Eastern Promises もろもろ私的雑記・駄文

えー、平日のシャンテシネでしたが水曜日・レディースデイということで、けっこう席は埋まってまして。早めにチケット購入しておいて良かったかと。

夫と一緒に観に行ったんですけどね、鑑賞後「渋い、渋いよヴィゴ!」と絶賛。こっちがちょっとびっくりするくらい褒めてました。あと、ものすごく鍛えた体も彼は絶賛。私は、その割に足がひょろひょろなのが実はけっこう好みですが(笑)。

彼が着てるあのスーツやシャツ。もんのすごく仕立てが良くて黒光りしててむちゃくちゃ値段高そうで最高ですね。どこのブランドのでしょうか。私はスーツ着てる男性大好きです。いわゆるスーツフェチ(恥)。寒い冬はちょっと長めのコート着てると尚良いわー。

ロビーに、映画の紹介がしてある雑誌の記事と未公開シーンのパネルが展示してあったんですが、これ、かなり上の方に掲示してあるし、雑誌記事は等倍コピーで字が細かいから、よく読めないんですよ…。もっと下のほうに掲示してほしい、と言うべきでしたね。
しかも、ちょうど天井の空調から吹き出る風が、そのパネルをふわーん、と煽るので、パネルがいつも動いてますます読めない…(苦笑)。私と、私の隣におじいちゃんがひとりいらしてたんですが、お互い、「読みたい、でもよく読めない」状態でした。結局最後はもういいや、とその場を後に。しかもパネル展を見るだけの入場はお断り、と書いてあるし。

パンフレットもつねに誰かが見本を読み耽ってる状態でして。これまた買いませんでしたが、みなさんパンフレットって、必ず買いますか?それとも気に入った映画は買いますか?全然買いませんか?


結局キャスト、監督の来日はありませんでしたので、とても残念。特にヴィゴは、ここ数年必ず新作の度に来てたので、この映画もぜひ!と思いましたが。オスカーノミネートだし。傑作でしたので、観た後の今となっては、色々語ってほしいものです。


この作品は、観た後ウォッカを飲みたくなりますね。もちろん今は私、飲めません!くやしー!!あーあ、酒飲みはこれだから(笑)。

映画に出てきたロシア料理のレストランで行われる家族会。あれに出てきた料理がみんなとってもおいしそうで。ロシア料理っていうと、どうしてもピロシキだのボルシチだの、ジャムを入れた紅茶・ロシアンティーだの、お決まりのメニューしか知らないから、他にはどんな料理があるのかしら?気になります。
誕生日を祝ってもらってるのに全然ニコリともしないおばあちゃんが私は笑えました。…笑うところじゃない?


6/10付朝日新聞の沢木耕太郎のレビューが良かったのと、今発売されているキネマ旬報(2008年7月上旬号 No.1511号)の

滝本誠×宇田川幸洋 「イースタン・プロミス」を語りつくす

も読み応えありました。
この映画を気に入った方にはお勧め記事。「イースタン〜」だけじゃなくて、黒念監督についてたくさん語ってくれる人ってなかなかいないと思うので、私は大満足。


今回は予告すら見ず、一切の情報をシャットアウトして映画館に足を運びましたが、これは大正解。映画が始まって初めて「ほほう、ヴィゴは運転手さんの役なのね」と知ったくらいでした。実は最初、スチルを見た時は、ヴァンサンとヴィゴは兄弟なのか?と思ってたくらい。

イースタン・プロミス



Eastern Promises (2007)


闇の世界に生きてきたニコライ。放蕩息子のキリル。そんな息子をはやり大切な父・セミオン。流産の経験がある助産師・アンナ。そして、実は私、将来を見出せずほぼ自殺のような形で赤ん坊をも巻き添えせんばかりに命を絶ったタチアナも、この映画のキャストとしては占める位置は大きいのでは、と思っています。

ボスに口が出せるほど長いことファミリーに仕えてきたと思われるニコライ。けれど所詮、運転手は運転手。その他雑用なんかも言い付かってやってるみたいだし、「法の泥棒」の一員になれたのは、実はキリルの身代わりでした、というのも、もう虚しいばかりの世界。
おそらくニコライは、日記を通して知ったタチアナがもし生きていたら、自分の辿って来た運命や人生と同じものになるだろう、と感じたのでは。だから、彼女が残した赤ん坊を、普通の世界に生きるアンナに託したのではないかな。

彼の人生における、良心や善良さが形として残せる唯一の瞬間を、この映画を通して私たちは見れたのでは。だから、クリスティーナとアンナにさよならを告げる彼があんなにも切なかったのだろう。このラストには泣けました。

また、ニコライは実は警察とも通じてるけれど、あくまで最終目的はファミリーのトップに上り詰めること、というのが、とっても腹黒くていい。


この映画は主な登場人物が、足りないもの、求めているものをお互いに補い合っているその組み合わせや匙加減がうまいんだな、と思う。

出来の悪いキリル。父親のように立派になれない上、性的に女性を愛せない彼は、引き連れているニコライに、ただの運転手以上に、心の拠り所として求めているし(そうでなければ最後、赤ん坊を渡さないでしょうきっと)、そして自分よりよっぽど出来がいい彼に、対抗心も抱いている複雑な人物。

流産という経験で、子どもを亡くしているアンナ。それでも助産師として病院で働き続けるのは精神的にどんなものだろう?と思わずにいられない。だから最後、アンナとその家族の皆でクリスティーナを大切に育てている姿には、希望があった。


キャスト。とにかくキャストの魅力に尽きる。私は今まで見たヴァンサン・カッセルではこれが一番!自分の父親の身が危うくなる存在である赤ん坊を、その無力さから殺すことも出来ず、謝り泣き出す姿が、もうとっても甘いんだけど(だいたい今までも面倒なことややりたくないことはニコライに押し付けてた、とうかやってもらってた、という甘さね)、彼の弱さが出てて、そんなヴァンサン・カッセルがすごくいいんですよー!

ナオミ・ワッツの、日々のルーティンワークと私生活で疲れたような、それでいてクリスティーンを救おうと奮闘する姿が逆にすごく美しく見えた。「キング・コング」の時よりもずっとずっと魅力的でした。

そしてヴィゴ・モーテンセン。役者冥利に尽きる役どころではありますが、それを100%以上のものにしたのは、彼の力量以外何者でもない。本当にもう、怖いくらい。あそこまでやったら、燃え尽きてしまいそうな気もしますが、そうじゃないところが、長いキャリアが大きく花咲いても、次に繋げていける経験や余裕があるのかも。すごすぎる。


個人的には…しょっぱなからいきなりカミソリすぱーっと切れ味鮮やかなシーンがとても見ていられなくて辛かったので(だいたい14歳の妊婦が薬局で大量出血、の時点で「これは妊娠中の私が最後まで見続けていい映画なの!?」とかなり動揺)、サウナでのファイトシーンも実は、半分くらい目をつぶってました…(汗)。だいたい、身体に何も身に付けてない無防備な状態の上に、銃で撃たれる、じゃなくて、切れ味バツグンの刃物ですっぱりざっくり、というのがもう生理的に「ぎゃー!」ですよぅ。


私にとっては、クローネンバーグ作品の中で、「デッドゾーン」に並ぶかそれを超えた秀作。後からじんわり来る切なさに、涙しました。


この映画のキャッチコピー「ここでしか、生きられない」も秀逸。

JUNO/ジュノ

主人公のジュノが個性的かつ頭のいい子だと私は思ったので、人生の突然の出来事にもなんとか乗り切れたんじゃないかな、とは思う。

高校生が自分が産んだ子を育てる、というのはやっぱり無理があると思うので、「養子に出す」という選択は良かったと思うけれど、産んで里親に渡したら、何事もなかったようにまたもとの人生に戻れる、と考えているのってラクでいいよな、と思うのは私が今妊娠中だからかなぁ?

まぁその辺を詳しく描くお話ではないので、いつもジュノと一緒(病院での検診に友達が一緒って新鮮!)のリア、また、ジュノの妊娠した、という告白に、驚くほど冷静(に見えましたが)に対応した両親、若いのにずいぶんと落ち着いてる、ジュノを妊娠させちゃった相手ポール、と周りのキャラクターが立ってました。


それとは別に、悲しい過程をたどってしまった、里親のヴァネッサとマークの夫婦。あのふたりは結局よりを戻すことはなかったのかな。大きくて立派な家で、ひとりで赤ちゃんの面倒を見ているヴァネッサの姿はひどく寂しそうで、かつては私もそっち側だった人だから、なんだかその姿に泣けました。男は本当に、目の前に赤んぼがあって抱っこして初めて親の自覚を持つって言うし、マークが早々に出て行くことはなかったんじゃないかと思うけれど、おそらくふたりの間の問題は、養子をもらうかどうか、ではなく、夫婦が歩む道が少しずつ違ってきてしまったことなんだろう。


相変わらずエレン・ペイジはいい女優さんですね。若いのに妙に老成してるというか。次回作を楽しみにしたいです。

充実感とか幸せとか (グッド・シェパード)

The Good Shepherd (2006)

最初この役はレオナルド・ディカプリオが演じる予定だったそうです。が、「ディパーテッド」が圧してスケジュールが合わなくなってしまい、マット・デイモンに回ってきたとのこと。そうかー、本当だったらレオだったのか、でも忙しかったのね…て、んん?「ディパーテッド」にはマットも出てるじゃん!と、ちょっと謎なキャスティング変更なのですが。まぁその話は置いといて。


お話が長くて難しいのと、アメリカの歴史(「スカル・アンド・ボーンズ」のことは全く分からなかった)に詳しくないと、描かれている背景と設立されたCIAで働く主人公エドワードの行動や苦悩があまり分からないかも。てか私はさっぱり分からなかったよー(汗)。

なので登場人物の感想を。

CIAの創立メンバーとして国を支える為に働いてきたエドワードは、家庭を犠牲にしてきたのだけど、この人、仕事の充実感とか満足感って感じられたんだろうか?と思う。誰も信じず、全てを疑う仕事って、身体的にも精神的にも、そんなに長く続けられるのかな?
結局家族と一緒に過ごすこともほとんどままならない結果、妻との距離は広がるし(まぁ出来婚だった、てのもあったけど)、誕生後やっと会えた息子はもう5歳(!)だし。えぇー!そんな人生ありなの!?と思ってしまうんですよ。

私は女性なので、余計に妻のクローバーの立場には同情だなぁ。夫がまだ喧嘩できる相手ならいい。めったに家に帰ってこない、夫婦間に問題ができても話し合いもなし、そもそも会話がないのって、もう暖簾に腕押し状態で、どうしようもない虚しさがいっぱいで、私は何なの?と毎日思わずにいられない人生。その上息子は父親と同じように「CIAに入る」と言い出すし。お母さん辛すぎ…。


キャストはねー、髪が黒い上にメガネ姿のマット・デイモンがこれまたもう地味で地味で、怖いくらい。個人的には「リプリー」に次ぐ地味度。
しかしこの人は、「シリアナ」を見た時も驚きましたが、いつの間にかお父さんの役が似合うようになってました。個人的には「アルティメイタム」の時より体が引き締まってるのがちょっと許せません(笑)。

年を重ねるほど疲れてやつれて、いつも沈んだ状態の妻クローバー(マーガレット)に、アンジェリーナ・ジョリー。最初は、え!アンジー姐さんが貞淑な妻ですか!?とミスキャストなんじゃないかと思ったんですけどね。ウェディングドレス姿の若い頃より、年を取ってからのクローバーは私はけっこう良かったと思います。

どこかで見たデジャブ感 (幻影師アイゼンハイム)

The Illusionist (2006)

うーん、実は、最後のオチを私は、「ユージュアル・サスペクツ」に似てるよー、と思ったので、驚きませんでした。全然。…多分この最後のあっと驚くどんでん返し〜、がこの作品のミソだから、それに何の感慨も沸かないとなると、全てがそう面白くもない話になっちゃってねー。うーん。

エドワード・ノートンもジェシカ・ビールもどうにも魅力が分からなくて、それも見続けるのが辛かった要因かな。
特にジェシカ・ビール、むっちゃおばちゃんに見えませんか彼女!?「エリザベスタウン」でちらっとだけ出てきた時はイマドキな感じの女性でキレイだとは思いましたが。コスチュームプレイものが似合わないのかも…。

唯一ポール・ジアマッティの警部さんが、自分がマジック好きというのもあって、アイゼンハイム寄りの捜査が私は好きでしたよ。


ソフィを失くしたあとから始めた、アイゼンハイムの交霊術みたいなもの、あれは結局どうやってやったんでしょうね?おそらく映画の中心は謎解きではないから、その辺ははっきり描かれなくてもいいのかもしれませんが。

うーん、正直、お金払ったのもったいなかったな、という感想。