THIS IS US シーズン1

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This Is Us Season 1 (2017~2018)


これはとても上質なドラマですね。人間模様や心理描写がとても丁寧なされてて、最初から最後までどのエピも落ち着いて見られました。そして人の心を揺さぶってくれる名シーンや名セリフがたくさんで、中でもいちばんはやはりEp01で出てきたカタウスキー医師のレモネードのエピソードでした。
ただ、実は私はこのEp01でもっとも心を打たれたのは、3人目の赤ちゃんを亡くしたジャックが消防署の前に捨てられ、保護されて自分の子供たちの隣に並べられた保育器に入った赤子を養子にしようと決めたシーンでした。人生でもっとも辛い経験をしたのに、そんな決断を下したジャックがもうあまりに尊くて。並大抵のひとができることではないと思うんです。ここは号泣だった。
前述のレモネードの話は実はのちのエピソードで、今度はカタウスキー医師の過去が描かれたあとでもう一度同じシーンが出てくるのだけれど、妻を亡くしてなかなか立ち直れない状態であるけれど、それでも三つ子のひとりを亡くしたジャックにその話をして励した彼の勇気、というか、自分がジャックにできることはなにか、精一杯考えた結果なんだろうけれど、私はこのエピのレモネードのくだりは泣いてしまいました。その後カタウスキー医師は、ジャックが捨て子として運ばれたアフリカ系の赤ちゃんを養子にとって、赤ちゃんを3人抱いて退院したことを知って、ようやく妻の遺品に手をつけられるようになった、というのもあって。
当人たちは知ることはないけれど、誰かがほかの誰かによい影響をもたらしたり幸せを運んでくるといいうのは、とても心暖まりますね。本当に上質なドラマだと思いました。
その三つ子、ケヴィン、ケイト、ランダル。S1は、実の父親であるウィリアムを見つけ出したところからドラマが始まるのもあって、実質S1はランダルが主役かなぁ、と思いました。そのランダル。冒頭で、ようやく自分の父親を見つけ出して、いきおいよくウィリアムの家に押しかけ、捨てられたけど今は成功してる、なにも不自由していない、俺は立派に育ったんだと言いうだけ言ったら去るつもりだったのに、最後になぜか「……うちに来る!?」と。それはランダル自身にも予定していなかった言葉であり、ウィリアムを連れて帰ったことに驚いた妻のベスがいったいどうしちゃたのよ、と訊ねるも「自分でもどうしてか分かんないんだよ!」と、泣いてるのか笑ってるのか戸惑ってるのか、多分その全部かな、そう言った時の表情がもうめっちゃくちゃうまくて、すごいなこの役者さん! と一気に引き込まれました。
そのランダル役スターリング・K・ブラウン。今年のGG賞では主演男優賞を受賞してて、あぁやっぱり実力ある人なんだなぁ、となどと思いながらぼんやり見てたら、知り合いがこの人うまいよねー、POIでビーチャー刑事だった人だよねーって何気なく言った言葉に私はえーーー!!!とびっくり仰天でした。全然気がつかなかった……まじかよ……。
ランダルはガンで余命いくばくもない父親を思い出のメンフィスに連れ出し、ウィリアムはそこで息を引き取りました。ウィリアムは旅に出る前にまずジャックの墓を訪れ、息子を立派に育ててくれてありがとう、と礼を述べ、ランダルはかつて父親が自分にしてくれたように、命の灯が消えようとする父親の頬を両手で挟み、優しく見送った。血は繋がっていなくても、そこには確かに父と子のつながりがあり、受け取ったものを別の人にわけ与えることができたランダルは幸せだったと思う。それを受け取って死んでいったウィリアムも。これは本当に素晴らしいシーンでした。
人生は短い。後悔のないように生きたい。父親を看取ったランダルがそう思うのも無理はなく、以前から齟齬をきたしていた会社に乗り込み、辞めます、と。続けて言ったのは「見た、来た、勝った(Veni, vidi, vici.)」。この台詞をこのドラマでも見られるなんてー!
そしてなんとランダルはベスに、赤ちゃんの養子を迎えたい、と。これは自分は養子だったけれど愛情深く育ててくれた両親に対する恩返しと、親のいない赤子を自分が育てることで次世代への恩送りをしたいのかも、と感じました。

さてランダルの兄と姉(になるのかな?)、ケヴィンとケイトですが。ケヴィンのパートはちょっと都合よすぎというか、うまく行きすぎな感があってなー。そもそも初のオフブロードウェイに立つというのに初日、しかも開演のブザーが鳴った直後に舞台をすっぽかし、それがランダルのためとはいえもう一度初日をやり直してそれを見た映画監督のロン・ハワード(まさかの本人出演でした)から次の新作のオファーが来るってそんなうまい話があるかー。
ケヴィンは俳優という仕事柄容姿もいいし、当然モテるからS1でも共演女優と、その女優と別れた次は舞台の脚本家と付き合うのだけれど、本当の愛を伝えたいのは誰だ? とトビーに言われて駆けて行った先が元妻のところってのはびっくりしました。結婚してたことがあったのですね。どうしてもケヴィンのパートは恋愛模様にフォーカスされがちだけど、S2ではもっと他の部分も見たいな。
ケイトは子供のころから太り気味だったけれど、どうやら父親の死も肥満に関連しているようで……? アメリカのドラマはそう簡単に謎を明かしてはくれないわけで、ジャックの死の真相もS2に持ち越しとなりました。しかしジャックが好人物であればあるほどいつか描かれる彼の死が辛いものになりますね……。
ケイトの婚約相手のトビーがほんとにいい奴で。時にはやり過ぎ感もあるけれど、人生、辛い時ほどユーモアや笑いが大事。ケイト、トビーの手は絶対に離しちゃだめだよ! って応援したくなりました。

最後にビッグ・スリーことケヴィン、ケイト、ランダルの両親、ジャックとレベッカ。彼らは本当に貧しい状態から結婚して家を手にいれ、望んでようやく妊娠したと思ったらなんと子供は三つ子。想像だにしていなかったことだし、互い不仲らしい両親の手助けもそうないだろう中で、本当に頑張ったと思うのです。
だって、三つ子ですよ。三つ子ですよ!? 考えただけで卒倒しそうです、私は。育ってしまえばいっぺんで終わるけれど、生まれてから多分3歳くらいまでの記憶ってたぶんジャックもレベッカもあまりないんじゃないかな。それはレベッカがスティーヴン・キングの新作を何年経っても読み終えられない、というエピに集約されてたかと。
だから最終話でのふたりの大げんかはとても悲しくもあった。どちらも悪いとは思えないし、どちらもそれぞれ自分のできることを精いっぱいやってきた。でもすれ違ってしまったんだよね。
レベッカが叫んだ「自分の時間なんてなかった!」っていう言葉、めちゃくちゃ突き刺さりました。ほんとそれ。人生すべてを抱えきれないのなら、なにかを手放すしかない。レベッカは子ども3人のために、10年以上自分の人生を手放さざるを得なかったわけで。分かりすぎるほど分かる。ただただ頷きながら見てました。
ジャックの「俺だって必死に働いてきた!」という言葉もまた同じで。実際ジャックってものすごく家族を大事にしてて、多分自分の家族がそうでなかった反動なのかな、とも思うけれど、理想的すぎるほど素敵な父親で。でもたまにはどちらも妻じゃない、夫じゃない、父じゃない、母じゃない自分でありたいと心の底から猛烈に思うときがある。
どうか早く仲たがいを解いてね、と祈らずにはいられませんでした。
S2が楽しみです。

そんな素晴らしいドラマですが、苦言を呈すなら、やはりケヴィン役の吹替でしょうね……。うーん、慣れればいいのだろうけれど。でもさすがにちょっとこれは。しかもケヴィンって俳優の役なのに、その吹替が下手ってそれはあかんでしょう……。


Ep10にランダルにボートを売りつけた会社の同僚アンディ役でジミ・シンプソンがゲスト出演してました。

ハウス・オブ・カード シーズン3

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House of Cards Season 3 (2016)


友人のご厚意でS3のDVDを貸していただきました。
フランク・アンダーウッドと妻クレアの関係が、フランクの伝記を書くことになった作家トーマス・イェイツによって今まで見て見ぬふりをしてきた負の部分があぶり出され、最後にとうとう大爆発してクレアが出ていくという最高に面白いシーズンフィナーレでした。
わたし、このドラマの時の経過がちょっとよく分からない時があって、フランク対ヘザー・ダンバーの戦いは中間選挙……でいいのかな? ここにジャッキー・シャープも立候補するのは、え、そうだっけ!?ってびっくりしたんだけどなにか見逃していたかもしれない。政治ドラマはくるくるぱーの私には難しい。でもとても面白いです。
ヘザー・ダンバー役エリザベス・マーヴェルがめちゃくちゃかっこいいですね!下ろした髪が内側に巻いたような感じなんだけど少女っぽくならず、それでいてガチっとしたいかにも政治家って雰囲気を和らげてて素敵。このドラマに出てくる女性ってみな闘志があってかっこいい。
ロシアの大統領役にラース・ミケルセンですっごくびっくりした。しかもめっちゃプーチンに激似でこれってどうなのって思うくらい似てた。

さてS3のフランクとクレアを除いたいちばんの注目株はといえば、やはりダグラス・スタンパーだと思います。S2のラストでレイチェルから頭を殴られ重傷を負ったものの、死にはしなかったけれど長期入院&リハビリが必要な体になったので、事実上ホワイトハウスの首席補佐官という任務を下ろされてしまうんですね。でもダグは現場に復帰したい。それと同時進行でレイチェルの行方を追うために前に接触したことのあるハッカーのギャビン(J・シンプソン)に国外に出る自由と引き換えにハッキング能力を持つ彼を脅してレイチェルを見つけ出させる。
現場復帰を望むダグはまずヘザーに近づき情報を提供し、スタッフになることを申し出て、そのあとヘザーを裏切り、クレアの日記の破棄を条にフランクに対して件首席補佐官に返り咲くことを求める。
一方、レイチェルは死んでた、というギャビンの報告に呆然とし、自暴自棄になるも実はそれはギャビンが自由の身を得るためについた嘘であり、実はレイチェルはまだ生きてた。この、誰もが重要なシーンで自分の身を保証したり地位を得るために出す切り札(カード)を持っているという展開が最高に痺れますね!

そしてシーズンフィナーレは、ダグがレイチェルを見つけて彼女を殺し穴に埋める終わり方でした。フランクだけじゃなく、ダグもとうとう手を汚したのかと思うとこれはかなりの衝撃でした。ダグとレイチェルの関係はとても不思議奇妙で、でもだからといってふたりが恋仲になったり関係が改善したりうまく行くとはとても思えないので(つーか、そんな安易な展開は嫌だ)、こういう決着はありかな、とものすごく納得でもありました。
このラストシーン、レイチェルとダグの心情を本当に細やかに描いてて。命乞いをするレイチェルに、彼女に好意を持つダグはいったんは逃がすんだけど、彼女と反対の方向へ車を走らせるもUターンをしてまた彼女の元へ戻る。そして次のシーンでは、死んだレイチェルを穴に埋め、上からシャベルで土をかける。
文章で書くとたったそれだけのシーンなのに、見てるこちらはダグの迷いや決断はいかばかりだったかとおおいに想像をあおられる素晴らしい場面だったし、演じるマイケル・ケリーがもう大絶賛な演技で、私の中でただ今マイケル・ケリーが大ブレイク中である。レイチェルを失ったと知った瞬間の表情が最高でした。


さてこのドラマの感想を書くことは、イコール主役のケヴィン・スペイシーの問題にも触れないといけないとも思いますので、そのことについて少し。
お借りしたDVDには特典映像がふたつ入っていて、そちらもとても楽しみました。ひとつのドラマを作り上げるのに、大勢の人が関わり、皆でいいものを作り上げようとする心意気がとても伝わってきた、よい特典映像でした。
私たちがTVで目にするのは演じる俳優さんだけだけど、その後ろには決してTVに映ることのない、たくさんのスタッフがいるのですね。だけどそういう努力や心意気を主役を演じる俳優が自分の身勝手な行為ですべてを台無しにしただけでなく、彼がしたことで肉体的にも精神的にも傷ついたスタッフがいたというのはとうてい許せることではない。
映画やドラマが出来上がる過程において、その中の誰かが、それがたとえ新人女優であろうと裏方であろうと、傷つけられたり精神的に追い詰められたリすることは、一度もあってはならないのです。辛い思いや嫌な目に遭ったことを言えない人たちがいるままで出来上がった映画やドラマなんて、たとえそれが傑作であっても、被害に遭った人たちにはなんの意味もなさないのです。今までもこれからも、こんなことはもう二度と起きてはいけない。心からそう思います。

スペイシーの件でこのドラマは今年放映予定のS6で終了が決まり、スペイシーはもちろん降ろされ、主役はクレアになるとのことです。そして一時期はダグ・スタンパーやトム・ハンマーシュミット、レイモンド・タスクらが出るスピン・オフの企画(記事はこちら)もありましたが、想像以上に問題の根が深いことが分かってからはその企画自体も立ち消えになったみたいです。
私としては、S2の感想の時にダグの過去を見たいな、と書いたくらいなのでスピンオフは大歓迎だったんだけど(ついでに言うとギャビンも出してくれると嬉しいな、なんて)、ちょっと残念ではありました。
個人的にはスピンオフがなくてもワシントン・ヘラルド紙のルーカスとハンマーシュミットはまた出てくるべきだよなぁとも思っています。初期の時点でフランクの不正を暴き出した有能な彼らによって、ぜひ現職大統領を追い詰めてほしいのよね。

ところでこのドラマはPOIに出てた俳優さんが多数出演しているのもPOIファンの私には楽しみでもあるのですが(こちらの記事によると総勢12人も出演しているとのこと。すごい!)、誰が出るのかは敢えて知らないでいるので、S1でボリス・マクガイバー、S2でジミ・シンプソンの登場は驚きと嬉しさがありましたが、今回のS3では1エピのみでしたなんとカーラ様ことアニー・パリッセのゲスト出演。さらに吹替では作家トーマス・イェイツの吹替を滝さんがしてて、いったいなんなんだこのドラマは。ついでに言うとイェイツ役ポール・スパークスもPOIに1話(S2Ep16)だけ出てます。
ついつい脳内で彼らをPOIでの役柄に変換しちゃってて、ヘザーとダグのシーンはアリシア・コーウィンとマーク・スノウだし、ダグとギャビンのシーンはスノウとピアースだし、若干脳に混乱が生じてます(笑)。


円盤に印刷された画像がこれまたかっこよくて。眼鏡をかけたマイケル・ケリーがたまんねーな、っておっさんみたいな感想をこぼしてみたり。




映画館に行けない。

忙しいのを言い訳にはしたくないのですが、タイミングとか天気が悪いとか(梅雨なのかなって思うくらいここんところ1週間以上ほぼ毎日雨が降っている)体調不良でお疲れ気味な上に、園や学校の行事が目白押しで気がついたら10月はもうすぐおしまいで、なのにやりたいことがなんにもできてなくてちょっと泣きそう。
わたし、まだ「ドリーム」観に行けてないんですよ。なのに昨日からは「アトミック・ブロンド」が始まってるし、来週末は「ブレードランナー2049」が封切られるというのに映画館に全然足を運べてない。あっ「ダンケルク」も2回目観に行きたいのに最寄りの映画館はすでに夜しか上映してない。だめだ、もう無理。

ドラマは春から夏にかけて今まで長々と見てきたのが軒並み終了したので、今はDLifeでの「エレメンタリー」S2とNHKでの「This is us」S1をのんびりと見ているくらい。「エレメンタリー」は久しぶりに見たら、シャーロックとワトソンの関係ってこんなに可愛らしかったっけ!? と驚くほど魅力が増しててこれは完走できそう。「This~」は、他の皆さんも仰る通り、高橋一生の吹替がなぁ……。ドラマ自体はとても良いと思うしこういうヒューマンドラマって久々に見る。今までずっと血なまぐさいクライム・サスペンスばかり見てたからね。いずれも完走できたらまとめて感想上げたい。

息抜きに「マクガイバー」S1Ep02を見ました(プロデューサーのひとりにDavid Slack がいました)。昔「冒険野郎マクガイバー」がTV放映されてたので題名でリメイクってことは分かったけれど、主人公、こんなに若かったっけ!? リメイク版のアンガス・マクガイバーは20代後半なんじゃないかと思う若い青年でびっくりしました。わたしは断然オリジナルの渋い主人公が好みです。でも銃を持たずに身の回りにあるものを即興で武器にして戦うスタイルはものすごく好み~。
このエピはゲストにエイミー・アッカーが出ていました。彼女はS1Ep12にも出てます。


来月は「ローガン・ラッキー」も公開されるし(これは絶っっ対に観に行く)、今月よりは落ち着いた日々を過ごしたい。あと年内に「ブレイクアウト・キング」S1も見たい。もちろんお目当てはあの人です。ふふふ。
M・エマソンがゲスト出演する「ARROW」と「モーツァルト・イン・ザ・ジャングル」はおそらく彼の出演部分だけのスポット視聴になるかなぁ。さすがにシーズン1話目から全部見るのはとてもじゃないけれど時間の余裕がなくて。「モーツァルト~」はガエル・ガルシア・ベルナルが主演なので気にはなっていますが。
映画もそうだけど、長いスパンのドラマは見る/見ない、一部だけ/最後まで見るとか選択肢(?)も色々で一期一会感がより強い印象。数シーズン製作してグランドフィナーレまで駆け抜けられるのは、作る側も見る側もほんの一握りなんだなぁってつくづく思う今日この頃。

ウエストワールド シーズン1

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Westworld Season1 (2016)


常に思考が曖昧模糊なばりばり文系脳の人間が書くレビューなので。間違ってる部分や解釈も多数あるかと思うけれど、以下は個人の感想です。
メインストーリーは、自我に目覚めて生きる目的を探すウエストワールドのAIたち、ウエストワールドを管理する者たちの思惑や駆け引き、ドロレスと恋に落ちたウィリアムの冒険、迷路の中心を探す黒服の男、でいいかな?
高額な金を払える客だけが訪れることのできる「ウエストワールド」。そこで「ホスト」と呼ばれる登場人物たちは本物の人間ではなくAI。彼らの記憶はイベントが終了、もしくは殺された時点ですべて消去され、体に受けた傷や怪我も修復され元のまっさらな状態になってまたウエストワールドに戻される。でも彼らの記憶や経験はすべて完全には消しきれなくて、潜在意識として残っていて。特に開園当時から約35年のあいだずっとウエストワールドにいるAIたち(主にドロレス、メイヴ、テディ、ヘクター、そしてバーナード)はその記憶がたまりにたまってついに自我を持ち、外の世界を欲し、自分の存在意義を問い始める、というお話。……ざっくりすぎるあらすじ。

まずウィリアムについての感想を。職場の上司かつ友人ローガン(ベン・バーンズ)に誘われて「ウエストワールド」にやってきたウィリアム(ジミ・シンプソン)。どうやら彼はまじめできちんとした性格らしく、でもローガンから見れば面白みのないつまんない奴なので仮想空間で遊べよってことで友達のウィリアムをウエストワールドに連れてきたらしい。
ローガンはもう何回も来ているのでその面白さを友人にも体感してほしいってのもあるかな。でも実はローガンの父親の会社はウエストワールドに出資しているデロス社の社長らしく、Ep07(だったっけな)で、ウィリアムはドロレスに「現実世界では婚約者がいる。ここから戻ったら彼女と結婚するんだ」と話す。婚約者とはローガンの妹。あーつまりローガンがウエストワールドに誘ったのはバチェラーパーティーという意味もあったんですね~。
ウィリアムはウエストワールドでドロレスと恋に落ち、本当の自分を見つけたと言うのですが。ローガンに腹を刺されて逃げ、それきり姿を消したドロレスを探してウィリアムは世界の端まで行ったのに、とうとう彼女を見つけだすことはできなかった。
そのウィリアムは最終話でなんと若い時の黒服の男(エド・ハリス)だったという事実が明かされ、これには絶叫しました。つまりストーリーを時系列で並べると、ウィリアムが出てくるのは30年前、黒服の男は現在。ふたりの物語は同時進行ではなく過去と現在。これを知ってから2度目を見ると、なにもかもが意味合いが違ってきて、断然2度目の視聴のほうが面白かったです。
実は初見ではストーリーがゆっくり進むしウエストワールドを管理する人間たちのゴタゴタはさほど興味をひかれないし、意味深だけどでも意味が分からない断片的なシーンがあちこちにたくさんちりばめられていて、見ててちょっとだるかったのです。でも1~9話目は10話のための壮大な伏線でした。最終話で思いっきり頭をぶん殴られました。
その黒服の男。彼だけはウエストワールド内でなにをやってもいいし絶対に殺されない設定になっている。彼だけ無敵で最強の設定ってちょっとずるくない? と思っていたら、現実世界ではウィリアムはローガンの妹と結婚して娘もひとり授かり、おそらく実権をローガンから奪ってウエストワールドに出資するデロス社の社長(かCEO)であり大株主。だからフォードも黒服の男がウエストワールド内で好きなように振る舞えるように設定している。
最後のどんでん返しを知ってから改めて1話目から見ると、Ep01から何度も繰り返される、ドロレスが落とした缶詰を誰が拾うかなんだけど、テディ(ジェームズ・マーズデン)が拾う時もあれば、黒服の男が拾うときもあって、男はその缶詰を渡すと無言で挨拶だけして立ち去るんだけど、ここは2度目に見るととても切ない。だってそれは若い時のウィリアムと同じことをしているから。
Ep02で初めてウエストワールドに来たウイリアムは選んで、と言われて真っ白な帽子を手に取る。この「真っ白」なのが重要かと。最終話、死体の頭にかぶせてあるカウボーイハットを手に取ったウィリアム。その帽子の色は黒。ここに来たときの純真さを彼はもう失ってしまったことが帽子の色で示されてるのかと思うとなんて悲しいの。
ドロレスを探して探して世界の端までたどり着いたけどそれでも見つからなくて、始めの町に戻ってきたウィリアムはそこでとうとうドロレスを見つけるのだけれど、当のドロレスは記憶を消去されているから当然彼を覚えてなくて。この時のジミ・シンプソンの表情が本当に素晴らしかった。切なく失望を抱え、かつ呆然としたようで、でもそれを表に出さないように抑えているのを一瞬で表現していました。
しかしウィリアムとドロレスがウエストワールドの中でずっとずっとお互いを探しもとめた結果があれかよ……!
そして写真。ローガンがウィリアムに渡した妹でありウィリアムの婚約者の写真は、Ep01でドロレスの父が地面の下から見つけたものなんだけど、そうするとEp01はウィリアムたちがウエストワールドに来てドロレスを探し求めた後のエピってことになるよね?
Ep06でテディが黒服の男に語る言葉、「迷路は人の一生の集約。選択や見続けた夢の集まり。中心には何度も殺されそのたびに生き返った伝説の男がいる。最後に復活した時、激しく怒り、敵を一掃した」……これはEp09でローガンに連れてこられた連合軍の兵士たちを一晩のうちに皆殺しにしたウィリアムのことを言っているんだと思う。ウィリアムはここで本来の自分を解き放っちゃった感じかなぁ。

とまぁ私はウィリアムをメインに見ていたのでAIたちのセッションや葛藤についてはまったく深く考察していないので、あとは他の登場人物を中心に感想をいろいろと。
フォード(アンソニー・ホプキンス)。アーノルドとともにウエストワールドを設計した人物。新しいプロットを投入しようとするが、そのせいでホストが混乱。シナリオはもっと単純でいいと考えるテレサとは対立。しかしフォードはすべてを自分のコントロール下においてAIを思いのままに動かす世界のトップに君臨して神になりたいと考える人物。だからウエストワールドの世界を違う仕様にしようとする者はすべて敵だし、開園前にAIが意識を持つことに気づいたアーノルドは、ドロレスにウエストワールドを破壊するよう頼むのですが。
結局トップの座を狙うテレサがフォードを追放するのかと思いきや、デロス社からやってきたシャーロットと共謀したフォードが実はAIだったバーナードに殺されるという結末に。バーナードはフォードの命令でエルシーも殺しているから、フォードにとってはバーナードも自分が自由に動かせる駒のひとつでしかない。
しかしなんでみなさんそうやたらと神と同じ存在になりたいのか、わたしはさっぱり分からないんですけど……?
そうそう、フォードはバーナードにテレサに近づくように命令(この場合はプログラムと言うべき?)したけど、テレサには「バーナードを受け入れたのは君だ」と言う。つまり断ることもできたってこと。AIとは違い、人には自由意志があるってことを言いたかったんだと思う。自由意志かぁ……なるほどねぇ……。

バーナード(ジェフリー・ライト)。ウエストワールドを管理するデロス社の社員の中にひとりやふたりはAIが混じってるだろうと予想はできましたが、バーナードだとは思わなかった。しかもフォードはともにウエストワールドを設計したアーノルドそっくりにバーナードを造ったって最高に趣味が悪いうえ、見てるこっちのミスリードを誘いまくりでまったくいやらしい話です。
エピのオープニングでバーナードとドロレスのセッションが何度も出てくるのだけれど、青いドレスを着たドロレスと対話をしているのは実はアーノルド。裸のドロレスと対話をしているのはバーナード。私は青いドレスを着たドロレスの対話相手もバーナードだと思っていたのですが、バーナードはEp01で「ここに来て10年経つ」と言ったのと、Ep10でフォードがバーナードとドロレスに「きみたちは初めて会うな」と言ったことでやっと自分の間違いに気がついた。

テディ(テオドア)。彼はEp01で列車に乗ってウエストワールドにやって来たので客だと思ったのですが彼もAIでした。どんな登場の仕方であっても、つねにドロレスを守って最後は死ぬ設定になっている、で合ってるかな? 黒服の男は、ドロレスが外の世界に出ないように留める存在だと言っていたけど。
テディは友人で上官のワイアットとともにドロレスの故郷エスカランテで大虐殺を行ったことに対してずっと罪の意識を抱えているが、実はワイアットのシナリオをアップデートされたドロレスがテディと一緒にエスカランテのホストを全員殺しているのが真実。ワイアットという人間はいない。ホスト全員を殺したあと、ドロレスはアーノルド、テディの順に撃ち殺し、最後に自分を撃って自殺している。

ヘクター。街にやって来て人々に発砲し、メイヴのいる売春宿から金庫を盗む悪党。首に賞金がかかっているお尋ね者。演じるはロドリゴ・サントロ。LOSTに続いてJ.J.作品に出演です。

メイヴ(タンディ・ニュートン)。わたしはAIの中では彼女がいちばん好きでした。メイヴの役どころは完全に映画「エクス・マキナ」(2015)のエヴァだと思いました。ノーランはあの世界を自分流に表現したかったんだと思う。でもエヴァとは違い、ラストでメイヴは自分の向かいの席に座った母子の姿を見て、自分も記憶の中の娘を探さなければと、せっかく乗った電車を降りてしまう。彼女が逃げたことはもう知られているだろうから、この先どう行動するんだろう。やっぱりフィリックスの手を借りるのかな? 
フィリックスとシルベスターを脅してプログラムを書き替えさせ、どんどん強くたくましく賢くなっていくメイヴは見応えあった。

フィリックス(レオナルド・ナム)。相棒のシルベスターから、お前はAIの傷んだ体をもとに戻すただのブッチャーだって言われてたけど、つい同情してしまったばかりにメイヴに利用されまくってる修復担当。しかしたかがメンテのみの彼らに彼女の設定を変更できる権限があるのか? という疑問はある。上層階に簡単に出入りもできるし、修復のみしかしない人間が重要な部門のある場所にも出入りできるって、ちょっとセキュリティ甘くない? それとも彼らふたりも上級の技術者ってことなんだろうか。
ただ全編シリアスな展開の話の中でメイヴに協力することになるフィリックスは面白みがあってよかった。もうちょっと笑いをとってもいいと思ったくらい。

あとは雑感。
AIたちが取る行動、レヴェリーズはとても人間らしくて美しいなと思いました。これも後半で仕組まれたプログラムであることが分かったけれど。
そして、このドラマにも出てきた「バックドア」! またか! これって魔法の仕掛けだよね。これさえあれば、ストーリーにおいてどんな例外も許されてしまうように思うの。
バーナードの妻ローレンに「SUITS」のジェシカことジーナ・トレス。
プロデューサーのひとりにブライアン・バーク。この人の名を白文字で見るのは「LOST」、「POI」に続いて3度目だ。
よく分からなかった点は、
砂に埋もれた町、エスカランテ。ドロレスの故郷だけれど、初期では町も教会もちゃんと存在しているのに、ウィリアムと一緒に来た時は砂に埋もれていた。その理由は?
フォードがバーナードに見せた、ウエストワールドを作り上げた技術者3名の写真。フォードとアーノルド、そしてもうひとりは誰?
他にもいっぱいあるけど主に上の2点は非常に気になった。


前述のウィリアム役ジミ・シンプソン。きみ、いい役獲ったねー!! と手放しで大絶賛したい。あの純粋でドロレスとの愛を心から信じてたウィリアムが数十年後にはあんな姿になるとは誰が予想できようか。
彼がEp02に出てるのは知ってましたが、私はそのエピのみのゲスト出演だと思ってたんです。でも先日開催されたSDCCに来てたから、つまりそれってS2にも出演するってことなんだよね?てことでようやく視聴に至りましたが、すごい、出ずっぱりじゃない。共演のベン・バーンズとはとても仲が良いみたいです。
エド・ハリス。ヴィゴと共演してたウエスタンムービー「アパルーサの決闘」(2008)でもやっぱりかっこよかったですが、こちらは黒づくめの服で乗る馬も黒く、超極悪人。凄みがありました。しかしまぁアンソニー・ホプキンスやエド・ハリスがTVドラマに出演する時代になったんですねー。時代が変わったわ~ってしみじみ思っちゃった。

製作はジョナサン・ノーラン。脚本も監督もしてるから、実質彼がショーランナーと言ってもいいくらいかな? ジョナサンは今までも、兄のクリストファー・ノーランと脚本を書いた「バットマン」で出来なかったことをPOIで描き、POIで描けなかったことを今この作品で描いてるんだけど、性表現、暴力シーンの規制が緩いHBO(「SatC」や「ゲーム・オブ・スローンズ」もこの局ですね)で放映ってことで、なんというか、もうやりたい放題。窮屈だったCBSとは違い、すげーのびのびと作ってます感が画面からばしばしと伝わってきますね……(笑)。

音楽はラミン・ジャワディ。オープニングシークエンスの曲はピアノがたいへん美しい旋律です。そしてしょっぱなからEp01でローリング・ストーンズの"Paint it Black"のクラシックバージョンが最高に痺れました。Ep04のビゼーのカルメンの「ハバネラ」も素敵で、音楽の使い方うまいなーって思いながら見てたのですが、なんと最終話のラストシーンで流れたのはRadio Headの"Exit Music"のクラシックバージョン。こちらもかなりキました。だってこれ、POI S3最終話の最後のあのシーンに流れた曲じゃない! もうこちらの心がぐりぐりと抉られました。あの曲が流れたらその後に起こるのは悲劇しかない。間違いない。POI視聴済みの人間はそう刷り込まれてるもん。そしてその通り、AIたちが立ち上がって人間たちを撃って撃って殺しまくるというシーズンフィナーレでした。あーもう、やってくれたな。

Westworld Final Song "Exit Music (For a Film)" - Radiohead by Ramin Djawadi

音楽ですが、そもそもPOIの最終話(S5Ep13)の冒頭に流れたのが「エクス・マキナ」の挿入曲からして、あの時点でジョナサン・ノーランの次の作品のテーマは人口知能ですよって伏線が張られていたようなものかと。だってPOIで流れる曲は今までどれもそんなに新しいものはなかったのに、なぜあれだけは前年に公開されたばかりの映画の挿入曲だったんだろうって違和感というか、珍しいなと不思議に思っていたので。まぁ個人的かつ勝手な解釈ではありますが、私はそう考えています。


しかしこれ、シーズン2を作る必要はあるのだろうか? ある意味S1のラストはあれできれいに終わっていると思うのです。S2が壮大な蛇足になりませんようにと祈るしかない。


そっくり

ジミ・シンプソンのTwitterより。エスクァイアのイベントに出席した時の一枚。




クリスチャン・スレイターと一緒に写ってますが、お、おまえらは生き別れた兄弟だったのか……ていうくらい似てませんか? ねぇ、似てませんか!? まぁ眼鏡や服装が同じだからってのもあるかとは思いますが、それにしても激似だ!
でもこのツイートに「似てる!」、「まるで兄弟のよう!」ってリプがたくさんついてるので、同じこと考えた人は他にもたくさんいると知って安心(笑)しました。
今年のサンディエゴコミコンに参加した時の黒ぶち眼鏡姿のジミくんにどことなく既視感を感じていたのですが、そうか、君はクリスチャン・スレイターに似ていたのか……! なんかふたりともあんまり年取らない感じな上にちょっと童顔で、ほんとよく似てる。似すぎてて怖いくらいだ。


クリスチャン・スレイターの青春映画は、どれもみな、まさにその映画の対象年齢である頃に見たのでもうドストライク。「ヘザース/ベロニカの熱い日」、「今夜はトーク・ハード」は本当に熱かった。でも今また見たとしても、当時のときと同じ感動や共感は、もう得られないことを知ってるんだけど。久々に見ようかな。青春系以外だと「忘れられない人」、「マンハッタン花物語」、「トゥルー・ロマンス」も素敵です。

ジミ・シンプソンは今年中に「ウエストワールド」を見たいと思っているのですが、今年もあと3か月半。だんだん年内の予定がみちっと埋まってきたので、いつ見るかきちんとスケジュールを考えないとあっというまに年が明けてしまう。ちょっと焦ってます。