ジョイ

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Joy (2015)


ジェニファー・ローレンスはなぜこんな若くしてすでにどっしりとした存在感を身に着けているのだろう……。2013年にはオスカーを受賞して像を受け取りにステージに続く階段をあがろうとしてコケた姿さえ堂々としてて、でもまだ残る実年齢相応の可愛らしさもあって(ちなみにこの時、近くに座っていたヒュー・ジャックマンが彼女を助けようとサッと駆け寄っています)。


手を汚さず手元の柄を回せば絞れるモップ。吸水性は抜群。汚れたらヘッドから外して洗える。小さいころからモノ作りが好きだったジョイ(ローレンス)が発明した革新的なモップ。父親(ロバート・デ・ニーロ)の恋人(イザベラ・ロッセリーニ。すごい迫力でした!)から資金を出してもらい、工場で生産してQVC(24時間放映のショップチャンネル)で紹介したらバカ売れ。だけど成功してめだたしめでたし、で終わるお話ではなく。
ジョイはあまりにもしっかりしてるから、かえって皆が彼女を頼ってしまう。彼女もまた、頭がよくて冷静すぎるから、両親の離婚と同時に金のかかる大学進学をあきらめる。素敵な男性と出会って結婚してすぐに子供も立て続け2人授かり、でも夫は働かず、働いても収入は不安定、まだ幼い子どもの前で夫婦喧嘩ばかり。典型的な貧困ぎりぎりの家庭。そう、ジョイは今までずっと諦めてきた人生を送ってきた。だからこそ、開発したモップが売れるようにするためにする努力と払う犠牲はなみなみならぬもので、膨大な負債を抱えても、モップの生産と販売の権利を失っても、今回だけは絶対にあきらめなかった。
見てて分かるんです。頭を悩ませる日々のいろんなことや次々起こるトラブルにもううんざりで、しかし解決策を見いだせない社会的に立場が弱い女性だったのが、自分が理想のモップを完成させて売れるまでの険しい道を歩み始めたジョイの姿は、勇ましいファイターそのものでした。
中盤から出てくるQVCのニール(ブラッドリー・クーパー)が話すTVショッピングの仕組みがすごく面白くて思わず見入りました。そしてニールは商品の解説をする司会の女性たちふたりを撮っているカメラマンに向かって「手だ、手を映せ。来るぞ、もうすぐ来る。そこだ、手だ! 手をアップにしろ」っていうくだりがすごく引き込まれて。なるほど手かぁ、って。これ見たあとではTVショッピングの見方が変わりそうです。

デヴィッド・O・ラッセル監督のもと、ジェニファー・ローレンス、ブラッドリー・クーパー、ロバート・デ・ニーロが出演といえばもちろん「世界にひとつのプレイブック」が思い出されます。そして「世界~」の時と同じように、やはりこの映画でも家族みんながあれこれ好き勝手言いあう丁々発止のやり取りのシーンがあるんだけど、なぜこの監督はこういうシーンを撮るのがうまいんだろう。複数の人物がわいのわいの言い合ってるだけなのに、ちゃんとどんな話をしてて何を揉めてるのかがすごく分かりやすくて、ただの言い合いや喧嘩で終わるんじゃなくて見応えのあるものになっててぐいぐい引き込まれる。役者もそれを切り取る監督もうまいなー、すごいなーって思う。

それにしても、ワイングラスを割っちゃったらまず先にグラスの破片を取り除いて、それからモップ掛けるんじゃないの? そしてこぼれたワインと割れたグラスを一緒くたに拭いたモップを手で絞ったら、そりゃ大けがするに決まってるのになんでそれをしちゃうんだろう? これは国民性なの? その雑さと見通しのなさにはちょっとびっくりでした。


DVDスルーするにはもったいないくらいの作品でしたが、昨今はDVDスルーだけでなく映画館で公開されずに直接配信サービスのネットフリックスで公開、という作品もものすごく増えました。
でもフィルムで撮影しなくても、劇場で公開されなくても、DVD化されなくても、映画は映画であることには変わりないんですよね。「映画」の定義はこれからもどんどん変わっていくんだろう。


グッド・ワイフ シーズン1

The Good Wife Season 1 (2009-2010)

字幕で鑑賞。製作総指揮はリドリー&トニー・スコット兄弟。打ち切られることなくシーズン7まで続いて円満に終わった上に、現在はこのドラマのスピンオフ、"The Good Fight"まで誕生しているくらいだから人気があったドラマかと思われますが。うーん、私にはそんなに魅力的ではなかった。続きは見ることはきっとないかな……。
多分主役3人、ピーター(クリス・ノース)、アリシア(ジュリアナ・マクグリーズ)、ウィル(ジョシュ・チャールズ)の三角関係に共感もできなければまったく興味も湧かなかったのが原因だと思います。カリンダとバートン刑事の恋愛関係の行方は気になるんだけど。
このドラマの何が辛いって、ピーターとアリシアの子供たちがティーンエイジャーという微妙な年ごろな時期に父親のゴタゴタ、しかも不倫というセクシャルな側面がいやでもクローズアップされる騒動に巻き込まれて色々辛い思いをしていることに心が痛むのです。
特にEp22での、監視装置を付けられて自宅から一歩も出てはいけないという条件で保釈されたのに、妻との言い争いで納得いかず衝動的に家を飛び出してしまった父親のピーターが再逮捕されないように、息子のザックと娘のグレースで親をかばうエピはもう辛すぎた。夫婦の勝手な事情で子供たちにそんな思いさせるなよって腹が立った。

まぁそれを除いても、弁護士もの、かつサイドストーリーで事務所のゴタゴタ(法律事務所が財政危機に陥っている)が描かれたり、もちろん法廷のシーンも多いのですが、こういうドラマでは登場人物の弁護士が犯罪に巻き込まれたり誘拐されたり、事件現場や法廷で突如銃撃戦が起こったり、街中で犯人を追ったり逃走劇を繰り広げることはない(笑)ので、つまりわたしはやっぱりクライム・サスペンスが好きなんだなと改めて思った次第。「SUITS」もS2の中盤で視聴が止まっているのも多分これが原因だと思う。ビジネス英語の勉強にはかなりなるんだけど。


いくつか印象に残ったエピを。
Ep12で出てきたオキシコドン。「ブラックリスト」のS2でもレスラー捜査官が中毒に陥っていた鎮痛剤ですね。しかしそんなに大勢の中毒者が続出するならもうこんな薬は処方禁止にしてしまえばいいのでは……本当に必要な人の元にだけ届くようにしろよ……。
Ep14の時間制限がある話やEp17の病院内のひと部屋を臨時の法廷にして戦うのは非常に面白かったし、Ep18の陪審員主観の話も興味深かった。

登場人物。前述通り、ピーター、アリシア、ウィルはあまり関心がなく。ピーター役のクリス・ノースはSatC以来お久しぶりです。
ケアリーがいつも眠そうな目をしてるのが何かに似てるなってずっと思ってたのですが、あれだ、レオ=レオニの絵本に出てくるフレデリックにめっちゃ似てませんか?
イーライ・ゴールド役アラン・カミング。穏やかな態度と表情とは裏腹にかなりやり手のコンサルタント。彼はなかなか見応えがあった。
PCにめっちゃ疎いタシオニ弁護士は登場するとこっちもちょっと力が抜けてふふっと笑ってしまう可愛らしい女性。演じるのはキャリー・プレストン。
そして私がいちばん好きなのはカリンダ(アーチー・パンジャビ)。最初私はカリンダはパラリーガルだと思ってたら、どうやら彼女は私立探偵みたいなポジションで。もちろん法律にも詳しいんだけど、かつて検事局にいてピーターのもとで働いていた経歴もあり、人脈もあれば法的に弁護士ができないことを彼女ならできるっていう部分が非常に大きくて、アリシアたちが法廷で勝てたり裁判の相手に優位に立てるのにかなり貢献しているのは間違いないと思う。
いつもクールで性的指向もちょっと謎で、それゆえ彼女の本音はあまり見えてはこないのだけれど、唯一バートン刑事の前ではいつもとちょっと違う素直なカリンダが見られて好きです。
そのバートン刑事、すっごく男前でちょっとイタリア系かなって思う濃いめのハンサムなんだけど、なんと演じるのはジェームズ・カーピネロなんですね! びっくりしました。この人こんなにかっこいいんだ!って新たな面を見せてもらいました。


プロデューサーのひとりにアマンダ・シーゲルがいるせいか、POIのキャストがちょいちょい出て来てちょっと面白かった。デヴィッド・ヴァルシン(POIでの役名:スカーフェイス)、ペイジ・タルコ(ゾーイ・モーガン)、エイミー・アッカー(ルート/サマンサ・グローヴス)、そして前述のジェームズ・カーピネロ(ジョーイ・ダーバン)、キャリー・プレストン(グレース・ヘンドリクス)などなど。

クリミナル 2人の記憶を持つ男

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Criminal (2016)


ケヴィン・コスナー主演。ゲイリー・オールドマンにトミー・リー・ジョーンズも出ててなかなか渋いキャスティングなんですが、いかんせん主人公ジェリコ(コスナー)の設定や状況をもう少し詰めたらもっと面白くなったのに~~!と思わずにいられないお話でした。
そもそもジェリコは少年時に頭を強く打ったせいでサイコパスみたいな感じになっちゃったらしく、感情を持たずそれゆえ極悪な殺人を犯して長いこと刑務所に厳重管理で収監されている人物、という設定ですが、その脳の状態が殺されたエージェントの記憶を移すのに適しているという理由だけで話を押し切っているので、その他の条件をもっと詳細にしておけばもっとハラハラドキドキの展開になったのに、と思わずにいられませんでした。
術後、ジェリコはうまいこと病院から逃げ出して、これ幸いと刑務所から脱出できたんだけど、植え付けられたエージェントの記憶がだんだんとジェリコの感情や行動を支配するようになって、いい人になっていくのですが。移植手術をした博士が、その記憶はもって48時間っていうのを移植後けっこう経ってから言うんだよね。それ、最初に出しておけば時間制限がある話なんだなって分かるし、自由を得たジェリコは移された記憶のせいで亡きエージェントの妻と子どもにだんだん感情移入していくんだけど、手術を受ける条件として、事件が解決したらジェリコは自由の身になれる、とか本人にうまみのある免責事項や取引があったら、果たして彼は自由を得るのか、それとも移植されたエージェントの記憶に支配されて妻子ととも、愛のある新しい人生を送るのか、さぁどっち!? な葛藤が深まるかなぁと思ったのです。
なんかとりあえず48時間以内に記憶をジェリコに定着させたら彼は妻子を選ぶ人生を選びました、的な、なんとなく輪郭がぼんやりしたラストで、ちょっとんんー? てなったので。
あとね、なぜジェリコが凶暴なのは分かるけど、ずっと刑務所にいたのに、いざ銃を持たせたら一発でちゃんと相手を仕留められるのは、いやいやそれはないだろう! と。この辺リアリティを求めちゃだめですかね~?

私はケヴィン・コスナーは多分「アンタッチャブル」(1987)が初めて見てかつそれでファンになったんだと思いますが……あ、違うな、初見は「フィールド・オブ・ドリームス」(1989)かな。彼は男性としてはちょっと声が高いので、若い時は大声で話したり演説するシーンではちょっと迫力不足かなって感じていたんですが、歳を重ねたせいか声そのものが低く渋くなって、今回見ていて、あ、いいなこの声って思いました。今52歳。まだまだいける。


余談ですがこの後に「バットマンVSスーパーマン」見たらそれにもこの映画と同じケヴィン・コスナーとガル・ガドットが出ててちょっとびっくり。



Bond 25

ダニエル・クレイグがTV番組でジェームズ・ボンドを続投することを認めました。ただしあと1作のみ。

Confirmed! Daniel Craig Will Return As James Bond

降りる降りない、続ける続けないと今まで散々うわさが飛び交ってましたが、本人の口からそう宣言されたからもう間違いないでしょう! お帰りダニクレ!

にしても、2:08~、
"Daniel Craig, will you return as James Bond?"
"Yes."
って、プロポーズか!(笑)


ストーリーとしては「スペクター」のラストがきれいに終わったので次作はもうスピンオフみたいな内容でもいいんだけどな。武器は壊さずちゃんと返してくださいってQにお説教くらうボンドとかさ、今までの被害額をボンドに請求するタナーとかさ、そういうのを延々2時間見せられても私はまったく平気ですよ……?

POI S1 Ep14

Wolf and Cab

冒頭が前エピの続きになってます。リースが暗闇の廃図書館内をくまなくチェックして異状ないことを確認できてからようやくフィンチがラジエータを作動させて館内の暖房を入れ、明かりを灯すのですが。あの、ちょっと待って? よくよく考えるとこの建物は回廊型になっているということはつまり入口にゲートを設けてそれに施錠することに意味はあるのかしら……? (廃図書館の見取り図についてはこちら) そういう部分はあまり冷静に考えないほうが夢があるかな……
"Only the paranoids survive."
リースってこのエピでカーターに"Miss me?"って言ってたんですね。さらにダレンから、警官じゃないならあんた誰なんだよって訊かれて「その答えは自分でも探してる」って答えてて、これ210でアニーに訊かれた時とまったく同じ答えでした。気が付かなかった! まだまだ取りこぼしてるネタがいっぱいあるなぁ
コミックブックショップの前で無料で配られたコミックの中身をパラ見した男の子が店長のウィルコックスに「これでヒーローなのか? マントも着てない」って文句を言うんだけど、ウィルコックスは「ヒーローに必要なのはマントじゃない 仲間を守り 弱い人を助ける心だ」……これはリースのことをも指している
しかしこの店長、アンドレ・ウィルコックスこそが今回の事件の黒幕なのであった。さらにウィルコックスのボスはリンチ警部なので、つまりHRとつながりがあるってことで合ってる?
S1Ep01で安ホテルに泊まったリースがお酒を飲みながらTVで見てた白黒映画は黒澤明の「七人の侍」だったし、このエピの対象者ダレンはコミックブックが好きで孫子の兵法に詳しく、部屋にもやっぱり「七人の侍」のポスターが貼ってあって(日本の侍映画は他にもいっぱいあるでしょうというツッコミは横に置いておいて)、武士道とかチャンバラ、サムライ映画のファンかと。そしてリースを「浪人」と呼び、ボスのいないサムライだ、と。本当は切腹して死なないといけないけれど、そうしない代わりに放浪しながら人助けをしてる、とダレン。それはあながち間違ってはいなくて、そもそもこのエピの原題"Wolf and Cub"は日本の漫画「子連れ狼」の英題"Lone Wolf and Cub"から来ています。一匹狼で生きているリースはまさにその「浪人」で、ダレンにとってはリースは前から理想と描くヒーローがそのまんま目の前に現れたようなもので
そんなリースに対して、ダレンは一緒に入ったダイナーで全財産を取り出してテーブルに置き、おじさんを雇いたいと懇願しますが。リースは金をしまえと言い、その中から25セント硬貨一枚だけを手に取って「これが俺の相場だ」と。もうね、これ最高ですよね。リースは通常の人よりとんでもなくずば抜けた能力の持ち主なのに、自身はその価値にまったく重きを置いていないっていう人物、めっちゃ好みなんですよ私。そしてリースは子どもにとても優しい。時にちょっと不足気味なほどに彼は語る言葉を多くは持たないけれど、弱い立場の人間にはどこまでも温かい視線を注ぐリースが本当に好きだ。まだローティーンの男の子と組んだリースが時々いたずらっ子のような目つきや得意そうな顔をするのも、こういう時しか見られなくてとても良いね



契約成立、おじさんの名前を教えてよと言われ、"Well...you can call me...'Reese'."と。101でも橋の下でフィンチがリースに"You can call me 'Finch'."と言ってたのでこれきっと「~と呼んでください」の定型文なんだろうけれど、日本語にはない言い回しだよなぁっていっつも思う
ダレンに向かって復讐にはきりがない、終わりがないことを説くリース。たとえ全世界を敵に回して復讐を遂げたとしても、その先に得るものは何もないんですよね。そのことをリースは誰よりもよく知っている
しかしフィンチはリースがダレンに協力していることを快く思っていない

リースには大型の銃火器が良く似合う



悪い笑み~




ラスト、体を張って尻を撃たれてもダレンを助けたファスコはかっこよかったね!ダレンにファスコを紹介した時のリースは「この人は……ええっと……俺の友人だ」って言い淀んでるし、ダレンからも「どう見たって汚職警官だろ」って笑われてたけれど汚名返上できたかな
そしてダレンはまだ描きかけだけど、と前置きしてリースにふたりを描いた画を渡します。未完成で渡したってことは、リースには二度と会えないってダレンは心のどこかで分かってたんだろうね
その絵を見てリースは「ありがとう。ずっと相棒が欲しかったんだ」と言いますが。この台詞、聞くたびにわたしはいつも絵本の「くまのコールテンくん」を思い出して。絵本の最後に出てくる「ぼく、ずっとともだちがほしいなあって おもってたんだ」っていう文章が毎回毎回、読み聞かせのたびに泣けて泣けて仕方ないのですが、それと同じものを感じます
ファスコが調べたフィンチの過去の記録。いちばん古いのは1976年MIT入学時から使っている名前、ハロルド・レン。それ以前は何も出てこなかった
フィンチについて疑いを持ったリースとファスコ。その瞬間、マシンの画面上の枠がリースは黄色から赤に、ファスコも白から赤に変わり、マシンから敵性ありとみなされる。で、この後に出たマシンの画面の文字なんだけど。

SYSTEM ADMINISTRATOR
SECURITY BREACHED

COURSE OF ACTION -

EVALUATING OPTIONS...

MITIGATE
SUBVERT
MONITOR

この一連の文章の意味が、調べてもさっぱり意味が分からない……誰か……助けて……

Ep12に続いてサイドストーリーはフィンチとウィルのお話
フィンチがCEOを務めるユニバーサル・ヘリテージ・インシュランスのオフィスが出てきたのはこのエピのみだったかと
フィンチは「ハロルド・レン」として保険会社に勤めてたのはいつ頃までだったんだろう。この仕事を辞めた描写や言動は本編で特に見なかったような。なんか知らんうちに仕事辞めてたんかなって感じ……
その保険会社、Universal Heritage Insurance はトップページだけですがフェイクのウェブサイトが存在します
父の遺品の中から出てきた、と言ってウィルが差し出したのは、シャンパンのコルクとペーパーナプキン。ペーパーには 2005年2月24日 の文字。わずかに動揺するフィンチ。まさかネイサンがこのふたつを大切に保管してたとはフィンチは思ってもいなかったからかな、と



さらにウィルの口からはアリシア・コーウィンの名前まで出てきて。ウィルによると、アリシアはネイサンが亡くなった1年後にNSAを退職している
ウィルはアリシア・コーウィンに会いにいき、例のコルクと日付を見せて死の真相を訊ねるのですが、アリシアもまたフィンチと同じように嘘をついた
「ハロルドおじさんも同じことを言ってた。父の親友のハロルド・レンです。ご存じない?」……ウィルはアリシアにハロルドの名を出してしまう。多分ここでアリシアは8人目の人物の名を初めて知ったかと
アリシアはハロルドが自分のことを知っていると悟って即逃げ出す。ハロルド・レンの名を出したとたんアリシアの態度が豹変したことにウィルは疑いを持たなかったのかなとは思うのですが
わたしがすごく驚いたのはアリシアの変貌っぷりで。フラッシュバックでネイサンと打ち合わせをしたり食事をしている時のアリシアは髪を後ろに結びスーツを着てすごくはつらつとした女性だったのに、逃げ回っている現在のアリシアはすごく疲れて老け込んだように見えて、最初同一人物だと分かりませんでした
結局親友が遺した一人息子、ウィル・イングラムについてはこのエピが最後でそれ以降出てくることはなかったのですが。私、ウィルは再登場すると思っていたんです。だってネイサンの息子というけっこう重要な位置にいる人物だから。ウィルは父親の死の真相を知りたくて色々調べるのですが、最終的にはアリシアとハロルドおじさんの説明に納得して、会社が傾き破産寸前だったことに失望もしていて(「破産寸前」はもちろんウソ)、真相を探るのはそこでおしまい、というわりとあっさりした結末になったので、私はえー!と驚いたしちょっと不完全燃焼というか。
ジェイソン・ボーンの受け売りではありますが「愛する人を亡くしたら人は真実を知りたくなる」ってほんとだと思うんです。だからウィルはあれでほんとに納得したのかなぁと少々疑問でもあり。それもあって実は私はS1を見ているあいだ、ウィルはまたいつか出てくるんじゃないか、出てくるに違いないと期待してたくらいでした。
多分NSAやアリシア・コーウィンのあたりはウィルではなくルート側から真実を暴くストーリーにしたかったのかな、と。だから一般人のウィルはこのエピで退場になったのかなぁと思いました。真実に近づけば近づくほど命の危険が高まるしね。ですのでたとえウィル自ら旅立たなくても、フィンチがなんらかの手を使ってウィルを真実から遠ざけるストーリー展開になっただろうな、とも
時間軸は前後しますがフィンチがダニエル・ケイシーやケイレヴ・フィップスに温かいまなざしを向けるのも、彼らと年の近いウィルを思い出させるからかな? とも今回見返してみて思いました
結局フィンチは親しい相手であるウィルに対しても、最後まで真実を話さないままだった。そのことについてフィンチは大なり小なり罪の意識を抱えているとは思う。フィンチが本当のことをあらいざらいすべて語れる相手って結局誰もいなかったんだなって。すべて抱えてひとりで生きていこうとするフィンチはリースとはまた別の種類の孤独とともにいる、寂しい人間でもある

はぁ、さらっと感想を書くだけの予定だったのがなぜこんなに長くなるのか

ここから下はこのエピ以降~最終話までのネタバレあり

フィンチとアリシア・コーウィンの関係のまとめ
2005年2月25日
NSAに所属のアリシア、ネイサンとマシン売却の契約を結び、マシンは1ドルで政府に売られる (S1Ep14)
2009年
マシンを知るのは7人のはずが「8人」とネイサンが口を滑らせ、アリシアはマシンに関わる人物に自分の知らないもうひとり (=ハロルド)がいることをなんとなく?知る (S1Ep22)
2010年9月26日
フェリー乗り場で爆破テロ、ネイサン・イングラム死去 (S2Ep22)
2010年
10月~11月頃? フィンチ、ネイサンの報復としてアリシアを爆殺しようと計画 (S4Ep17)
11月~12月頃? アリシア、モロッコに出向きCIAのマーク・スノウにオルドスでラップトップ奪還の指令を出す。スノウの部下カーラとリースがその任務を請け負う (S1Ep20)
2011年9月
アリシア、NSAを退職、ウェストバージニア州グリーンバンクに逃れる (S1Ep14)
2012年5月
対象者ヘンリー・ペックに「(マシンは)私が造った」とフィンチが告白するのを近くでアリシアが聴く (S1Ep22)
アリシア、フィンチの後をつけて廃図書館に侵入。フィンチのいる車に乗り込み話をしている最中にルートに射殺される (S1Ep23)

これで合ってるかな?


フィンチの過去を探ったファスコが言った、「やっこさんはもう自分の本当の名前を忘れちまってるかもな」はある意味真実で、ハロルドの本当の名は最後まで明かされることはありませんでした。それを言うならリースも同じで、主役ふたりの本名さえ分からずじまい、謎は謎のまま残されて終わったドラマでした
そしてこのエピでいちばん印象だったのは、ダレンの「いつかリースにも家(home)が見つかるよ」という台詞。そう言われてリースはほんのわずか、切ないような寂しげな微妙な表情を見せるのですが。このドラマでリースと"home"についてはたびたび言及されていて、213では対象者のソフィアに対して「俺の"home"はここ(=N.Y.)だ」と言い、311ではファスコから「家に帰ろう。家("home")ってのは仲間がいて仕事があるところだ」と言われてました。でも最終的にはリースの"home"は場所ではなく人、フィンチのもとだったんですね……。それほどまでにリースにとってフィンチがどんな存在だったかは、513を見れば説明などなにも必要はない