プレシャス



Precious: Based on the Novel 'Push' by Sapphire (2009)

悲惨な人生を送っているのにも関わらず、プレシャスが未来と自分の子どもに希望を持っているので私はこの映画、そんなに暗いとは感じられませんでした。むしろ好きな話だ。

近親相姦かつ性的虐待でふたりの子どもを持つクレアリース・プレシャス・ジョーンズ。通っている学校を退学処分になったあと通うことになった代替スクールのEOTO(Each One Teach One)。ここでの素晴らしい先生や、同じく読み書き等に苦労しても学歴をつけたいと願って通う生徒との交流を通して、彼女が自信をつけていくのとは対照的に、まったく進歩や努力や向上心というものはないプレシャスの母。もう最後、プレシャスが自分の母親に見切りをつけて子どもを抱いて出て行くのにはまったく同感。彼女もまた愛されたいと願っているのだけれど、それ以上のことが彼女には何もなかった。

私がプレシャスをすごく好きになったのは、自分の子どもをとても愛していること。自分は誰からも愛されない、と感じていて、それがコンプレックスというか、自信ののなさや他人への不信感につながっているけれど、彼女は自分の子どもにはすごく愛情を注いでいて、産まれたばかりの長男に、本を読んであげよう、とか、今は祖母の元で養育されているダウン症の長女を、必ず自分で育ててあげたい、という、母親としての強い気持ちがあるから。
自分がHIVポジティブになったことが分かって悲しいのは、赤ちゃんにおっぱいがあげられない。それだけでプレシャスはじゅうぶんに素晴らしいお母さんだと思うのです。

だから私はプレシャスのその気持ちがあればきっとこれからも大丈夫だと信じて見ていられた。


プレシャスを指導する代替スクールの先生役にポーラ・ハットン。「デジャブ」のヒロインだった彼女がとても素敵で印象に残っていたので、また彼女の姿を見ることができて何より(確か出産でちょこっとお休みしていたはず)。

カウンセラー役にマライヤ・キャリー。彼女がノーメイクで出演していることばかりが話題になってますが、演技も良かったのでは。プレシャスを受け持つ看護士にレニー・クラヴィッツ。相変わらずかっこいいね。


この映画、予告で「私は誰からも愛されてない」と言うプレシャスに、「私は愛しているわ」と先生が言うシーンが流れてたけど、あれってこの映画のハイライトだから、予告で見せるべきじゃないと思います。ポーラ・ハットンの言うあの台詞の力強さが素晴らしいので余計そう思う。
この映画に限らずあんまりネタバレな内容の予告は作らないでほしいわー。
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