好ましさが溢れる作品 (かもめ食堂)

出演者は日本人なのに、舞台はフィンランド。そんな不思議さに惹かれて行って来ました@昭島MOVIX。

食堂の窓に書いてある かもめ食堂 ruokala lokki という文字が大写しになった時に、オープニング・タイトルを兼ねているのが秀逸かつシンプルな映し方で好感が持てました。作品全体に好ましい雰囲気が流れているんですね。

そしてサチエさん、ミドリさん、マサコさんの、どこにでもいそうな、私たちの普段の生活の中で出会いそうなキャラクターがおおげさでなく、特に説明もなく(例えば、日本ではこういう過去があってそれでフィンランドにきました、と延々と語られることもない)、毎日が進むそのテンポがいい。

私が好きだったのは、マサコさんが出てきたトランクを開けたら、森で採ったはずなのになくしてしまったきのこがたくさん入っていたところ。フィンランドにつくなりロスト・バゲッジに遭い、サチエさんに「大事なものが入ってたんですか?」と聞かれ、マサコさんは、「…大事なものって何か入ってましたっけ…?」と初めてそのことに気づくんですね。もう中に何が入ってたかも覚えていないようだし。
そして見つかったトランク。その中には、トンミに薦められて訪れた森で見つけ、採集したはずのきのこたち。私は、マサコさんのこれからの人生に大切なものは何か、つまり、トランクを失くす=今までの過去をいったん捨て、トランクの中身=フィンランドでの新しい自分、というのを暗示していたんではないかと思います。

逆に、よく意味が分からなかったのは、何度も出てくるサチエさんの水泳。いつもひとりで泳いでいたはずが、「かもめ食堂が、ついに満席になりました」とつぶやくと、プールにはたくさんのフィンランド人がいて、一斉にサチエさんに拍手を送る。あれはどういう意味があったんだろう。
フィンランドとその土地の人にサチエさん(=サチエさんの作る料理)が受け入れられた、ということなのでしょうか?

この作品の魅力的な部分は、小林聡美の演技が大きいと思います。悲観的でも、とっても前向きでもないけれど(きっと彼女は独身だろうし、なぜフィンランドで食堂?という、もしかしたら複雑な事情があったのかもしれない女性ですよね)、地に足がついてて、食べ物の大切さを知っていて、合気道の動作を寝る前に必ず行う、たぶん両親の育て方がきちんとしてたんじゃないだろうか、そんな風に思える生き方のサチエさんを小林聡美が好演してました。

しかし、「千と千尋の神隠し」もですが、おにぎりには日本人のDNAを揺さぶる何かがあるに違いない。

かもめ食堂のインテリアがシンプルで素敵。キッチンもよく片付いていて、鍋が置かれている棚や、食器がはいっているガラスがはめこまれた扉がある棚など、使いやすそうで。腰壁が水色で、壁の一部が鏡だから広く見えるし。いいなぁ。
あまり映らなかったサチエさんの住まいも詳しく知りたい。ミドリさんを泊められるくらいだから、そんな狭くないだろうし。

上映館が少ないから、見に行くのは難しいかもしれないから、DVDでもいいです、人にお勧めできるいい映画ですね。
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