モールス

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Let me in (2010)


「ぼくのエリ、200歳」(2008)のリメイク。いずれこちらも見たいなと思いつつ。
残酷でホラーでサスペンスで悲しいお話でした。12歳の設定である男の子と女の子を演じたコディ・スミット=マクフィーとクロエ・グレース・モレッツの演技のすばらしさに尽きる。大人の世界に足を踏み入れつつある年齢をすごくうまく捉えていて感心しました。
救いはないんですよ、この話の何もかもに。ヴァンパイアのアビー(モレッツ)。血を飲まないと生きていけない。でも一緒に住んで人を殺してはアビーにそれを運んできてくれた父親が事故で亡くなってしまった後はなおさら。
一方のオーウェン(マクフィー)も学校で執拗で陰湿ないじめに遭ってて、一度は相手に立ち向かうも相手が逆上してさらにひどいやり方でいじめられるっていうかなりひどい扱いをされているのですが。そんな、他とは距離を置かざるを得ない環境に追いやられているふたりがギリギリのところで、一線を越えない友達(この年齢ならどういう関係かと訊かれたらやっぱり「友達」かな)になって。でもオーウェンは結局アビーの本当の姿を知ってしまったし、アビーは知られたけどオーウェンを殺すことはなかったのが、ふたりの友情が本当に成立した瞬間かなぁ。
その過程や心情が丁寧に描かれていたからこそ、ラストの電車の中でのふたりが泣けてくるし虚しさも感じるし、未来はないのです…。12歳の子達に、何ができるのと問うたら、多分何もできないんですよ…この年齢設定が悲しさをよけいに際立たせてますよね…。

はー、ほんと、コディ・スミット=マクフィーとクロエ・グレース・モレッツのふたりが素晴らしい。最初から最後までこれしか言ってませんが(笑)。


とても美しいので今回は日本版のポスターを貼っときます。

マイ・ブルーベリー・ナイツ

我が家はAmazonプライムの会員なので、洋画のラインナップを眺めては、ときどき過去に見た映画をふらっと見るのが最近好きなのですが。新しい映画を積極的に見に行かないので、ちょっとお疲れ気味なのかも。

この作品ね、監督がウォン・カーウァイだったよ。おーい、私の目は!節穴か!初見時の感想読むと、そのことに全く気付かず見てるし!そしてこれってNYが舞台なんですね。
この映画はジュード・ロウがすごくよくて、あんなオーナーのいる賑やかで活気のあるお店だったら私も入り浸りたくなっちゃうなーって。
あと、ジュード演じるカフェのオーナー、ジェレミーが、客のことは顔じゃなくてオーダーする内容で覚えてる、ってうのもすごく分かる!私も書店勤務の時は、お客さんの顔がなかなか覚えられなかったけれど(しかしそれは接客業として致命的な欠点なんだが…)、買った本や支払い方法や来店の時間とかはほぼ記憶してたから、このシーンは激しく頷きながら見てました。

お店のカウンターに置いてある、瓶の中に溜まった鍵。ちょくちょく訪れてはジェレミーと話し込むようになったエリザベス(ノラ・ジョーンズ)に請われて、その中のいくつかについて彼が話をするんだけど、これ、鍵に纏わる3~5話くらいのオムニバスストーリーでもよかったんじゃないかなーって。あ、そしたらエリザベスの出番が少なくなっちゃうか。

そして、カウンターで眠ってしまったエリザベスにそっとキスをするジェレミー。永遠に私のベストに入る素敵な構図のキスシーン。


アメリカのダイナーって決して細やかな料理が出てくるわけじゃないけれど、あのボリューム感や味はたまに食べたくなる。また旅行に出たいものです。そして今はやっぱりNYに行きたいな!

マダム・イン・ニューヨーク

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English Vinglish (2012)

公式サイト

インド映画は日本でも増えて来てるけど、この作品は歌やダンスが少なめでとっつきやすくしてあるし、舞台がNYであることでインド映画の色を薄くはしていると思う。そして異国の人間が言葉が不自由な国に来て、それを克服していくだけならその主人公の国籍は英語が母国語ではない国ならどこ出身でもこの話は成り立つと思うけれど、それだけで終わらなかったのは、主人公の女性、シャシが英語を学ぶことを通して自分の人生の可能性が大きく広がっていくのと、周りから低く扱われていたことに気付き、それに対して抵抗を彼女なりにだんだんと示すからなんですね。女性はおそらくこの映画に共感するだろうし、多分どの国の女性が見ても大なり小なり頷ける部分があると思う。

御多分に漏れず私もそうやって共感した人間のひとりで。そしてシャシがとても清らかな心の持ち主だからこそ、彼女がそんな目に遭っているのがよけい理不尽に思えてくる。知らず知らずに彼女を応援したくなるし、自分自身の初めて外国へ行った時、現地で言葉が通じなかった等の経験。いいことも悪いことも、思い出せば出すほど彼女への共感度は加速しちゃうね、これ。

シャシのインドでの生活が最初に描かれるんだけど、ここで彼女に感情移入できる描き方は導入部としてとても上手だな、と思いました。夫は仕事で英語を使うし、子どもたちも英語が公用語の学校に通っているから問題なく話せるんだけど、シャシだけは苦手でそのことにコンプレックスを持っている。さらに、思春期の娘は母が英語ができないのを馬鹿にしているフシがあるんだね。
そして、女性は公の場で他人と渡り合わず、そういう場面は男性である夫が出るもの、という、シャシ自身の考え(というか、本人の意思に関係なくそうしないといけないと思わされている)と社会での通例。そういったものが、シャシを奥ゆかしく、時に無力な人間に見せているのだけれど、彼女だって自分の意志がある。彼女が内に持つその本来の気質は、ニューヨークという異国で、自分がそうしなければいけない、といういつもの制限や他人の目や社会とは切り離された土地で、だんだんと現れて彼女は解放されていく。

姪の結婚式のお手伝いという形でまさか自分だけが先にアメリカへ、しかも5週間近くも滞在しなければいけなくなってしまい、英語が不安、初めての外国が不安、さらに家族と別々、子どもたちにもしばらく会えない。そんなシャシは、とうとう出発の日の朝泣き出してしまって。他の家族、しかも同居している義理の母まで、アメリカに長く行けるシャシを羨ましがってると言うのに、シャシの気持ちはもうそれどころではなくて。もうここで、なんて清らかな心の人なんだろう!って私はいっぺんにシャシを好きになった。
サリーをまとい、空港のチケットカウンターでのチェックインやドルへの両替。何もかもいっぱいいっぱい。でもそんなシャシを勇気づけるように、飛行機の隣の男性がまたいい人で色々と助けてくれるのです。彼がNYに到着後に言う、「どんなことにも『初めて』がある。恐れずそれを楽しんで」という言葉。すっごく良かった。その彼、機内で吹替えや字幕が付いていないのでシャシが楽しめないアメリカ映画(「ミッション:8ミニッツ」でした!)をわざわざ全部ヒンディー語に訳してシャシに伝えてあげて。爆発シーンでふたり一緒にぎゃってなるのはすごいウケた。

そんなやっとの思いでNYに到着するも、ひとりでは街のカフェで注文をうまく伝えられない上、店員から嫌味なことを言われ続けてショックのあまり店を飛び出してしまったシャシ。そんな彼女の目に入ったのは、街中を走るバスに載っていた英会話学校の広告。4週間コースのレッスンは今日から、と知った彼女はすぐさまその学校に出掛けて入校。もうその勇気だけでもすごいと思うのです!拍手!

少しずつ英語を理解できるようになり、クラスメイトたちとの絆も深まり、でも4週間の英語クラスの最後の日は姪の結婚式と重なってしまい。当日は試験は午前、お式は午後。試験は受けられる!となるはずが、シャシはダメになったお菓子・ラドゥーを作り直すため最終試験を受けられなくなってしまったけれど。
その代わり、姪の結婚式で英語でスピーチをしたのが彼女にとっての卒業試験。その結婚式にはシャシの英語のクラスメイトが全員駆け付けてくれて。しかもちゃんと、クラスで習った相手に許可を求める時に使う"May I?"を最初に使ってて、これうまいです!インド映画は本当に丁寧に描写してくれるのでこのラストは読めたけれど、それでも涙、涙でした。というか私は最初から涙しながら見てました。あーもうほんと最近涙もろくて仕方ない。
同時に、妻が自分の知らない世界に飛び込んでいくのを夫は面白くなく感じているのも描かれてるんですが、あーこれね、こういう夫いるよね!何がそんなに不満なんだろう。妻は狭い家庭の中だけで生きて自分の世話をしてればいいって思ってるんだよね?もう考えるだけで腹立たしい。噴飯ものですよ!ぷんぷん。

ラストはお約束のダンスと音楽。でもこの音楽がとってもキャッチーで、思わず一緒に踊りだしたくなるハッピーなラスト。これは「きっと、うまくいく」でもそう感じたので、最後が幸せな気持ちになれる映画ってとっても素敵。だって見終わって、あぁ良かった!って思えるもの。

English Vinglish (Full Female Version) | Sridevi

シャシ役のシュリデヴィの透き通るような美しさと吸い込まれそうな大きな目、そしてゴージャスなサリー。うっとりするような素敵な女性で、彼女がたどたどしくも一生懸命英語を身に付けて行く過程がとてもとても、本当にとても共感できました。
知り合いからおすすめされて見ましたが、出会えて良かった!


What a lovely day!! (マッド・マックス 怒りのデス・ロード)

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Mad Max: Fury Road (2015)

「開いた口が塞がらない」…最高の褒め言葉です!!

ものすごい熱量を持った、最高にクレイジーでパワフルなストーリー。ただ行って帰ってくるだけのお話なのに、この盛り上がり。

マックス、フュリオサ、ニュークス。この3人の人物を軸とする展開がまた面白くて。前半はフュリオサが自分の故郷を目指す話が進み、後半はマックスの提案で砦に戻る展開。死闘に死闘を繰り広げた終着点は、砦の奪還と水、そして奴隷の解放。イモータン・ジョーの代わりに君臨したのはフュリオサ。この結果から見ても、これはフュリオサ対イモータン・ジョーの戦いを描いた物語なんだね。意外にもマックスはサブなんだけど、台詞こそ少ないけれど失くした娘のことや、なんとしても砦から逃げ出そうとする執念を体中から感じられる。
そしてニュークス。輸血袋(マックス)がいなければ命はもう短く死ぬだけ。それならジョーのために、と覚悟を決めていたのが、マックスとフュリオサ側に付いての大奮闘。意外な展開が良かった上に彼の散りっぷり。"Witness me!"、"What a lovely day!!"、"I live! I die! I live again!"が名セリフになったのは、それを言ったニュークスの、まさに魂の叫びだから。

この3人の目力がものすごく強く、そして美しい。スクリーンにずっと惹き付けられるのは、派手なカーチェイスに火薬量が半端ない爆発シーンだけじゃない、マックス、フュリオサ、ニュークスの物語があってこそ。


キャスト。片手が義手で大型トラックをガンガン走らせ銃を撃つシャーリズ・セロンが素晴らしいのはもちろん、ニコラス・ホルトの少し甘さの残る笑顔。そして、口が悪いのは承知で言います。くっそかっこいいぜトム・ハーディ!!!フュリオサの姿を認めて群衆に紛れて去っていくラストは渋すぎるでしょ。そしてあの低音ボイス。多くを語らないからこそ、一言一言が沁みる。なんだよトムハってこんなに男前だったのかよー!!


さてこの映画は前記事で書いたように、ここの極上爆音、満席完売御礼で見たのですが。前から2列目に座り、いざ映画が始まったらもんのすごい音響で座席がぶるぶる震え、うわー、この状態で2時間過ごすのか!だ、だいじょうぶかな!?って心配してたんだけど。人間ってすぐ慣れるんですね~。ライヴ会場と同じ感じ状態でして、車が猛スピードで走るエンジン音に大クラッシュ、大爆発が起こる度に腹の底から響く重低音に、全部全部持っていかれました。

2015年6月に公開されてからずっと、見たいなと思っていた映画を最高の環境と音質で体験できたのはこの上ない幸せな体験だったと言い切れる、そんな観賞でした。



エンドロールにキャストの次の次くらいにスタントさんの名前が延々と続くのだけれど、影の功労賞。彼らにも惜しみない拍手を贈りたい。


今年の観賞映画は豊作すぎて年末のベストを挙げるのに困るのは今から目に見えてるわー、あー幸せだなー!



(そういえば、「アバウト・ア・ボーイ」も同じ映画館で観たんだった。当時まだシネマ・ツーはなくて、シネマ・ワンでだけどね。ニコラス・ホルトで思い出しました)


ベンジー、オープン・ダ・ドア!! (ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション)

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Mission: Impossible - Rogue Nation (2015)


1996年に1作目を映画館で観た時には、まさかこんなに長く続くシリーズになるとは思いもしなかった!

トム・クルーズのライフワークとなったミッション・インポッシブル。この作品もJ.J.エイブラムスがプロデューサーなのですね。最近のハリウッド映画って、アメコミとJ.J.で出来てるんじゃないかと思うよ。
前作に続いてブラント(ジェレミー・レナー)とベンジー(サイモン・ペッグ)が続投。今回のヒロインは、レベッカ・ファーガソン演じるイルサ。彼女がロングドレスを翻してアクションを炸裂させ、スリットが深く入ったドレスから見える肉感的な太ももがものすごくセクシーなんだが、銃を構える姿が男前のキャラクターで。

なので、今回のヒロイン枠は、ベンジーだった!大活躍&誘拐されるわ爆弾巻き付けられるわ、の、王道を行ってます。

最近のスパイものは、所属している組織はもう古い、もしくは用済みなので、きみたちクビだよ、っていう展開多いね。時代の流れかねぇ。今回は、イーサン・ハントがいるIMF(国際通貨基金じゃないよ)が解体、CIAの傘下になって、ハンリー長官(アレック・ボールドウィン)の下で指示に従ってね、な展開なのだけど。事件が解決して、イーサンとIMFの存在意義はあるよ、というラスト。

仲間や敵やヒロインもさることながら、トム・クルーズは、「トム・クルーズか、じゃあ見に行こうか」って思える、正統派ハリウッドスターだなぁ!って思いました。


敵を追って世界各地を回るのも、目の保養で楽しかった。夜景のタワーブリッジ、懐かしい…。