツを見ればリーダーはジャックなんだよなぁ。
ソーヤーは、ある意味気楽で気ままな一匹狼だから確かにリーダー向きではないんだけど、彼の反骨精神と逞しさは私は好きです。あと口の悪さも(笑)。


で、ベンたちのいる島の生活がよく分かんないんだけど、レントゲンが撮れるほどの設備はあるけど外科手術は出来ない。そもそも外科医がいないかららしい。S3のはじめに出てきたベンたちの村らしき場所はごくごく普通のコミュニティで普通の生活が送れる場所なのに、その隣のオーシャニック航空が墜落した島では生存者たちが原始的な方法でサバイバルというギャップがなんだか不思議で違和感もあり。隣の島でロックが歩けるようになったりサンが妊娠したりと奇跡が起こるなら、ベンも手術を受けるんじゃなくてそっちの島に行けばいいのでは?
それと必要な人物、例えばロックの父親や不妊治療医のジュリエットを外部から連れてこられるだけの資金とか、島の外にいる人間とどうやって連絡をとっているのかとかも謎だし。
そしてベンにアレックスという名の娘がいたのはびっくりだったし、しかもその娘の母親はルソーって、まじかー!最終話で母と娘の感動の初対面というシーンなのに、母親が最初に娘にかけた言葉は父親であるベンを「縛って」ってすごい。

ジャックは外科医だけじゃなくて、脊椎専門の外科医だったんですね。半身不随の怪我を負ったはずのサラが彼の執刀で奇跡的に回復したのならうちの夫も診てくれよ~(受傷したのは20年以上も前ですが(笑))。
それにしてもJ.J.は何がなんでもマイケル・エマソンの脊椎に障害を負わせたいのだろうか。パジャマの袖がちょっと長めで可愛いって思うけど実際その長さで車いすこいだら袖口すぐにめっちゃ汚れるし擦り切れてボロボロになるよ、ってそこまでのディテールは誰も求めてないですね。はい。


村民のひとり、グッドウィンにPOIのネイサンことブレット・カレンが出ててびっくりしました。Ep13にはまだちょっと幼い顔つきのパトリック・J・アダムスが登場。ロドリゴ・サントロも生存者のひとりで出てましたが、彼、こんなに細い顔つきでしたっけ?しばらく分からなかった。

私はいまのところ、ロックがいいなくらいに思うだけで、大勢いるキャラクターの特に誰かにそんなに肩入れしたりお気に入りだったりはしないのですが、なのにどうして面白く見続けていられるのかな、とちょっと考えてみて、それは多分嫌いなキャラがいないからだろうなと思いました。事実、エコーが亡くなったのはとても悲しかったし、チャーリーは言わずもがな。それはストーリーだけでなく、出てくる人物すべてをなるべく平等にきちんと描写しているから気持ちよく視聴出来てるのかなぁと思いました。

そしてそして。
ドラマの核が、他のものたちとジャックたち生存者の駆け引き合戦の様相を呈してきて、シーズン通してそれがずーっと続くのですが、お話の終着点は生存者たちが無事発見・救助されて、全員元の世界に戻ることだよね?と思っていたら、なんと最終話では「その後の世界」がほんの少し描かれたみたいで。
ちょくちょく出てくる、髭を生やしたジャック。彼のシーンは今までと同じように過去のフラッシュバックかと思いきや、なんと島から無事生還して元の生活に戻った「その後」のお話らしい。何度も電話をして連絡を取ろうとしていた相手は元妻のサラではなかったという、ミスリードを誘う演出。夜中にケイトを呼び出したジャックは「島から出るべきじゃなかった」と言い、ケイトは「彼が心配してるから帰らなきゃ」。ケイトの言った「彼」とは?ジャックは最後にケイトに「戻ろう」とまで言っていますが、無事に島を出た後いったい何があったというの~!?

……だめだ、完全に"LOST"に首まで入沼だよ。連休明けたら続いてS4を見ます。


例によって例のごとく、夫はこのドラマも私の後ろで飛び飛びでチラ見してるのですが、そんな彼はマイケル・エマソンを見て、「あー、この人あれでしょ、あれ。『パーソン・オブ・インタレスト』のリース君じゃないほう」


リース君じゃないほう!



日曜洋画劇場

お金もなければ自宅の近くにレンタル店もないものすごい田舎に住んでいた私にとって、TVで放映される洋画はそれはもう貴重な機会で、吹替だからと文句も言わず、ほぼ毎週貪欲に見てました。思えば必ず洋画が放映される週末は天国だったなー。今でもソラで言えますもん。金曜日…金曜ロードショー、土曜日…ゴールデン洋画劇場、日曜日…日曜洋画劇場。あー懐かしい~。
でも今は地上波で21時から洋画が放映されることって本当に少なくなりました。BSでの放映に移ったのもあるし、月額制オンデマンドの普及が大きいかな。

そう考えると、昔っから平日13:00頃から必ず洋画を放映してるTV東京ってすごくない!?テレ東系列では、ずっと前は日曜日の昼間にも映画放映してたし、この枠で地味だけど隠れた名作をたくさん見ることができました。なかでも印象的だったのは「トレマーズ」、「普通の人々」、「ニッキーとジーノ」の3本。最初の2本はともかく、「ニッキーとジーノ」を見た人に私は未だかつて出会えてないのです。もうこれめちゃめちゃ泣けるお話で。誰かいないかな~。

そして、とうとう日曜洋画劇場の枠もこの春で消滅するということで、残念。何気なくTVを付けたら映画が流れてて思わず最後まで見入ってしまった。そういう経験は、もうこれからの世代にはないのかな、と思うと寂しいです。

その日曜洋画劇場、今まで放映された全ての作品をまとめているサイトがあります。個人の方のサイトだと思いますが、圧巻。

「日曜洋画劇場」放送作品全リスト


ブルックリン


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Brooklyn (2015)


ただただみずみずしいの一言に尽きる。そしてそのみずみずしさは全てシアーシャ・ローナンによってもたらされているのと、映画全体のトーンが最初から最後まで落ち着いた静かな川面みたいな雰囲気で保たれた、時折美術館で一枚の大きな絵画を見ているような、そんな気持ちになる映画。
舞台がNYだから、もっと大都会で忙しくて落ち着きのない感じにして、後半のアイルランドのパートと対比する演出になりそうなものなのに、NYもアイルランドも同じトーンで描かれたのがこの映画でいちばん素晴らしい部分だと思った。

アイルランドの、おろさく職もそうなく全体が貧しい小さな町のグロサリーストアで働く女性(16~18歳くらいかな?)、エイリシュ。彼女がチャンスを得たのは、姉の知り合いでNYに住む神父の勧めで海を渡りNYへと向かうのですが。寮に入り、友人ができ、デパートで店員として働き、もっと可能性を広げたいと姉のように簿記の資格を取るため夜間の学校へ通い、と、一歩一歩、小さな歩みだけれど、エイリシュの人生は前へ前へと進んでいって、順調かと思ったその矢先の姉の死。ホームシックになり、姉から届く手紙を抱きしめてベッドの上で泣いてたエイリシュが、段々NYでの日々に馴染んでいったのと比例するかのように、姉の人生は、周りに隠していた持病によってある日突然亡くなってしまったのは、どれだけエイリシュにとって辛いことか。きっと彼女は、いつかお姉さんにNYに遊びに来てほしい、姉にいろんなところを案内したい、とか、アイルランドに帰ったら話したいことがたくさんあるとか、未来や夢がたくさん詰まったことを考えてたと思うのです。そして姉も、たったひとりで旅立った先の新天地で頑張っている妹をずっと応援してたと思うのです。これは本当に辛い……。もうね、最初の方、荷造りをする妹に、もっと素敵な服を用意してあげれば良かった、というお姉さん。そして、あなたのためなら何でも買ってやりたい。でも未来を買ってあげることはできないの、の一言が私はこれでもかというほど突き刺さりました。もう泣けて泣けて。姉は家に残り、母親とふたりきりで過ごす人生。アイルランドを出ることもないだろうと思うと、泣ける以外何があるっていうの。

後半で周りから引き留められてなかなかNYに戻れない、しかも戻る前にトニーと結婚していることを秘密にしているから、これどうなるんだろう、このまま永遠にエイリシュが戻れないまま悲劇で終わるのだろうか!?とハラハラしながら見てましたが、良かった、彼女はちゃんと自分の人生を歩んでいく終わり方でした。そもそもエイリシュは本当にきちんとしているというか、これと決めた道を他人と比較することなくまっすぐに進む女性像で、私はそれが見てて気持ちよかったんだと思う。すがすがしい人生を歩む彼女が、とても好きになったからこの映画が素晴らしいと思えたのね、きっと。

彼女と出会って恋をするトニーもとても好人物で。彼もまたまっすぐな考えの持ち主。だからトニーとエイリシュのふたりって、当時はそれが当たり前なのかもしれないけれど、若くして結婚してるけど、全然不安定だったり心配な部分がなくて。あぁ絶対いい家庭築いていけるなって安心して見ていられるカップルでした。


アイルランドに戻ったエイリシュに好意を寄せるジム・ファレル役にドーナル・グリーソン。いつもの赤毛じゃないから最初気付かなかった。

あとね、この時代にNYに住んでいる未婚の女性は、寮に入る風潮だったんでしょうか?ドラマ「エージェント・カーター」のペギーもそうだったし、デパートの店員がステイタスのある仕事で、美しく姿勢よく、丁寧な接客をする様子は「リリーのすべて」でも見たし、ちょっと不思議な感じでした。「キャロル」でもそうだと聞いたので、近々見てみたいです。


あーそれにしても去年NYであったシアーシャ・ローナンの舞台「るつぼ」、観たかったな~。思い立ったらプライベートジェットに家族全員乗せて好きな行先に飛び立てて毎食お料理出してくれるホテルとかアパートメントに泊まって好きなだけ観光と映画と観劇できるお金がほしいぜ。