パーソン・オブ・インタレスト S1Ep01の初稿

以前こちらでチラッと書いた、POI S1Ep01の(おそらく)初稿をプリントアウトしてじっくり読んでみました。

http://www.dailyscript.com/scripts/PERSONOFINTEREST-(PILOT)-JonathanNolan(02.04.11).pdf

これが思った以上にめちゃくちゃ面白くてですね、軽く興奮しております。せっかくなので忘備録を兼ねて記事立てします。ただし初稿に書かれたからと言ってそれがイコール公式設定だとは考えてはいません。あくまで「初稿ではこのように設定されてたんだね」という認識です。

・年齢
フィンチ 50代
ファスコ 40代
カーター 30代
ジェシカ 20代
ピーター・アーント 40代
アントン 21歳
リース 38歳

リースが38歳という設定にぶっ飛んだけど、当初はフィンチよりもっと年下で若くて向こう見ずで一度は死のうとしてたけど、フィンチにもらった仕事に対しては死を恐れない無鉄砲さ(夜の車道の真ん中に歩み出てグレネードランチャーを撃つなんて、最もたるシーンかと)を持つキャラクターとして書かれていたのかな、と。そうするとオーディションも最初は若手の俳優を中心に面接していたかもしれないし、ジョシュ・ホロウェイにオファーがあったらしいという話も頷ける。

本編には出てこなかったけれど初稿にはあったエピソードを以下ざっと箇条書きで。
・リースはブルックリン・ブリッジの橋桁に登りそこからイーストリバーに飛び降り自殺をしようとしたが、突然上がった7月4日の独立記念日を祝う花火を見て思いとどまった。初稿では1話目は夏のお話でした
・酔っているのに酒瓶を片手に橋桁の上をバランスよく歩くリース(=運動神経のよさが描写されている)
・対象者の名前、ダイアン・ハンセンは初稿ではダイアン・ブレイ(Diane Bray)
・リースはファラフェルを食べながら裁判所のロビーでダイアンを見張る
・フィンチからのリクルートを断ったあとリースが泊まったのはJFK空港近くの安モーテル。チェックインの際、フランクリンという偽名を使っている
・リースがダイアンの自宅の引き出しから出して勝手に食べたタブレットは制酸薬。前述のファラフェルといい、初稿ではリースがなにかを口にするシーンが2回も出てくるけど本編では彼が食べるシーンは徹底的に排除されていたのはちょっと偏執的というか、なにか特別な理由があったのかどうかは詳しく知りたいところ
・ピーター・アーントは6フィート5インチ(約198cm)、250ポンド(約113kg)の大男で元軍人
・ジェシカは医師(本編では看護士)
・保釈後に車に乗せられたリースがフィンチと初めて会った場所は夜、どこかの駐車場の最上階。ラストでフィンチとリースがもう一度会う場所はリースが飛び降り自殺をしようとしたブルックリン・ブリッジのたもと。この時も夜。

書かれたけれどカットして他の回に振られたエピソード
・市内でフィンチのあとをつけるも角を曲がったところで撒かれるリース→S1Ep02
・顔にあざがあるミセス・コバックに、暴力をふるう夫とは早く別れるよう助言するカーター→S1Ep09

そしてリースとジェシカのエピソードはメキシコでの休暇のシーン以外はごっそりカットされ、Ep03、20、21にそれぞれ振られてました。さらに初稿ではピーター・アーントはリースに殺されたとはっきり明記されています。本編ではぼかされていたのでこれはけっこうな驚きでした。私はピーターは殺されたと考えているのである意味正解をもらったというか。あくまで初稿の中での設定、ですが。

そしてS1Ep03の、空港でリースとジェシカが偶然再会したシーンも初稿にあり、場所はシカゴのオヘア空港でした(本編ではラガーディア空港らしい)。この空港でのジェシカとリースの会話、読むとこれまたびっくりな内容で。
ジェシカは母親から軍人のピーター・アーントを紹介されていたけれど、彼より先に同じく軍人のリースと付き合うようになった。リースもそのことを知っていて、メキシコでの休暇中、ジェシカに「ピートはいい奴だ」と言ってるんですね~。もしかしたら同僚とか顔見知り、もしくは友人の間柄だったのかも。で、ジェシカと別れて数年後、空港で再会したふたりの会話は本編よりもっと辛らつというか、ジェシカはリースの弱い部分をずばり指摘していて。
「待っていたのに」
「頼んでない」
「違う。あなたのほうから去ったのよ。私にはピーターがいるから大丈夫だって。もし自分が死んだら私が傷つくからって思ってる。ずいぶんご立派だわ。自己犠牲よね。ごまかさないでよ。本当のことが知りたい? あなたは臆病なの。私のことを心配するよりも、ひとりでいたほうが気楽なんでしょ」
「戦場で知ったんだ、ひとは結局ひとりだと。誰も助けには来ない」
「そんなの信じないで。勇気を出して。リスクを取ってよ。ピーターと別れてって言えばいい。待っててくれと言うなら私はずっと待ってる」

と、あまり上手じゃない意訳ですいませんな感じですがこんな会話をしてます。一部分はEp03にちゃんと出てきますね。しかも婚約者のピーターはジェシカと付き合う、または結婚するために軍を辞めて一般の職に就いたということになっていて、リースが9.11を機にまた軍に戻ったのとは対照的。誰よりも普通の人生に憧れていたリースだけど、従軍して戦争や紛争の地に身を置くのがいちばんしっくりくる人間だったのかもしれないですね……。「殺すのは好きじゃない、だけど得意なんだ」という台詞にも通じるし。
また空港での再会時、携帯番号を教えて欲しいとジェシカに頼まれたリースが番号を紙に書き留めた後、「数週間おきにボイスメールを確認している」と伝えるのはS1Ep20の冒頭に繋がるかと。初稿では任務でカラチのホテルの部屋にいるリースが携帯の留守電をチェックしてジェシカから助けを求めるメッセージを聞いたことになってました。


そして本編の冒頭の台詞("When you find that one person who connects you to the world~")は初稿にはまだなかったし、ラストのあの台詞、
“Sooner or later, both of us will probably wind up dead. Actually dead, this time. “
は初稿では
“Sooner or later both of us will probably be killed.”
でした。
「殺される」という直接的な言い方ではなく「死で終わる」という表現のほうが確かにフィンチらしくてとてもよいですね。そして、身分はすでに死んでいるふたりに「今度こそ本当の死だ」と肉体的な死が訪れることを付け足すのも。ここは書き替えてくれて本当に嬉しい。ノーランに感謝だ。


ということで、本編には採用されなかった細かなネタがたくさん詰め込まれていた初稿でした。読んでてとても楽しかった!


POI S1 Ep01 エクステンデッドエディション & S1 Ep21

今回はS1のDVDに収められている101のロングバージョン&S1Ep21をさらっと。なぜなら今日は5月1日なので。
S1のDVDには101のカット前の55分あるロングバージョンが収録されていて、さらに通常版101だけでなくロングバージョンにもジョナサン・ノーランとグレッグ・プレイグマンのオーディオコメンタリが入ってます。わざわざロングバージョンとTV放映版の両方に別々のコメンタリを入れるくらいなので、彼らにとって1話目はとても思い入れが深いものなのかな、と思いました。
彼らが語る制作者のジレンマ。どのシーンも削り難い。これがあれば登場人物について詳しく説明できるけど、でもスピードも命。泣く泣く削ったシーンもあれば、これは絶対に残したいという強いこだわりがあるシーンもあると話していて、とても興味深く見ました。以下ざっと感想を。

TVドラマは1話が43分42秒と決まっているのを知らなかったノーランは最初に71分で撮ってしまい、死に物狂いでカットして時間内に収めたとのこと。ファンとしてはその71分バージョンもぜひ見てみたかった
コメンタリでも指摘されてましたが、ダイアン・ハンセンのあとをつけるフィンチとリースは彼女のすぐ真後ろといってもおかしくない位置を歩いていて、いくらなんでもちょっと距離が近すぎますね……(苦笑)
個人的にロングバージョンで大好きなシーン3つ
・リースがハンセンの自宅でPCからデータを抜き取るあいだ、机の引き出しに入っていたタブレットを勝手に食べる
・リースが上着のポケットから出した小さなメモ帳に、good w/computer と筆記体で書く (字が繊細ですごく綺麗)
・リースが紙コップのコーヒーを持ちながら空いたほうの手でフィンチのお腹にポンと触れる
カーターが所属する署も外観内観とも1話目だけ違う
「リースの行動(真夜中に車道の真ん中に立ってグレネードランチャーをぶっ放すシーン)はつねに誰よりも一歩前を歩いてほしいからスローでの撮影はしなかった。ポール・グリーングラスとマット・デイモンのボーンシリーズもスローと逆で速いスピードで撮影している」「つねに一歩先をいくリースを、ボーンシリーズのボーンのようにしたかった。アクションシーンの撮影の仕方やカット割りも影響を受けた」って言ってて、あーそれだよ、まさしくそれです!!ってなった。そうか、ボーンとリースが似てるのって撮影方法も同じだからか~ってものすごく納得で、思わずにんまりしてしまいました
そしてエクステンデッドVer.でのリースはフィンチから住まいまで提供されているのですが。なんだろう、フィンチって困っている人に対してやたらとなにかを与えたがり屋さんなのだろうか……最初から度が過ぎた親切心なんだろうかとも思ったけれど、改めて見ると、どうせ必要なら最初から全部渡しておけばいいだろう的な金持ちのどんぶり勘定みたいな発想なのかしら……? フィンチの心理や行動って時おり過剰に逸脱していて、でも本人はそう思ってない、もしくは気づいていないところがまた面白い

ちなみに通常バージョンのコメンタリで一番好きなのは
僕とグレッグは編集室で何百時間もジム(・カヴィーゼル)のことを見てきた。彼はどんな状況でも嫌味なくらいハンサムだ
です。200%同意しかない。

さて私がノーラン&プレイグマンのコメンタリで一番好きなのは、フィンチとリースを“The odd couple”と何度も呼んでいること。POIの主人公であるふたりの魅力はまさしくこの言葉に集約されていると思う。それぞれ単体で見ると全然違うタイプでまったくの正反対、どうやってもそりが合うようには見えないのに、そのふたりが一緒になると不思議な魅力が生みだされるという。
たぶん、フィンチ役とリース役ってM・エマソンとJ・カヴィーゼルに決まるまでにも、いろんな俳優にオファーが出されたはずだし(実際、「LOST」のソーヤー役ジョシュ・ホロウェイにはリース役のオファーがあったとのこと)、他の俳優に決まっていたらそれはそれでまた違う魅力が生まれたとは思います。
これは私の勝手な想像だけれど、ノーランとプレイグマンが描き上げたハロルド・フィンチとジョン・リースというキャラクターをM・エマソンとJ・カヴィーゼルがパイロットで演じた結果、いちばん強い印象となったのがこの"The odd couple"だったんじゃないかなぁ。だからそれ以降ふたりのキャラクターはその路線で行くのを決めたんじゃないかなー、などと思ってます。思いっきり私の勝手な推測ですが。でもいいね、フィンチとリースが"The odd couple"っていうの、ほんとその通りだと思う。最後まで謎で不思議でおかしなふたり。とても良い。

あーあとこれは告白というか懺悔というか……さんざん入れこんで延々レビューを書きまくってるこのドラマだけど、実は私は101を見た限りではフィンチとリースの容姿に心惹かれるものがほとんどなかったのです。今見るとフィンチ役のエマさんはかなり青白い顔で心配になるくらいだし、なによりリースの髪が少し長め、しかもオールバックってのがちょっとかっこつけすぎに思えてどうにも受け付けられなくて。キャメル色の革ジャンはお世辞にも似合ってるとは言えないし、あまり魅力的な人物に見えなかったんだよね……。
だから2話目で髪型や服装ががらりと変わって1話目とまったく違う雰囲気になったのにはびっくりで、なんかこの人ずいぶんさっぱりしたな!?って思ったし、それがとても好印象かつ自分の好みに合ってた。もしリースが1話目と同じビジュアルだったら、私はここまでこのドラマを好きになっていなかった。ほんっと2話目からジョン・リースに黒いスーツを着せてくれて、これは誰に感謝したらいいの? 衣装デザイナーさん? もしそうならありがとう衣装デザイナーさん(と、遠い日本から感謝の念を送ってみる)


続いてS1Ep21ですが、このエピはS1Ep01のあとに続けて見るとつながりがよく分かっておすすめ。Ep01のオープニングで出てきたシーンがこのエピでもう一度繰り返され、台詞(孤独から救ってくれた人に出会えたら人は変われる。だがその人を突然奪われたらどうなる?)も同じ。さらにこの台詞はリースがピーター・アーントの家に勝手にあがりこみ、帰宅した現れたピーターに対して言った言葉であることも分かる。

警察はあてにならない、なすべきことをするとカーターに言ったリースの顔には内にあるすさまじい怒りが現れ出ておそろしく冷ややかなのに、悲しいほど美しい
121-Reese.jpg

カーターがフィンチに言った「あなたたちは間に合わなかったのね」という言葉もとても重く感じました。カーターの言う「間に合わなかった」とフィンチ、リースにとっての「間に合わなかった」は意味が違っていて、おそらくカーターはジェシカが亡くなった時すでにフィンチとリースは今のように一緒に人助けをしていたと思っているのだろうけれど実際はそうではなくて、それどころかふたり別々のところで違うことをしていて出会ってもいないのにどちらも同じ人物(=ジェシカ)を救うのが「間に合わなかった」って、ものすごく業が深く感じられて。とても泣けてくる。
そしてこのエピの最後はクイーンズボロ・ブリッジのたもとのベンチが出てきて、これも見事にEp01と呼応していて見事としか言いようのない作画。とても悲しいエピソードではあるけれど、だからこそ贈られた部屋の窓から下を見て、友人のハン老人を見つけたリースが窓ごしにさす日差しの中で穏やかな笑みを浮かべるラストは救いのある終わり方でした。


いくつか小ネタ
・確かグランドフィナーレ放映後だったかな……ちょっと記憶が定かでないですが、ネットに上がった101の初稿
http://www.dailyscript.com/scripts/PERSONOFINTEREST-(PILOT)-JonathanNolan(02.04.11).pdf

・リースが贈られたフラットとして使われた部屋の見取り図
https://www.homestudiosinc.com/studio1/studio1floorplan.pdf

廃図書館の見取り図(=セット)とは違い、現実に存在する部屋の間取りですが。でも気持ちの上では盛り上がりますよね……?
キッチンがふたつもあるので料理教室に使えそうだなって思ったら、ソースは失念しましたがこのスタジオ、パーティや撮影だけでなく、ほんとに料理教室にも使われてもいるらしい。


以下、最終話(S5Ep13)のネタバレありの感想をちょこっと。

Ep21でピーターにあんた誰だと訊かれたリースは「自分が誰なのか、長いこと探していた」。この台詞は114や210でも別の言葉で言いかえられてはいますが繰り返し何度も出てくることから、リースは自分が何者か分からず、ずっと探して続けていたことが分かる。そっか、このドラマは103話かけてリース君の自分探しを描いていたんだね~、なんて軽~く考えたけど、その答えがS5Ep13なのかと思うと……! 最終話は第1話目から描かれてきた、リース自身が長いあいだ見つけられなかったものをあの屋上での台詞にすべて集約して見事に回収して終わったんだな、と改めて思う次第。だからリースが最後ああなったことも私は納得かつ満足できたのかな、と思いました。

POI S1 Ep04

Cura Te Ipsum

新約聖書の言葉、"Medice, cura te ipsum."(医者よ、汝自身を治せ)から来ている題名は、対象者が医者であることに掛けてある
しかしたった43分の中に、対象者を助けるだけでなく、前エピの続きでカーターがスーツの男とバーデットを調査、ファスコが麻薬カルテルと揉める、リースがそのカルテルの件を解決、そしてファスコの上司を脅して八分署に異動させる、と複数の話が同時進行していくその情報の多さといくつもの話が複雑に編まれた縄のように絡み合う面白さは本当に脚本の妙としか言いようがない。S1、2の素晴らしさってまさしくこういう部分ですよね。そのうえキャラクターが全員魅力的ときたら、もう夢中になる以外ないだろうって思う
まだ4話目なせいか、フィンチはヘッドセットつけてるし時々敬称なしの「リース」って呼び捨て(!)してるし、リースはリースで最初と終盤は白いシャツに黒スーツだけど他は革(?)のジャケットにダークカラーのシャツだし、まだまだ細部の設定がしっかり固まっていないのも今見るととっても面白い。「初期はこんな格好してたんだ!」っていちいち驚いてしまうね
ティルマンはフィンチに「傷みを5段階で言うと?」って尋ねるのですが、これ私も入院中に薬剤師さんから同じこと聞かれました~。痛みの度合いを訊ねる時の決まった言い方なんだろうか
偶然を装って近づいたティルマンに対してリースは「(自分も)親しい人を亡くした」と話しますが、このエピの時点ではそれが誰の事かはまだはっきりと明かされていない
人体を薬剤で溶かして殺したり消したりするのは「ニキータ」や「ブレイキング・バッド」でも出てきたね
夜のダイナーでメーガンを説得して彼女がキーを渡したその手をいたわるように、慰めるように握るリース。素晴らしい
八分署で使用のPCはHP社製か~
メーガンとは別件で、スティルスがいなくなったことでメキシコのカルテル、トレロスから金返せと脅されているファスコ。リースからはアンドリュー・ベントンの抹消された記録をよこせと脅されているし、あちこちから板挟みのファスコがもうかわいそうでかわいそうで……(苦笑)。ちなみに外で呼び出されたファスコと話すリースの話し方や語尾の感じが若干「大脱出」の所長っぽくて好きです。髪型もかなり短いし、ダークカラーのスーツだし。カヴィーゼルはPOI 1話目を撮影→大脱出を撮影→POI 2話以降を撮影、の順かな……?
ファスコに調査書を持ってこさせた時のリースは"I spent a little time in Mexico."と言っているので(字幕では「メキシコには詳しいぞ」)、S1Ep21でメキシコの刑務所を使ったのも頷けます
さらにファスコはリースから「お前の変わりなんかいくらでもいるんだ」と言われる始末。おまけにトレロスに金を返すどころか彼らの所持してたコカインを持ち去ったことで怒りを買ったリースは拉致されちゃうんだけれど。まぁそんな状況でもリースが負けるわけもなく(ほんっと初期はリース無双炸裂ですなぁ)、あっという間に自分を囲んでた4人を床に沈めた上に、それを呆気にとられて見てたファスコによくも俺を売ったな、な目線が最高だし。
あ、リースがトレロスにスペイン語で脅しをかけるのが最高に最高でした。好きなんだよねー、母国語以外の他言語を話すときのイントネーションやわずかに残るなまりなんかが! あと顔の覆いを外されてほんのわずかにため息つくリースがめちゃくちゃ色っぽい(ヘッドホンで聴くとTVから出る音よりさらに小さな音までよく拾えるのです)。は~~セクシーの塊~~~美形の権化~~~~
そのうえものすごいまつ毛お化けでもある。どうしてこんなにきれいに上向きにカールしているの……



フィンチが「バーデット」名義で住んでいる家にカーターが事情聴取に訪れますが、この家は実はS1Ep08のアーニャのアパート、S1Ep17のペドロシアン夫妻のセイフハウスとしても使われています。そして初期のフィンチの偽名は鳥の名じゃないんですねー! この辺も面白い

このエピのいちばんの見どころはやはりラストシーン。



リースは同じように座り、同じように両手を机の上に出しているのだけれど、向かいに座る相手に語る言葉は正反対のもので。
メーガンには、
真実からは逃げられない
私はなにを得るの? 
人生をやり直せる 過去を葬り 人生を取り戻せ
じゃあ 姉はどうなるの 
君の一部として生きる

と、素晴らしいやり取り(特に最後の「君の一部として生きる」には非常に心を打たれました)ですが、アンドリュー・ベントンに対しては、
ひとつ訊きたい 人は変われると思うか?
変われるはず お前も俺も 
だが人の本質は変わらない
「良心」はずっと前に失くした もう残ってもいない でもこの場合はその方がいいだろう 俺が手を汚せは人々は救われる

Maybe it's better this way.
Maybe it's up to me to do what the good people can't.
Maybe there are no good people.
Maybe there are only good decisions.

"maybe"は確立が半々、50%の時に使う単語。だからリースは、どっちに転んでもいいよな? みたいな問いかけを続けざまにベントンにしているわけで。そして最後、アンドリューに向かって
"Help me make a good disicion."……教えてくれ 正しい判断か
この"good"の意味合いがひじょうに興味深い。「正しい(良い)」決断を下そうとするリース。でもその「正しい」は誰にとっての判断なのか。リースはアンドリューみたいな人間は世の中からいなくなったほうがいいと考えていて、自分が手を汚せばそれが「正しい」決断。だけど善悪の面からみたらリースがすることは殺人であり、「間違った(悪い)」判断。
ベントンにとってはリースが自分を殺さないことが「正しい」決断。だから頼むからどうか殺さないでくれって懇願するのですが。
ベントンの運命は曖昧でこのエピは終わりましたが、出方しだいで人を助ける守護天使にも、命を狩る悪魔にもなれるのがジョン・リースという人物であることが描かれました
フィンチとリースの前に番号が出てくる意味がなにがしかある丁寧な描写。そして初期のエピの中ではわたしはすごく印象に残ってけっこう好きな回です。というのは、最後ベントンは結局どうなったかはっきりは描かず、視聴者に判断を委ねる形で幕を閉じたのと、主人公は果たして目の前の男を殺したのか否か、過去3話を見る限り、リースという男はそのどちらにもとれる人物で、でもはっきりとは描かなかったことでかえってリースはめちゃくちゃ怖い人物だと思いました。その二点において普通のドラマとちょっと違って、すごく重いけどでも見応えあるなぁという印象が強かったです


ここから下はS3~S5ラストまで激しくネタバレありの短い考察

リースは対象者に向かって、復讐してもなにも意味はない、得られるものはなにもないからやめろ、と話すことが何度もあることから、その意味をだれよりもよく分かっている人物であり、ジェシカの夫、ピーター・アーントに手を下した(と私は思ってます)のを最後に生き直そうとしてきたのだけど。繰り返し諭すようにそう語ってきたはずのリースもまた、S3Ep10ではカーターのために復讐に走ったことから、リースの中でカーターの占める割合がどれほどのものだったかと、今までのリースとはまったく逆の負の面を描いたという意味でははやりS3Ep10は全話のなかでも非常に重要なエピソードではないかと思いました。

そして、リースがメーガンに「(お姉さんは)きみの一部となって生きる」と説いたその言葉もまたとても印象に残りましたが、それはこのエピの時点でリース自身の中で亡くなったジェシカがそういう存在になっているからかな、とも思ったし、つきつめると最終話での屋上のリースは、自分が命を終えてもフィンチの中で存在し続ける、生き続けることができる、フィンチもリースを大切に思うあまり金庫に閉じ込めたくらいだから、自分のことを忘れることなく想い続けてくれるって一点の疑いもなく信じているから、だからもうなんの憂いも迷いも心配もわだかまりもないあの笑顔なのかな、とも思いました。もしそうだとすると、あのシーンはより切ないね……。

6 years ago...

6年前の今日、2011年9月22日に「パーソン・オブ・インタレスト」の第1話がUSで放映されました。
放映当時にニューヨークのタイムズスクエアに掲げられたビルボード。

めっちゃくちゃかっこいい。





POI S1 Ep14

Wolf and Cab

冒頭が前エピの続きになってます。リースが暗闇の廃図書館内をくまなくチェックして異状ないことを確認できてからようやくフィンチがラジエータを作動させて館内の暖房を入れ、明かりを灯すのですが。あの、ちょっと待って? よくよく考えるとこの建物は回廊型になっているということはつまり入口にゲートを設けてそれに施錠することに意味はあるのかしら……? (廃図書館の見取り図についてはこちら) そういう部分はあまり冷静に考えないほうが夢があるかな……
"Only the paranoids survive."
リースってこのエピでカーターに"Miss me?"って言ってたんですね。さらにダレンから、警官じゃないならあんた誰なんだよって訊かれて「その答えは自分でも探してる」って答えてて、これ210でアニーに訊かれた時とまったく同じ答えでした。気が付かなかった! まだまだ取りこぼしてるネタがいっぱいあるなぁ
コミックブックショップの前で無料で配られたコミックの中身をパラ見した男の子が店長のウィルコックスに「これでヒーローなのか? マントも着てない」って文句を言うんだけど、ウィルコックスは「ヒーローに必要なのはマントじゃない 仲間を守り 弱い人を助ける心だ」……これはリースのことをも指している
しかしこの店長、アンドレ・ウィルコックスこそが今回の事件の黒幕なのであった。さらにウィルコックスのボスはリンチ警部なので、つまりHRとつながりがあるってことで合ってる?
S1Ep01で安ホテルに泊まったリースがお酒を飲みながらTVで見てた白黒映画は黒澤明の「七人の侍」だったし、このエピの対象者ダレンはコミックブックが好きで孫子の兵法に詳しく、部屋にもやっぱり「七人の侍」のポスターが貼ってあって(日本の侍映画は他にもいっぱいあるでしょうというツッコミは横に置いておいて)、武士道とかチャンバラ、サムライ映画のファンかと。そしてリースを「浪人」と呼び、ボスのいないサムライだ、と。本当は切腹して死なないといけないけれど、そうしない代わりに放浪しながら人助けをしてる、とダレン。それはあながち間違ってはいなくて、そもそもこのエピの原題"Wolf and Cub"は日本の漫画「子連れ狼」の英題"Lone Wolf and Cub"から来ています。一匹狼で生きているリースはまさにその「浪人」で、ダレンにとってはリースは前から理想と描くヒーローがそのまんま目の前に現れたようなもので
そんなリースに対して、ダレンは一緒に入ったダイナーで全財産を取り出してテーブルに置き、おじさんを雇いたいと懇願しますが。リースは金をしまえと言い、その中から25セント硬貨一枚だけを手に取って「これが俺の相場だ」と。もうね、これ最高ですよね。リースは通常の人よりとんでもなくずば抜けた能力の持ち主なのに、自身はその価値にまったく重きを置いていないっていう人物、めっちゃ好みなんですよ私。そしてリースは子どもにとても優しい。時にちょっと不足気味なほどに彼は語る言葉を多くは持たないけれど、弱い立場の人間にはどこまでも温かい視線を注ぐリースが本当に好きだ。まだローティーンの男の子と組んだリースが時々いたずらっ子のような目つきや得意そうな顔をするのも、こういう時しか見られなくてとても良いね



契約成立、おじさんの名前を教えてよと言われ、"Well...you can call me...'Reese'."と。101でも橋の下でフィンチがリースに"You can call me 'Finch'."と言ってたのでこれきっと「~と呼んでください」の定型文なんだろうけれど、日本語にはない言い回しだよなぁっていっつも思う
ダレンに向かって復讐にはきりがない、終わりがないことを説くリース。たとえ全世界を敵に回して復讐を遂げたとしても、その先に得るものは何もないんですよね。そのことをリースは誰よりもよく知っている
しかしフィンチはリースがダレンに協力していることを快く思っていない

リースには大型の銃火器が良く似合う



悪い笑み~




ラスト、体を張って尻を撃たれてもダレンを助けたファスコはかっこよかったね!ダレンにファスコを紹介した時のリースは「この人は……ええっと……俺の友人だ」って言い淀んでるし、ダレンからも「どう見たって汚職警官だろ」って笑われてたけれど汚名返上できたかな
そしてダレンはまだ描きかけだけど、と前置きしてリースにふたりを描いた画を渡します。未完成で渡したってことは、リースには二度と会えないってダレンは心のどこかで分かってたんだろうね
その絵を見てリースは「ありがとう。ずっと相棒が欲しかったんだ」と言いますが。この台詞、聞くたびにわたしはいつも絵本の「くまのコールテンくん」を思い出して。絵本の最後に出てくる「ぼく、ずっとともだちがほしいなあって おもってたんだ」っていう文章がなぜか毎回泣けて泣けて仕方ないのですが、それと同じものを感じます
ファスコが調べたフィンチの過去の記録。いちばん古いのは1976年MIT入学時から使っている名前、ハロルド・レン。それ以前は何も出てこなかった
フィンチについて疑いを持ったリースとファスコ。その瞬間、マシンの画面上の枠がリースは黄色から赤に、ファスコも白から赤に変わり、マシンから敵性ありとみなされる。で、この後に出たマシンの画面の文字なんだけど。

SYSTEM ADMINISTRATOR
SECURITY BREACHED

COURSE OF ACTION -

EVALUATING OPTIONS...

MITIGATE
SUBVERT
MONITOR

この一連の文章の意味が、調べてもさっぱり意味が分からない……誰か……助けて……

Ep12に続いてサイドストーリーはフィンチとウィルのお話
フィンチがCEOを務めるユニバーサル・ヘリテージ・インシュランスのオフィスが出てきたのはこのエピのみだったかと
フィンチは「ハロルド・レン」として保険会社に勤めてたのはいつ頃までだったんだろう。この仕事を辞めた描写や言動は本編で特に見なかったような。なんか知らんうちに仕事辞めてたんかなって感じ……
その保険会社、Universal Heritage Insurance はトップページだけですがフェイクのウェブサイトが存在します
父の遺品の中から出てきた、と言ってウィルが差し出したのは、シャンパンのコルクとペーパーナプキン。ペーパーには 2005年2月24日 の文字。わずかに動揺するフィンチ。まさかネイサンがこのふたつを大切に保管してたとはフィンチは思ってもいなかったからかな、と



さらにウィルの口からはアリシア・コーウィンの名前まで出てきて。ウィルによると、アリシアはネイサンが亡くなった1年後にNSAを退職している
ウィルはアリシア・コーウィンに会いにいき、例のコルクと日付を見せて死の真相を訊ねるのですが、アリシアもまたフィンチと同じように嘘をついた
「ハロルドおじさんも同じことを言ってた。父の親友のハロルド・レンです。ご存じない?」……ウィルはアリシアにハロルドの名を出してしまう。多分ここでアリシアは8人目の人物の名を初めて知ったかと
アリシアはハロルドが自分のことを知っていると悟って即逃げ出す。ハロルド・レンの名を出したとたんアリシアの態度が豹変したことにウィルは疑いを持たなかったのかなとは思うのですが
わたしがすごく驚いたのはアリシアの変貌っぷりで。フラッシュバックでネイサンと打ち合わせをしたり食事をしている時のアリシアは髪を後ろに結びスーツを着てすごくはつらつとした女性だったのに、逃げ回っている現在のアリシアはすごく疲れて老け込んだように見えて、最初同一人物だと分かりませんでした
結局親友が遺した一人息子、ウィル・イングラムについてはこのエピが最後でそれ以降出てくることはなかったのですが。私、ウィルは再登場すると思っていたんです。だってネイサンの息子というけっこう重要な位置にいる人物だから。ウィルは父親の死の真相を知りたくて色々調べるのですが、最終的にはアリシアとハロルドおじさんの説明に納得して、会社が傾き破産寸前だったことに失望もしていて(「破産寸前」はもちろんウソ)、真相を探るのはそこでおしまい、というわりとあっさりした結末になったので、私はえー!と驚いたしちょっと不完全燃焼というか。
ジェイソン・ボーンの受け売りではありますが「愛する人を亡くしたら人は真実を知りたくなる」ってほんとだと思うんです。だからウィルはあれでほんとに納得したのかなぁと少々疑問でもあり。それもあって実は私はS1を見ているあいだ、ウィルはまたいつか出てくるんじゃないか、出てくるに違いないと期待してたくらいでした。
多分NSAやアリシア・コーウィンのあたりはウィルではなくルート側から真実を暴くストーリーにしたかったのかな、と。だから一般人のウィルはこのエピで退場になったのかなぁと思いました。真実に近づけば近づくほど命の危険が高まるしね。ですのでたとえウィル自ら旅立たなくても、フィンチがなんらかの手を使ってウィルを真実から遠ざけるストーリー展開になっただろうな、とも
時間軸は前後しますがフィンチがダニエル・ケイシーやケイレヴ・フィップスに温かいまなざしを向けるのも、彼らと年の近いウィルを思い出させるからかな? とも今回見返してみて思いました
結局フィンチは親しい相手であるウィルに対しても、最後まで真実を話さないままだった。そのことについてフィンチは大なり小なり罪の意識を抱えているとは思う。フィンチが本当のことをあらいざらいすべて語れる相手って結局誰もいなかったんだなって。すべて抱えてひとりで生きていこうとするフィンチはリースとはまた別の種類の孤独とともにいる、寂しい人間でもある

はぁ、さらっと感想を書くだけの予定だったのがなぜこんなに長くなるのか

ここから下はこのエピ以降~最終話までのネタバレあり

フィンチとアリシア・コーウィンの関係のまとめ
2005年2月25日
NSAに所属のアリシア、ネイサンとマシン売却の契約を結び、マシンは1ドルで政府に売られる (S1Ep14)
2009年
マシンを知るのは7人のはずが「8人」とネイサンが口を滑らせ、アリシアはマシンに関わる人物に自分の知らないもうひとり (=ハロルド)がいることをなんとなく?知る (S1Ep22)
2010年9月26日
フェリー乗り場で爆破テロ、ネイサン・イングラム死去 (S2Ep22)
2010年
10月~11月頃? フィンチ、ネイサンの報復としてアリシアを爆殺しようと計画 (S4Ep17)
11月~12月頃? アリシア、モロッコに出向きCIAのマーク・スノウにオルドスでラップトップ奪還の指令を出す。スノウの部下カーラとリースがその任務を請け負う (S1Ep20)
2011年9月
アリシア、NSAを退職、ウェストバージニア州グリーンバンクに逃れる (S1Ep14)
2012年5月
対象者ヘンリー・ペックに「(マシンは)私が造った」とフィンチが告白するのを近くでアリシアが聴く (S1Ep22)
アリシア、フィンチの後をつけて廃図書館に侵入。フィンチのいる車に乗り込み話をしている最中にルートに射殺される (S1Ep23)

これで合ってるかな?

ここから先はS5ファイナルまでのネタバレあり感想

フィンチの過去を探ったファスコが言った、「やっこさんはもう自分の本当の名前を忘れちまってるかもな」はある意味真実で、ハロルドの本当の名は最後まで明かされることはありませんでした。それを言うならリースも同じで、主役ふたりの本名さえ分からずじまい、謎は謎のまま残されて終わったドラマでした
そしてこのエピでいちばん印象だったのは、ダレンの「いつかリースにも家(home)が見つかるよ」という台詞。そう言われてリースはほんのわずか、切ないような寂しげな微妙な表情を見せるのですが。このドラマでリースと"home"についてはたびたび言及されていて、203では対象者のソフィアに対して「俺の"home"はここ(=N.Y.)だ」と言い、311ではファスコから「家に帰ろう。家("home")ってのは仲間がいて仕事があるところだ」と言われてました。でも最終的にはリースの"home"は場所ではなく人、フィンチのもとだったんですね……。それほどまでにリースにとってフィンチがどんな存在だったかは、513を見れば説明などなにも必要はない