POI S5 Ep13 John Reese and Harold Finch

S5Ep13の別立て記事です

・ジョン・リース
"When you find that one person who connects you to the world, you become someone different. When that person is taken from you, what do you become then? "
リースのこの台詞で始まったこのドラマ。S4に続いてS5でもリースとフィンチが一緒にいるシーンは決して多くはなかったし、話が進むごとに彼らのいる場所がどんどん離れていくので、ふたりの関係がどのように描かれて終わるのか実はとても心配してました。また、私はリースについてはこちらこちらで書いたように、最後はおそらく彼が死んでしまって終わるのだろうな、とも思ってました。実際、S5で決定的なシーンだったのは、Ep03ラストで普通の人生に背を向けて歩き出すリースの後ろ姿、そしてそこにかかってきた電話と「リース君、新しい番号だ」「今行く」の台詞でした。あぁもう最終話を迎えたらリースにその先はないな、と。
ですが、フィンチとの絆をここまで深く感動的に描いてくれるとは思わなかったです。これはもう、私の予想をはるかに超えていた。そしてこのドラマが完璧に終わるためには、実はリースは生きているのでは、という可能性は微塵たりとも残さないことが求められますが、そういった描写は一切なかったのは潔いくらいでした。打ち切りが決まり、最終シーズンは13話に減ってしまいましたが、それでもこんな素晴らしい終わり方をしたことには心から感謝です。

そしてやっぱり私にとってはこのドラマはジョン・リースの物語。闇と孤独の中にいたリースに手を差し伸べてくれたのはフィンチ。そのフィンチに救われたリースは、自分を世界と繋いでくれたフィンチのために生きて、フィンチを護って死んでいった。彼が死んでしまったことは本当に本当にとても悲しいですが、それと同じくらいこのドラマのラストは彼の死で終わることがふさわしいし、それ以外は考えられない。だから終わり方としては私は大満足してます。完璧でした。
Ep13で、リースの父が4人を助けて死んでいったことでまだ幼かった彼の中に英雄願望が芽生えた描写がありましたが、私はリースがもともとそういう考えを持っていたことより、いったんはすべてを失って死んだも同然だったリースが、救い出してくれたフィンチのために生きたという面を重要視したい。ここにきて突然父親のエピソードが挿入されたのは少し違和感も感じてて、なおさらそう考えてます。リースには英雄願望も自殺願望もないでしょ?って以前考察で書いたしね。

私はS4Ep22の感想で、
自分のせいでリースが死ぬのは望まないフィンチと、自分が死ぬのはフィンチを護る時と思っているリース。このねじれっぷりがまさしく「パーソン・オブ・インタレスト」というドラマ
って書いたけど、ラストはまさにその通りになっちゃったんだなとも思いました。リースもフィンチも、お互いがお互いを絶対に死なせまいと最後の最後まで深く深く思いあっていた。それはどうしてかと問われたら、誤解を恐れず言うならそこには愛があったからだと思う。それはふたりの間に確かに存在していた。なのにどちらも相手を思いあって行動した結果が相手が最も求めていない方向になったり、相手を苦しめてしまうのがこのドラマの核であり、そこから生まれる猛烈な切なさや抗いがたい深い魅力が、見る側を捕えて離さなかったんだと思う。
フィンチもリースも、相手を守ろうとすればするほどその人を自分から遠ざける。お互いがいちばん相手のことを思いやってすることが、相手がいちばん望まないことだなんて、このふたりは最後の最後まで思いが届くことのなかった両片思いのようなもんだったんじゃないかな……。
今までたくさんの命を救ってきた。でも最後、救う必要があったのはたったひとつ。それはフィンチ。リースはこの言葉を屋上で言いましたが、屋上といえば過去にも彼らが死線ぎりぎりのところまで行った出来事があった。S2Ep13でフィンチがリースの体に括り付けられた爆弾を解除したのは夜のビルの屋上。あの時ふたりの間には過去のしがらみは何もかも消え失せ、生きるか死ぬか、その一瞬に全てを懸けた姿が最高に心震えました。そしてその時背景にはライトアップされたクライスラービルが映っていましたが、今回のEp13でも、時間帯こそ朝ですがやはり同じようにクライスラービルが映ってました。しかし爆弾回の時とは違い、フィンチとリースは別々の建物にいてお互いとても遠い距離のところにいたけれど(画面でも、フィンチから見たリースの姿とリースから見たフィンチの姿が本当に小さくてものすごく悲しかった)、でも心の距離はS2Ep13の時以上に、今まででいちばん近かったと思う。
何も持ってなくて、何も残されていなかったリースの人生にたったひとつだけ存在した、いちばん大切な人を護ってこの世を去ることができた。リースはこれ以上ないほど満たされて逝くことができた。それは長い長い旅路に果てにリースがようやくたどり着いた場所。5年かけて描かれた、リースとフィンチの究極の愛の物語だったとも言える。
そしてマシンが学んだこと。人は死んでも誰かが覚えていればその人の中で生き続ける。これはつまり、S1Ep01でフィンチの言った「遅かれ早かれ共に死ぬだろう」が本当になったともいえる。リースは死んだ後もフィンチの中で生き続ける。フィンチが死んだ時がリースの本当の死。だから彼らは一緒に生きて一緒に死んでいく。あくまで私なりの解釈ですが、1話目の最も印象的で、最も彼らふたりのその先の運命を的確に言い表した台詞を、最終話で見事に回収してくれました。これ以上のラストはないです。本当に本当に、素晴らしいエンディングでした。

人は何のために生きるのか。人が生きる目的とは何か。大切な人、愛する人に対して自分はどう生きていきたいか。ハロルド・フィンチと出会って彼からその答えを得ることが出来たジョン・リースは、とても幸せな人生だったと思う。リースは他の誰でもないハロルド・フィンチに出会えて本当に良かった。
今も時々、リースのことを思うと涙がこぼれますが、私は彼の死はそんなに辛くはないと思えるようになってきてます。時間が経てばまた違う解釈も生まれてくるだろうけれど、今の時点ではこう考えています。

・マシンとリース
Ep13でリースは「マシンと取引をした」と言っていましたが、それはいつの時点だったのかな、と考えた。
リースは機械なんて信じてないし、S3Ep13を見ても分かるようにマシンとも仲が悪かった。でも、S4ラストでリースの方からマシンに"Can you hear me?"と尋ねた時には取引は成立していたのかなぁ。いやもしかしてS2Ep01で今までのルールを変えてAdminのフィンチを探せと言った時かなぁ…さすがにそれはちょっと早すぎるか。そうするとやっぱりS5Ep03の直後かなと。その時はオープンシステムだったし。
マシンもマシンで、Ep02で再起動してまだ時系列がごっちゃになってた時、フィンチが一生懸命自分たちを敵ではないと教えていたけれど、フィンチやルートのことは味方と理解したのに、リースのことだけは最後まで敵性ありとみなしていたんだよね。だからそんなリースとマシンの間で取引が成立する理由は何かといったらそれはたったひとつしかなくて、フィンチの命の為なのです。
だからたとえフィンチがリースを金庫に閉じ込めたとしてもそうでなかったとしても、フィンチを守るための他の道はいくらでも用意されていただろうし、どの道を選んでもフィンチは生かされ、リースの死は免れなかったと思う。

・ハロルド・フィンチ
リースに比べて私のフィンチに対する考察は浅いのでちょっと申し訳ないですが…S5の最後の方は、フィンチ自身がどんどん孤独になり闇の中に進んでいったので、最後はどう落とし前をつけるんだろう、というのが私は気になっていました。自分自身に戦闘能力はないフィンチは、最後の方こそマシンの力でゴッドモード化していたけれど、フィンチを守ることができるリースをあんな分厚い扉のある金庫に閉じ込めてまでひとりで片をつけようとした彼は、もう誰も巻き込みたくない、大切な人ならなおさら、と考えているんですよね。もしあの後マシンの助けと共に全ての片を付けて生き延びられたら、そしてリースの命を守れたら、それがフィンチにとっての一番望む幸せな終わり方なのかなぁと思った。
ただ、金庫の柵越しにリースに"Good-bye"と言っているので、その先フィンチは自分はひとりで死ぬだろう、もしくは死ぬつもりであったことは間違いない。
フィンチはリースとはあくまでビジネスライクな関係を保ちたかったんだろう。それは前任者のデリンジャーを亡くしているのもあるし、リースに対してはラップトップにまつわる罪の意識もあったから。ところがジョン・リースという人間は、フィンチが思った以上に情が深く心根が優しくとても繊細で、そしていちばんの誤算だったのは彼がフィンチを恐ろしいほど大切にするようになったことだと思う。フィンチが思っていた以上にリースの愛情は深く大きかったし、そしてフィンチもいつの間にかそれを受け取っていて、リースの愛があることが当たり前の人生になっていたんだと思う。
そのリースがフィンチを救って死んでいったことは、彼にものすごい喪失感をもたらすかと。そしてこの先のフィンチの人生にどう影響を及ぼすのか。フィンチにとって仕事上のパートナーとして存在した人間はネイサン、デリンジャー、リースの3人。そしてその全員を亡くしている。これってものすごい悲惨なことだと思うのですよ。
ラスト、フィンチはグレースの元に行ったけれど、彼女に再会した時の顔があまりにも悲しげで、私は彼が幸せそうにはあまり見えなくて。フィンチは大切な人たちを喪った痛みと共にこの先ずっと生きていかないといけないのが一番つらいことなのでは、と思った。リースの生死にかかわらず、フィンチ自身は死んでしまった方が実は楽なんじゃないかとさえ思う。S5Ep11で「私はまだ裁きを受けていない」と言ったけれど、死ぬまで大きな喪失感と共に生き続けることがフィンチが受ける裁きなのかなぁ。
正直、グレースとハロルドがこの先一緒になったとしても、お互い幸せになれるのかな、という疑問もある。彼は1ドルで世界を売り渡した男。助けることのできた命もたくさんあったけれど、自分が創り上げたもので多くの人生を狂わせてきた。自身の目でたくさんの死を見てきた。そんな壮絶な経験をした後で、5年ぶりに会えた愛する人と、この先ごくごく普通の平和な人生を築いていくことはできるのだろうか……まるでこれは初期のリースと同じではないかとさえ思うのです。そうすると、ドラマの一番最初のリースのモノローグは、全てが終わり、ひとり残されたフィンチにも当てはまるのか……。
グレースもグレースで、彼女から見たハロルドは、IFTに勤める知識が豊富で話や趣味も合う5年前の素敵なハロルド・マーティンのままで止まっているんですよ。だけど数年ぶりに再会は出来たものの、思い出の中のハロルドと違って、目の前にいる彼は大きく変わってしまっているはずでしょう?それってとてもショックを受けるんじゃないかなぁ。
なのでふたりが再会したラストも、決して後味が悪いわけではないけれど、ハッピーエンドではないと思ってます。もしかしたらフィンチはすべてをグレースに話した後、再び彼女の元を去るのかもしれない。
それでも、フィンチがこの先長い時間をかけて笑顔と前向きに生きていく気持ちを取り戻せますようにと願わずにはいられません。




POI S5 Ep13 (Grand Finale)

私はS5はEp05あたりから冷静になってちょっと醒めた感じで一歩ひいた見方をするようになったので、最終話も淡々というか粛々と落ち着いて見るんだろうなと思ってたんです。でも見始めたらそんな気持ちはどこかへ吹っ飛び、もうこれで最後なんだ、この先新しいエピソードはもうないんだと思ったら、かなり最初の方で涙腺崩壊してしまって。あとはずーっと泣きっぱなし。握りしめていたタオルハンカチがびしょびしょになるまで泣きました。人間こんなに泣けるのかってくらい泣けて泣けてどうしようもなかった。見終わった後も大号泣で、結局その夜は一睡もできませんでした…。なので冷静なレビューではないし正確さには欠けます。

Return 0

冒頭でビルの屋上にやって来たフィンチ。押さえている手を腹から離すと、着ているベストも手も血でぐっしょり濡れている
マシンはとうとう声だけでなく、姿もルートとなって可視化されました。そしてこのルート、息を飲むほど美しい。とにかくこのエピソードは誰もが非常に美しく撮られています

 

全編を通してマシンが学んだことが随所に挟まれていき、冒頭ではいくつかほんの短いフラッシュバックがスローモーションで差し込まれるんだけど、跪いた状態で銃を向けられて目を閉じ、再び開けるリースの瞳の色が独特でめちゃくちゃ美しくないですか!?あまりに綺麗でここ何度も見返しちゃいました
八分署に戻ってきたリースとファスコ。しかしここも既にサマリタンに押さえられてて、署内でそのまま逮捕という形で捕まったリースとファスコ。手錠と足かせつきで港に連れてこられてしまう
リースに「ルルー捜査官はどうした?」と訊かれて、トランクに詰めてある、とニヤリとするファスコ。そう、これはS1Ep01を思い起こさせる台詞ですね。ここで私の涙腺は崩壊しました。思えばこのふたりはいちばん最初のエピで、片や得体の知れない男を車に乗せてオイスター・ベイで殺して埋めるつもりの悪徳刑事、片やその悪徳刑事が防弾ベストを着けてることを確認するといきなり背中から至近距離で数発撃ちこむ元CIAっていうすごい出会いをしたのですが、あそこでファスコが生かされた意味は間違いなくあったんだなぁ…
あわや射殺というところでソーンヒルインダストリーズの人間が遠方から狙撃してふたりは助かるのだけど。ここでこうやってふたりの命を助けることができるなら、他の場面ではなんでできないんだって思っちゃうけど、マシンは死にかけてるからもうそういう手助けは出来なくなってるんだね
「あんたには借りができた」「なるべく早めに返してくれ」「いつかまとめて返すよ」…フィンチとリースのこのやり取りは、のちの屋上でのシーンに繋がります
港を立ち去る時の監視カメラに映ったファスコがとうとう黄枠になってるー!!!ってもう前になってましたっけ?あ!リースにあの橋のたもとに連れてこられた時になってたか!なってたね!なってたよそういや
フィンチと対話するマシン。シャットダウンまであと8分半。マシンはたくさんの人の死を見てきた。でも、死は美しいものではあるけれどそれに意味を見いだせない、と
マシンの「誰もが最後は一人で孤独に死んでいく」("Everyone dies alone.")は、リースがジェシカに言った言葉、「人は結局最後は独りだ」("In the end, we're all alone.")を思い起こさせます
地下鉄の基地で、リースはファスコに"Try not to die."と言いましたが、これが彼らが最後に交わした言葉になったんだね…
マシンはルートのメッセージをショウに伝える。あなたはあなたのままでいい。それがいちばん美しい。あなたはまっすぐな矢印。他人の感情を理解できないショウは、今まで自分を欠陥品だと思っていた。だからこの言葉は嬉しかったと思う。自分を肯定してもらえたから。一筋の涙を流し、そのままそれをぐいっとぬぐい取ったショウ。ここからラストまでのショウはとても美しい。私は彼女のすがすがしい笑顔がいつも好きなのですが、ラストでは口紅も心なしか明るい色になったし、ファスコと話す顔が本当に爽やかで。前はリースから怒(おこ)り顔って言われてたくらいなのにね
ショウがマシンに"Good-bye"と別れを告げました
そしてあの古い地下鉄の車両が動くことにはびっくりしました!まだちゃんと通電するんだ!
ちなみにニューヨークの地下鉄には閉鎖された駅があって、今もそこを見ることが出来るよ、という記事をたまたま読んだのですが、その記事の写真を見てみるとこのドラマの地下鉄の駅は間違いなくこの廃駅をモチーフにしてますね。しかも今も訪れることが出来るそうです

『70年前に閉鎖となった美しい廃駅The Ghost Station / ザ・ゴースト・ステーション』

ファスコとショウがサマリタンの戦闘員やジェフ・ブラックウェルに立ち向かう一方で、フィンチはマシンのコア部分のコピーが入ったブリーフケースと共に、リースを連れて連邦準備銀行の地下の巨大な金庫に到着。ここにはサマリタンのサーバーのコピーがあるのでそれにもウィルスを入れて潰してしまおうというわけで
銀行の入り口の警備員に、このブリーフケースの中には熱核兵器があるよって大嘘をぶちかますフィンチ。フィンチの少し後ろにいるリースがそれを聞いてる時の表情がなんともおかしくて
「あんたにそんな新しい面があったなんてな。空恐ろしいけど そんなあんたも好きだよ」(Oh, I like this new side of you, Finch. It's terrifying, but I like it.)…この後の展開を思うとリースのこの台詞さえひどく愛しい。だって2回も"like"を言ってるんですよ!もうリース君どんだけフィンチが好きなのよ
そしてガスで館内の人間をみんなを眠らせてしまう計画に、なんだかとっても楽しそうなリース…(笑)
リースとフィンチ、ふたり揃ってガスマスク姿だよ。ちなみに眼鏡は外さないといけないんですね?
マシンが開けてくれた巨大な金庫。ものすごく重厚な扉には圧倒されました。ここで敵に襲われたリースが最後は近くにあった金塊をひっつかんでぶん殴ってとどめを刺すのですが、この敵役の男性はジム・カヴィーゼルのスタントをずっと務めてきた方だそうです。なかなか憎い演出だし、同時にお互いやりにくくないのか?とも思うし(笑)
フィンチは腹を撃たれるのですが、もしかしてリースってフィンチが撃たれたことに気付いていない?
感染を逃れようとサマリタンは回線を伝って地球を脱し、なんと宇宙にある衛星に逃げ、さらに邪魔されないよう軍艦内のプログラムを乗っ取って巡航ミサイルを作動させる行動に出る。これ、私は見てて本当に怖いと思いました。意志を持ったAIがここまでできるなら、人類なんかあっという間に滅んじゃうよ
巡航ミサイルの標的にされたアンテナがあるビルに行って、マシンのコピーをアップロードした人間は生きては帰れない。マシンからそれを聞いてフィンチはちらりとリースを見るのですが、ここで決意したかな、リースを死なせないようここに閉じ込めよう、と。そしてフィンチがそう考えたようにリースもまた、フィンチと同じ決断をするのです。悲しいほど似た者同士
シミュレーションでは一度もサマリタンに勝てなかったマシン。やはりここで、誰かの犠牲があればもしかしたら勝てるかもしれないという、かなり不確定な要素の上に成り立つ最後の大きな賭けに出るんですね。もし失敗したらマシンは完全に敗北するのだから
そのミサイルを阻止するために、ブリーフケースを手にしたフィンチは先に金庫を出て、リースがまだ中にいるのに柵を閉めてしまう。愕然とするリース
金庫の柵越しのフィンチとリース。この「柵越し」という、お互いがお互いを助けたい、生きていてほしいという同じ気持ちを持っているのに、その結果取る行動は相手がいちばんしてほしくないことになっちゃうのが、彼らが永遠に越えようとしない、越えられない境界線がある描写に思えて。フィンチもリースもいつも自分のことは二の次で、相手のことだけを一番に考えてて。そして大切に思えば思うほど相手を遠ざける。もしもここで、お互いの生死にかかわらず、共に、一緒に、と考えれば良いのに、でも決してそうはならないのがこのふたりなんだよね…
そしてフィンチがリースに言った言葉。

When I hired you, I suspected you were going to be a great employee.
What I couldn't have anticipated was that you would become such a good friend.
I'm afraid this is where our partnership ends.
Good-bye, John.

雇った時に、君は優秀な部下になると分かっていた。だけど予想外だったよ、こんなにもよき友人になれるとは。
でもその関係はここでおしまいだ。さよなら、ジョン。
そう言って立ち去るフィンチ、ゆっくりと閉まり始める金庫の扉。フィンチの後ろから、必死に彼を呼ぶリース。
フィンチ 待て ハロルド ハロルド!
リースは普段からあまり取り乱すことはないしいつも冷静な話し方をするけれど、だからこそこの時のリースがフィンチを呼ぶ悲痛な声が本当に本当に切なくて。こんなリースは今まで見たことがない。ここは断然原語で聞くに限ります!
あんな頑丈な金庫に閉じ込めてまで、フィンチはリースを守りたかったんですね…
リースはどうやってあの金庫から出られたのかと謎だったのですが、入る時もマシンが開けてくれたから、マシンが助けて開けてくれたのか。またこれは後述する、リースはマシンと取引をしたからなんですよね
外に出たフィンチに、マシンは他に誰かあなたを手助けできる人を見つけるわ、と言うのですが、フィンチはそれを断り、私が始めた事だから、私が終わらせる、ひとりで。ときっぱり断っている
翌朝、ようやくビルの屋上にやってきたフィンチ。背後で聞こえた物音に過剰に反応して、とっさに銃を向けている。S4で「私が銃を手に取るのは全てを失った時だ」と言いましたが、まさしく彼は、リース以外は失った、または失おうとしている時だと思っている
フィンチが訝しげに「本当にこのビルでいいのか?」と問うたのに対し、マシンは「あなたはここでいい」、そして向かいのビルの屋上に現れたリースも「フィンチ、あんたはそこでいい」 ("Right building, Finch. For you.")と
マシンとリースの言う「その場所で合ってる」は、フィンチを助けるための場所という意味で「合ってる」で、フィンチにとっては自分の場所は間違っている、というこの台詞のうまさとそれを知ったフィンチの絶望の深さ
マシンはAdminのフィンチに嘘をついた。なぜならリースと取引をしたから。ずっと前にした、とリースは言いましたが、いつ取引したのだろうか。これはすごく重要に思えます。だってマシンはその取引後はフィンチに対して出す指示が変わってくると思うので
そして屋上でのフィンチとリースのやり取りは、すべて書き起こしたいくらい素晴らしい
「言ったろ?借りはまとめて返す主義なんだ」…これは冒頭で射殺されそうになったことだけでなく、2011年に死ぬ間際だったリースをフィンチが雇ったことも含まれている
フィンチの持つブリーフケースの中は実は空(重さで気が付かなかったのかな?とは思いましたが撃たれてたしギリギリの状況だったからかな)。金庫の中でリースがフィンチに背を向けて何やらこっそりしてましたが、中を入れ替えていたのですね

At first, well, I had been trying to save the world for so long, I saving one life at a time seemed a bit anticlimactic.
But then I realized sometimes one life If it's the right life. That's enough.

長い間、世界を救おうとしてきたけれど、ひとりずつ助けるのは物足りなかった。でも気付いたんだ たった1人の命を救うことが大事なんだと。それで十分だ

「君には生きる目的が必要だ」。そう言ってフィンチはリースを雇ったけれど、長い時間を掛けてリースが知ったその「生きる目的」はたった一つ、フィンチの命をまもること。向かいのビルの屋上から立ち去るフィンチを見送ったリースが見せた笑み。なんて穏やかなんだろう
私は出来る限りジョンを助けるわ。あと30秒しか残されていないの。そしてマシンはそっとリースの肩に手を掛ける。彼らはどちらもまもなく死にゆく身。リースの最期はマシンと一緒だったことも感慨深い。同じ目的を持ち、意志を分け合い、共にフィンチを守り切ってこの世を去っていきました。リースはフィンチの前で、スーツの男として最後まで自分のなすべきことをしたんだね
そして最後は銃弾を浴びて死んだリース。それは軍人を経てCIAに行き、その手には常に銃が握られ、多くの人間に手を掛けてきた彼にはある意味ふさわしい最期なのかもしれない

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雨の中、父親の葬儀で立ち尽くす幼いジョンの肩にもそっと手をかけていたマシン。私はここはちょっと分からなくて。4人の命を救って亡くなった父親は、リースが「死ぬ時は誰かの役に立ちたい、誰かのために死ねたら」という思いを持つようになった存在だったという意味なのかなぁ

たくさんの間違いをおかしてきた。助けられなかった命もたくさんあった。それでも助けられた命もあった。そうでしょう?そう尋ねたマシンに、"Yes, we did."と、一言一言区切って肯定したフィンチ
マシンがたくさんの死を見てきて学んだものはなにか。人はみな一人で死んでいく。でも、助けたひとや愛する人が、ひとりでもその助けてくれた人のことを覚えているのなら、それは生きているのと同じ。彼らの思い出の中で生きる。だからリースも今まで助けてきた人たちが彼のことを覚えているならその中で生き続ける。フィンチの中でも。そしてフィンチが死んだ時がリースにとっての本当の最後の死。
リースを見つめるフィンチがものすごく透明度の高い表情で。今までふたりとも何度も生き延びてきた。どちらかが危機に直面すれば、なんとしても助けに行った。でも今回ばかりはリースを助けることはもうできない。彼が生きて帰る可能性はもうない。自分を生かすためにリースがこれからしようとすることを全て受け入れた顔なんだよね、あれは…



ラスト、フィンチがグレースの元に行ったことは、私はそれが特にいいとも悪いとも思わなかったです。フィンチにはそういう人生が選択肢として残されていたんだな、と。ただ、この時のフィンチの表情がとても悲しげなのが私は気になって。マシンの創造主としてやるべきことをやりげた彼が最後を飾るには、あまりに悲しい顔で
すべてが丸く収まってめでたしめでたし、で終わるドラマではないことは重々承知だけれど、フィンチの中では何かこう、心残りなものがあるままで幕が下ろされたことで、笑顔になれないというか。グレースと再会はできたけど、でも…みたいな感じかなぁ…。フィンチはこの先も生きないといけないですが、これはこれで辛いことだと思う

そして墓標。リースはずっと前に「俺も本名では死ねそうにない」(S1Ep08)と言ってましたが、墓標は "JOHN TAL"までは映ったので、本名で死ねたのですね(でも刻まれている誕生日が5/1じゃないんだよねー!)。リースの本名は最後まで明かされることはなかったですが、私はこれでじゅうぶん満足。彼は他の誰でもないジョン・リース。その方がミステリアスな感じでいいな。それを言ったらフィンチもですが。そしてリースの墓はフィンチが弔ってくれたのでしょう。棺の中は空っぽだけどね…

ファスコは刑事の職を続けました。そして死ななかった。良かった。私の予想はあたり!あの遠慮ない物言いと、良い意味でリース達の場所にずかずかと入ってくるファスコは間違いなく最後まで愛されていました。今回はリースの"Try not to die."の返事が"Yeah, I love you too."には、どこまでもファスコらしいぜ!って思いました。もう大好き!
彼は最初こそ悪徳刑事として登場だったけれど、誰よりも普通の人生を送ってきたとも思うの。だからこそファスコもまた、人生のある短い時期にメガネのジーニアスとワンダーボーイとイカれねーちゃんと暴力女と一緒に過ごした時があって、長い時が経ち、歳取って振り返った時に、あぁそういやそんな奴らがいたなぁ、あいつらほんとどうかしてたよなって笑いながら思い出すんだろう
ダイナーでショウと会話してた時は、ふたりともフィンチとリースの行方は分からないと言ってましたが、おそらくファスコはファスコなりの解釈をしていると思います

マシンは生き残った。そして無人の地下鉄駅に壁にある公衆電話が鳴ると、そこから線が伸びた先にあるオープンリールデッキ(これはS1Ep01でフィンチがリースにDV被害者の声を聞かせた時に使ったものかと)が動き出し、S5冒頭の「私たちが残せたのはこの声のみ」(マシンが選んだルートの声ではなくて、ルートが予めデッキに吹き込んだルート自身の声)が流れ、そしてPCが起動、システムが動き出して指示待ちの状態に。電話のベル音でデッキが動き、システムが再起動する条件に設定されていたんですね。これは生前のルートが仕込んだコードでこうなったのかと。でもフィンチの指示でしか作動しないって言ってたし。そう考えるとフィンチ自身の声と、マシンに言った"Good-bye"という言葉が作動の条件なのかな。そうするとやっぱりこのシーズンの鍵は間違いなく「声」ですね。
ラストは、S1Ep01とS1Ep23でリースが監視カメラを見上げたあの交差点にベアーを連れたショウが現れ、そしてS1Ep23とS2Ep01でリースが出たあの公衆電話が鳴り、ショウがその受話器を取りました。そしてS1Ep01のリースのように笑みを見せるとショウはそのまま人ごみの中に姿をくらませるシーンで締めくくられました。音楽も過去の同じシーンとほぼ同じ。同時にこの世界からリースがいなくなったことをはっきりと認識させられたシーンでもありました

このエピはたくさんの"Good-bye"がありました。フィンチがファスコとショウに、ショウがマシンに、フィンチがリースに、リースがフィンチに、マシンがフィンチに、そしてフィンチがマシンに。どれもみな、涙なしでは見られない別れの言葉
しかしこうやって書き並べると、ファスコだけはさよならを言ってないんですね!いやほんと、ファスコ愛しすぎる。以前リースが「あいつの生命力はカビ並み」って言っていたのを思い出しました。ファスコ本当にすごい

あまりにも美しく圧倒され、忘れがたい13話のレビューはこれにて。これとは別にもう一本記事を別立てします。

劇中に使われた曲は以下の通り。1曲目は映画「エクス・マキナ」の挿入曲でもありました。あちらも人工知能を描いた作品なので、この曲が選ばれたことは非常に興味深い

CUTS - Bunsen Burner (Ex Machina)

この曲はもう…涙が止まりません。ダメだろこんなぴったりすぎる曲探してきてさぁ…

Philip Glass - Metamorphosis 1

POI S5 Ep12

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エピソードタイトルが実行ファイルの拡張子なので、前回出てきたICE-9(アイス・ナイン)と名付けられたウィルスをネットワーク上で起動する話だろうということは最初から分かったし、おそらく彼は全てをひとりでやり切るつもりでもいただろうから、今回の話の展開はだいたい読めた…かな。八分署はもう出てこないのでは?という私の予想は見事はずれ
リースとショウが戻った地下鉄の基地の電話が鳴り、マシンがはじき出した対象者はグリア(偽名でですが)。グリアは今回加害者ではなく被害者。なぜならフィンチがグリアを殺そうとしているから
冒頭でフィンチがウィルスソフトの持ち主から奪ったのは、そのソフトだけでなく彼の車と麻酔銃。その銃で撃ったNATO職員になりすましてフィンチが因縁のNSAに侵入するのは非常にスリリングでした。開発したマシンを売るためにネイサンが交渉していたアリシア・コーウィンやデントン・ウィークスはNSAの人間だったし、とうとう最後は本丸に乗り込んだのかぁ、と感無量でもありました
フィンチはISAのイントラネットにICE-9をアップロード。最後に音声認識システムでパスワードを入れるところまできたのだけど。これをアップロードしたらマシンも死ぬことになるのですが、多分生前のルートが仕込んだプログラムが作動してマシンは生き残るんじゃないかと
リースが狭いダクトの中に入るのを渋る理由がなんと「チャーリーとチョコレート工場」が理由だなんて、もうすごく可愛すぎるー!!この時のリースの目が少し泳いでて渋~い顔(かっこいいという意味じゃなくて、苦虫を噛み潰したような、という意味です)がね、もうほんと、彼のこういうお茶目な部分、もっと見たかった!
迷彩服姿のショウが被るベレー帽が非常によく似合ってました
リースとショウの後ろの扉が開いて現れたのはフィンチ!このシーンはめちゃくちゃぞくぞくしました。すげぇフィンチものすごくかっこいい
リースは今回NSAに忍び込むためにショウと一緒に迷彩服姿になりましたが、彼はもうフィンチの前でスーツの男でさえなくなりました。ふたりの歩む道はもうとっくに別々になっていたし、フィンチの方も、今はマシンとルートと共にある三位一体の人生。そこに他の誰かや何かが入る余地はもうないかな

マシンがフィンチに見せたマシンがない世界の描写は面白かったし、過去エピソードの懐かしいシーンの数々がフラッシュバックのように呼び出されました。きっと視聴者の誰もが想像したこと一度はあると思う。もしマシンが存在していなかったら、フィンチ、リース、ファスコ、ショウ、ルートの人生はどう違っていたのかを
ファスコはHRのメンバーのひとりとしてカーターに逮捕されてクビ、カーターはこのことで昇進。この世界には私の大好きなシマンスキー刑事が出てきました。嬉しかったー!
フィンチはネイサンと立ち上げたIFTで、マシンに似たシステムを開発して政府との契約を結んでいる…でいいかな?ただ、ハロルドはそれよりもっと良いものが造れたのではないかと少し後悔している。また、ハロルドはグレースと出会えなかった
ISAのショウはコールと組んで任務に就いており、特別顧問局の人間に化けて、世界を監視しているシステム(前述のネイサンとフィンチが造った、マシンを生み出すより前のものかと)が存在すると知ったヘンリー・ペック(S1Ep21)を暗殺。上からの命令には疑いを持たず任務を遂行
リースはDVをふるっていたジェシカの夫ピーターに制裁を加えて彼女を救ったものの、ジェシカはリースの闇の姿を目の前で見たことで彼を拒絶、絶望したリースが自殺した遺体がイースト・リバーで見つかったのが2011年9月16日、つまりフィンチがリースを拉致った、じゃなかったスカウトした日でした。なぜかリースだけはマシンなしの世界の中では姿を現すことなく描かれました。つーか、名前の分からない人間が埋葬された後の墓標って、亡くなった日付なの!?これほんとなんですか?
ルートはサマリタン側に付き、グリアの元で邪魔する者を消す仕事についている。なんかこれはすごくルートらしいなと納得してしまった。マシンがない世界で彼女が神とあがめるのはサマリタン。ドラマの中で何度も繰り返されたように、マシンがなくてもいずれどこかで誰かがマシンと似たものを作るはず。ルートは当然と言えば当然だけど、サマリタンを崇拝するようになるんですね。
この「マシンのない世界」でいちばんショックだったのは、マシンがなくても結局リースはジェシカを失っていたということ。S2Ep22でリースの「7年前、彼女の前で口をつぐんだ時に運命は決まっていた」という言葉が今回図らずも証明されてしまったわけで。私はマシンがなかったらリースはジェシカと幸せになれたんじゃないかと思ってたんですよ。でもそうじゃなかったなんて。
じゃあどこまで時を戻せば彼らは幸せになれたのか一生懸命考えたんだけど、極論は「リースが望むジェシカの幸せは、リースが彼女に出会わなければ叶った」になっちゃうんだよ。これじゃ「バタフライ・エフェクト」(2004)と一緒じゃないかー!(「バタフライ・エフェクト」は究極のアンハッピーなハッピーエンドだからね。何言ってるか分かんないかもしれないけど素晴らしい映画なのでぜひ見てみてね。おすすめだよ)
リース自身が幸せになるには、それこそ最初の生まれた時からやり直さないといけないくらい、なぜ彼の運命はこうも過酷なの…?泣けてくる…同時に最終話の彼の行きつく場所はもう決まったも同然じゃん…
リースはフィンチに雇われてその身を捧げるのとジェシカを救えず自殺するの二択の人生しかなかったというのも悲しすぎる…辛い、どんだけいろんなものを背負った人物なのよ。2011年9月16日に死ぬはずだった彼が、マシンが創り出されたことでそこから生き延びたのなら、フィンチの言う「人には自由意志がある」のなら、余分なはずだったこの先のリースの人生が幸せになったっていいじゃないの。そのあたりどうなの!?マシンに問い詰めたいよ私は
いやしかし、いつの間にグリアのおじいちゃんは偽名と偽の身分でNSAの中枢部にまで入り込めるようになってるわけ?突然すぎやしないか。そしてサマリタンとマシンがつがいとして存在する理想郷を実現させるためにフィンチと共に自分も死ぬって、ちょっとドン引きですよ私!やばくないかこのおじいちゃん。フィンチは巻き込まずにひとりで死んでくれー!で、実際グリアは先に死んじゃってフィンチはぎりぎりで無事助かったという、なんだか超無駄死にな最期だったグリア。すごい笑えない退場でした
前回からフィンチ自身がゴッド・モードとなり、リースとショウに攻撃の指示を細かく出せるように。館内は爆破予告が出てるから、全員退避する中(爆破はフェイクだと思うのですが…NSAが吹っ飛んだらヤバくない?)、外から開けることのできないドアの向こうに姿を消したフィンチ。"Goodbye, John."の言葉と共に



サーバにアップロードしたアイス・ナインを起動させるのは、フィンチの声で認識させる8文字のパスワード、"DASHWOOD"。これはS2Ep22でハロルドがグレースにプロボーズの際に使ったジェーン・オースティンの本「分別と多感」に出てくる登場人物の苗字なんですね。このエピの最初でも地下鉄駅でショウが手にした本としてちらりと出てきましたが、マシンはそれを知っていたし、ハロルドの心の中には常にグレースが存在しているわけで。やっぱりグレース>フィンチ>リース なんだよね…もうこればっかりは仕方ないよね…
そしてそのパスワードを声で入力、フィンチは一言"Thank you."、と。この最後の言葉はぐっと来ました

ワシントンD.C.から8分署に戻ったファスコは、トンネル内で見つかった大量の死体にファスコが関わっているとFBIのルルー捜査官に疑われて…と思ったらなんとルルーもサマリタンの手先だったのですねー。死体は全部自分が殺したと告白。ファスコはルルーに撃たれたものの、防弾ベストを着てたから助かって。そしてファスコはルルーに銃を向けた。彼はルルーを殺すのだろうか?



次回、最終回です。



POI雑感 リース、ファスコ、フィンチ

S5ネタバレあり。
S5Ep11の冒頭で、雨の中リースとファスコがひとつの傘の下でルートの埋葬場所を見つめるシーンがありましたが、これ見て、あーS5でのリースのパートナーがファスコなのは揺るぎないし、フィンチと離れたリースはファスコとの関係がメインなんだな、って思った。S4でリースが刑事の身分になった時から相棒がファスコだったのはもちろん知っているけれど、それはあくまでジョン・ライリーの身分上のみであって、S1から続いてきたフィンチとリースのコンビが崩されることはないとずっと思ってたしそう願っていたけれど、S5のこのシーンが決定打かなぁ…。
傘ってこのドラマで象徴的に使われてたように思うの。S2Ep17で映画を一緒に見に行ったフィンチとリース。S3Ep14で美術館のレセプションパーティーに出席したフィンチとリース。両エピとも傘はひとつ。でもS4でハーパーを見送った時のフィンチとリースはそれぞれが傘をさしてました。まぁよく考えればこれが普通なんですが、この人たちはそれまでちょっと普通ではなかったので。今迄ずっと一緒だったのが、S4からは仮の身分になって離れた場所で別々のことをするようになったふたりの象徴に見えて。そしてS5でリースが傘を差した相手はファスコ。



もしもこのドラマが穏やかで平和に満ちたハッピーエンドな結末で終わり、フィンチ、リース、ファスコにその後の人生が続くとしたら、リースは案外ジョン・ライリー刑事のまま八分署で働き、その傍らにいるのはファスコになるんじゃないかと思いました。前にも書いたけど、リースがもし普通の人生を送るなら彼に必要なのは女性や恋人じゃなくてまず友達でしょう。実際ファスコはいい奴だし、亡くなったカーターのことも今は思い出として話せる相手だし、申し分ないんだよね、リースの人生におけるファスコって。一緒に飲みに行ったり趣味を楽しんだりする男友達っていうのが普通に想像できる。
「もし」の話が続きますが、居場所が闇の中ではなくなったリースは、決してフィンチが必要ではなくなったわけじゃないけれど、でもすべてが終わったらふたりはゆっくりと単なる上司と部下の雇用関係に戻っていって、いずれ最後はフィンチは解雇という形でリースを手放すことになるでしょう。もう彼を雇う必要はなくなったわけだし、それがいちばんふさわしい幕切れでもあるし、解雇ならフィンチとリース、どちらも納得の関係の終わらせ方かなと。
私は彼らふたりはこの先もずっと一緒にいるといいな、いてほしいなと思ってるけど、S5まで見てきた今、彼らの関係は「人生のある短い時期に深く深く関わって、そして最後はその関係が静かに終わっていったふたり」かなぁ。それっきりお互いもう二度と会うことはないけれど、長い人生を振り返った時とか死ぬ間際に思い出すような、そんな相手。…なんか「もしも」の話がずいぶん濃い方向になっちゃいましたが。

で、フィンチなんですが。孤独で闇の人生を送ってきたのはずっとリースだと私は思っていたし実際そうだったのですが、S5に入ったら、恐ろしいことに闇が深いのはフィンチもだったという…。シーズン通してフィンチの描写って、S2では過去の彼に何が起こったのかとネイサンとの関係はしっかりと描かれたけど、その他の部分の心理描写はそんなに多くはなかったように思うのですが…うーん、私の見方が浅いかなぁ。
リースはS3でカーターの死亡時、S4でカウンセラーのアイリスとの会話で、そしてS4Ep20で心情を丁寧に描写してくれたので理解が深まったけど、フィンチについては、マシンとの関係やマシンに教えてきたことは細かく描写されてきたけど、心理面はS5に入って突然な感じがするので、え、え、ちょっと待って、今までと違ってS5のフィンチはどんなことを考えているの!?と見てる私は少々戸惑っています。それなのにたった13話しかないので、その心情の細かいところはしっかり描き切らないで終わってしまうんじゃないかと心配…。
そしてここまで彼のダークな部分を出しておいて、サマリタンとのことが無事解決しても、その後果たしてグレースと一緒の人生を選ぶだろうか、とも思う。そうするとひとりで生きていくのは実はフィンチなのか…と思ってしまうのです。リースは仲間ができたけれど、フィンチだけは今もひとり。そんな彼は今後もマシンと共に生きる選択をするのか、それとももう十分と思った時彼は生きる意志を手放すのか。もしそうならそれはとても辛い。これってこんなに辛いドラマだったかな…いやこれ私の勝手な想像ですが…。
あと2話だけど、フィンチ、リースそれぞれだけじゃなく、フィンチとリースの関係もどういう地点に行きつくのか。S1、2であんなに色んなことがあったこのふたりが、曖昧だったり適当な最後で終わらせられたくはないんだよねー!


ちょっと話が逸れますが、もしS3ラストで廃図書館を出ずにフィンチとリースががあのままずっとあの場所に留まったとしても、もし彼らが仮にS5の後また人助けの仕事に戻ったとしても、S1、2の頃の雰囲気や関係にはならないと思う。あれはあの時期にあの場所であのふたりだったからこそ築き上げられたもので、廃れた図書館という場所で、お互いが探り合いつつも壁が少しずつ崩れて距離を詰めていく過程を、2011~2012年の時のマイケル・エマソンとジム・カヴィーゼルが演じたハロルド・フィンチとジョン・リースだからこそ生まれたものだと思えて。だから今またあの場所で同じ役者が同じことをしても、S1、2と同じようには絶対にならないと思う…うーん、うまく言えなくて意味が伝わりにくい説明ですみません…。
そう思うとS1、2で生まれた数々の名シーンは、今見返すと、廃図書館は暗く寂しい場所なはずなのにすべてがきらきらと輝いているの。あの廃図書館は、ニューヨークという大都会の中にポツンと存在した、誰も知らない、誰も中を見ることのなかった宝石箱に等しいですよ…。
それはもうすぐ最終回を迎え、彼らにさよならを言わなければいけない時が来ても自分自身の心の支えになるような気がする。あと2話見たら、新しい彼らの姿を見ることは永遠にないしそのことは本当に本当に悲しい。でもS1、2を見れば、あの頃のフィンチとリースにはいつでも会える。そう思えばそんなに悲観的にならずにすむかな…とね、思うのです。
もうね、先日もお料理しながら"Fake Empire"聞いてたら突然号泣しちゃって涙が止まらなくて。自分でも大丈夫なのか!?な毎日で辛い。この作品にこんなに心を持ってかれるなんて、もうほんと、見始めた1年とちょっと前には予想だにしませんでした。

私は人間関係や感情面をあれこれ考察するのが好きなので、S3から人工知能メインの話になっていったこのドラマが描きたい内容と私が見て感じた事は多分だいぶかけ離れてしまっていると思う。正直AIの内容や描写は難しくて理解しにくくてもうさっぱりで。繰り返し見たら理解できるのかなと思いつつもそこまでの気力はなく。今回の記事もきっと見当違いなことを書いているんだろうなーって思うけれど、でもまだ最後まで見ていない今しか書けないことかな、とも思って書き残しておこうかと。特に今回は「もしも」が暴走してる現実逃避な記事なのでS5全部見てから読み返したらとても恥ずかしいですね、きっと。

POI S5 Ep11

Synecdoche

私、以前からフィンチとリースが救った対象者たちが総動員でふたりを救う話があったらいいのにな、て思ってたんですが、ある意味今回はその願いを叶えてくれたエピソードでした。
冒頭墓地でルートの埋葬を見守るリースとファスコ。相合傘だ。
S5で2回目のタキシードリースでした。大盤振る舞い♪しかしショウはドレスアップした時はぜったい髪をアップにした方がいいのに、なんでいつもこんな似合わない髪型にしちゃうの?S5のショウはずっと濃いグレーのパーカー姿だし、もうちょっとお洒落させてあげてください。
そして大型銃を手に取って暗殺を阻止するのはリースにやってほしかったなー!今エピは全体的にショウのリードで話が進んだので。リース無双大爆発な回が1度は見たい。これでもかというくらい彼の過去のスキルと経験がフルスロットルで誰も近寄れないくらいの凄まじいやつ。でもそれもう310でやってたか。
そしてそして、ローガン・ピアーズ再登場!ぜんっぜん変わってないですねこの人。214の時は最後はリースにとっても懐いてて、でもちゃっかりGPS仕込んだ腕時計を贈ってました。相変わらず食えない表情と態度ですが、その飄々とした顔とは裏腹に熱い面を見ました。そして彼が組んで一緒に番号に対処しているのは、なんと103に登場したジョーイ・ダーバン!これ本当にびっくりしました!!つい最近シーズン1見てたから覚えてたけど、そうでなかったら彼のこと多分思い出せなかったよ…。しかしリース君、久しぶりにジョーイに会ったのに、今忙しいんだってつれない返事でちょっとジョーイかわいそう。
そしてファスコの危機にはハーパーが駆けつけました。S4の彼女をどうにも好きになれなかったけれど、このくらいの活躍だったらまぁいい。
ピアースの立ち上げた新規事業。それはマシンから番号を受け取って人助けをすること。今回ピアーズはライリー刑事の番号が出て、ライリー=リースと知ったから彼を追ってワシントンD.C.に来たんですね。リースがいるパーティ会場にタイミングよく現れたり、爆破事故が起こったあと意味深な顔をして会場から立ち去ったりと、今までリースとフィンチがやってきたことをピアースがしていて、彼のこれらの行動は今までの対象者から見たフィンチとリースの行動の再現でもある。ピアースが不審人物に描かれたことは、かつての対象者達が感じたリース&フィンチへの印象と同じであることを、リースの視点から見せてくれたのです。
同時に人助けをしてきたリースの立場が変わってきてる描写でもありました。リースとは別の、リースと同じことをする他の存在が出てきたし、ショウのサポート的な立場でもあった今回。リースの身辺はだんだんと勇退の準備ができているように思えるんだよね…。
"A concerned third party."…憂慮する第三者。シリーズ通しておなじみのこの台詞をフィンチ(101)、リース(101、301、304)、ファスコ(403)の他にもピアースが言うとは。他にも言った人いたかな?
なぜピアーズがマシンの出す番号を受け取ることができたの?あーそうか、マシンが彼を資産として認定したから番号を届けたのか!ピアースはS2Ep14のラストでマシンが監視対象にしてたし、ハーパーはS4で既に資産と認定してたもんなぁ。なるほどこう持ってきたか。そして「終わりなき戦いだ」と言ってジョーイ、ハーパーと共に去っていったピアース。この先もフィンチとリースの運命に関係なく番号は出続けるような台詞でした。
これちょっとびっくりだけど「終わりなき戦い」っていう言葉、今までも出てきたっけ?というのは今BSフジで放映のPOI S2のオープニングの日本独自の吹替によるリース(滝さん)のナレーションの最後が「フィンチと俺の終わりなき戦いが続く」って言ってるんですよね。これ偶然なのだろうか。それとも過去に吹替で言ってたのだろうか。



次の番号が出た、と言って、ピアーズ、ジョーイ、ハーパーの3人がリースとファスコの元から立ち去っていき、残されたふたりのシルエットが夕日に映えたエンディングでした。これって始めはネイサン、次にフィンチとデリンジャー、そしてフィンチとリースのたったふたりでやってきたことを引き継ぐ人間が出てきたということですよね。なんかすごいじんわり来て泣けてきました。もうフィンチとリースは孤独じゃないって思ったし、これで安心して引退できるね!とも考えたね、うん。あとは番号から離れて隠居生活に入ってもいいし、それぞれ別の道を歩みはじめる可能性も出てきたよね。
S4でホワイトハウスが出てきてたのもあって、いずれ国のトップである大統領の番号が上がるだろうしワシントンD.C.が出てくるだろうなとは思っていたのですが、大統領の番号は最後の大物って感じでシーズンの最後に出てくるのかな、と思っていたのでここに持ってきたのかー、と。あと青枠ってどういう意味だっけ?
ブレインのフィンチがいないので、残された3人でどうにかして奮闘する姿が見られました。やっぱりフィンチがいないとなぁ…とても寂しかった。その不在を補うかのようなピアース、ジョーイ、ハーパーの登場でした。
そしてピアースが渡したのは監視カメラがとらえたテキサス州にいるフィンチの写真。大統領の命を救ったんだぜ、ちょっとは祝おう、というファスコに対して、フィンチの行方を追うことの方が大事なリース君。S5のリースはブレないね。しかしすでにこの物語においてフィンチとリースの関係はもう以前とは大きく変わってきてるのも確か。今のリースはファスコや次世代のピアース達がいてフィンチもいる、という世界で生きてる。かたやフィンチは死なせたくないという理由で仲間を遠ざけひとりになりフィンチ自身はどんどん死に近づいている。まるで物語のいちばん最初の地点に戻るかのように。違うのは、死ぬのはリースと共にではなくひとりだとフィンチは考えていること。

そのフィンチは盗難車を運転して目的の空軍基地へ。その道中、ずっとルートの声で語り掛けてくるマシンと対話。
しかしちょっとルートというかマシンはしゃべりすぎかな、と。死んでなお存在感があるルート…。フィンチは静の人間だしエマさんは誰かと対話しなくても、それこそ台詞などなくても演技が映えるんだけどなー。
「私はまだ裁きを受けていない」「痛みと共に生きてきた。痛みによって世界とつながっている」「善い行いだけをしてきたが 結果は芳しくなかった」
フィンチが言う、これから受けなければいけない裁きとは。手術を受ければ取り除くことができる痛みをなぜそのままにしておくのか。もはやキレイごとは言ってられない状況=自分に課したルールを破る時がきたのは事実だし、「別の戦略を取るべき時だ」と。
マシンは他にも多くの救える命があったのに、フィンチが足かせをはめたせいでそれらを見ていることしかできなかったと言うけれど。でもそのことについてマシンがフィンチを責めるのを見るのはちょっと辛い。だってその時点ではフィンチはそれがいちばんベストだと思って選択したことだし今更過去は変えられないじゃん…。
前エピでマシンは死んだルートの声を選びましたが、この声は固定じゃなくて、マシンが誰の声も好きに選べることが今回分かりました。そして私は最悪だけどもしかしたらじゅうぶんあり得るだろうとてもとても嫌な想像をしてしまって。それは最終話でリースが死んでマシンが彼の声を選ぶこと。そしてラストはあの聞きなれた台詞、
"You there, Finch?"
"Always, Mr. Reese."
で締められたらだったらどうしよう、とか、人助けを引き継いだ人たちに対してマシンがリースの声で電話越しに
"Can you here me?"
って尋ねてきたら…!ぎゃーーーーーー!!そう考え出したら止まらなくて。それだけは!それだけはなしでお願いします!!もしリースが死んだらどんな死に方であろうと辛いけど、だけどそんなラストはあまりに苦しすぎる。でもこのドラマは容赦なく視聴者を叩き落してくるし、ラスト1分とか30秒でものすごい大どんでん返しをやってくれるから…最後まで気が抜けません。あぁああああ…。

今回も全編、特にラストシーンのリースはS1の頃のような研ぎ澄まされた美しさと鋭さでした。ちょっと痩せたかな?これももうまもなく見納めかと思うと、最後の輝きかと思うと…!色んな意味で泣きそうなラストでした。

残りあと2話です。