余分なものはいらない (エイプリルの七面鳥)



Pieces of April (2003)

七面鳥、あっさりしてておいしいですよね。「サブウェイ」に行くと、ターキーサンドを注文することが多いです。

さて、七面鳥。11月の第4木曜日、アメリカにおける感謝祭のお約束メニュー。一羽まるごとスーパーで売ってて、中に詰め物をしてオーブンで丸焼き。…おいしそうです。

決して食べ物の映画ではないんですが、これ、作っている過程がすごくおいしそうでね〜。つい延々とどうおいしいか、描写しちゃいたくなります。
エイプリル(ケイティ・ホームズ)が助けを求めた同じアパートの黒人夫婦の料理風景も、メニューを聞いただけでもう、ぜひ私もご馳走にならせてください!とお願いしたいくらい。


何年も家族の許に帰っていないエイプリル。今年の感謝祭は、ニューヨークで付き合っている人と一緒にアパート住まいをしているエイプリルの元に家族が足を運ぶことになった。その理由は…。

エイプリルの家族構成は、父、母、妹、弟、そして普段は施設で生活する、だいぶ痴呆が進んだ祖母。母親は、出発の日、まだ朝早いのにすでに車の助手席にスタンバイ。朝起きて、ベッドの隣に妻が居ないことに気付き、慌てふためいて彼女を探す夫。娘も息子も、やたらめったら母親の体調を神経質なまでに気遣う。
なぜみんながみんな、不可解な行動をとるのか、最初は解りかねるのですが、お話が進むにつれて、徐々にその理由が明らかになる過程がうまい。

母親が乳がんを患い、放射線治療を受けているにも関わらず、余命いくばくもないこと、母と長女のエイプリルは長年反発していること、しかしエイプリルは母親の状況を聞き、どうやら久しぶりの再会、かつお互いが歩み寄ろうとしていること、大変な状況からひとり離れて好き勝手にやっている姉をこころよくは思っていない妹。わりと能天気な弟(この弟にはかなり救われます)。

これらすべて、決して台詞に出ては来ないけれど、本当にこちらによく伝わってくるのです。
そしてストーリーは、車で自宅からエイプリルのアパートへ着く家族の道中と、料理はほとんどできないと思われるエイプリルが七面鳥を焼き上げ、感謝祭の準備を終えるまでの顛末が同時進行で進み、最終到達点はもちろん、「家族とエイプリルの再会」と、誰もが予想できるラストではあるのですが、その描き方が!秀逸で、そして、ここでも何も語られず、台詞さえなく、ただ、写真が趣味の弟が撮った、何枚ものカットで終わる、という、あぁもう言葉は必要ないんだ、という素晴らしい終わり方でした。ボロ泣きでしたよ私。


エイプリルの住むアパートの外観のひどさに絶句した家族は、そこを立ち去り、レストランで感謝祭のお祝いをしようとしますが(主に妹の提案のようだ)、母はカウンターにいるバイク乗りの男性に、いきなりお願いをして、エイプリルの住むアパートに戻ります。これは、彼女が本当に自分の意思でもって娘と向かい合う決心が付いたことを表す非常にいいシーンでした。ここから怒涛のラストへと向かう流れが良かったな。


うーん、これ、小品ながらも名作です。
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