ジェームズ・ボンドは来ない(松岡圭祐 著)



ジェームズ・ボンドは来ない 松岡圭祐 角川書店


映画ブログに読書感想文載せるなんてねー、ですが、「面白い&最後は切ない&分かる分かる!」がたくさん詰まったお話でした。
舞台は香川県直島だけれど、ここの現状は、多かれ少なかれ、どの田舎町でもおそらく似たようなもんだと思う。人口の減少、病院もない、もしくは少ない、コンビニ等新しいものが入って来ない、などなど。そしてTV番組や有名人が町に来る、となると、そりゃもう数か月前から住民の間の話題はそれで占められ、終わってもまだその話題はしばらく続く、という感じが非常によく描かれてて。私の実家もほぼそんな感じだから、もう、もう、分かる、分かるよ…!


そしてこのお話は、日本のTVどころか、世界的に有名なシリーズ映画のロケ地として直島に誘致しよう!というのがポイント。海外にだって行ったことのないおじちゃんたちを中心に、手弁当、ボランティアでなんとかして直島に!と奮闘するのと同時に、それをきっかけに町が発展すれば、潤えば、という気持ち以上に、町の現状が、今よりよいものであったら、と願う真剣さは、はたから見たら彼らの一途さはおかしいのかもしれないけれど、笑えることじゃあないと思うの。だって、出産する病院がないって、深刻だと思うもの。妊娠中もしなんかあったらどーするんだって、経験者なら強く思う。

でもね、魑魅魍魎のハリウッド。原作本の舞台になったからって、そう簡単に「じゃあロケもここで!」とならないのがハリウッド。そう、出来上がった作品は、美しいところだけを見せてくれてるのよ。裏じゃいったいいくつの、どんな取引や契約が交わされているのやら。恐ろしい世界なのよ~(と訳知り顔で脅してみる)。

ベネッセが昔は福武書店という名前だったのも懐かしいな!


話の内容は1987年~2013年が舞台なので、その間に公開された映画の題名が山ほど出てくるのと、当然ですが007ネタ、特に原作の映画権や映画会社の買収なんかのややこしい経緯が分かりやすく描かれてて、映画ファンにぜひおすすめ。
しっかしこの本の中でもダニクレボンドのひどい言われようったら。もう気の毒を超えてます。私もリアルタイムで色々ニュース読んでましたが、あそこまで叩く必要あったか?そのくせ公開されたら手のひらを返したような絶賛の嵐でさ。ある意味分かりやすいわ。

朗読イベント

6月1日にこんな素敵なイベントがぁ!あ、場所はロンドンですが。

THE SONG OF SOLOMON: Mark Bradshaw and Ben Whishaw

マーク・ブラッドショーと数人のミュージシャンによる演奏と、ベン・ウィショーによる朗読。お題は"THE SONG OF SOLOMON"。

結婚後、ふたり揃って同じイベントに出るのはこれが初めてとあって、一部では「披露宴」って言われてますが(笑)。

すごいねー、こんな素敵なイベント。しかも会場の写真が載ってるのですが、めちゃめちゃ美しいところではありませんか。


せめて日帰りで行けないものか、ロンドン(どこでもドア~)。


さて朗読のイベントって、日本じゃほとんど聞いたことがないんだけれど、何でかな?映画でもよく出てくるよね。「ヒア アフター」でセシル・ド・フランスが自著を朗読した後サイン会開いてたし、「ビフォア・サンセット」の冒頭では、イーサン・ホークがやはり自著の朗読と記者のインタビューに答えてたし。
何冊も本を出してるヴィゴも、著書内の詩を読むイベントをよく開いてたし。


日本だと、よく見かけるのは書店でのイベントかな?と思うけれど、本屋さんが行うイベントは、サイン会だけのことが多いしなぁ。自身が働いてた時の書店グループ内でも、著者を招いて開催されるイベントは、やはりサイン会のみだったし。

思うに、朗読の文化がないから?識字率がほぼ100%だから、読み上げてもらうより、自分で文字を追って文章を読む行為がメインになるのかな。一時期「声に出して読みたい日本語」の本が出て、ブームもあったけど。「詩のボクシング」もあるね。とすると、あるところにはあるのかな。

日本語と他の言語とでの、文章の構成も関係があるのかな。韻を踏む、とか、色々お約束に則って作られた文章は、おそらく声に出すと美しく聞こえるのでは。あっ!美しく聞こえるためにそういう構成になってるのか!?うーん、考えると奥が深いわ~。


と、今日はとりとめもないお話でした。私自身は朗読、好きです。こう、読んでると段々ノッてくるというか。今のところ、子供たちへの読み聞かせの絵本程度のレベルだけどね~。

Funded!

やりました!こちらの記事で書いた"Enemy of Man"のクラウドファンディング、成功です!

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↑ 目標額$250,000を超えてる


最後の方はけっこう時間との戦いで、私も3時間切ったところまで様子をうかがってたんだけれど。その時あと約30000$ほど足りなかったので、気にしつつも夜遅かったから寝ちゃって、翌朝確認したら、"successfully funded"のアナウンスがありました。

良かったねー、これで無事制作に漕ぎつけられるのかな?そしてamazonUSからはもれなくクレカ引き落としのメールが来てました。


どーせ日本で公開なんかしちゃくれないだろうけれど、DVDが出たら英語字幕でがんばって観たいわー。


とにもかくにも、まずは Congratulations!

ダブリンの時計職人

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Parked (2010)

ホームレスの厳しさをもう少しシビアに描いてくれると良かった。話のムードと主人公フレッド(コルム・ミーニイ)の描き方が優しいまなざしなんだけど、優しすぎるように思えたの。あと、なんとなくぼかした、はっきり描写しない表現方法がちょっと合わなかった。

その分、フレッド同じ駐車場でホームレスしてるカハルの描き方が辛いんだけど素晴らしくてね。私には実質コリン・モーガン主演のような映画でした。2月にコリンが出てる舞台観て、2か月後にその人が出てる映画観られるなんて、すっごく幸せ…♪
でもこの映画、4年も前のものですか。どうして日本はこんなに世界から取り残された公開時期なの?公開されるだけマシ、っていうのも、もうあまりにもささやかすぎて、それ喜ぶ前に、もうちょっと配給会社さんには出来ることあるんじゃないかと問いたくなるわよー(泣)。今洋画不振だからね…海外俳優~、英国男子~、とか言ってるのはどうせ一部の人だと思ってるんでしょう~、きーっ。


ちょっと話ずれちゃった。
主人公フレッドがなぜホームレスになってしまったのか、とか、イギリスで色々仕事を転々とした、ということが台詞にちろっと出てくるだけで、彼の過去の具体的な描写はないのね。独身であることも、孤独であることを助長してるとは思う。家がない、仕事がない、ていうのは、それだけで自分自身の価値を自分で貶めてしまうよね。なので、ラスト、彼は失業給付をもらって住む家が出来たのは良かったと思う。
ただ、このお話はそれで終わってしまっているように思えるの。カハルの死で彼が大きく変わったとかいう描写ではなかったからかなぁ…。せっかくあのふたりの交流が素晴らしいものであったのなら、それに伴うフレッドの変化も見たかった。


そのせいか、カハル役コリン・モーガンが素晴らしくて。まだ若いのに(22歳くらい?)、住むところ(実際には父親と折り合いが悪くて家に帰らない)がない、仕事がない、友達がいない、クスリを止められない。でも、どうにかして負のループから抜け出してほしかった。そう願ったけれど、映画は最悪の方向へ。私、見てて、希望を抱いていたんですよ。カハルはきっとフレッドと一緒に立ち直れる道を見つけられるだろうって。でもダメだった。だからカハルの死に、すごくショックを受けました。

笑ったりいたずらっぽい顔つきの時のカハルは、本当にどこにでもいる明るい青年って感じがするのに、クスリと手を切れないダークな面の時のカハルの表情はすごい落差が大きくて、コリン・モーガンがどのシーンも非常に魅力的でした。あと、相当体重絞ってるみたいで、頬のシャープさがすごかった。


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眺めのいい部屋

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A Room with a View (1985)


1991年に洋画沼に落っこちたので、1980年代の英国ブームの作品をほとんど見てないんだよね。今見とかんと、もう一生見ることないかも!と思ったので、選びました。

あの時代(1907年)にけっこうはっきりしてる主人公のルーシー・ハニーチャーチ(ヘレナ・ボナム=カーター)が恋する相手は物静かな青年ジョージ(ジュリアン・サンズ)。その押しの弱さというか繊細なキャラクターの脇を固めるのが、ルーシーの婚約者セシル(ダニエル・デイ=ルイス)と、ルーシーと仲の良い弟フレディ(ルパート・グレイヴス)。変人って言われてるけれど、そんなことないけどなー、ちゃんと息子の事よく見てる、ジョージのお父さんも素敵。


「あなたは女性の事を分かってない」と婚約者に一刀両断にされるセシル。ここちょっと爆笑。あんなに「絶対誰にもしゃべりませんからね」と言っていたシャーロットが実はイタリアで仲良くなった作家エレノア(ジュディ・デンチ)に、ルーシーとジョージのキスのことをしゃべっちゃってるし!これ、どこもちょっとおかしみがあって、みんながそれぞれ嘘をついているんだけれど、最後は幸せな終わり方。題名になっている「眺めのいい部屋」って、そういうオチに持ってくるのね。小気味よいラストでした。


1985年の作品だから、そう思っても仕方がないんだけれど、とにかくキャストが、若い、若い、若いよー!ジュリアン・サンズは髪型のせいか、「クイズ・ショウ」(1994。これ映画館で観たわー)の頃のレイフ・ファインズに似てるし、ダニエル・デイ=ルイスが、他の作品に見られる、気難しかったり固い人物じゃなくて、ちょっと飄々としてて、芸術や書物は好きだけど、結婚相手には向かなかったっていう、それどーなんだ、なキャラクターだったり、さらっさらの髪でテニスしたり水浴びしたり、犬っころみたいに姉のルーシーにちょっかい出す弟にはルパート・グレイヴス!いやー、もう、この人25年後にレストレードですよ、レストレード!
ジュディ・デンチも、画面見てなくても、声聞くと、あ、デイム・デンチ様!って分かる。すごく独特の声していらっしゃいますよね、この方。

そんな、キャストもゴージャスな作品でした。はぁ、面白かった。ポスターはよく考えると思いっきりラストシーンがネタバレしてるよね。