パーソン・オブ・インタレスト S3Ep11の笛

S4以降のネタバレあり。

S3Ep11。1979年、ティーンエイジャーのハロルドがなぜ公衆電話の受話器を上げて笛を吹くと無料でパリに電話がかけられるのかがどうしても分からなかったのですが。
たまたま検索してて見つけたこちらの記事に答えを見つけました。

連載:ハッカーの系譜①スティーブ・ウォズニアック (1/6) 世界で最も愛されるハッカー

ちょっと長いですが、これ、ものすごく面白い記事でして、その中に
キャプテン・クランチというシリアル食品のおまけについている笛を少し改造するだけで2600Hzの音が出せることを発見した。
という一文があって。

キャプテン・クランチ(CAP'N CRUNCH)のおまけの笛とは
capn_crunch_whistler.jpg

S3Ep11でハロルドがポケットから出した笛


笛が同一のものかどうかは分かりませんが、この記事によって笛を鳴らして公衆電話から無料で世界中どこにでも電話を掛けられる仕掛けが分かりました。とってもすっきりした。

Person of Interest - Finch phone phreaking scene


しかしながらもうひとつ気になったことがあって。記事中の
大学生になったジョイバブルは、すぐにホイッスラーと呼ばれるようになる
という一文。……ちょっと待って。ホイッスラーは英語で"whistler"。



S4でのフィンチの仮の身分である准教授の名前はハロルド・ウィスラー=Harold Whistler。つまりその偽名は若い時にハロルドがしでかしたことが由来ではないかと。わたしはてっきりカナダにある地名のウィスラーと同じだなー、くらいにしか考えてなかった。
マシンはセンスある名付けするねと思いつつも、仮の身分とはいえ過去の出来事を暴いちゃう名字でいいのかなっていう心配もなきにしもあらず。だってハロルドが当時やってたことはまごうことなき犯罪ですからね。むむむ。


ほんっと細かいところまでネタがたくさん仕込んであるドラマです。まだまだ重箱の隅つつきの度合いが足りない。


POI S3 Ep20~23

この4話についてはどうこねくり回しても楽しい内容にはならないので……ほんと自分の覚書って感じの感想なだけです。Ep22と23についてざっと箇条書きしてその後Ep20からの感想を。

Ep22
夜のNY全体が停電になるのはすごく面白い展開だし、これどうやって撮影したんだろう?もちろん本当に電源を落としたわけではないからまぁCGかな。そしてなぜリースは都合よく懐中電灯を持ってるの?
久しぶりに登場のハーシュ!そしてEp22、23のハーシュは今までとは別人かってくらいかっこいいのですが!コントロール達がヴィジランスに拉致られたあとのホテルに助けにやって来た時点で間に合ってなくてすでにアウトかとは思いますが(笑)、ルートから「マシンがハーシュがフィンチの居場所を知ってると言っている」と聞かされたリースとショウは彼と組むことに。その時の3人のくだりがすごい好きなやり取りでして。リースはハーシュを刺したことはあるけど殺してはないぞって言うし、ショウはあんたに薬を盛ったけど心臓は止めてない。でもあんたは私を殺そうとしてた。だから信用できないと言い、それを聞いたハーシュは話の本題がずれてるぞって指摘するこの一連の会話が妙にユーモラスで面白くて笑えて
でもリースのほうから、フィンチとコントロールの救出に手を貸すから協力しようって言いだして、それを聞いたショウが「は!?」みたいな顔でリースを見るのも好きだし、リースは先に銃を下ろすんだけど、ショウとハーシュはお互い絶対に譲りません!て銃を構えたままな態度も好きだし、そしてここでショウはハーシュを初めてファーストネームで呼ぶんですよ、「ジョージ」って。これめちゃくちゃ好きなんだよね!なんやかんや言ってハーシュとショウの関係って切っても切れない腐れ縁のようなものかな、と。だから続くEp23でのハーシュとショウの師弟関係が良い意味でぐっと距離がつまるのもとてもいいし、こういうのならずっと見たかったなって。ハーシュがショウのために自転車奪ってあげるのもお茶目でした
証言台に引きずり出されてマシンの開発経緯を喋らされているフィンチをモニタ越しに見たリースの”Oh, no, Finch..."の台詞と言い方に私は一発で死にました。リースの無自覚ぶりが本当にもう……

Ep23
ギャリソン議員はヴィジランスの公開裁判にかけられたメンバーのひとりでした。やっと思い出しました。確かに重要なキャラだったね
ヴィジランスが行っている裁判の場所を探すためにハーシュとリースが一緒に行動するんだけど、このふたり、即席で組んだ割には息ぴったりで、役者の背丈や体格もお互い似てるのもあって戦闘シーンがすごくマッチしてるんだよねー。「次に会った時は殺すからな」「大歓迎だ。やってみろ」なやり取りも最高にいいし、爆弾をリースより先に見つけたハーシュが「俺の勝ちだな」って言うあたり、あぁそうか、このふたりは生き方や考え方がなんとなく似てるんだなとも思った。リースとハーシュが組んで色々するのをもっと見たかった
このふたりが侵入したのは元郵便局の建物。このドラマってどうしてこう雰囲気のある画面映えする場所をロケ地に選ぶのがうまいんだろう。廃図書館のようにここも館内がすごくシックな造りですごく画になるんだよね~(ただしS1Ep01以外の廃図書館はセットです)。そして意外にもこういった場所がフィットするのはフィンチ役エマソンよりはリース役カヴィーゼルなんだよなぁ……まぁ服装とか髪型とかいろいろ変えればまた違ってくるかとは思いますが、リースというキャラクターがアナログでクラシックな生き方をしてる人物だし、カヴィーゼル自身が昔の俳優さんみたいな古典的な雰囲気があるんだよね。今どきとか最先端とは逆の魅力を持つ人なのでこの人モノクロ映画に出たら絶対似合うと思うし、だからかEp21の橋のシーンも構図が素晴らしいだけでなく一枚の絵画のような崇高さが漂っている。このドラマの最大の功績ってジム・カヴィーゼルという俳優をジョン・リース役にあてたことで彼の人生における史上最高の渋さと美しさをこれでもかってくらい最大限に引き出して、それを永遠に画面の中に閉じ込めたことではないかと
グリアを救うためにデシマの手先もやって来て銃撃戦になりますが、ランバートいるねランバート!久しぶり。演じるジュリアン・オヴェンデンは実は歌がめっちゃ上手くてアルバムまで出しているのを知ったのはわりと最近のことです
グリア、ピーター・コリアーとヴィジランスのくだりは……正直どうでもいいかな……という感じ……政府がサマリタンを選択&起動させるためにグリアが創り上げたものだったことが最後に分かるんだけど、つまりグリアはサマリタンはマシンに勝てない存在だからこういう手に出たわけで。グリア自身も「マシンは優秀すぎた」と言ってるし。最初っからグリアは自分がものにしたサマリタンがオープンシステムにも関わらずマシンに勝てないって分かってたからこそあの手この手でフィンチ達をどうこうしようとしてたわけで、それが延々S5まで続くのは正直回りくどいし結局何をしたかったのかが未だにはっきりしないしこのドラマの持ち味のスピーディな流れに乗っかってないように思えて。グリア自身もやたら話が長いしいつもたとえが大げさで、聞いてるこっちは途中でもういいよ、要点を!早く!言ってください!!ってなる。年寄りは話が長い
そして結局は最初から最後までグリアの手のひらの上でいいように踊らされてたピーター・コリアーってほんと何だったんだろうね、とも。視聴者が6000万人だと豪語するウェブ中継の公開裁判も実はたった数人しか見てなかったっていうしりすぼみ感がもう……ほんとに……


さて、マコート議員の話から始まるEp20~は本当に、本当に見るのが辛い。最初こそ、近づく手段がないからと勝手に議員を狙撃してちゃっかりシークレット・サービスとして派遣されるよう強引にことを持ってくるというめちゃくちゃな、しかしとてもリースらしいやり方な上、マコート議員からお尻をバンと叩かれてびくぅ!てなるリースとか、秘書とお楽しみの議員の元に間違えて駆け付けちゃうとか、フィンチの好きなオペラを「猫の悲鳴」と揶揄した上に「今度は俺がニーベルンゲンの指環を歌ってやるよ」などとのたまうリース(でもリースの歌声ってどんなか聞いてみたい)とか、しかもこの回のマフラーとコート姿のリースがめちゃくちゃかっこいいせいでそのギャップがよけいに可笑しくて仕方ないのですが(そして気温が低いせいか外のシーンでは耳が真っ赤)、マコート議員が議会で国民を監視するシステムを採用することに反対してるかと思いきや、実はすでにグリアに買収されてて他の議員を説得して賛成多数の法案成立に持っていかせようと計画している人物だったことが分かり。
フィンチはなんとしてもそれを阻止するため、最後は彼に買収まで持ち掛けるのですが、マコート議員は身辺が非常にクリアな政治家かつ今まで反目する相手とも話し合いで納得いく結果をもたらしてきたという自身の交渉力に自負がある人物なので、金なんかでは動かないのです。そんなマコート議員がなぜ狙われるのか。法案を成立させないよう彼を狙う者がいる。それは実はフィンチたちのことだった。自分たちが、しかも対象者を「殺す」という理由で上がった番号。この事実に気が付いたリース、フィンチ、ショウは愕然となりながらも、マシンは目的のために人を殺すという選択肢を提示することはありえるのか?というリースの質問に、ないとは言い切れない、とフィンチ自身もきっぱりとした態度を取れないんですね。それでもフィンチは、
この仕事を始めてから物事は変わり、我々も変わった。それでもこれだけは変わらない。我々がするのは人を助けること。だけどもし我々が今いるのが、マシンが人を殺せと命じる場所なら、私はそこには行けない。立ち去らないと
と。この、"that's a place I can't go."が私は猛烈にぐっさりと来たし、肝心かなめのフィンチが降りちゃいかんでしょう、とちょっと納得いかなかったのですが。
フィンチは降りると言い、ショウはマシンに従うと言い、リースはフィンチに従うと言った。リースは、マコート議員を殺すのは必要悪、一人を犠牲にして大勢を救うんだ。そのためには議員を殺す必要があると言うけれど、だけどフィンチはマコート議員を殺さないでほしいと懇願する。リース自身は議員を殺すべきだと思っている、でもフィンチはそれを望まない。だから殺しはしなかったけれど、リースの中で葛藤は間違いなくあったと思うのです。それが、マコート議員の前に歩み出たリースの皮手袋をした左手に握られたサイレンサー付きの銃。リースはその銃のグリップを一度だけ力をこめてぐっと握り直すその姿が、彼の心境をこれ以上ないほどものすごく見事に映し出していたと思う。そこへ重ねられるdaughterの"Medicine"。この歌詞もまた、シーンに合わせるかのように号泣もので。だってさ、

Pick it up, pick it all up.
And start again.
You've got a second chance,
you could go home.
Escape it all.
It’s just irrelevant.
 
って。歌詞の内容はもちろん、"a second chance"や"irrelevant"って単語、もうPOIにぴったりすぎじゃん……泣けてくる。

続くEp21ではグレースの身に危機が迫り、フィンチを捕らえるために誘拐されたことで、フィンチは「彼女の身に何かあったら全員殺せ」と言うのですが。今まではもちろん前エピでもたとえ自分たちの命が危機にさらされるほどの脅威が迫るとしても対象者を殺す選択肢は絶対にしてこなかったフィンチがそれを言うなんて、しかもEp20の「私は降りる」と発言が矛盾してるのが私はいまだにどうしても納得いかなくて。それほどまでにフィンチのグレースに対する想いは大きいんだよ、というのを表現したくてこの発言になったのはよく分かる。でも。でもでも。やっぱり私はどうしてもどうしても、納得がいかないのです……。
そしてEp20、21でフィンチはいざというときはグレースを最優先にすることが分かったけれど、まぁそれは当然かとは思う。だって愛するグレースは今もちゃんと生きているから。でもさ、最優先にしただけでなく、マシンについてのすべてを自ら投げたことで、リースとショウは切り捨てられた、見捨てられたように思えてそのことが私は何より辛かった。マコート議員がいたワシントンD.C.から必死に"ホーム"であるNYに戻ってきた3人。先を行くリースとショウがふと振り返ると、後ろをついてきたはずのフィンチがいない。それを知った時のリースの表情が見せた、ほんの一瞬の戸惑いと動揺。それはまるで迷子の子供のようでもあり、彼の心境はいかばかりかと思う。すごくすごく、悲しかったと思うのです。
フィンチがリースを雇って始めた人助け。そこからフィンチが先に降りてしまったら、リースは放り出されたも同然だと思う。もし本当にフィンチがいなくなってもリースとショウで人助けという仕事はそれなりに続けていけるとは思う。でもそうではない。だってリースが人助けをするのは番号が上がった対象者のためだけでなく、フィンチのためでもあるのだから。
そしてこのシーンで、今まで何も言葉を交わさなくともぴったりの呼吸でしてきたフィンチとリースの人助けはここで終焉を迎えていたんだなとも思いました。だからS4以降は人助けはサブ扱いになるのも当然かと。
フィンチが姿を消したことで主を失った廃図書館。同じことは前にも一度あって、S1ラストでフィンチがルートに浚われた時と同じ。誰もいない廃図書館にひとりで戻ってきたリースは、信じられないといった様子でフィンチがいつも座っている椅子にそっと手を触れたけれど、でもその時のリースには力強さがあった。何がなんでもフィンチを取り戻すという強い意志。そういうリースは本当に強くたくましく、美しくさえあった。でも今回はその時とは全然違うのです。フィンチが言ったように、状況は最初の頃とは大きく変わってしまった。
廃図書館にはリースもずっといたけれど、でもやっぱりこの場所の主はフィンチ。そしてフィンチが属すのは廃図書館という"場所"だけど、リースが属すのはフィンチという"人間"。もしフィンチを失ったらリースはその先生きていけないんじゃないかと思うくらいでそれはそれでちょっと怖いなとも。リースもフィンチももちろん自立したいい大人だし、決してお互い依存しているわけじゃないんだけれど、リースの存在意義がたったひとりの人間っていうのはよくよく考えるとものすごく危うくて怖くて。
フィンチはグレースを大切にするあまり、リースを見放し、リースがどう思ったかはともかく、リースを傷つけたように思えたのが私は赦せなかったのかもしれない。カーターの死後の展開の時はリースがああなってもしょうがないよね、と思うのに、フィンチがマシンから降りる展開は赦せないと思う自分はつくづくリース寄りの見方してるなと実感。フィンチその人ではなくリースと一緒にいるフィンチ、という位置付けが私は好きなんですよね……。
そして人質になったグレースと交換という形でグリアの手に落ちたフィンチ。S1ラストだったらリースは何が何でもそれを食い止めようとしただろうけれど、今回は止めることができない。なぜならリースはかつてカーターを喪った時に、フィンチを糾弾してもう一緒に仕事はできないとフィンチの元を去ったことがあるから。だからフィンチがリースと同じように目の前から去ろうという時に、フィンチの腕を掴み引き戻し、行くなという権利はもうリースにはないのです。だから、もう一度よく考えよう、まだ手はあるはず、今よりもっと悪い時もあったと言うリースに、今がいちばん悪い時だと告げるフィンチ。それを聞いて、
"Keep yourself alive, Harold. I'll be coming for you."
「生きていてくれ、ハロルド。必ずあんたを取り戻すから」
と。静寂の中、橋の向こうへと一歩を踏み出すフィンチ。目隠しをされたまま橋のこちら側へふらふらと歩き始めるグレース。どんどん遠ざかるフィンチの背中をただ見つめるリース。彼らはその時どんな気持ちでいたのかと思うと、もう泣けて泣けて仕方なくて。亡くなった恋人を一心に想い続けるグレース。生きていて手を伸ばしさえすればグレースに触れられる距離にいるのにそれができないフィンチ。引き戻したいけれどフィンチがそれを望まないならただ手を離すしかないリース。息が詰まるほどに凝縮された三者の思いがあの橋のシーンで見事に描かれて、ここはもう号泣に次ぐ号泣でした。
リースの"I'll be coming for you."は……ジェシカに言えなかった"Wait for me."の変形バージョンかなぁとも考えるけど、今回もまたどう考えても絶望的な状況でしかないわけで。大切な人をいつも救えそうで救えないリースって本当に不憫でしかない……。



グレースをイタリアに送り出すリースが彼女からハロルドを知っているのかと尋ねられて「これだけは確かだ。君は彼を愛し、彼も君を愛していた」って答えるのだけど、フィンチの幸せだけを願って自分の幸せなんか1mmたりとも考えないリースの台詞もとても辛い。この世でたったひとりの大切な人が想う相手ならその人の幸せも願っちゃうリースがまた……。
そしてさらに追い打ちをかけるかのように、あの廃図書館は突然に失われ、そこから追われるように立ち去ったフィンチとリースはそれぞれ別々の方向へと逃げるシーズンフィナーレでした。別れる時に、一度だけ振り返って相手を見るのがもうめちゃくちゃ切なくて、いったこのドラマはどこまでこっちの胸を抉れば気が済むのだろう。
フィンチとリース、彼らが帰る場所はあの廃図書館であり、そこしかなかった。ファスコが「家(home)っていうのは友達がいて仕事がある場所」と言った通り、彼らにとってあの場所はまさしく"home"だった。だけどそこを失くしたら、帰る場所はもうないのです。
あの場所でふたりは守られていた。誰にも知られることなく傷ついた心と体を休ませることができた、まさしくセイフハウスであり、セイフヘイヴンでもあったわけで。同時にあの場所では本編でちらりとほのめかされたように、番号が出ない時は、読書をしたり銃の手入れをしたりベアーと遊んだりと、彼らふたりのさらされることのなかったプライベートにも似た姿が見ることもできた、そんな愛着がある場所が突然土足で踏み込まれ、常に彼らとともにあった、このドラマのもうひとりの主役と言っても過言ではない、あのガラスボードが倒され割られるのをただただ見届けるだけしかできないなんて、あまりにも辛すぎる光景でした。
私が過去、ラストがあまりに悲しすぎて涙も出なかった作品は「ダンサー・イン・ザ・ダーク」と「ミリオンダラー・ベイビー」なのですが、S3Ep23は間違いなくそのリストに仲間入りです。だからシーズン最終話を見た日はあまりにもショックでその夜はなかなか寝付けなかったし、続けてすぐにS4を見る気にはどうしてもなれなかった。そのくらいS3の終盤は悲しく心苦しく、辛い展開でした。だからS3最終話のルートのモノローグで「パンドラの箱の最後に残ったのは『希望』」とあったように、S4ではたとえ話のメインが人工知能であっても未来のある明るく心強い展開であってほしいと期待していたのかなぁとも思いました。


これにてS3のレビューはおしまい。先の展開が分かっているから安心して見られる、という意味では1度目よりも楽しい視聴でしたが、正直、このシーズンを見返すことはもうないかなぁ……。実はゴールデンウィークにAmazonのFire TV Stickというお品を手に入れ、アマプラで配信されている作品を今よりさらに気軽にTVで見られるようになったことでますますPOIの視聴が楽しいってのもありますが、S1のまだレビューしてないエピを見たらこのドラマを記事に書くことはもうないかなとも思うし、うーん、どうだろう。まだまだしつこく重箱の隅をつつきたい気分でもあるし、1回しか見ていないS5をもう一度見たいってのもある。こうやって悩んでる時がいちばん楽しいんですよね。でもやっぱり何度見ても楽しいのはS1とS2なのは間違いないですね。


ここから下は短いですがS5ネタバレありの感想を少し。

Ep21でグリアのじーちゃんからハロルド・マーティンは偽物だよっていう「真実」を聞かされてもなおグレースは、ひと目見た時から彼を信じると決めたって涙ながらに断言していたけれど。でも最終話でグレースの元へ行ったフィンチはおそらく彼女に真実をすべて話しただろうと思うの。再会した時の悲しそうな顔がなによりそれを雄弁に語っているかと。
あそこまでグレースが「ハロルド・マーティン」について疑いなく信じていたことは全部嘘だと本人から聞かされたら、彼女はどう思うのだろう?決して「嘘をついていた=裏切っていた」にはならないかもしれないけれど、S5ラスト後の世界においてフィンチはグレースと一緒に暮らしてめでたしめでたし、で終わるとはとても思えないのはこれが理由のひとつかなぁと、今回S3を見直して改めて思いました。
それほどまでにS5Ep13の、グレースを前にしたフィンチのあの表情は重く悲しくやりきれなさに包まれていて、彼のその表情の意味やその後のフィンチのことを色々と考えずにいられないと思わせる顔でした。

POI S3 Ep14、15、17~19

Ep14
これはね、ほんとにね、しょっぱなからどうしてくれようなエピでしたね。フィンチと、リースが、ふたりで、おめかしして、夜に、相合傘で、デート!!(最後のは違う)


死んだ。


ちょっともうこれ以上は感想書けません。うん。
でもさー!ショウのセリフがまったく違う意味になってて、そうじゃない。そうじゃないの!そうじゃなーい!!と大声で言いたい。字幕も吹替も
「せっかくときめいてくれてるとこ悪いんだけど、そろそろ出かけないと遅れる」
って言っててこれじゃ白のドレスで現れたショウにフィンチとリースのふたりが驚いて見とれている、な訳になっちゃってるけど原語は全然違っててそれどころか
"Hate to interrupt this mildly erotic moment, gents, but the invitation advises us not to be late."
「ほんのりエロい雰囲気のところ邪魔して悪いんだけど、招待状には遅刻厳禁ってあるわ」
ですから!ほんとに!!もう!!!なのに当の本人たちはそう言われて「……?」ていう顔。この無自覚っていうのが最高に死ぬ。私の語彙力も死にました
さらに美術館の入口で受付の女性から「彼、ゴージャスね」って言われたフィンチの得意そうな顔!でも実は私はここまででれっとしてるフィンチは好きじゃないの。リースに対してはいつもツンツンでちょっと冷たく突き放す感じであってほしいのよね
メトロポリタン美術館でのセレモニーという設定ですが、エントランスの階段を上がるシーンは違う場所で撮ってます
冒頭でリースの銃火器類は全部ショウに処分されてしまったシーン。「俺の……(いつもの引き出しを開けて中が空になっているのを見て)ここにあった武器は?」なリースには爆笑だし、あ、そういやこのエピ内でリースが銃を撃つシーンってあった?まぁリースが武器無しで現場に出ることは絶対ないだろうけど
このエピは初めて使う3Dプリンタにわくわくのフィンチ、伊達メガネと付け髭がすげぇ似合わないリースという笑いどころもありますが(でも盗む本が保管されてるビルに侵入した時のクルーネックの黒シャツ姿はすごい好き)、しかしそれ以外は内容がいまいちでして。そもそもオリンピックの体操の銀メダリストが犯罪者という時点ですぐ身元が割れてバレバレじゃんっていう。物的証拠がないだけで逮捕を免れてるだけだよね?しかも今回はなんで都合よく盗みたい品物がある部屋の天井におあつらえ向きの棒が渡してあるの!そしてかなりの数の罪状があるリンをずっと追って来た刑事があんなに簡単に彼女の身柄を自由にしちゃっていいの!?もーほんとこのエピは隙だらけで突っ込みどころ満載でワケわからないです
そのリンの後を付けたリースがベアーと一緒に歩くシーンが冬の枯れ葉舞う住宅地にマッチしすぎてめちゃくちゃ美しい。ハイブランドの男性用コートの宣伝か何かに使えそうなくらい絵になるね
娘が人質になっているからとはいえ、対象者に協力してフィンチたちが盗みをはたらくという例外中の例外、かなり異色の回でもありました
最後は全員セーフハウスに集まり、暖炉の火がともる前でグラスにウィスキーを注ぎ、亡くなったカーターに静かに杯を捧げるというしんみりしたラストでしたが、ファスコの「俺たちいいチームじゃないか。また何か盗もう。金塊はどうだ?じゃあ王冠なら?」の言葉が皆を和ませてくれました

Propellerheads --- Take California


Ep15
シモンズを逮捕したことで八分署内でのファスコの株は急上昇
今回は珍しくフィンチが現場に出て対象者を追います。911コールセンターに配属の新人さんってことで、胸に「訓練中」と書かれたグレーのシャツを着用。でもただの「ハロルド」で名字は出てこなかったんだよねー。どの鳥の偽名を使ったのかしら
フィンチが対象者サンドラに言う
"I understand you won't give up on Aaron. I won't give up on you."
がすごく好きで!君がアーロンを諦めないように、私も君のことは絶対にあきらめないっていうフィンチ。こういうのとてもとてもよい
アーロン少年を助けに来たリースとショウ。ショウはここで、もうチームから死人は出さない。チャールズ・ブロンソン気取りはやめてってリースに言うんだけど。ショウみたいな若い女性がチャールズ・ブロンソンを知ってるのも驚きだったし(アメリカでは誰もが知ってる国民的ヒーローみたいな存在なんだろうか)、ショウから見るとリースの行動は自己犠牲なんだなぁ、と。そもそも一匹狼のリースがチームで動くのって合わないと私はずーっと思ってるので、爆弾の解除でもなんでも彼の好きにさせてあげればええやん、て思うんだ。行動を制限されるとリースは俺の魅力もいつもの無双も発揮できないよぅ
そしてこの場所の壁や天井が真っ白なせいでリースがすごく美しく見えるのですが……欲目かな?
最初から最後まで声だけで指示を出してきた男の正体は結局最後まで分からず、しかもフィンチの携帯に直接コンタクトを取ってきて、次が楽しみだと言い残した相手。いったいどんな人物だったのでしょう?としれっと書いておきますね

続くEp16はすでに二度レビュー済みです


Ep17
エピのタイトルが"/"(Root path)であることからも、ルートがメインのストーリー。対象者サイラス・ウェルズの過去にルートが関わっていたということで、前とは違ってきている彼女の変化が描かれた話かなぁ
入室するにはサイラスの網膜スキャンが必要な部屋にあるチップを奪うのが今回のグリアの目的。そしてグリアはまんまとチップを入手して立ち去るのですが。サマリタン関連の行動は今のところみんなグリアの思い通りになってて、フィンチたちはどうにかしてひとつでも止められなかったのかな、と思う。リースはルートのことは無視して対象者に絞って行動するべきだったよな、とも。マシン側の人数が増えたことでかえって行動がまとまってないというか、的が絞り切れてないというか。残念
今回の対象者は非常に興味深くて。親友を殺されて金儲けに興味をなくし、全財産を寄付して自分が経営してた会社のビルの清掃員として働いているという人物。フィンチも以前は金儲けに費やしていたけれどマシンを開発して親友を亡くしているので似ているとは思います
サイラスは長い時間をかけて、こうなったのは世の中の物事はあらかじめそう起きるようになっているから、という解釈に行きついてどうにか自分を納得させている。そうでも思わないととても正気を保っていられないんだと思う
サイラスのこの描写を見て、私はフィンチはマシンの開発とネイサンの死についてはどう解釈しているのだろうか、というのが気になった。後悔とか罪悪感とか贖罪とかいろいろあるだろうし実際そういう面は断片的に描かれてきたけれど、ネイサンのことだけでなく、ドラマ全般を通して私はもっとフィンチの心情を知りたかったな
最後にフィンチはルートに歩み寄ろうとするのですが、ルートはその申し出を受けずに旅立ってしまったのでフィンチの好意がないがしろにされてしまって悲しかった。なんでー!って。今までルートの考えや行動を否定して認めようとしなかったフィンチがここで初めて歩み寄ったのってすごくない?マシンに対する考えは絶対に曲げないけどルートへのほんの少しの好意的な姿勢を初めて見せたわけで。それがいいか悪いかは私には分かんないけど。ここがフィンチとルートの関係が変わった瞬間でもあったかなぁ。同時にマシン側はさらにルート主導で話が進んでいくことになります

Ep18
これもショウがほんのり主役の話。ファスコとショウが組むといつもちょっぴりユーモラス
フィンチの偽名、キングフィッシャー(kingfisher)はカワセミ
窓から飛び降りたリースにファスコの「保険入ってるかな」の台詞と、それを聞いたショウが「……」て顔してファスコを見るシーンが笑えます
そしてこの回ではリース君久しぶりのコスプレ!ひゃっほーい。消防士は男の子の夢、ってファスコがウキウキしてるのもあって、あんまり緊張感のないお茶目なシーンな上、ナイフを構えてやる気満々の敵の膝を一発撃ちぬいてさっさとコトを済ませたリースがとってもインディ・ジョーンズでした
ルートはマシンを「解放」したい、グリアはサマリタンを「管理」したい
パスポートを持っているけど国外に出たことはないファスコ。オープニングでショウにさんざん「もっと外の世界を見たら?」といじられてたけれど、ラストでファスコは今日がイランの旧正月だと伝えて両親がイラン出身のショウにシャンパンを奢る。そして「NYのいいところは海外に行かなくても色んな文化の人に出会えることだ」と言うファスコ。誰もが気軽に、もしくはしょっちゅう海外に行ける人生を送れるわけではないし、ファスコだって例外ではない。それを知りながらNYに根を下ろし、地に足のついた人生を送っている庶民のファスコ。彼の人生はごくごく普通だけれど、S5ラストまで見て振り返るとそんな平凡な人生の彼がたまらなく好きで、同時に安心もします


Ep19
対象者マシュー・リード役のネスター・カーボネルは「LOST」でリチャード・アルパート役だった人ですね!タイムリーすぎて笑っちゃいました。ソーヤーから「アイライン」ってあだ名をつけられてた人(笑)。でも天然アイラインならリース君も負けてはいないと思うの
冒頭で一人目の対象者を守れなくて戻ってきた廃図書館で少し離れたところから"Sorry, Finch..."の忠犬っぷりなリースがほんとうにもうすごく好きだ
今回出てくるギャリソン議員は意外にも最終話までちょくちょく登場なので実はけっこう重要な人物。まったく気にせずスルーしてましたが、彼の動向にも注意を払ってみておいた方がいいなぁと思う次第。でもなぜ彼がコントロールにごちゃごちゃいちゃもんつけてきて結果コントロールがピーター・コリアーの資料を破棄し、ノーザンライツをシャットダウンするよう命じることになったのか?政府が国民を監視していることをコリアーが公にしたから、で合ってる?
終盤、化学室で撃ち合いになってショウが室内にあるもので即席で爆発物を作って投げつけてリースが「化学は苦手なんだ」って言うけれど、いやいや特殊部隊(グリーンベレー)出身でそれはありえないでしょ。今回はリース&ショウ、フィンチ&ファスコのペアで行動だから別々だったし、もっとリースをフィンチのそばで活躍させてくれーって思います
ワシントンD.C.へ向かう長距離ドライブのお供にファスコはAC/DC(ヘヴィメタル)とディクシー・チックス(カントリー)のCDを持ってきて「どっちがいい?」とフィンチに尋ねてきて、それを見たフィンチがげんなりした顔をするのだけれど。じゃあフィンチはどういう音楽が好みなのか?という謎は続くEp20でちゃんと明かされました。こういう流れは、視聴者の些細な疑問を救いあげてくれて好きだ。S1、2はそのあたりがていねいに作ってあったと思うし、S3以降は大味になったなぁとも


レビューはいったんここで切ります。この後のEp20~シーズンフィナーレは本当に辛い展開なのですが……でももう一度見ておかないと気が済まないので。
ドラマの視聴なんて言い方は悪いけれどしょせん娯楽(エンターテイメント)なのに、なんで私はわざわざ辛い思いをしてこんな決死の思いで見てるんでしょうね?もっと明るい内容のものを気軽に楽し~く見ればいいのにーってたまに思うけどでもS3は今このタイミングで見ておかないと時期を逃しちゃうという気がして。それ以上にこのドラマは真剣に向き合いたくなる魅力に溢れてると思ってます。



POI S3 Ep11、12

Ep11 Lethe

Ep11~12は、ハロルドが人工知能を開発しようと思ったきっかけ、サマリタンの誕生と起動に至る経緯、リースの家出が同時進行で描かれます
私未だに分かってないんですけど、なぜルートはマシンと交信できるの?S2Ep22で受話器を取って管理者になれたのは分かるけど、あれは24時間限定じゃなかったの?そしてその後もマシンからのメッセージを受け取れるなら、なぜ同じく管理者になったリースには何も伝えてこないの?
対象者のアーサー・クレイプールはネイサン・イングラム、ハロルドとMITで同期だった
「サマリタン」の名が初めて出てくる回
アーサーの妻だと名乗った女性、コントロールですが、この人以前ちらっと出てきたことあったよね?だから彼女を見ても、あ、この人ニセものやん、ってすぐ分かったのですが
アーサーとフィンチが一緒にMITの歌を歌うのを聴いたショウは「リースは聞けなくて残念ね」と言うのですが、実はもうリースは過去にフィンチが歌うのを聞いたことがあったりして、と想像してみるのも面白い(フィンチが歌うのはS5Ep07にもつながりますね)
私がサマリタンパートで最初に気に入らなかったのは、MITの親友というたった3人の内輪の中から世界を大きく揺るがすことになるマシンとサマリタンという人工知能がふたつも生まれているということなんですよ。いくらなんでもちょっと身内すぎて世界が狭すぎることないですか?
9.11の後、政府が開発を進めていた監視システムの開発は全て打ち切られ、サマリタンの開発が止められたのは2005年2月25日。これはネイサンとフィンチがマシンを1ドルで売却した日。政府はマシンを選択したので他のシステムは不要となった
フィンチの元を去りコロラド州に来たリース。コロラドは軍人だった父親が所属していた基地がある場所だから。フィンチに頼まれてリースを連れ戻しに来たファスコ。ずっと前から断酒しているファスコは、バーという酒を提供する店にいるのに、バーボン・ソーダ、バーボン抜きで、とオーダーしている
リースはお酒すごく強そうだよね~
ファスコの断酒は2年前。本当は秘密にしておきたかったけれど、リースがファスコに初めて会った時に酒を断つことを決めたとファスコ自身がリースに語った
今までのリースとファスコの立場が完全に逆転している回。それはやっぱり前エピで、カーターの遺志を汚すことなくシモンズを逮捕したファスコと、彼女の願いを聞き入れずに引き金を引いたリースの違いからきているのは間違いないと思うのです
リースに向かって外に出ろ、と言った後、出入り口から続く階段を、なんとファスコがリースの背中を蹴り飛ばして落としてるんですよ!これすごいよね、ほんと。ファスコは今までとはもう全く違う、善の側に立つ人間になったんだなと改めて感じました。ガチで勝負したらリースが勝つに決まってるだろうに、それでもファスコはいい加減目を覚ませといわんばかりに何度でもリースに挑んで
しかし雨の中大の男ふたりが殴り合いで最後は駆け付けた警官に逮捕されるって、私はどうしてもこの一連のシーンは笑ってしまう……


とんでもなく足が長いカヴィーゼル

フラッシュバック
1969年、1971年 子供時代のハロルド
「どれも大事な部品だからなくすなよ」「中を開けてほしくないなら、もっとうまく作らなきゃ」はマシンの基本の考えともいえる。あーそうか、だからフィンチは頑なにマシンにバックドアを作ろうというネイサンの提案を拒んだのか!
このころから既に物忘れが多くなっている父親
ハロルドが初めて作った記憶装置。それは認知症を患った父親のためだった。マシンの原型は、誰かのためになるもの、助けるためのもの。その姿勢は子供の時にもう確立されていたのですね
「覚えて考える装置(マシン)を造ればいい」という息子に、「壊れたものがすべて直せるわけではない」と答える父親。これも色んな意味を示唆しているよね
1979年 青年時代のハロルド
父親の認知症がかなり進み、寒い冬の夜を徘徊していた父親を保護した警官から「施設に入れることも考えた方がいい」と助言される

Ep12 Aletheia
一瞬とはいえなぜハーシュが黄枠なのか?
金庫でサマリタンのバックアップHDを壊せば問題はすべて解決すると考えたフィンチとアーサー。こんなに頭のいいふたりなのに、そして今までずっと何事にも用心深く慎重にやってきたフィンチが他の危険性を考慮することはなかったのか。実は金庫内に一緒にとじこめられた職員の女性がグリアの手下でHDを偽物とすり替えていたというオチもなんだかなー。サマリタンのパートになると途端にマシン側が後手後手になってしまうのはなぜなんだ
前エピのラストで逮捕されて、留置所にふたり仲良く入れられたリースとファスコ。ファスコの「家(home)」の定義は"友達がいて仕事があるところ"。そこへ帰ろうとリースに言うのですが。仕事=人助けだろ、と言うファスコに、あれは人助けじゃない、運命の先送りだ、と切り捨てるリース。救ってもいつかは死ぬ。今日が明日に延びただけ。Ep11~のリースはどこまでも後ろ向き
フィンチ達のピンチに駆け付けた(コロラドからよく間に合ったな)リースに、"Mr. Reese, I am inordinately happy to see you!" って、本当に嬉しそうに声を震わせてまでの歓迎だったのに、リースが戻ってきたのはフィンチにお別れを言うため。マシンの基準が信用できない、と言うリースに何も言い返せない、引き留めることもできないフィンチ
これはね~、ほんと、どちらが悪いわけでもないし、どちらかというと今までちょっとリースは調子に乗りすぎてたよね、という感もある。リースが変われたのは間違いなくフィンチのおかげなんだけど、仕事は番号をはじき出すマシンから提供されているからね。その辺はリースも分かってはいるけれど、でもマシンは形を伴わず会話もできないから、当然目の前にいてマシンを造った張本人のフィンチに矛先は向くわけで。マシンはこれ以上信用できません、人助けはもうやめます!と言わずにはいられないだろうね
フィンチはフィンチでカーターが亡くなっているからリースの心情を思うと責められても当然と思っちゃってるので強く出られないし。リースの言葉は自分を責めているとフィンチは思っているだろうしね。どうにもこうにも肝心な時にすれ違ってしまって、見てる分にはそれがまた歯がゆくていいのですが……

フラッシュバック
母親はいなくて、父と子のふたりだけの人生のハロルドもそうとうに孤独な少年~青年時代を送ってきてると思う
「友達のようなものだ。学習して、父さんを守ってくれる」……ハロルドは動機が父を助けるためなので、友好的な人工知能を造ろうとしている
少年時に作ったデバイスは「記憶する」ものだったが青年期ではもっと発展して、「(人を)見て、学んで、助ける」デバイスへと進化
1980年、ハロルドは自宅で使うPCに電力が必要なので(ってここ全然意味が分からないのですが)政府のArpanetをハッキング。これが原因で政府から追われることになる。逃げる前に施設にいる父親に会いに行くが、父親は息子の顔を見ても誰だか認識できない。ハロルドが窓の外を飛ぶ鳥を指さし、あれ(鳥の名前)は?と尋ねても答えられなかった
S1でリースに頼まれてファスコが調べた結果、フィンチのいちばん古い記録はMITに在籍していたハロルド・レン。多分大学入学と同時にその偽名を使い始めているので、前述の施設でハロルドが尋ねて父親が答えられなかった鳥の名は、レン(Wren=ミソサザイ)ではないだろうか

この2話で出てきたフラッシュバックからフィンチの過去を検証。1981年に大学対抗試合でいたずらを仕掛けた、というセリフがEp12であったので、その時だいたい20~22歳くらいとすると、1961年前後生まれになるんだよなー。でもこれだと下記で検証するリースとそう年齢が変わらなくなっちゃうしなぁ。フィンチとリースの年齢差が10歳未満ってちょっとありえないですよね?リースの仮定を動かすと今度はリースがぐっと若くなっちゃうし。まぁ制作側はそこまで細かく作り込んでないと思うので大真面目に考えているとどこかで無理が出てきちゃうのですが。フィンチは本編で年齢は明かされてないですが、S3の時点で54歳くらい?演じるエマさんの1954年生まれを基準にするともっと上の59歳になるし、そもそもエマさん自身が見た目年齢不詳だし、こればっかりは分かんないなー!
ついでに言うと、S1Ep11でフィンチはカーターに対して「泳げない自分を兄が水の中に突き落として必死に手足を動かしたら泳げるようになった」と言ってるんだけど、今回のフラッシュバック見るとハロルドに兄弟はいないようだし
ちなみにアーサーが言ってた大学対抗試合でしかけたいたずらというのはこちらかと

続いてリースの過去も検証しますが、ここから下はS5ネタバレあり。また、次エピソードのEp13はすでにこちらでレビュー済です。

S3Ep11で語られたリースの父親について。S5Ep02で名前が明かされたリースの父コナーですが、ベトナム戦争に4回出征して無事戻って来るも、2か月後に働いていた精錬所("refinery"って言ってるのでおそらく精錬所かと。後述の火事の事故にも合致するし)の事故で亡くなった、と言っている。その父親が亡くなった時リースは何歳くらいだったのでしょうか?バーに貼ってある父親の写真はわりと若く見えるし、でもS5Ep13に出てきた父親の葬儀の時のリースは多分9~11歳くらい?ベトナム戦争が終わったのは1975年。4度も出征しているから戦争終結ぎりぎりまで戦地にいたと仮定して、帰還後の事故であっけなく亡くなったと言っているので、逆算するとリースは1966~68年あたりの生まれじゃないかと。そうすると演じるカヴィーゼルの1968年生まれにもだいたい合うのでおかしくはないかな。フィンチと同じく本編でリースの年齢は明らかにされてないけど
S5Ep13では、リースの父親は火事で4人を助けて死んでいったと語られてるので、S3Ep11の"事故"とはその火事のことを指しているんですよね?S5Ep13は辛くて見返せないので記憶が曖昧ですが
さらにS5Ep03ではカーラはリースの母親を"Adoptive mother"と言っているので、リース自身は養子なのではないかと私は推測してて。おそらく孤児院かどこかで育ってコナーとマーガレットの元に引き取られたけれど、S5Ep02でオープンシステムになったマシンが出してきた情報では、前述の父親だけでなく母、姉(か妹)のソフィーは既に死亡とあったので、リースはつい最近とかではなくかなり前に唯一の身寄りをすべて亡くしてひとりぼっちだったかと。少なくともCIAにスカウトされた時点でもう家族は誰もいないはず
なので、リースにとってコロラドのバーや父親が所属していた基地とその周辺は、家族の思い出がある数少ない場所かなと思います


POI S3 Ep10

Devil's Share

2回目のレビューですが以下、考察を延々と書き連ねているだけです。
まずこのエピソードのタイトル、"Devil's Share"が何を指し示しているかを定義しないといけないと思うのですが、未だに自信をもってその意味はこうだ、と言えなくて。わたしはあたまがとてもわるい……。
悪魔の取り分。それは復讐が目的で奪った命を悪魔に渡すことで、それと引き換えに罪人となること、かなぁ。"share"は「分け前」とも訳せるので、人を殺して悪魔と罪を分け合う、つまりもう善人には戻れないという意味にもとれる。そういう意味だと前提して書きます。
そしてすでに過去、いったん悪魔の取り分を手にしたことのある人間が再び同じ状況になった時、人はどうなるのか。
以下リース、フィンチ、ファスコの考察。

リースはかつてCIAに所属して命令に従い人を殺す仕事をしていた人物であり、なおかつ元恋人のジェシカにDVをふるっていたピーター・アーントを殺した(と私は考えてます。その理由はS4Ep17で書いてます)、つまり復讐のために殺人を犯している。過去すでに悪魔の取り分に手を伸ばし、実際それを手にしている人間。
でもフィンチと出会って以降、生きる目的を見つけいい人間になろう、もう一度生き直そうとしている最中だったリース。だからS1Ep04でアンドリュー・ベントンを殺さなかったと私は思ってますが。
でも今回はクインを殺すというはっきりとした強い意志で引き金をひいた。なぜならカーターを殺されたから。リースはジェシカを失った時と同じ状態に戻ってしまった。今まで多くの人の命を救ってきたのに、あっけないほど簡単に自分が殺す側に戻れてしまうのがジョン・リース。
フラッシュバックでは、リースは面接官から「情に厚すぎる」と言われていて、しかし指令に従いその面接官を撃ち殺しただけじゃなく、情け容赦なく相手を殺すことができるのを証明した。S1からのリースが情に厚い面を見せていたのなら、このエピは目的のためなら手段は一切選ばない彼の非情な面が描かれたエピソードだとも思う。
結局、リースの人生は変わらないし変われない(変われないことが悪いという意味ではないです)。この時点ですでにリースは普通の人生など送れないことが、S4でカウンセラーを出さなくても確定している。だからよけいに彼女の登場は蛇足に思えて仕方ない。


フィンチがカウンセラーに語った、「ある計画を考えています」。これ、私は初見では、マシンから出る番号を元に人助けをしていたネイサンの遺志を継ぐことだと思ってたんですが、S4Ep15でアリシア・コーウィン爆殺の計画を立てたことを指しているんですね。ネイサンはフェリー爆破事故で亡くなっているから報復で爆弾を自作までして同じ方法で彼女を殺そうとさえしていた。だからフィンチも過去に悪魔の取り分に手を伸ばしているのですが、すんでのところで思いとどまった。
ではフィンチは最初から一度も誰かを殺していないのかと問われたら、実際はそうだけれど、かつてフィンチはオープンシステムの状態で学び続け成長するマシンに対して、人の命に優劣をつけることはしてはならないと教えていたにもかかわらず、マシンが有用/無用に分けた命を、有用は救わないといけないけれど無用の人々までは助けられない、でもそれは大義のためだから仕方がない、と高慢な態度で切り捨てていたので間接的に殺していたも同然という過去がある。だからフィンチもまた、悪魔の取り分を無意識とはいえ手にしていて、ネイサン(とグレース)を失うという、どれだけ金を積んでも戻っては来ない人の命という途方もない大きな代償を支払っている。
フィンチはフラッシュバックでカウンセラーに「罪悪感は本当に消えますか?起きた出来事が実際に自分のせいだとしても」と尋ねているけれど、どれだけたくさんの命を救ったとしても自分の罪が消え去ることは決してないことをすでに知っているので、その先の人生に希望やそれに似たものを見出すことをしようとはしないけれど、リースは人助けをしながらもう一度生き直すチャンスを得られたのと同時に、もしかしたら自分にも再び幸せになれる人生があるかもしれないというほんの少しの希望を見出してしまった。そういう人生が得られるという錯覚を抱いたけれど、でもそれはつかの間の夢だった。
リースはカーターの死で再び人生に絶望したし、ジェシカを失った時とはまた違う意味で自分の生に執着がなくなってしまったかと。諦観しているというか、死に物狂いで必死に生きようとあがいたり生にしがみつく人間ではなくなってしまったし、自分が大切にしようとする人は少なくていい、もしかしたら誰もいなくていいくらいの気持ち。だってまたその人を失うかもしれないから。それはもうリースにとっては恐怖以外何物でもないわけで。だから彼をこの世に思いとどまらせている、たった一本のいつ切れてもおかしくない細い細い糸は、カーターを喪ったことで自分の使命と悟った人助けという行為と、その目的を達成するために必要であり自分を雇ったハロルド・フィンチの存在だけではないかと。なのでしつこいようだけど私は何度でも、リースが生きる理由の中に英雄願望や自殺願望は入ってはいないよと言いたい。


ファスコもかつては新人の警察官を殺して出所してきたジュールズという男を射殺したことがあり、その時のファスコは明確な殺意を持ってジュールズを撃っている。ジュールズは報いを受けて当然とファスコは自分の行為を正当化しており、カウンセラーに対しても、撃ってすっきりした、夜もよく眠れてるよ、と言っている。
しかしカーターが殺されてリースと同じ思いに駆られたけれど、ファスコはジュールズの時とは違い法に則り正当な方法でシモンズを逮捕してファスコなりの復讐を遂げた。シモンズを殺そうとしたリースとは真逆。なぜならカーターが自分を生まれ変わらせてくれたから。クズだった自分をカーターは信じてくれた。シモンズを殺してもそれはカーターが望むことではないとファスコは誰に言われるでもなく自分でちゃんと理解していた。だからシモンズに手錠をかけて八分署に現れた時のファスコの表情は今まで見たことない、本当に男らしく堂々として素晴らしいものであり、これは非常に心を打たれました。
ファスコがカーターの望みを理解していた一方でフィンチも同じように「君がクインを殺せばそれを無駄にすることになる。カーターはそれを望んでない」と言ったけれど、リースの返事は「なぜもっと早くに(クインを)殺しておかなかったんだろう」。そして「我々は人を助けてる。が助けてる」とリースがクインを撃たないよう必死の思いで訴えたにも関わらず、「全員じゃあない」と言い、君を助けたいというフィンチのオファーに対してきっぱり"No."と答えてるんですよ……。涙を一筋流すリースは、心の中で本当は自分だってそんな生き方はしたくないと必死に抗っているのかもしれない。でも誰の言葉も聞き入れることもなく、フィンチの助けさえ振り払い、リースは愛するカーターの願いより自分の意志を押し通すことを選び、再び悪魔の取り分に自ら手を伸ばした。リース自身この時点でもう二度といい方向へとは変わらない人生と自分が最後に行きつく場所をすでに本能のレベルで分かりすぎるほど分かっていたと思うのです……。


このエピにおける"Devil's Share"。 相手を殺して復讐を遂げたらその人は救われるのか。大義名分を与えれば誰かを殺すのを正当化できるのか。でも、どんな理由であっても人を殺していい理由など決してないのを私たちは知っている。そうしたいのを思いとどまってこそ、イライアスの言う「文明化された人間」でいられる最もたる理由。そしてイライアスは自身のことを、カーターのために手を汚してシモンズを殺す権利がある「下等な人間」だと定義している。だからシモンズを殺すのは、リースでもファスコでもなくイライアス。そうシモンズに話した後にカーテンから現れたのはイライアスの右腕スカーフェイス。彼がシモンズを絞殺するのを無言のまま冷酷な目で見つめるイライアス。シモンズが逮捕されておしまいではない、最後まで強烈な話でした。


このエピソードは主要キャラクターが大きな転換を迎えたとてもとても重要な話だと思う。時期としても、全5シーズン中シーズン3エピソード10というちょうど真ん中あたりに来てタイミングとしても絶妙。同時にこのドラマはここでピークを迎えちゃったかなぁ。実際このエピでルートの口から「もっと大きな脅威が迫っている」というセリフがあって、今までとは違う展開になることがもう示されているし。初回からずっと続いてきた様々な流れがここでほぼ終結したのもあるかな。
そして「パーソン・オブ・インタレスト」全103話の中でもおそらく五本の指に入る名エピソードでしょう。実際はとても五本になんて絞れないのですが、それくらい素晴らしいエピソードでした。
前回の感想にも書いたけれど、このエピの話のレベルはすさまじく高く、完璧と評してもおかしくないくらいの内容で、私自身ドラマというたった43分の枠でここまでできるのかと驚愕のあまり言葉を失ったエピソードでした。時間が経った今だからこそ冷静に見られてこんだけくどくどと多分誰も読んでない長くてしつこい考察をしているだけ(笑)で、初見時はただただ圧倒、圧巻の話でした。ドラマに対する見方を大きく変えてくれたPOIには感謝してもしきれません。

近いうちにエピソードランキングもあれこれしたいですね。