真夜中のピアニスト

De battre mon coeur s'est arrêté (2005)

主人公のトムがいつも焦燥感を抱いているのがこっちに伝わってきて、ギリギリなテンションが最後まで続く、全体がとても雰囲気のある内容でした。期待してたロマン・デュリスは最高の演技で、夫も「役者がすごくいいよなこの映画」と褒め褒め。

10年ぶりに弾くピアノは指が全く動かず、それにイラつくトムの気持ち、よーく分かります(恥ずかしながら私もピアノを10年習っていたので)。でも、不動産会社の同僚に、オーディションのためのピアノの練習を「だんだん楽しくなってきた」と、宝物を見つけたような、嬉しさを顔いっぱいに表して話す彼がとても輝いてた。

しかし運命は彼を弄ぶかのように、コンクール前日の真夜中に不動産契約のために会社の連中にたたき起こされ、その結果、オーディションではまったく弾くこともできず、楽譜とコートをつかんで立ち去るしかなかった彼の気持ちはどんなにかみじめだったか。そして、ロシアのマフィアといざこざのあった父は自宅で殺されていた…。

この後あっさり「2年後」になる展開が驚きでした。
ロシア人マフィアに偶然再会して、殴り合いの末、トムは彼の銃を奪い、殺そうとするのですが、最後にはそうしない、その選択のギリギリ感もまた良し。

決して分かりやすいストーリーではないと思うんですね。特に、監督の前作「リード・マイ・リップス」に比べると。でも、前述のように、とにかく醸し出される雰囲気が素晴らしくて。
特に、バーでカウンターをピアノの鍵盤代わりに練習するトムの姿とその手が素敵。うーん、ロマン・デュリス恐るべし。

私がもうひとつ好きだったのは、中国人留学生の女性にピアノを習いに行くシーン。一度、トムがうまく弾けず、イラついて投げ出すのを、彼女は中国語でものすごい剣幕で怒るんですよ。その後トムが「…すいません」みたいな感じでおとなしくまたピアノのスツールに腰掛けなおすシーンが大好き!彼は絶対彼女には勝てないですね(笑)。
言葉は通じなくても、音や芸術でお互いの意思疎通を図ることができるのってなんだかどきどきしますよね。ちょっとエロティックな感じもするし。

だから、2年後にトムが彼女のマネージャーっぽいことをしてたのは、実はちょっと嬉しかったのでした。
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コメント

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わ!驚き

TBありがとうございます。武田様も好きなシーンとか感想が同じ部分で共鳴しててとーっても嬉しかったのでした(照)。
しかしDVD買っちゃったとは!びっくりです。

「2年後」にまたトムがピアノを弾いてたら…というのは思ってもみませんでした。うーん、それも見てみたいなぁ。

祝、ご鑑賞♪

こちらにも失礼いたします。
うわぁ、拝読しながらシーンが甦りましたわぁ。
私もこの作品、大好きです。
そうそう、あの焦燥感、私も(わかる!)と。
ロマン・デュリス、私この作品で一気に好きな俳優になってしまいました。
いいな、と感じたところ一緒ですわ~♪
彼、もう一度ピアノは弾かないのかなと・・。弾けば音が確実に変わってるはずだし・・。
パンチのある、いい作品でしたね♪