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「怒りはお前を幸せにしたか?」 (アメリカン・ヒストリーX)

American History X (1998)

この映画の素晴らしさは、骨太なストーリーと、キャストのWエドワードにつきますね。ずっと前から見たい、見たいと思いつつ、どうしても手が伸びなかったこの作品を、夫がチョイス。
ぐいぐい引き込まれる展開が、地味ながらも魅力的で、こういうのすごく好きです。

人は変われるのか。何をきっかけに変わるのか。デレクが、刑務所内の病院施設でかつての恩師に「怒りはお前を幸せにしたか?」という問いに、ただ首を振り、涙を流すしかなかったその瞬間、彼のすべてが変わったのだと思う。それは本人にしか分かりえないことであり、だからこそかつての周りの連中は、彼を「お前は変わった」「裏切り者だ」と見てしまう。

全てを話して、理解を得ようとし、自分と同じ道を進ませないよう弟・ダニーを説得したその直後に、その弟は学校で、恨みを買った相手からあっけなく射殺されてしまう。憎しみや怒りが連鎖して、直接デレク本人ではなく、弟に回ってきたことにむなしさ、悲しさを感じました。

最初はネオナチなにデレクが、こいつ危ないよ、やだよこんなヤツをずーっと見続けるのはー、と思っていたら、どんどんストーリーが面白くなってきて、最後には、すっごくいい映画だった!と思わせる、嬉しい驚きでした。

そしてキャスト。エドワード・ノートンが今まで見た作品で一番魅力的でしたね。頭の良さが、デレクの暴走を加速させてく、というのを非常にうまく演じてた。
エドワード・ファーロングは、これを見たら今彼が消えちゃったのがもったいない、と思うくらいいい表情が多かった。思春期の、父も兄もいない家庭で育っている少年の微妙な心をうまく現してたのではないかな。

加えて映像が美しかったのもある。白黒画面がとても魅力的だった、というのもこの映画に引き込まれた一因なのでは。カラー画面では、ダニーの顔や睫毛のアップが美しくて!そして兄弟で話しているシーンの顔の陰影がまた絵になって素敵なのでした。

久々に、いい映画だったー、と言えました。
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