硫黄島からの手紙

Letters from Iwo Jima (2006)

「星条旗」では不気味に見えた硫黄島は、この映画ではひどく寂しくもの悲しい島に見えたのはちょっと不思議でした。

本土から1,200kmも離れた小さな島に、大勢の犠牲者が眠っているにも関わらず、一般の人は立ち入ることが出来ない場所であり、遺族も足を運んで冥福を祈るのが難しい島。

きっとここへ運ばれた兵士達は、帰りたかっただろう。こんなところで死にたくはなかっただろう。それともお国のため、天皇陛下のため、その任務を全うしようと潔く散っていったのだろうか。

いかに今が平和な世の中で、その平和の大切さ、貴重さが現代の私たちはあまりにも知らなさすぎなのだろうと、戦争映画を見る度に思います。平和は努力しなければ手には入らないことをもっと身にしみて感じるべきなんだと、今の平和の上にあぐらをかいて、何もしていないんじゃないか、と思う。


映画は題名が示すとおり、手紙を通して各々の心情を綴っているので、時系列で詳しく細かく戦争の様子を描いているわけではありません。しかし、西郷が妻に当てて書く手紙、栗林が息子に当てて書く絵手紙、どれも文面は悲しくも、相手を思いやる気持ちでいっぱいの内容でした。手紙、最近書かなくなったよなぁ…。


最後、発掘された手紙がばらばらと落ちていくシーンがものすごく強烈で、戦場に散った兵士の想いがあの瞬間、ばーっと溢れ出てきたように思えて、忘れられないエンディングでした。

キャストはやはり渡辺謙と二宮和也のすごさを挙げたい。謙さんは、栗林がまだ生まれて間もない息子に宛てて書いた手紙のナレーションがとても柔らかな話し方で、栗林も、謙さん自身もいいお父さんなんだろうなぁ、と想像しました。
そして二宮。あちこちで絶賛されている声は聞いてはいましたが、こんな素晴らしい俳優が日本にいるのか!と嬉しかった。


ここから先は、この映画に関係のある本の話。
去年私の勤める書店でやたらめったら売れて印象に残った本のひとつに「散るぞ悲しき」というのがあります。
私は全然知らないままでいて、そして今回この映画を観てたら、この本の書名は、栗林の最後の手紙に出てきた一節だったことが分かり、「あっこのことだったのか!」と驚きました。思うに、私の職場のお客さんは、かなり年配の方が多いので、戦争を経験された方も多く、この本がよく売れたのではないかと。


ちなみに 「「玉砕総指揮官」の絵手紙」もお店では引き合いがかなりありますが、こちらも中身は栗林の人柄がよく分かり、ユーモアに溢れた手紙もあり、とてもいい本なのではないかと思います。
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