アップ、アップ、顔アップ (レ・ミゼラブル)

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Les Misérables(2012)


大ヒット驀進中!しかし私は乗り切れなかったミュージカル。なんでかなー。話に「?」と思うところがたくさんあったから…かな。そんな細かいこと気にすんなよ!と言われてしまえばそれまでなんだけどね。

ジャン・バルジャンが市長さんになって、彼がオーナーの紡績工場で働くファンテーヌがクビなってしまったのを、「私の責任だ」と思ったのがまず疑問のきっかけで。確かにジャベールがいたから、ファンテーヌをかばえなかったのは事実だけど、死を看取り、彼女の子供を引き取る、までは理解できた。が!ジャン・バルジャンの死の間際にやってきたお迎えがファンテーヌってのはなぁ…ふたりはそんなに深いつながりだったのかなー。ここでふたりに感情移入出来てたら、すごく泣けたシーンなのかもしれないけれど(実際泣いてた観客はけっこういたが)。

他にも、あの革命の規模が、前夜あれだけすごく盛りあがって派手にいくのかと思ったら、学生のお遊び的感覚に描かれて、あっという間にいくつか作られてた(と思われる)バリケードも突破されて、マリウスたちのだけが残ってることになってるし。
そのマリウス、負傷した状態でジャン・バルジャンに助けられるけど、あんなばっちい下水道の中を連れまわされたら、絶対雑菌入って死ぬよ!

マリウスはあんだけ革命か、愛か、と悩んでたけど、コゼットにその葛藤が特になかったので、意識のずれが目立ったし。

と、いろいろ突っ込みたくなった。


エポニーヌのエピソードは良かったなぁ。演じるサマンサ・バークスがジュリア・スタイルズに似てた。

上映時間が長くて、最後の方はちょっと疲れたってのもある。

個人的にはヒュー・ジャックマンV.S.ラッセル・クロウのオージー俳優対決が見られたのは良かった。

ヒューは歌声がもう抜群の安定感。見ていて不安いっさいなし。こんだけ出ずっぱりの映画もないね。しかも歌を歌ってるから、常に顔がアップ、アップ、アップ。見終わった後も、ずーっとヒューの顔が脳裏にこびりついてます。

本編はともかく、歌いながら撮影した(歌を別録しなかった)というメイキングはぜひじっくり見てみたい。


しかしヒューがこんだけ全編出ずっぱりなのに、アカデミー賞は取れなかったのかぁ。アン・ハサウェイは受賞できたのに。ダニエル・デイ・ルイスなんてもう2回獲ってるんだから、他の人にあげてやってー!彼と同じ年にノミネートされた人は勝ち目なしね。

個人的には、アカデミー賞当日、受賞して壇上へ向かう階段でコケたジェニファー・ローレンスを手助けしようと、誰よりも早く駆け寄ったヒューに、紳士で賞を贈呈!

心臓持ちません (アルゴ)

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Argo (2012)

今までのベン・アフレックはなんだったの?すべて「能ある鷹は爪を隠す」な言動だったの!?な化けっぷりがすごいベンアフ。とうとう、とうとう!オスカーですよ!!そして作品賞受賞の時のスピーチがなかなか良かった。それを聴いている、笑顔だけど泣きそうな表情の妻のジェニファー・ガーナーがまた良かった。

「ゴーン・ベイビー・ゴーン」の完成度は素晴らしかったですが、今回は、ハラハラドキドキ度がひっじょーに高い話で。ラスト、空港で別室に呼ばれ、晴れて無罪(?)。やっとゲートをくぐれたかと思ったら今度は飛行機に向かう車のエンジンがかからず、さらに乗った飛行機の離陸の順番は2番目、と、もう、早く、早く彼らをうまく逃がしてやってー!と、誰にそれを願ってるか分からないけれど必死になってる自分がいて。無事イランを脱出できた7人。ホッとしたというか、どっと疲れた。それくらいのハラハラドキドキ映画でした。

「架空映画大作戦」とも言うべき、奇想天外な脱出案を作り上げたCIAのトニー・メンデス。んなバカな、な案が通っちゃうのがアメリカなのか。当時「スター・ウォーズ」が発端の、空前のSFブームに、亜流、B級、なんでもありな作品もポコポコ生まれた時流にうまいことのっかった作戦…なのかねこれは。

架空のSF映画「ARGO」。あの絵コンテ、まんま「スター・ウォーズ」やんけ!と突っ込みどころ満載で笑えました。

その案を持って6人のアメリカ大使館職員の隠れるカナダ大使館へと現れたメンデス。そんな脱出プランをいきなり聞かされても、命がかかってるっていうのに、そりゃ冗談でしょ!?と、簡単には同意はできないよねぇ。しかし、彼が本名と自分の履歴を語り、真摯に協力を求めるあたりから、その奇想天外なプランが、命を懸けた脱出劇になっていくのが、面白くてスリリングで、片時も目を離せないストーリーになった。

トニー自身もまた、たとえこの作戦が成功しても、公にされることのない手柄。むなしさだってあるだろうに、それが任務、という思い以上のものが伝わって、彼が、そして彼を演じるベン・アフレックが、すごーくかっこよく見えるんだな!

作戦終了、帰国後にこっそり自分のカバンに入れて持って帰った1枚の絵コンテ。あれだけが、この作戦における彼の存在証明。ささやかで、存在感のあるあの1枚が、何かすごく好き。


シリアスで、緊張感のある脱出劇と並行して進む、ハリウッドでの架空映画の進行部分が、肩の力が抜ける笑えるパートを担ってて、すごくいいリズムで話が進んでいったのも挙げておきたい。


改めて、アカデミー賞受賞おめでとう。次回作、大いに期待。

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親はいつも子を想うもの

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Changeling(2008)

私は話が二転三転、思いがけない方向へ進む展開の映画が好きだ。


で、この映画は、まさに、地味で静かに進むのに、「さらに次があるのか」、「そういう展開になるのか」と驚き。見てて引き込まれました。それに加えてアンジェリーナ・ジョリーが、良かったんだよな~。これみよがしにぐいぐい前に出る演技じゃないのが良かった。今まで見た中でベストです!アンジー。


クリント・イーストウッドの映画って、女性が主人公だと光るのに、男性が主人公だと、「なんだかな」な話になってしまうのはなぜに?


さて映画は、ある日突然姿を消した息子を探し、真実を追求する母親の話ではあるんだけれど、親はどんなかたちであろうと、最期まで子供を想う。生きていても、死んでいても。そしてこのお話の女性、クリスティーンも、警察に、子どもを誘拐した犯人に、マスコミに、多方面から、彼女を揺さぶるできごとが起こるけれど、それでも彼女は、息子を、そして自分を信じて生きていく姿勢。悲しさの中に見える強さ。

「息子には、いつかどこかで必ず会えるはず」

そうつぶやくクリスティーンの愛は、美しかった。


それにしても、全然違う男の子を連れてきて「息子さん見つかりましたよ!」

母親がこの子は違う、私の息子じゃないって言ってんのに「そんなこと言ってる母親の方がおかしい」って精神病院行きってさ。めちゃめちゃやん!怖いわー。どうなってんの、当時の警察。いややわー。