女神の見えざる手

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Miss Sloane (2016)


5/11公開の「モリーズ・ゲーム」(監督はアーロン・ソーキンなのだ)が楽しみで、ジェシカ・チャステインが出てる作品を選びました。「ゼロ・ダーク・サーティ」、「オデッセイ」などなど、彼女は賢くて強い女性を演じるのが好きみたいですね。
最後の切り札の部分はうわー、と驚いたし、話もスリリングに進むので面白かったのですが、主人公のエリザベス・スローンに共感が持てなかった。頭がものすごく切れて、自分の才能をフルに活かせる仕事を手に入れた彼女は結婚せず、家庭を持つこともなく、不眠症に陥っても薬を飲みながらバリバリ仕事をこなす彼女はものすごくやりがいのある人生を送っているんだろうけれど、人間らしさが感じられなくて。
エズメの過去を最初から知ってたうえでエリザベスがしたことはやっぱり卑怯だと思うし、自分が勝つために手段は択ばないし、法をも犯すその冷血冷酷で強引なやりかたをするにいたった彼女は今までどういう人生を送ってきたのか、そっちがすごく気になって。彼女の過去や背景が知りたかった。

エリザベスを引き抜いたライバル会社のトップ、シュミット役マーク・ストロングが良かったです。最初ちょっとおとなしすぎ、物静かすぎなキャラクターではないかと思ったのですが、ジェシカ・チャステインがめちゃくちゃ強くて剛腕なので、ソフトな物腰が劇中で緩衝材みたいな役割をしていて、彼が出てくるとホッとしました。エリザベスが違法な盗聴をしかけようとしていたことに一度だけ声を荒げて怒ることはあったけど、それ以外はいつも落ち着いた話しかたなのも良かった。シュミットがエリザベスに提示した報酬は0ドルだったと分かったあのメモには最高に痺れました。


最後にささいなことですが、なんとこの映画にもジョン・リスゴーが出てまして。「ザ・コンサルタント」、「ピッチ・パーフェクト3」に続いて3作連続でジョン・リスゴーが出演してる映画を見ちゃった。すごいね私……(笑)。

マイティ・ソー バトルロイヤル

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Thor: Ragnarok (2017)


身近な映画好きの友人ふたりから立て続けにお薦めされたし映画の日だしってことで観てきましたが、楽しく見るにはこれ以上ないぴったりな作品でした。すっごく面白くて大爆笑だった! ソー・シリーズってこんなに笑える映画だったっけ!?
オープニングから「移民の歌」でガッと心をつかまれ、ソーが炎に包まれたスルトを倒して画面いっぱいに広がるタイトル。そのかっこよさと言ったら! 見てるこっちの気持ちをがんがん煽って盛り上げてくれる手腕が素晴らしいの一言でした。
次から次へと出てくるキャストがもう誰も彼もゴージャスすぎて、そもそも実はソーには長姉のヘラがいました、なだけでもびっくりなのに、そのヘラを演じるのはケイト・ブランシェットだし、ヘラに仕えることになった坊主頭の恰幅良い男、スカージは誰かと思えばカール・アーバンだし(つまりはガラドリエル様とエオメルだ!)、オーディンを探しにニューヨークに降り立った兄弟が出会ったのはストレンジ先生(演じるは当然ベネディクト・カンバーバッチ!)、捕まったソーが連れてこられた国のグランドマスターはジェフ・ゴールドブラムだし。ハルクを演じるマーク・ラファロもちゃんとハルクじゃない姿の時もあってよかったし、つまりキャストがこれでもか、えっこの人も出てるの!?の驚きの連続で、めちゃくちゃ豪華なメンツだった。
そして、アスガルドで演じられてた、ロキを悼む劇でロキを演じてるのはなんとマット・デイモン! 気づきました!? あのマット・デイモンですよ!!(笑) ここは思い出すたびに腹がよじれるほど笑えました。いったいなにをやってるのよマットは。そんなにマーベル映画に出たかったのかな(笑)(笑)(笑)。
しかしあとから調べてみれば、この劇中劇のソー役はなんとクリス・ヘムズワースの弟、ルーク・ヘムズワースだし、オーディンにいたってはサム・ニールだったとのこと! どんだけ豪華なの!!
お話は、前作を見てなくて偉そうに語れることはないもないので感想は特になしです。あ、ソーが短髪になったのにはびっくりした! ソーは髪に力が宿っている神様ではないので本筋とはまったく関係ないのは承知だけれど、ずっと長かったのに短くなっちゃったからなんとなく「サムソンとデリラ」を思い浮かべてしまって。長い髪を切られるっていうシチュエーションはとってもエロいよね……。そしてソーに髪を切ろうと迫る変態(?)理髪師はおなじみカメオ出演のスタン・リーでした。こういう細かいところがいちいち面白かった。わたしはクリヘムは短髪が好きだけど、ソーに限っては長髪も素敵です。

それにしてもトム・ヒドルストンは本当にモデルかと見まごうほどにスタイルがよくて、ほれぼれします。隣に立つクリス・ヘムスワーズがガチでマッチョ体型なのでよけいにその細さが際立つのかもしれませんが。
ちょっと細身すぎて実はスクリーン映えはあまりしないのかもしれないけれど、でも本当に整った人ですよねぇ。NYのシーンでは、兄上がとてもカジュアルな格好に対してロキは黒いスーツでキメていたその違いもなかなかよかったです。わたし、もし中学生のときにこの映画を見てたら間違いなくトムヒに落ちてたなって思います……(笑)。こういう細身でスーツが似合うしゅっとした体型がど真ん中直球ストレートな好みなので。

なんか自分の男の好みの話しかしてない頭の悪い感想になってしまった。


モールス

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Let me in (2010)


「ぼくのエリ、200歳」(2008)のリメイク。いずれこちらも見たいなと思いつつ。
残酷でホラーでサスペンスで悲しいお話でした。12歳の設定である男の子と女の子を演じたコディ・スミット=マクフィーとクロエ・グレース・モレッツの演技のすばらしさに尽きる。大人の世界に足を踏み入れつつある年齢をすごくうまく捉えていて感心しました。
救いはないんですよ、この話の何もかもに。ヴァンパイアのアビー(モレッツ)。血を飲まないと生きていけない。でも一緒に住んで人を殺してはアビーにそれを運んできてくれた父親が事故で亡くなってしまった後はなおさら。
一方のオーウェン(マクフィー)も学校で執拗で陰湿ないじめに遭ってて、一度は相手に立ち向かうも相手が逆上してさらにひどいやり方でいじめられるっていうかなりひどい扱いをされているのですが。そんな、他とは距離を置かざるを得ない環境に追いやられているふたりがギリギリのところで、一線を越えない友達(この年齢ならどういう関係かと訊かれたらやっぱり「友達」かな)になって。でもオーウェンは結局アビーの本当の姿を知ってしまったし、アビーは知られたけどオーウェンを殺すことはなかったのが、ふたりの友情が本当に成立した瞬間かなぁ。
その過程や心情が丁寧に描かれていたからこそ、ラストの電車の中でのふたりが泣けてくるし虚しさも感じるし、未来はないのです…。12歳の子達に、何ができるのと問うたら、多分何もできないんですよ…この年齢設定が悲しさをよけいに際立たせてますよね…。

はー、ほんと、コディ・スミット=マクフィーとクロエ・グレース・モレッツのふたりが素晴らしい。最初から最後までこれしか言ってませんが(笑)。


とても美しいので今回は日本版のポスターを貼っときます。

マイ・ブルーベリー・ナイツ

我が家はAmazonプライムの会員なので、洋画のラインナップを眺めては、ときどき過去に見た映画をふらっと見るのが最近好きなのですが。新しい映画を積極的に見に行かないので、ちょっとお疲れ気味なのかも。

この作品ね、監督がウォン・カーウァイだったよ。おーい、私の目は!節穴か!初見時の感想読むと、そのことに全く気付かず見てるし!そしてこれってNYが舞台なんですね。
この映画はジュード・ロウがすごくよくて、あんなオーナーのいる賑やかで活気のあるお店だったら私も入り浸りたくなっちゃうなーって。
あと、ジュード演じるカフェのオーナー、ジェレミーが、客のことは顔じゃなくてオーダーする内容で覚えてる、ってうのもすごく分かる!私も書店勤務の時は、お客さんの顔がなかなか覚えられなかったけれど(しかしそれは接客業として致命的な欠点なんだが…)、買った本や支払い方法や来店の時間とかはほぼ記憶してたから、このシーンは激しく頷きながら見てました。

お店のカウンターに置いてある、瓶の中に溜まった鍵。ちょくちょく訪れてはジェレミーと話し込むようになったエリザベス(ノラ・ジョーンズ)に請われて、その中のいくつかについて彼が話をするんだけど、これ、鍵に纏わる3~5話くらいのオムニバスストーリーでもよかったんじゃないかなーって。あ、そしたらエリザベスの出番が少なくなっちゃうか。

そして、カウンターで眠ってしまったエリザベスにそっとキスをするジェレミー。永遠に私のベストに入る素敵な構図のキスシーン。


アメリカのダイナーって決して細やかな料理が出てくるわけじゃないけれど、あのボリューム感や味はたまに食べたくなる。また旅行に出たいものです。そして今はやっぱりNYに行きたいな!

マダム・イン・ニューヨーク

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English Vinglish (2012)

公式サイト

インド映画は日本でも増えて来てるけど、この作品は歌やダンスが少なめでとっつきやすくしてあるし、舞台がNYであることでインド映画の色を薄くはしていると思う。そして異国の人間が言葉が不自由な国に来て、それを克服していくだけならその主人公の国籍は英語が母国語ではない国ならどこ出身でもこの話は成り立つと思うけれど、それだけで終わらなかったのは、主人公の女性、シャシが英語を学ぶことを通して自分の人生の可能性が大きく広がっていくのと、周りから低く扱われていたことに気付き、それに対して抵抗を彼女なりにだんだんと示すからなんですね。女性はおそらくこの映画に共感するだろうし、多分どの国の女性が見ても大なり小なり頷ける部分があると思う。

御多分に漏れず私もそうやって共感した人間のひとりで。そしてシャシがとても清らかな心の持ち主だからこそ、彼女がそんな目に遭っているのがよけい理不尽に思えてくる。知らず知らずに彼女を応援したくなるし、自分自身の初めて外国へ行った時、現地で言葉が通じなかった等の経験。いいことも悪いことも、思い出せば出すほど彼女への共感度は加速しちゃうね、これ。

シャシのインドでの生活が最初に描かれるんだけど、ここで彼女に感情移入できる描き方は導入部としてとても上手だな、と思いました。夫は仕事で英語を使うし、子どもたちも英語が公用語の学校に通っているから問題なく話せるんだけど、シャシだけは苦手でそのことにコンプレックスを持っている。さらに、思春期の娘は母が英語ができないのを馬鹿にしているフシがあるんだね。
そして、女性は公の場で他人と渡り合わず、そういう場面は男性である夫が出るもの、という、シャシ自身の考え(というか、本人の意思に関係なくそうしないといけないと思わされている)と社会での通例。そういったものが、シャシを奥ゆかしく、時に無力な人間に見せているのだけれど、彼女だって自分の意志がある。彼女が内に持つその本来の気質は、ニューヨークという異国で、自分がそうしなければいけない、といういつもの制限や他人の目や社会とは切り離された土地で、だんだんと現れて彼女は解放されていく。

姪の結婚式のお手伝いという形でまさか自分だけが先にアメリカへ、しかも5週間近くも滞在しなければいけなくなってしまい、英語が不安、初めての外国が不安、さらに家族と別々、子どもたちにもしばらく会えない。そんなシャシは、とうとう出発の日の朝泣き出してしまって。他の家族、しかも同居している義理の母まで、アメリカに長く行けるシャシを羨ましがってると言うのに、シャシの気持ちはもうそれどころではなくて。もうここで、なんて清らかな心の人なんだろう!って私はいっぺんにシャシを好きになった。
サリーをまとい、空港のチケットカウンターでのチェックインやドルへの両替。何もかもいっぱいいっぱい。でもそんなシャシを勇気づけるように、飛行機の隣の男性がまたいい人で色々と助けてくれるのです。彼がNYに到着後に言う、「どんなことにも『初めて』がある。恐れずそれを楽しんで」という言葉。すっごく良かった。その彼、機内で吹替えや字幕が付いていないのでシャシが楽しめないアメリカ映画(「ミッション:8ミニッツ」でした!)をわざわざ全部ヒンディー語に訳してシャシに伝えてあげて。爆発シーンでふたり一緒にぎゃってなるのはすごいウケた。

そんなやっとの思いでNYに到着するも、ひとりでは街のカフェで注文をうまく伝えられない上、店員から嫌味なことを言われ続けてショックのあまり店を飛び出してしまったシャシ。そんな彼女の目に入ったのは、街中を走るバスに載っていた英会話学校の広告。4週間コースのレッスンは今日から、と知った彼女はすぐさまその学校に出掛けて入校。もうその勇気だけでもすごいと思うのです!拍手!

少しずつ英語を理解できるようになり、クラスメイトたちとの絆も深まり、でも4週間の英語クラスの最後の日は姪の結婚式と重なってしまい。当日は試験は午前、お式は午後。試験は受けられる!となるはずが、シャシはダメになったお菓子・ラドゥーを作り直すため最終試験を受けられなくなってしまったけれど。
その代わり、姪の結婚式で英語でスピーチをしたのが彼女にとっての卒業試験。その結婚式にはシャシの英語のクラスメイトが全員駆け付けてくれて。しかもちゃんと、クラスで習った相手に許可を求める時に使う"May I?"を最初に使ってて、これうまいです!インド映画は本当に丁寧に描写してくれるのでこのラストは読めたけれど、それでも涙、涙でした。というか私は最初から涙しながら見てました。あーもうほんと最近涙もろくて仕方ない。
同時に、妻が自分の知らない世界に飛び込んでいくのを夫は面白くなく感じているのも描かれてるんですが、あーこれね、こういう夫いるよね!何がそんなに不満なんだろう。妻は狭い家庭の中だけで生きて自分の世話をしてればいいって思ってるんだよね?もう考えるだけで腹立たしい。噴飯ものですよ!ぷんぷん。

ラストはお約束のダンスと音楽。でもこの音楽がとってもキャッチーで、思わず一緒に踊りだしたくなるハッピーなラスト。これは「きっと、うまくいく」でもそう感じたので、最後が幸せな気持ちになれる映画ってとっても素敵。だって見終わって、あぁ良かった!って思えるもの。

English Vinglish (Full Female Version) | Sridevi

シャシ役のシュリデヴィの透き通るような美しさと吸い込まれそうな大きな目、そしてゴージャスなサリー。うっとりするような素敵な女性で、彼女がたどたどしくも一生懸命英語を身に付けて行く過程がとてもとても、本当にとても共感できました。
知り合いからおすすめされて見ましたが、出会えて良かった!