幸せになりたかった (シンプル・プラン)



A Simple Plan (1998)

1995年このミス1位だったので、発売されてすぐ小説は読みました。で、あまりにも後味の悪い結末で、読んだ後しばらくブルーだった…。映画化されても観なかったんだけど、ちょうどTVで放映してたので。

これ、サム・ライミの隠れた名作だ。墜落した小型飛行機の中から400万ドルを見つけたジェイコブ(ビリー・ボブ・ソーントン)、ハンク(ビル・パクストン)兄弟と友人のルー。学歴もあり、一番しっかりしてるハンクが、彼がいちばんばれなさそう、金のことをしゃべらなさそうなのに、隠蔽工作を色々思いつかざるを得ない状況になるうちに、どんどん深みにはまっていく描写もいいけれど、それと対象に、何の取り柄もない、弱気で独り身の兄ジェイコブが最後はあまりにも普通の感覚で、そうであるがためにあの悲劇になってしまうのがあまりにも哀しくて。
金で人は変わる。でもジェイコブは良くも悪くも変わらなかった。


そのジェイコブの最期の台詞がどれも素晴らしい。

「このままずっと罪の意識にさいなまれて生きていくのか?俺には無理だ」

「もう自分は失うものは何もない。でもお前にはサラやアマンダがいる。幸せになれ」

「金なんか見つけなければ良かった」

そして

「(出産祝いの)くまのぬいぐるみは俺からだとサラに言えよ」

に、もう号泣。

ハンクだってもちろん悪い人ではない。みんな幸せになりたかった。大金を見つけて、そのお金で幸せになりたかった。なのになれなかった。

そしてラスト、すべての札束のうち1/10だけ、警察が番号を控えたことを知ったハンクは、家の暖炉ですべての金を燃やしてしまう。ルー、ルーの奥さん、兄のジェイコブ、地元の警官カール、スノーモービルで通りがかった近所の男性…それだけの人が死んで、最後は1セントたりとも手に入れることは出来なかったこの虚しさ。プランが全然シンプルでなくなっていくところがこの題名の皮肉さ所以。


原作を読んで何年も経ってるからあまり原作を覚えてないのが功を奏して、私には素晴らしい映画化でした。

ビリー・ボブ・ソーントンの名演技が光るのは、ルーと一緒にハンクをバカにしているように見せて、あらかじめハンクに指示されたように、ルーに嘘の自白をさせるよう仕向けるシーン。このシーンは、共演のビル・パクストンもブレント・ブリスコーも良いんだけれど、あの話の持って行き方があまりにも自然で、演技と思えないくらい。
彼の役作りも、両親が残した古いオンボロの家で犬と一緒の暮らしぶりが服装や表情によく出てる。彼のめがねの中心が、壊れてテープで治してあるあたり、お金がないんだな、と分かるし。いや、ホントに参りました。


原作をある程度にしか覚えてない方が、映画化は楽しめるな。じゃあ私にとっては思い入れのある「ミレニアム」シリーズももうしばらく寝かせといてから映画見た方がいいのかなぁ。


ちなみに1995年のこのミス2位の「ストリート・キッズ」は、この作品とは対照的にとても爽やかでいいですよ。
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