人生に乾杯!

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Konyec (2007)


年金生活で金に困ったおじいちゃんが銀行強盗をする話。途中からは妻のおばあちゃんも加担。ハンガリー映画。
主人公のおじいちゃんがユーモラスであり、昔若いころは公安警察の運転手だったという一筋縄ではいかない経歴の持ち主でもあり、そこがストーリーにピリッとしたスパイスを利かせていて、面白くもほろりとくる部分もあり、こういうの大好き。未見ですが今公開中の「ジーサンズ」にも似てるかなとも思ったし、後半は「ノッキン・オン・ヘヴンズ・ドア」(1997)に似てるなとも。

もともとさきゆきの短いお年寄り。強盗するにも開き直っちゃってて怖いものはもうありません、的なひょうひょうとした雰囲気を醸し出しているのがこの映画を重いものにしなかった勝因かな。堂々と銀行に押し入って脅し文句を言う夫に妻が惚れ直したり、彼らが同じように少ない年金で苦しい生活を強いられているお年寄りのあいだでいつのまにかヒーローになっているのも可笑しかった。


そして追われる老夫婦と追う警察の人間がどちらも男女のカップルになってて、エミルとヘディのふたりは若いころに一人息子をなくしており、ふたりを追う若い女性刑事のアギは妊娠中。エミルがちょっとだけ火遊びしたことをヘディは咎めることなく流しておしまいなんだけど、アギはが売春婦と遊んだ恋人のアンドルが許せない。この辺の対比が面白い。
人質に取ったアギを開放する際にヘディが言う「(生まれてくる子供を)大事にしてね。かけがいのないものよ」という言葉は子供を亡くした経験をしている彼女しか言えない、他の誰よりも重い言葉だと思いました。ここはほんとに泣けた……。

罪を犯して逃走劇を繰り広げたラストは悲劇になるのが多いですが、苦しい時代を生き抜いたふたりがそう簡単に自爆の最期を選ぶわけもなく。はっきりとは明かされませんでしたが、きっとふたりはあのあと海にたどりついて、海岸で手をつなぎながら水平線を眺めているはず。


ヨーロッパが舞台の映画は年代が遡れば遡るほど、東へ行けば行くほど室内が暗くなり物が少なかったり古かったりするねぇ。


日本版Mojo

今日初めて知りました。まさかの日本で日本語版"Mojo"が上演されることを。
なにそれちょっと!見たい。とても見たい、すごく見たい!日本語で見て、自分がロンドンで見たのがどれくらい解釈あってたのか確認したい!!
公演場所は品川、スケジュールは2017年6月23日(金)〜7月14日(金)。最後の2週間ほどなら昼も夜もちょうど都合がつくし、これはもう行くしかない!ってチケット確認しに行ったけれど、すでに全公演売り切れでした……うぅ。

babyが歌を歌いながら登場したりリンゴ飴持って来たりスキニーと喧嘩したりポケットから取り出したキラキラの紙片をふりまいたりするのが見たいなぁ。舞台でのよく通る声で歌うウィショー君を今も決して忘れてないよ。

再演はないのかなぁ。ぜひともお願いしたいです……!


公式サイトにある注意事項には役者さんの入り待ち出待ちは禁止ってあって、そりゃそうだよなと思いつつもロンドンではどの劇場もそんなこと禁止などしていなかったから、つくづく向こうは気さくだなぁと思いました。劇だけじゃなくて公演後にキャストと話をしたりサインをもらえるのも魅力の一部なのかもしれないですね。夫はそういう交流があることで、劇場に通うファンが増えるんじゃない?と言っていて、なるほどそういう側面ももしかしたらあるかもなぁと思いました。



エージェント・オブ・シールド シーズン3

Agents of S.H.I.E.L.D. Season 3 (2016)

ハンターとボビーがいなくなったり、死んだウォードが体を乗っ取られてハイヴとして復活したりとか、今シーズンもいろいろあったけれど、S2までとは違い、ヒドラやインヒューマンズとの関係がメインになってきて私にはもうあんまり面白みがなくなってきたので来シーズンは見ないかなと思いました。
全体を通した感想はないですが印象に残ったエピがいくつかあったのでそのあたりだけ書き留めておこうかと。

なにがすごいって、Ep05の「4722時間(4,722 Hours)」が非常に秀逸な話で、久しぶりに「ドラマという43分間の枠でここまでできるとは!」と驚かずにはいられないエピソードでした。こういう話を考えて、それを実際に映像で表現してしまうアメリカのドラマはやっぱりすげーやと思いました。何もない星でなんとしても生き抜くシモンズが本当に素晴らしく、それでいて心細い感じも表現していて、このエピで今まで以上に彼女を好きになりました。
あの星で何年もひとりで生き抜いてきたウィルが、コールソンたちが助けに来たときにはもう殺されていたのはとても悲しかった。彼を元の世界に戻してあげたかったです。

そしてS3でものすごく成長したのはフィッツ。S3冒頭でモロッコに向かったフィッツがちゃんとジャケットとタイを着用して目的地に乗り込む姿に成長したな、男になったなー!と思いました。
そして扉の向こうの世界に行ったフィッツはとうとうウォードにとどめを刺します。彼を殺すのはフィッツというのはすごく理に適っていると思う。S1ではフィッツはウォードを慕っていたけれど、彼はフィッツが思うような理想の人物ではなかったんだよね……バス(S1でシールドが基地にしていた飛行機)の部屋に閉じ込められシモンズと一緒に部屋ごと海に落とされたとき、フィッツはウォードのことをどう思っていたんだろうか。私怨とはちょっと違うけれど、でも海に落とされた後遺症に悩まされ、それでもそこから苦しんで、でもがんばって持ち直したフィッツは、ウォードを断罪する正当な理由があると私は思ったのです。
そのウォードが謎の生物に体を乗っ取られて復活したのは、まぁそうだろうなとは思いました。ウォードと演じるブレット・ダルトンってたぶんレギュラーメンバーの中ではかなり人気あるだろうから、その彼をそう簡単に降板させることって絶対ないと思うんですよ。彼の立ち位置は「ブラックリスト」におけるトム・キーンと演じるライアン・エッゴールドに似てるなとも。でもS3ラストでは大気圏を出て行ってさらに核弾頭爆発ですから、さすがに二度目の復活はないかな。
ちなみに第一話のウォードってどんなんだっけなと久しぶりにパイロット見たら、わぁ若~い!てなった。けっこう変わるもんですね。

そしてハンターとボビーの降板。私はときどきお茶目ででも普段は口の悪い(笑)ランス・ハンターがとても好きで(そしてなぜかジャージ姿が多かった)、その元妻のボビーとのかけあいもすごく好きだったのですが、まさかのEp13で降板でした!これは本当にショックだった。もうあのふたりが見られないなんて、しかも突然のことで、嘘でしょ!?と。そしてこのエピソードもストーリーが素晴らしいだけでなく、ライティングの青が本当にきれいで、去りゆくボビーとハンターを輝かせるかのように、ふたりがとても美しく撮れていて、うっとりしました。
今後シールドとは一切かかわらないという条件で処刑を免れロシアから出国できたボビーとハンター。インターポールからずっと監視されているせいで、ふたりに接触できないシールドのメンバーは、バーの席にばらばらに座り、ふたりにショットグラスのお酒を奢って杯をかかげ、別れを告げます。これがもう号泣せずにいられないシーンで。見てるこちらはもちろんメンバーのうちマック、シモンズ、デイジー、ボビーも涙を見せるのですが、これは決して役の上だけではなく、演じてる俳優の感情から生まれた涙かなと思う。というか、そう思いたい。それほどまでに心動かされた名シーンでした。さよならボビー&ハンター……!

imdb見たらハンター役ニック・ブラッドはイギリス人なのですねー。そしてトップページの彼の写真、めっちゃ男前……!(ちょっとジョナサン・リース・マイヤーズっぽいかも?)

フィッツの男があがり、お笑い担当のハンターがいなくなったので、今後は終盤に登場したジョン・ハナ演じるラドクリフ博士がその役目を担うのかなぁ。
デイジーとリンカーンの絆というか、どちらかというと恋模様かな、こちらはあまり関心がなかったのでシーズンフィナーレも私にはあまり響かなかった。そのデイジーはどうやらシールドを出て行ったみたいですが。

アメリカのドラマはS3から大きく方向転換するのが多いかなぁという印象。それについていければその先の視聴も楽しいのかも。



暗くなるまで待って

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Wait until Dark (1967)


これすごく怖くてでもとても面白い話でした。終盤での部屋の中が真っ暗になるシーンは、本当に本当に真っ暗。画面がぜんぶ真っ黒。なにひとつ見えない。何が起こっているのかまったく分からなくて。今だったらわずかに人の陰が分かる、くらいの暗さで怖さを煽ってくるんだろうけれど、多分当時の撮影技術ではできなかったからかもしれないせいか、本当に画面が何も映ってないただの黒ってかえってめちゃくちゃ怖い。真っ暗闇の中で犯人に追い詰められた盲目の女性、スージー(オードリー・ヘプバーン)の悲鳴だけが聞こえ、彼女はどうなったの!?殺されてしまったの!?とほんとにハラハラドキドキさせられました。
目が見えない代わりに彼女の武器は音。夫の友人や警察を装って部屋に入ってきた男たちが、スージーには見えないから分からないだろうと思ってやっていたことを実は彼女は全部"お見通し"ならぬ"聴き通し"とでもいえばいいのか、どうして手すりや冷蔵庫、ブラインドの紐を掃除しているのか(男たちが自分の指紋を拭き取っていた)、なぜ冬なのに何度もブラインドを開け閉めするのか(外で見張っている仲間を確認するため)、ロート親子が同じ靴を履いているのはなぜなのか(同一人物がロート父とロート息子のふりをしているだけ)、と、彼女は鋭い聴覚だけで状況を判断するわけで。そして男たちとスージーを観客のわたしたちだけが両方見ることができる、という面白さ。スージーは見えなくて怖いけど、わたしたちは見えるから怖い。
家じゅうのライトを消して回って、犯人には見えない、分からないだろうと思ったら、家の中でたったひとつ明かりが残っていて、それは冷蔵庫の中の明かり、というのも、特別な品ではなく、どの家にも必ずある日用品ってのがまたとても親近感と恐怖感をあおってくれました。
電球を外しては床に落として割るっていうのは室内でも靴を履く生活だからできることだなーって。日本じゃ無理だ。
あと犯人たちがスージーをだますためとはいえ妙に芝居上手でちょっと可笑しかった。
オードリー・ヘプバーンのあまりにも長い睫毛はもちろん(瞬きしたらバサバサ音がしそう!)、人形を運んで殺されてしまったリサ役の俳優さんもバービー人形みたいな容姿でとってもゴージャスでした。
そしてほぼスージーの住まいの中で話が進むので、舞台を見ているような映画でもありました。というか私は今猛烈に舞台が見たい……ロンドン……ニューヨーク……。

しかしこのスージーの写真家の夫が彼女に冷たすぎやしないですか? 中途で失明した妻を叱咤激励してくれてるんだろうけれど、盲目のチャンピオンを目指すんだ、とか、いずれ俺のスタジオまでひとりで行けるようにならないと、とかさー、すごい上から目線でイラっとしちゃった。もうちょっと妻に優しくしろよって思っちゃった。


目が見えない人が主人公の映画って他にもいくつかありますが、最近だと「ドント・ブリーズ」かな? 他には「瞳が忘れない/ブリンク 」、「セント・オブ・ウーマン/夢の香り」、「ブラインド・フィアー」など。探せば他にももっとありそう。目が見えないことをハートウォーミングなドラマに仕立てるかスリラーに持っていくか。私は断然後者が好み。


G.I.ジェーン

G.I. Jane (1997)

この映画のデミ・ムーアはtoo muchだよなぁ……と思うのですが他の人、特に女性の感想はどうなのだろうか。ヴィゴが出てなかったら絶対観てない。だから2度目の視聴だけどやっぱりヴィゴしか観てなかった(笑)。なんだろう、この映画でデミは強い女性、男性と同等になれる私、を演じたかったんだろうか。女性のマッチョイズムというか。ついでに言うとこの辺はジェニファー・ロペスにも似たものを感じる。もちろんこういう強い女性を好む人もいるとは思うんですが。私は男性/女性、お互いできることをしてできないことは助け合って生きていけばいいじゃんって考えるので、できない、もしくは不可能なものを性別が理由でむりやり求められる状況だとしたらそもそも最初からその基準は間違っているんじゃないかと思うのですよ。
海軍の特殊部隊SEALsはこの映画で描かれたようにそうとう厳しい訓練と最終テストをクリアしないと入れないんだろうけれど、どれだけ厳しくても女性が志願してきたら最初から拒否せずにまずは門を開けばいいと思うんだけどな……でもマスター・チーフ(ヴィゴ)の言う通り、女性であるという理由で作戦の足を引っ張ったり他の隊員も巻き込んで犠牲になるなら女が入るのは迷惑、という考えも分からなくはない。じゃあいったいどうすりゃいいんですかね?こういう命題に明確な答えや解決法を見つけるのは難しいですね。
チーフは確かに鬼軍曹だしめっちゃくちゃ厳しいけれど、仲間であるオニール(ムーア)を疎ましく思って彼女を助けようとはしない他の候補生に対しては、容赦なく叱責したり海に突き落としたりするのは男女関係なく公平だよね?
終盤の、全員が訓練生の身分なのにいきなり実戦に出ることになって、チーフが負傷したものの無事任務を終えて帰還するってのはそれはさすがにないだろうとは思いましたが、無事最終テストに合格したオニールのロッカーにD.H.ロレンスの詩集が入っていたのはちょっとぐっときました(もちろんその詩集を置いて行ったのはマスター・チーフ)。
でも彼女を巡るワシントンでの政治的駆け引きは結局どうなったんだとも思うし、わりと都合よく終わった映画だった……。

全体的にシリアス調ですが、実地訓練でどろどろに疲れているところに座学で作文の時間が入れられて、おまけに薄暗い部屋の中にチーフの意地悪な計らいでスローテンポのオペラが大音響で流されたら、そりゃ訓練生のほとんどが寝るよねっていう。このシーンには爆笑だった。


スナイパー・ヴィゴ!

あとなぜか実地訓練の設備の中にある、木の板で作られた模擬の壁に「終」って書いてあるんですよ。漢字で。

なんで漢字なんだ。


ところでこの映画ってジム・カヴィーゼル出てたんですね!まったくノーマークだったので慌ててimdbを確認してきました。ものすごくびっくりした。女が入ってきたぜってオニールに対してあれこれ絡んできたり嫌味を言ったりしてたんだけど、訓練中の自分の行動のせいで全員が捕虜になる原因を作ってしまうけっこうなバカ野郎でもあるんですが。拷問を受けても屈しないどころかマスター・チーフをフルボッコにしたオニールを見直したスロヴニック(カヴィーゼル)はそのあとバーで彼女に向かって困ったような顔をしながら素直に謝って。その表情がね、やだなにそれかわいい!それ以降はいつも彼女の後ろで見守るようにそっと立っているのがまたいい感じで(背が高いからそういう風に見えるだけなんだけどここは都合よく解釈させて~)。

ヴィゴとカヴィーゼルが共演してるという事実を知ったら内容はともかく私にとっては突如美味しい映画になった。