ワンダーウーマン

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Wonder Woman (2017)

ワンダーウーマンというキャラクターが生みだされた背景は町山さんが詳しく解説しているので、それを読んでもらえればと思います。

町山智浩 映画『ワンダーウーマン』を語る

鑑賞後に読んだけど知らないことばかりで、映画への理解も深まりました。
なので純粋に映画の感想だけ書くよ~。
ワンダーウーマンという女性を一言でいうなら、かっこいい。これに尽きると思う。地球上の世界からは隔絶されて女性だけの国で生まれ育った彼女にとって、第二次世界大戦中のヨーロッパで起こっていることは理不尽なことだらけ。助けられない人たちもいるけれどそれは仕方ない、勝利のための犠牲だ、と言う会議中の男たちに向かってダイアナは、そんなの間違ってる、と。そして彼女は有言実行と言わんばかりに、身を挺して雨あられのように降り注ぐ銃弾の中を、包囲されている村の人々を救うためにその体と腕輪と楯で身を守りながら一歩も躊躇することなく突き進む姿はそれはもう、女性とかヒロインとかいう呼称は似合わない、まさしくヒーローでした。ほんまにかっこよかった!
冷静に見ればつっこみどころはたくさんあるんです。実は戦いの神アレスだったモーガン卿が空中に浮かんで力を操るシーンはまんま「X-MEN」のマグニートーだったし、なぜダイアナは毒ガスが充満している村に行っても死なないんだとかね。肌の露出が多い格好のダイアナはセクシーでとても素敵だけど、ケガしない?寒くない?大丈夫?って気になっちゃって。でもそれらを差し引いてもとっても面白かったし、そしてなによりダイアナの心情や活躍を、美しいスローモーションや音楽がこれでもかというほどにドラマチックに盛り上げてくれて、大画面、大音響で観る映画館向きの作品だなーと思いました。
あと、アマゾネスたちが使う武器のひとつに弓矢があるんだけど、その撮り方と彼女たちの弓矢の扱いは「ロード・オブ・ザ・リング」のレゴラス以来のかっこよさでした。


で、この映画、実は私は思いもがけず大泣きしてしまったのですが、その理由はこの人。

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クリス・パイン演じるスティーヴ・トレバーでした。

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もうね、のっけからダイアナのもとに届いた古い写真。「たった一枚だけ手元に残った、大切な人との写真」って、その設定だけでわたしはご飯3杯くらいいける大好きすぎるシチュエーションでして。ダイアナの隣に映る男性。今はいないその人との思い出を振り返ることで物語が始まるのですが。
スティーヴはスパイなので潜入や調査といった方面は強いけれど、ダイアナが腕力では自分よりずっと強いと知るや否や「君に任せるよ」ってあっさり彼女に主導権を渡すのが好きなんです。男だから強くなきゃいけない、なところがなくて。
ダイアナがわざわざスティーブが持つ腕時計に言及するから、あーこのアイテムはまた後で必ず出てくるな、と先が読めたし、スティーヴは最後は毒ガスを積んだ飛行機に乗り込んで空中で爆破させる道を選んだので、分かりやすい自己犠牲ではあるのだけれど。うん。泣けた。とてもとても、泣きました。
そしてスティーヴという名前や飛行機に乗ってること、恋人に別れを告げて去っていくあたりは、「キャプテン・アメリカ」を思い出させました。ちょっと意識してる描き方……かな? キャップはマーベルコミックだけど。
クリパって今どきの若者な俳優さんだと思ってましたが、この映画では髪型や衣装や帽子のせいもあってクラシックな雰囲気がとっても素敵。また、序盤でスティーヴがダイアナたちのいる国に誤ってセスナ機で突っ込んで落っこちちゃうシーンは、真っ青な海の美しさと相まって、クリス・パインの代名詞であるボンベイ・サファイアと呼ばれる瞳の色が際立って、それはそれは美しかったです。

他の部分で特筆したいことは、ダイアナと一緒に行動することになった元狙撃手のチャーリー役がびっくりなことに、なんとユアン・ブレムナー! スパッド~!こんなところでお前に会えるなんてびっくりだよスパッド!(違うってば) でも狙撃手という元のキャリアを活かすシーンがなくてそこはちょっと残念だった。


わたしはたまたま先月に「バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生」を見てたんですが、こちらにもワンダーウーマンことダイアナが出てたのと、彼女とブルース・ウェインとのつながりが描かれてたので、映画自体は私の好みではなかったのですが(暗い話ですが、同じ暗さならどちらかというとノーラン版バットマンのほうが好みでした)話のつながりが分かって見ておいてよかった。で、このあと「ジャスティス・リーグ」に続くんですよね? (マーベル以上にDCの展開はさらによく分からない)

「恋人たちの予感」のサッド・バージョン (ワン・デイ 23年のラブストーリー)

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One Day (2011)

なんだろう、7月15日が23年続く話、なんだけど、波乱万丈ののち、やっと結婚できたというのに、エマが事故死してしまうのと、デクスターが、ちょっとそれはダメだろー、な情けない描写だったので、何もそんな風に話を作らなくても、と思ってしまったのですよ。 

長い時間の経過と男女の友情→愛情を描いたものなら、「恋人たちの予感」があるけれど、あちらは、最後がさわやかなんだよね。「一緒にいたいと思う相手がいるなら、短い人生なんだから早くそれを相手に伝えた方がいいだろう?」みたいなビリー・クリスタルの台詞が大好きで。
そういう感じの長い人生の描き方が好きだから、この作品は、お互い相手を気になってはいるけれど、タイミングが合わなかったり、すれ違ったり、で、もどかしい。逆に、そこまでうまく行かないってことは、ご縁がなかったんじゃないのかなぁ、とも思うし。

私にはあまり合わなかったな。相手を想いながらも結局はうまく行かなかった、という話でも良かったんじゃないのー!?

判断 (私の中のあなた)




My Sister's Keeper (2009)

この映画の設定に私はどうしても同意することができないので、あまりいいレビューは書けないのですが、でも映画としては完成度は高かったと思う。なんか言い訳しながら始める文章ですが。

姉の白血病の治療のために、ドナーとしての妹が産まれたっていうのが、もうどうしても受け入れられなくて。でも、じゃあ自分にそういうことが起こったら、何としても子供を救いたいって考えるだろうな。そしたらその時、こういう可能性があります、って目の前に提示されたら、それこそそれがどんな方法であっても実行するかもしれない。

正直、このお話、母親のサラがあんなに頑固じゃなかったらなんも問題は起きなかったでしょ、と言ってしまえばそれまでだけど、じゃあサラがすごく悪い母親なのか?と問われたら、決してそうではないのが難しい。家族って、血縁って、こういうときすごくこじれてしまうのかもしれないね。

母親を訴えた娘のアナ。劇中何度も「(アナはまだ)11歳の子ども」という台詞が出てくるけれど(主に言っているのは母のサラなんだけどね)、私はそんなにアナが子どもだとは思わなかったし、彼女が一生懸命に考えて出した決断を、子どもだから、と一蹴するのはいかがなものかと思う。そして彼女の決断は、実はアナと姉のケイト、兄のジェシーの3人で決めたこと、というくだりが私はすごく好きだった。ケイトの病気で、おそらく自分のしたいことを我慢していたり、と、他の家族とは違う日々を送ってきただろう3人。でも3人とも、真剣に自分の人生、ケイトの考えを話し合ったと思う。そんな3人を、「まだ子ども」だなんて誰が責められるだろう?だから私は、ジェシー、ケイト、アナの3人で決めたこと、っていうことがすごく嬉しかったし心を打たれました。

この映画、出てくる男性陣が皆素敵だった!ともすれば暴走している妻を冷静な目で見ている夫・ブライアンを演じるジェイソン・パトリックは今まで見た中で一番!今まであまりはっきりしない俳優さんだったので。
劇中あまり前面には出てこなかったけれど、最後に法廷で真実をぶちまけた兄ジェシー。ケイトの最初で最後の恋人だったテイラー。ちょっと体型がトラボルタ化しているのが気になるが、今回はなかなか良かった弁護士役のアレック・ボールドウィン。彼と一緒にいるアラート犬の名前が「ジャッジ(判事)」なのが受けた。

騙し合ったのは違う人 (ワールド・オブ・ライズ)

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Body of Lies (2008)

私、勝手にラッセル・クロウとレオナルド・ディカプリオが騙し合うストーリーだと思ってたんですよ〜。けれどそうじゃなかったのね(汗)。

えーと、上司ホフマン(クロウ)と部下フェリス(レオ)の結びつきがちょっと弱かったのが残念。こう、長年パートナーを組んで信頼が置ける関係なのかな、と思いきや、正直ホフマンは指示出すだけの人って感じで、現場のフェリスは苦労ばっかだよな(笑)、と。

それにしても、殺される寸前までいかないといけない仕事って辛すぎる!

この映画のレオは、ちょっと「ブラッド・ダイヤモンド」とかぶるかなぁ、と思いましたが、最近のレオはやっぱかっこいいと思います。あと、眉間に縦ジワ、おでこに横ジワ、ととっても器用な表情ができることに気付いたわ。

ラッセル・クロウはわざわざ太る必要なかったと思うんだけどな〜。

ハニ・サラーム役の俳優さんは最初アンディ・ガルシアかと思いました。似てませんか〜?


というわけで、映画としてはいまいちでした。映画館へ行けたことは嬉しかったです。

音楽の持つ力 (ONCE ダブリンの街角で)



Once (2006)


人生は一期一会。それが泣けちゃうくらいよく表されてるこの映画は、なんと主人公ふたりの名前が出てこない。手持ちカメラでブレの多い画面は、まるでドキュメンタリーを見ているよう。ほんのきっかけで出会ったふたり。お互い音楽を通じて、心惹かれあう過程もいいし、都合よく話が展開するわけでもなく、お互いの行く先はまた別々のものになり、違う人生を歩んでゆくのがね、なんだか最後、じんわりきて、涙が出ました。

レコーディングのエンジニアが最初、ものすごくやる気ないのに、彼らの音楽を聴いて目を覚ます辺りなんて、いいですよねー。どこの世界にも、プロを目指してもなれない人たち、そういう人に出会う機会の多いいわゆる業界の人たちはきっと次々登場するアマチュアをああいう目で見てるだろうからさー。

お金を融資しに訪れた銀行の人も、実はミュージシャンを目指して(もしくは音楽が趣味)いた!という爆笑なエピソードも好きです。
女性がピアノを弾かせてもらっている楽器店の店主が、ふたりのセッションを温かく見守る(この場合は「聞き守る」か?)シーンも素敵。

レコーディングで演奏されてた5/8拍子のちょっと変わったリズムの曲(When Your Mind's Made Up)と、楽器店でふたりが初めて一緒にセッションをした曲(Falling Slowly )がとても印象に残ったので、こりゃサントラ購入だな。


ふたりの未来に幸あれ、と心から願う終わり方でした。