死生観 (ヒア アフター)



Hereafter (2010)

死んだ兄に会いたいマーカス。

死後の世界を垣間見、世界観が変わったジャーナリスト、マリー。

死者と対話できる能力を「呪われた」と思っているジョージ。

この3人がどうやって絡んで話が進んでいくんだろう?と興味深く観れました。そしてロンドンで行われたブックフェアで3人が交錯するのがとても自然で、いい演出だなーって思いました。「バベル」や「クロッシング」の絡み方が私には唐突すぎるというか、無理やりそっちの方向に持ってきてるように感じたから、この演出は良かったです。

そしてイーストウッド映画としても私はこの作品、好きです。終わり方がハッピーだからかな。何か特別明確な答えが出たわけではないし、死を扱っていながらも、生きている今が大事だよ、というポジティブな内容だったからかな。
マリーは本を書いたことによって、マーカスはジョージの能力を介して兄と話せたことによって、前に進めたと思う。そしてジョージはマリーと出会ったことで、これからの人生が今までと違っていいものになるだろうという予感で終わるからかしら。

死んだジェイソンが死後「ここはすごいよ、なんにでもなれる世界なんだ!」と楽しんでる様子でほっとした。小さな子どもが死んだり犠牲になったりする映画は辛いから。


マーカスがジョージに兄と話せるよう依頼したあと、

「死んだらどこへ行くの?」
「分からない」
「死んだ人と話せるのに分からないの?」
「分からないんだ」

のやりとりがすごく好き。ジョージができるのは霊と話せるだけだし、彼にだって分からないことはある。万能の能力ではないのに、おそらく周りは彼にそれ以上のものを求めてくるんだろう。ジョージは死者と対話できるだけじゃなく、依頼してくるひとたちにも疲れきってしまったんだろうな、と思わせるシーン。

そのジョージ。家で過ごす様子を見てると、TV、ネット、新聞、ラジオに至るまで、外部の情報が入ってくるものは一切生活にないのが驚き。そんだけ色々疲れちゃってるんだろうな。唯一の楽しみが、ディケンズの小説の朗読テープ。だから、ひとりサンフランシスコを離れ、大好きなディケンズの生家を訪れるツアーに参加した彼の嬉しそうなこと。当てもない行き先にイギリスに選んだのも納得。

彼のお兄さん、本人の意思に関係なく弟の能力が金になるって、すげー分かりやすい人だけど、ジョージはもっと早く兄から離れても良かったのでは。

ジョージが料理教室で出会ったメラニー。彼女のハイテンションが作品に会ってないんじゃない?と感じたんだけど、彼女は結婚寸前までいった相手と破局してるという過去がそうさせているのか。ちょっと彼女の雰囲気はあの映画にあってないと感じました。

ジョージの「能力」が、留守電の兄の話でメラニーにばれてしまうシーンもうまい。この映画って、さらりとさりげないようでいて、実はものすごく緻密に脚本が練られているのに感心。


海外のブックフェアって、作家さんが直接朗読をしてくれてすごく興味深いイベントですね。一度参加してみたい!日本で本の見本市には参加したことあるけど、それとはまたちょっと違うイベントみたいだし。


キャスト。ジェイソン・ボーンに負けず劣らずな孤独っぷりがすごいジョージ役マットいいです!!日々の生活を変えようと参加したのが料理教室。エプロン姿のマットを見られるとは思いませんでした(笑)。メラニーとジョージじゃ10週間後でも料理コンテスト優勝は程遠そう(笑)。

セシル・ドゥ・フランスが冒頭で津波に巻き込まれるシーンがすごく怖かった。私、「水中でどうにもならない状況」ていうのが苦手。見てるだけで窒息しそうで怖くないですか?しかも、マリーはいったんは大木に捕まって、周りの人も手を差し伸べてるから、助かりそう、と思ったら後から流れてきた車(かな?)がぶつかってきて頭を打ちつけ、これじゃもう絶対死ぬだろ、という状況が怖かった(泣)。

ホスピスのドクター役にマルト・ケラー。なんとこの人、「ブラック・サンデー」(1977)で女テロリスト役をやってた人だ!「ブラック〜」をつい最近見たから驚いたし、いったいどうやってこういう俳優を見つけてくるのか。それを言うならディケンズの小説を朗読してるのがデレク・ジャコビ。


それにしてもイーストウッドの映画は、本当に静か。音楽がさりげなくバックで流れているだけだから、映画館内も非常に静か。多くのハリウッド映画は音楽が本当に多く、まぁ悪く言うとうるさく流れてるんですね。そんなことにも気付きました。あと、予告で流れてたSiaのLullabyという曲は劇中には使われなかった。ちょっと気に入ってたので残念です。

まぁだいぶ甘い評価ですが、こんな感想の私でも最後のキスシーンはいらなかったかな、と。あと目隠しテイスティングシーンも。見てるこっちが恥ずかしかった!
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コメント

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浮世離れマット

こんにちは!いえいえそんな、コメントいただけてTBまでありがとうございます。

メラニーがあの映画にあってないと感じたので味見シーンは余計かな、と思いました。ジョージが密かにメラニーに好意を寄せるだけでよかったのになー。

私は「グラン・トリノ」がピンとこなかったので、イーストウッドはこういう作風の方が自分に合ってるのかな?

私も真紅さんに、いつリンクをお願いしようかと迷っていたところなんです。ぜひよろしくお願いいたします。

エスパーマット

トリみどりさん、こんにちは。
私はこの映画ダメだったのですが、TBさせていただきました。
料理教室のシーンは、私もあまり意図がわかりませんでした(汗)。
あそこは無駄に長かったような。。
音楽や映像はイーストウッドらしかったですね。

ところで、こちらのブログをうちでリンクさせていただいてもよろしいでしょうか?
是非お願いしたいのです♪ もしよければ。。是非是非。