どこまでが夢の中? (インセプション)





Inception (2010)

クリストファー・ノーラン節がうなりまくりの作品。「メメント」から一貫してハッピーエンドじゃない終わり方…なんですよね〜。

第一階層で雨の中のチェイス(夢なのに雨が降ってるっていうのが面白い!ちょっと「ブレード・ランナー」っぽい)、予定変更で会長の息子を拉致。第二階層でホテルの中。第三階層は雪山でのバトル。階層が下へ行くほど時間の流れが遅くなるけれど、最後に目覚めるのは各階層の人間が全員一緒でなければ、階層の下の下の下のさらに下の下の…虚無の世界に落ちたまま目覚めることがなくなる、という設定が面白い。

それにコブ(レオナルド・ディカプリオ)の妻との個人的事情が絡まって、よくぞここまで話を複雑に作れたな!とある意味感心です。私、1回眠ればどんどん階層の下にいけると思ってたので、まず現実世界で眠り、その夢の中(第一階層)でさらに眠り、その夢の中で…とエンドレス状態にならないといけないんですね。


で、複雑かつ理解できたならこの映画は完璧だったんだけど(「プレステージ」もそれなりに複雑だったけれど理解できた)、ちょっと謎というか、矛盾と言うか、理解できない部分も山盛りでして。


第四階層と虚無の世界で、妻のモル(マリオン・コティヤール)とコブがずっと、これは夢の中だ、いや違う現実だ、と遣り合ってるのが長いんだな!せめて第二階層くらいでやってもらえると短くて済んだのに(笑)。


建築設計の腕を買われて仲間に誘われたアリアドネ(エレン・ペイジ)がコブに質問する形でインセプションとは何か、とか、階層の説明がなされたのは観客にいい指針となったと思う。この映画のエレン・ペイジはいい!


で、他にも何人もメンバーを誘っておいて、実はコブのモルとの件に決着を付けたいからこの仕事を引き受けたってどうなんだ!とちょっと突っ込みたい。
しかもあんだけ念入りにプランを練っておいて、会長の息子(キリアン・マーフィ)が夢の中で武装化してることを知って、あっさり予定変更って、大丈夫なのか。

それがあだになったかどうかはわかんないけれど、インセプションの依頼主のサイトーは虚無の世界から戻れなかったのなら、このインセプションが成功しても何の意味もないんじゃないのかなぁ。電話一本でコブの身をクリアにできたり、航空会社を買収できるほどの人物なら、そんなせこい(失礼!)手段をとらなくてもいいような気がするんですが。


そんなこんなで自分が100%話を理解できたとは思えないので他にも色々と疑問点を書き連ねるとですよ。

話は年老いた老人(サイトー。演じるは渡辺謙)が岸辺に打ち上げられた男を前に「以前もこういうことがあった」みたいなことを言って、そこからインセプション以前の話が始まり、映画の最後もオープニングと同じシーンで終わるのね。ではなぜサイトーだけ歳を取り、コブは若いままなのか。

死んだら現実の世界に戻れるから!と列車に轢かれたのは、モルだけじゃなくてコブも?あ、でも彼がそういう意識をモルにインセプション(植え付け)したからコブはあの時轢かれて死んでないの?

そしてエンディング。コマは回り続けてた。ということは、コブは虚無の世界から戻れなかった。目が覚めたら飛行機の中で、サイトーも生きてて、自分は無事アメリカに戻り、愛するふたりの子どもたちに再会できた、というのも全部コブの夢の中のこと。という解釈で合ってる?
サイトーが年老いてコブの前に現れてるから、コブも現実に戻れなかったのは確かかな?

それとも実はあの直後、コマは止まったとか。いつもと違い、微妙にブレて回ってたから。つまり、コマはあの後止まっていればインセプションは成功。回り続けたら失敗、なんだろう。その判断は観客に委ねられているのかな。

うーん、もう一回見るべき?誰か正確な答えをー!!


キャスト。レオはここ最近いいですね!軽い身のこなし(この映画ではちょっとやせてるかな?)、銃捌き、決まってます。相変わらず嫁のことで悩んでるけど(笑)。
謙さんかっこいいけどやっぱり死んじゃうのね〜(泣)。マイケル・ケイン(個人的にはもうちょっと出てきてほしかった)やキリアン・マーフィ(意外と普通だった)はノーラン映画の常連さんになりつつあります。
トム・べレンジャーとルーカス・ハースには全然気付きませんでした。


なんだか疑問しか書いていない感想になっちゃったけれど、そんだけ面白かったんです。


あとどうでもいいことちょこっと。
京都に向かう東海道新幹線内に、あんなにいくつもコンパートメントはありません。11号車に多目的室という名の個室は1室あるけど。
サイトー、コブ、アーサーが乗ったヘリは、飛び立ってすぐにミッドタウンが見えたので、ヘリは六本木ヒルズから飛び立ったと思われます。


笑えた台詞は

「どうせ夢の中なんだから派手にやっとけ」
You mustn't be afraid to dream a little bigger, darling.

「観光客も仕事しろってか」
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コメント

非公開コメント

どこまでも夢の中~

そもそもこの映画の中の世界って、人が自分の夢に進入してくるのが一般的になってるのかな。だとしたら会長の息子のように武装するしかないのか!?とも思いました。

あ、最初のシーンに違和感あったのは、中国風だからなのか。サイトーの年寄りメイクも、んー、ちょっと違う、と感じました。顔あんなに真っ白にせんでええやん、と。

コマ、倒れたほうが私としてはスッキリです(笑)。

夢の中に入るのが普通の世界?

サイトーがコブに依頼したインセプションや、会長の息子が夢の中で武装してたってことは、誰かが自分の夢の中に侵入してくるのが一般的な世の中、という設定なのかな?

いちいち謎が多すぎて困ります~。

あ!最初のシーンの違和感は、中国風だからなのか。日本を日本らしく見せるのって実は難しいのかなぁ。サイトーの年寄りメイクも私はちょっと違和感ありました。顔真っ白すぎやしないか?(汗)

こんにちは~

これはもうもう一度観るしかないですね!分かりやすく作ってないから面白いのかもしれません(笑)。

ハリウッド映画って、たくさんの人に来てもらえるよう、何回もプレヴューを重ねて、けっこうストーリーやエンディングが書きかえられちゃうことが多いと聞きましたし。
そういうことを重ねて万人向けの内容になっちゃうよりは、謎が沢山のほうが見ごたえあると思います~。

Unknown

とりさん、こんにちわ~~

>電話一本でコブの身をクリアにできたり、航空会社を買収できるほどの人物なら、そんなせこい(失礼!)手段をとらなくてもいいような気がするんですが。

たた、確かに!! 
わはははは!!
こんな込み入ったことしなくてもねえ。
パワフルすぎて、退屈してて、新しいこと試してみたかったとか?

しかし、新幹線にコンパートメントないですよね。
あのへんは外人が書いた脚本だなと。
というか、最初の海のシーンで、日本語が聞こえてくるけれど、建物のシルエットが和風じゃなくて、中国風だ~ なんて突っ込んでましたが。まあ仕方ないんですよね。

あのこま、倒れるんでしょうかねえ。
確かにぶれて倒れそうだったけど。

こんにちは~♪

お邪魔します♪
この映画は、観終わってから色々思い返したり、皆さんの感想を読んでいたりすると、、、だんだん訳が分からなくなってきました(笑)

トリみどりさんの書かれている疑問点にもイチイチ「そうだよな・・・何が何だったんだ?!」って思っちゃう(汗)
ゴーダイさんが仰っていますが、
>見る人によってどこまでが夢でどこまでが現実かを好きに解釈できるのがこの映画の意図的に仕組まれた構造だと思います
きっとそうなんだと思います。
猛烈にもう一度観たくなってきました!

すいません~

ネタばれありの感想を書いてしまっているので、我慢させてすいませんです。

私はあの最初に出てくる怪しい日本家屋はどーよ、と思いましたが、そっか、夢なら多少デコラティブでもデフォルメされててもおっけーなんだよな、と思ったら、その後は全然気にならなくなりました。

夢ならどんだけでも好きなことできるよねー。あ、でもその典型がコブとモルだったのか。

うーん、そうすると現実世界でまっとうに歳を取って死ぬのが妥当なのかもしれません(笑)。

コメントありがとうございました

こちらこそどうぞよろしくお願いいたします。

最初私はあいまいな感想しか書けない自分は理解力がないダメな観客だなーって思ってたのですが、みんなさまざまな解釈をしているし、あいまいでもいいんだなぁ、と最近は思えるようになりました。

2度目の鑑賞、ぜひしたいですよね!またまた謎が深まったりして(笑)。

最後の最後まで

コメントありがとうございます。ピアフをエンドクレジットに流して観客を夢から起こす…にくい演出ですね~。

しかもエディット・ピアフと来ればマリオン・コティヤールですよね。どんだけ色々考えつくしとるんじゃい!と監督の頭の中を覗いてみたくなりました。

重複したコメントは消しておきました~。

やっと

観に行きました!
観るまでは、トリみどりさんのレビューを読むのをぐっとガマンしてました・・・(笑)

私のアタマではよくわからんかった・・・というのが本音です。
でもアレコレ考える余地のある映画って楽しいですよね!
頭の中が舞台なら、いくらでも話が作れそうですね(続編とかいう意味でなく)
映像も何でもアリですよね。
とにかく、スゴイ映画だったぁ~!

Unknown

初めまして。
こちらこそ、お名前をお見かけしながら、なかなかご挨拶の機会もなかったんですが、
今回は、TBとコメントありがとうございました。
今後ともどうぞよろしくお願いします。

さて。楽しみに待っていたノーラン監督作品。
目や頭で十二分に楽しんでも、言葉にしにくい作品って時々ありますよね。
胸がいっぱいになって言葉にならない時とはまた別の、
自分では一生懸命書いているのに、ちっとも要領を得ない、曖昧な部分の多い文章になってしまうというか。
これは、まさにそんな作品でした。
わたしは、曖昧にされている部分は観客が観たいように観ればいいんだと思っているので、
このお話の結末も、正確な答えじゃないかもしれないけど、
わたしなりに、いいように受け取っています。
それでもやっぱりもう1度観に行きたいです。

二重になってしまいました。m(_ _)m

巧い!

 コメントありがとうございます。^^

ツッコミどころはあっても,
画面に釘付けにさせる迫力の演出はさすがですね。
凄かったぁ。

曖昧なラストも巧い!
「夢だから子供の顔は見えない」とあったので,
ラストは現実だと思います。
コマも微動だにせず回っていたのでは無かったし。

エンドクレジットに流れたピアフは,
観客を醒ます演出だったようです。

ありがとうございます!

映画を理解できてないと感想もぐだぐだになるいい見本みたいなレビューになってしまいましたのに、コメントをありがとうございます。

最後、コブはコマがどうなったか見届けることなく子どもたちの所へ行ったので、コブにとって重要なのは、現実が夢かじゃなくて、国に帰って子どもに再会して元の生活に戻ることなのかな?とも考えました。

ほんとこの映画、考え出したら止まらないし、きりがないですね。困ったよ(笑)。

すいません

あ、あと謙さんも生還した可能性がありますよ。
ラストのコブと子どもの再会シーンが夢じゃない限り、私はサイト―は普通に助かったと思ってましたから。

こんばんは

この映画ラストはどうとでも解釈できるように、あえて曖昧にしましたよね。
私も昨日見てきたので、私なりの解釈をコメントさせていただきますね。


>ではなぜサイトーだけ歳を取り、コブは若いままなのか。

この疑問はもっともですよね。
どう考えても分かりづらく描写があやふやなのですがw、第3階層で死んだサイト―の意識は虚無の世界に落ちて、かつてのコブとモルのように年をとったのは分かります。

それに対してコブは虚無におちたサイトーを意識的に助けようとしている(=虚無の世界がただの夢の世界と気付いている)ので老けなかったのかもしれません。


>死んだら現実の世界に戻れるから!と列車に轢かれたのは、モルだけじゃなくてコブも?

コブもだと思います。夫婦そろって夢から覚めました。
このシーンでは何十年も虚無で暮らした2人が若返っているので、この時点で二人とも虚無の世界が現実ではないのだと気付いているのだと思います。
奥さんはインセプションで強制的に気付かせましたよね。


>そしてエンディング。コマは回り続けてた。
最後の最後でちょっと回転の勢いが落ちましたよねw。
これはもう100%観客それぞれの解釈にまる投げしていると思います。

見る人によってどこまでが夢でどこまでが現実かを好きに解釈できるのがこの映画の意図的に仕組まれた構造だと思います。
でなければラストの夢から覚めるシーンは不自然なほど説明不足ですからね。

前半ではあんなに難しい夢のルール説明が解りやすくて巧いので、ラストはわざとだと思いますよ。