オスカーノミネート 雑感

はい、もうすぐ恒例のアカデミー賞です。ノミネートが発表されてこれまたびっくりな結果でした(ノミネート一覧はこちら)。

前哨戦で「ソーシャル・ネットワーク」が制しているからオスカーもそうくるか!?と思いきや。ノミネートは8部門。その代わり大躍進なのが、「英国王のスピーチ」が最多12部門。障害克服モノはアカデミーと相性がいいからなー。

そして前哨戦にほとんど姿を現さなかったコーエン兄弟の「トゥルー・グリット」がまさかの10部門ノミネート。えぇー!!そりゃクラシックな西部劇(そしてジョン・ウェインの「勇気ある追跡」のリメイク)だし、コーエン兄弟はすでに受賞歴あるし、という要素もありますが、それにしても10部門とは。

その割を喰ったのが明らかにクリストファー・ノーランの「インセプション」。あそこまで無視されるとはちょっとひどい。

「インセプション」はレオの演技もいいですが、彼は「ギルバート・グレイプ」の時に獲ってほしかったなぁ、オスカー。

あと、今年は珍しくクリント・イーストウッドの作品がノミネートされてない。「ヒアアフター」はラストが賛否両論と聞きましたので、それが原因か?


ちなみに「英国王〜」は最寄の映画館で上映が決まったので観にいけますが、「トゥルー〜」は、東京でも数館しか上映されないので、このノミネートを機に拡大ロードショー希望。ぜひ。


司会はこのふたり。フレッシュな感じ!

友情とかお金とか (ソーシャル・ネットワーク)



The Social Network (2010)


友情の破綻と、お互いの目指した先が違った故の悲劇。

マークは、自分の立ち上げたサイト、facebookをもっといいものに、クールなものにしたかった。マークはお金の心配は多分してない。それはエドゥアルドが出してくれるから。一方エドゥアルドにすれば、どんどん規模が大きくなるサイトが収益を上げられるよう、スポンサーを捜し求める。それも当然。赤ばっか出してるサイトを運営なんて、とても恐ろしくてできないし、収益を上げなきゃ、どんどんお金は減っていくのが現実だから。

そしてふたりの友情。マークにとってのエドゥアルドはどのくらいの友人だったかは、正直映画であまり詳しく描かれていないけれど、エドゥアルドにとっては損得はなしの、facebook共同設立者以上のものが心にあったのではないかと。だから、彼にとって、株価によってその友情が数値化されたこと、お金に換算化されたことが、最後の一線を越えてマークを訴える手段に出てしまったんだろう。エドゥアルドは決してマークから損した額を返してほしかったのではないんだと思う。


L.A.で、自宅のプール前でエドウォルドと電話で話すマーク。東海岸の自宅で彼女にプレゼントしたスカーフが燃えているのに気づかずマークと電話で話すエドウォルド。あの画面の対比が面白かった。マークは人間関係に熱くはならない。エドウォルドはそうじゃないけれど。むしろエドウォルドが普通でしょう。


サイトひとつで世界を大きく変えられる力がある若者のエネルギーが感じられ、とても見応えがありました。キャストもみんな素敵。マーク役のジェシー・アイゼンバーグはこれが初めて作品を観る俳優。あの早口トーク。頭の回転は速いけれど、他人の意見には耳を貸さないだろうな、と思わせるオープニングシーン。マークは未だエリカを忘れられないよ、というエンディングも私は好きでした。

エドゥアルド役のアンドリュー・ガーフィールド。新スパイダーマン役に抜擢ということで、確かにスクリーン映えする、目鼻立ちがきりっとした、かなり容姿整った人で、ちょっと見惚れちゃいました。
ショーン役のジャスティン・ティンバーレイク。あら!なかなかの好演。マーク・ウォルバーグに続けって感じでしょうか。


噂に違わず非常に優れた作品でした。登場人物がひたすら会話しているだけで最後まで継続感が続くのは素晴らしいし、それをデヴィッド・フィンチャーが成し遂げたこともまた驚き。

追記

アンドリュー・ガーフィールドってもうすぐ公開の「わたしを離さないで」の主役3人のうちのひとりなんですね!!これは楽しみになってきた。

クライヴ・オーウェンが素晴らしい (ザ・バンク 堕ちた巨像)



The International (2009)


「ラン・ローラ・ラン」の印象が強いトム・ティクヴァ監督ですが、しばらく観てない間にぐっと作風が重厚になってて嬉しい限り。この作品に映るヨーロッパが、暗く寒いのも私好み!

ストーリーは大企業が悪事に手を染めていて、邪魔な者は消されるよ、というまぁ多分ありがちなものだと思うので、この作品の何が良かったのかというとクライヴ・オーエンだ、間違いなく。

彼は今まで私の中ではどうも地味すぎて、あまり映えない感じでした。主役を務めるには華がない、と今までのレビューでも散々書いてるし。でも彼の地味さとこの映画の雰囲気がマッチしてる。そしてその地味さを性別や髪の色という真逆のものでまた存在感があったナオミ・ワッツ。おそらく彼女も女優としては地味な方。でもそのふたりが一緒になって逆に不思議な魅力が醸し出されてました。


エラ(ワッツ)がサリンジャー(オーウェン)に言った

「じゃああなたの罪は誰が赦すの?」

の台詞に泣けました。


そしてグッゲンハイム美術館での銃撃戦は秀逸!あれは誰もがしびれるシーンでは。上から展示物が落ちてくるシーンは圧巻。犯人と思われる男から身を隠してたサリンジャーと地元の刑事が、その展示物に姿が映っていまい場所がばれるってのもなかなか面白かったし。

心臓移植の後なのに! (ブラッド・ワーク)



Blood Work (2002)

クリント・イーストウッドが刑事役で、途中心臓移植を受けたらその心臓を提供した人物の姉が殺人事件を解決してくれ、と依頼に来る話なのですが。

けっこう面白かったんですよ。でも途中で犯人が分かったところでビミョーにグダグダ感が出てしまって、それまでの緊張感が維持できなかったのが残念!


移植された心臓が元で事件を解決することになった、というプロットが面白かったのですが。移植(しかも心臓)後すぐにあんなに活動できませんって。感染症とか免疫力の低下とか、怖すぎる。医者(アンジェリカ・ヒューストン演じる女医さん)が彼がじっとしていないことに対してすっごくすっごく彼のことを怒るんだけど、そりゃ当然だ。

結局犯人はマッケイレブ(イーストウッド)がすみかにしている船の隣にいた男だったんだけれど、この犯人を演じるジェフ・ダニエルズが、1993年の映画「失踪」のジェフ・ブリッジズにめちゃめちゃ似てるんですよ!私本当に、「あれ、ダニエルズ?ブリッジズ?どっちだっけー」って思いながら見てました。

あと、アメリカのATMの場所って、なんであんなに犯罪に遭いそうなところばかりにあるんだろう。あんまり人通りのないような街角の壁の一部分くりぬいて作ったようなところでお金降ろすのって怖いよねぇ。日本はATMってちゃんと囲った場所にあるし、コンビニでも店内という意味では安心だし。


マッケイレブが元職場に持って行く手土産がクリスピー・クリーム・ドーナツでした。

父役 の方でした 追悼



Pete Postlethwaite (ピート・ポスルスウェイト)



「父の祈りを」でダニエル・デイ・ルイスのお父さん、「ブラス!」でユアン・マクレガーのお父さん、「インセプション」でキリアン・マーフィのお父さん、と、お父さん役がとっても合っている俳優さんでした。彼の最後の公開作品は「ザ・タウン」になりそうですね。

ミスター・コバヤシ(「ユージュアル・サスペクツ」)で強烈な出会いをした俳優でした。合掌。