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ブックセラーズ

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The Booksellers (2019)

いまちょうど「ブックセラーズ・ダイアリー」を読んでいるのでなおさら面白かったです。本の舞台はスコットランドの古書店だけど、この映画はN.Y.であらゆる本を買いつけて売るひとたちのお話。NY市内の書店の歴史がよくわかりました。

店内の長ーい距離と書物数で有名なストランド書店の開業は1927年頃とか、アーゴシー(Argosy)書店は現在ジュディス、ナオミ、アディナの三姉妹で経営していて、建物の最上階にはサイン部門があるという説明で、やっと「ある女流作家の罪と罰」で主人公が書店に偽造した直筆の手紙を持ち込んで鑑定・販売した意味が分かりました。なんで本屋で手紙を買いとるの? オークション会社のほうが妥当なのでは? と見ていて謎だったので。
そのNYの書店数、50年代には368店舗だったのが、2020年には79店舗にまで減ったとあったけど、でもまだそれだけあるなんてすごい、て思っちゃう。
映画の進行役である作家フラン・リヴォリッツの「無神経なひともいて 本の上のグラスを置いたりするの 私なら死刑よ」の言葉にはほんとそれー! と何度も頷きながら見ました。書店勤務時代、平積みの本の上に鞄を置いて立ち読みする客に何度殺意を抱いたことか。

キャッチコピーの「本のない人生なんて。」にちょっとでも共感するなら、ぜひぜひ見てほしい。

これから観たい映画

The 355
公式サイト
あっこれまだ日本公開決まってないのか。早とちりした……。USは2022年1月7日公開予定。公式サイトのトップの動画が全画面表示なので見てると酔いそう

1/14
モンスーン
公式サイト
「追憶と、踊りながら」のホン・カウ監督&ヘンリー・ゴールディング。ポスターが問題になってるやつだ……海外→日本に来るとなぜかポスターの色やデザインが改悪されるのってなんでだろう。

1/21
ライダーズ・オブ・ジャスティス
公式サイト
マッツが坊主になってる。ニコライ・リー・カースも出てるのです

1/7~2/24
未体験ゾーンの映画たち2022 ヒューマントラストシネマ渋谷

ヒュートラは館内の動線が悪すぎてどうにもストレスたまる映画館だけど、このイベントで「特捜部Q」の新作、「知りすぎたマルコ」が来るのです! 原作大好きなので来年公開ってうれしい。
この作品からカール役がウルリク・トムセン、アサド役がザキ・ユーセフへとキャストが一新。正直に言えばわたしはカール役ニコライ・リー・カースとアサド役ファレス・ファレスにまだ未練があるので、本当はあのふたりでこの作品(なんなら最新作「アサドの祈り」まで全部だ)をぜひ観たかったけれど、新キャストの二人にそれを払拭する魅力があるといいな、と期待しています。

トレイラー
Teaser-trailer til MARCO EFFEKTEN

そしてこのイベント、驚いたのはなんと1992年に公開された「シティ・オブ・ジョイ」が4Kデジタル・リマスター版で再公開という……。主演を務めたパトリック・スウェイジ、もう亡くなってるだなんて、いまだに信じられないよ。


ネット配信の作品は多すぎてもう追うのが無理。なのでまったく詳しくないのですが、SatCの続編、”And Just Like That..."がU-NEXTで配信されるというニュースを知りました。いよいよ加入する時が来たのか、U-NEXT。
SatC、いまS1から見直してるのでまた感想書けたら。S1、2なんてもう20年以上も前の作品になっちゃったけれど、今見てもやっぱりめちゃくちゃ面白い。

「セックス・アンド・ザ・シティ」の続編ドラマ「And Just Like That...(原題)」、今冬に日本配信!

モンタナの目撃者

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Those Who Wish Me Dead (2021)

あまりにキャストが良すぎて最初から最後まで目を離せない映画だった。エイダン・ギレンとニコラス・ホルト演じる殺し屋ふたりもよければ、アンジェリーナ・ジョリーとフィン・リトルのお互い大切なひとを亡くした者同士のバディ、そしてジョン・バーンサルがねぇ! もうどうしようってくらいかっこよくて。ティアドロップサングラスをかけて現れるファーストシーンでもう恋に落ちた。やばい。ジョン・バーンサル、最高ですわ。監督のテイラー・シェリダン、「ウィンド・リバー」ではほんの少しの出演だったバーンサルが今作ではこんなに出番が増えたのなら、次作はなにとぞぜひ彼を主役に! 

キャスト一覧見ると、エイダン・ギレンはジャック、ニコラス・ホルトはパトリックという名前があるけどでも本編ではいっさい名前出てこなかったような……? 中年と若手のふたりがなぜコンビを組んで殺し屋稼業やってるのか、そのバックグラウンドの説明が一切ないからなおさら興味を惹かれたんだけど、でも彼らが悪いことしてるのに違いはなく、だからかジャックはイーサン(バーンサル)の妻アリソン(メディナ・センゴア)に、パトリックは証拠を持って逃げるコナー(F・リトル)とともに逃げていたハンナ(A・ジョリー)にとどめを刺されるのは、ちゃんと正しい裁きが下される描写でほっとしました。
風の向きを読み違えたことで、守られるべき存在である子ども3人を救えなかったハンナ。コナーを助けたことで少しは救われただろうけれど、でも彼女はまだあと2人、いつか必ず助けなきゃって心のどこかで思ってないかな……。ときどき空虚なまなざしになるアンジェリーナ・ジョリーがすごくよかった。
コナーは命は助かったけれど、現実に目を向ければ、あるのは母に続いて父も亡くした自分という存在。最後、これからどうなるの、僕はどこへ行ってどう生きていけばいいの、と涙ながらに話す彼に、気休めとか嘘は言わない、でも「一緒に考えよう」というハンナの言葉はかえって重みがありました。

とても上質なお話でした。しかし山火事は怖い。たばこのポイ捨てとかほんとやったらあかん。

9人の翻訳家 囚われたベストセラー

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Les traducteurs (2019)

なんのつながりもないひとたちが一か所に集められて事件が起こり、アガサ・クリスティのミステリのような密室殺人事件に発展するのかと思いきや、実は英語担当のアレックス個人による何か月も前から綿密に練られて実行された復讐劇だったわけですが、話が二転三転してとても面白かった。
ただ、誰も殺されることのない計画だったはずが、エレーヌの自殺は予想外だったのでは。個人的には残されたエレーヌの夫とまだちいさな子供たち3人が気の毒でならなかった。なので誰も死なないあざやかな結末だったら、もっと気持ちよく見られたのかも。

幼少期のアレックスが大嫌いな父親と過ごすフランスでの夏のバカンスを変えてくれたのは、小さな本屋とその店の年取った主人のジョルジュ。アレックスが万引きしようとしたアガサ・クリスティの「オリエント急行殺人事件」。ジョルジュから、犯人を当ててみろ、合っていたらその本はやる、間違ってたら店の手伝い、という条件を出されたアレックス。アレックスは答えるけど、でも主人はその箱のなかの本を棚に並べてね、と手伝いを命じ、そこからふたりの交流が始まる。父親の庇護が不要な年齢になってもアレックスがその本屋に足繁く通っている様子からも、彼にとってはその本屋とジョルジュは何にも代えがたい大切な場所とひとだったとわかる。
その両方を奪われたアレックスにとって、8000万ユーロというとてつもない大金にいっさい興味はなく、自分の書いた「デダリュス」の権利を独占して莫大な利益を上げたい出版社のエリック・アングストローム(ランベール・ウィルソン。はじめクリストフ・ヴァルツかと思った……)を一生刑務所から出させないようするためにも要求は高額であればあるほどよかったってことだと思う。
で、彼の計画に誘われた他の翻訳者4人も共犯者になるのだけど、エリックのアタッシュケースをすり替えて中にある原本のコピーを取ったつもりなのが、実はアレックスがもともと持ってる自分が書いた本物の原本のコピーを取らせただけで、ケースのすり替えはしてない。そうすると、アレックスが他の翻訳者を誘った意味ってなんだろう? 共犯をつくることで自分の罪を軽くしたかったのか、それとも誘われた4人は、ふだんはいっさい表に出ることがない翻訳者の自分たちの存在意義を知らしめたかったという気持ちがあったのか。
何食わぬ顔して集められた9人の翻訳者だけど、実はそのうちの5人はもう過去に顔見知りだし、当然翻訳を任された3作目も最後まですべて読んで結末を知っている。でも他の4人はそれらを知らないので、心理的にはここの温度差がすごいとも思った。だってさ、超話題作の翻訳を依頼されるってすごく名誉なことだし誇りでもあるから、張り切って取り組もうとしてるのに、物語をもう読んですべて知ってるメンバーがいるってちょっとがっかりというか。いやでも翻訳って別にチームワークが求められるわけじゃないからそのあたりは翻訳は孤独な作業だと骨身にしみて知ってるかなぁ。

何度も出てくる「自分のものは自分で守る」が間違いなくこの作品のテーマかと。本当に作品(「デダリュス」)と作家のことを考えてくれる出版社から3作目を出したい、と言ったジョルジュ。アレックスの家のパソコンのとなりに置かれた写真を見て、この先もエリックに叱責されてこき使われるだけの人生だと悟ったローズマリー。誰もが絶対ゆずれない矜持があって、それは誰にも取られたりおかされたりするものではない。エリックもきっと昔は本を愛し、文学の素晴らしさを知っていたひとだと思うんです。でも彼は大金と引き換えにその心を失い、最後は欲のためにひとを殺してしまった哀れな男だともいえる。

スペイン語担当のハビエルがギプスのなかに通信できるものを隠し持ってるとうたがったテルマがギプスをどうにか引きはがそうとするのは「インファナル・アフェアだー!」てなりました。あとエリックのアタッシュケースを開けるための3桁の暗証番号のなかに007があるのは、オルガ・キュリレンコつながりの楽屋落ちネタですよね。
エリックに銃を向けられた翻訳者たちがどうやってこの場面を切り抜けようかとエリックにわからないスペイン語や中国語でやり取りをするのは多言語が飛び交う緊迫したシーンでつくりがすごくうまかった。相手にわからない言語は暗号となりえるし、「(俺は)スペイン語わからないんだけど!」ってギリシャ語担当のコンタンティノスが叫ぶタイミングが絶妙で爆笑しました。実はエリックは中国語(マンダリン)は理解できてたのもひねりがきいてたね。

ほぼヨーロッパ言語の翻訳者ばかりななか、唯一出てくるアジアは中国語でした。これたぶん80年代だったら間違いなく日本語だっただろうけど、日本はもう大きな市場じゃないんだよね。エンタメではだいぶ前からこうやって今のアジア市場の中心は中国ですってはっきり描かれてる状況だけど、今の日本の政治家わかってんのか。わかってないよなぁ……。いまだに当時のバブルをもう一度って夢見て日本すごいって言ってる高齢のおじいちゃんたちが政治を動かしてる国だよ。

ライカ 写真展 NO TIME TO DIE - BEHIND THE SCENES

銀座に用事があったので、ついでにふらりと立ち寄ってきました。



ダニエル・クレイグ、NTTD以外の007も、撮影の合間にカメラを手にちょくちょく写真を撮ってたと思うので、それも全部見てみたかった。まぁ写真展ってたくさん撮ったなかから選りすぐりのものだけをプリントしてるので、無理なお願いだとわかってはいるのですが。いっそヴィゴみたいに写真集出してくれないかしら。

ところでこの記事読んではじめて知ったのですが。
『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』 の公開を記念した「ライカQ2 “007 Edition”」を発表

"ジェームズ・ボンドが暮らすジャマイカの自宅にはもちろんのこと、登場人物の一人であるQのロンドンの自宅にも「ライカQ2」 が置かれています。 "

えーそうなの⁉ これどっちもわかんなかった。Qの自宅のほうはここに画像がアップで載ってたけれど、こんなん完全にウォーリーを探せじゃん。配信始まったらボンドのジャマイカの家のなかも一時停止してじっくり探したい。


おまけ。秋の空の色は建物がよく映える。