その死は誰のために (エリジウム)

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Elysium (2013)

幼いころ、孤児院で仲良くなった女の子に、いつかエリジウムへ僕が連れて行くよ、と話した男の子マックスは、数十年後、マッチョでスキンヘッドで全身タトゥーの前科ありまくり、低所得の暮らしをしている身になったのですが。

彼の日々を変えたのは、勤務中の事故。余命5日の彼が、否が応でもエリジウムへ行って、生(せい)を求めるはずだったのが、請け負った仕事で、さらに死に至る近道一直線な方向になってしまったのだけれど。その退路なし、失うものが他にもうない彼の暗い、冷めたような表情から、目が離せなかった。まさかあんなに切ない展開になるなんて。エリジウムへ行くことが「自分のため」から、他の人のために、となった瞬間から、彼の生き様に泣けた。

まさかエビを撮った監督の2作目に泣かされるなんてー!


というわけで、多分エリジウムの造形とマックスの行動がいちばん心動かされたところなので、あとは…あとはまぁ、普通です。なぜならそれ以外の感想がうまく書けないので、そんなに印象に残らなかったのかな、と。ガーッと話を持って行って最後まで引っ張られていったけど、あとから冷静になって思い返すと、アラも目だつストーリーなんだよなぁ。「第9地区」はそう感じなかったから、やっぱちょっと、風呂敷を大きく広げて回収できない部分もあったかと。

でも、音楽がねぇ、もうラスト近くのマックスのシーンになると、ぶわーっと泣けてくるメロディーラインなんですわ。これは卑怯。いい意味で卑怯。


密かに総裁の地位を狙うデラコート(ジョディ・フォスター)のクールさはよかったけれど、強引な点がね、案の定、彼女の非公式な任務を担う地球の仕事請負人クルーガー(シャルト・コプリー。今回は悪人だよ)にさっくり殺られてしまいましたわ。

マックスが思いをよせるフレイ。彼女には末期の白血病を患う娘がいた。娘をエリジウムへ連れて行き、病気を治したい。その娘・マチルダの話を途中でさえぎるマックス。「カバの得は?」「友達が出来たのよ」がラストに生きてくるんですわ、これが。

そしてマックスがエリジウム行きの切符を手に入れるために言った「なんでもやる」仕事。その結果、手に入れたのクーデターのためのエリジウムの新しいプログラムだということがわかって、あっさりクルーガーの飛行船に乗ってエリジウムに到着できたのがびっくりでしたが(そして都合良くフレイとマチルダも一緒だという)、ラストまで一気に突き進むくだりは、猛烈に面白かった。


しかし、リブートすると「死」になるプログラム。今回はマックスが死んだわけだけど、普通に何も邪魔が入らずリブートしたら、何が(誰が)死ぬことになったの?やっぱりデラコート高官?それとも更新プログラムを自分の脳内に仕込んだアーマダイン社の社長?すごい頭悪いのでわからなかったよ私。


正直、「第9地区」の監督の2作目に、マット・デイモンって合わないんじゃないかと危惧していたのですよ。「第9地区」のシャルト・コプリーが素晴らしかったのもあって。予告見るとブルース・ウィリスみたいだったし。

でも今回は、ビッグ・バジェット。そりゃもうふんだんに予算を使ったと思われる映像の数々。地球から飛び立った不法移民を乗せた飛行船が、エリジウムの前では、虫けらみたいにちっちゃくて、どんだけ潤沢なお金を使って作ったんだよその場所は、と。その圧倒的なスケールはやはり、映画館で観ないと。

で、そういうスケールの大きい話に、マットはしっくりきてたので、良かった。でもマックスって、よく考えたら最初から最後までけっこうひどい扱い。放射室からドロイドに引きずられて連れていかれる姿なんて、もう使い捨て同様。人体改造(!?)手術もされちゃって、それって余命5日じゃなかったら絶対引き受けないだろうし。

それにしてもあの、マックスの体に取り付けれられた、「巨人の星」の強制ギプスみたいなの。ドリルやノコ使って、がっちり体に装着ですよ。麻酔こそかけたけれど、うへー!と思いました。「直接神経に繋げるから」って!やめてー!聞いてるだけで痛々しい。ちょっと「鋼の錬金術師」を思い起こしました。


風の強いエリジウム内で、マックスの血が風に乗ってぶわーっと流れるシーンが妙にリアルですごーく印象に残ってます。ほんと今回、マットは血だらけ傷だらけの満身創痍もいいとこ。彼が出てるアクション映画って、けっこうリアルにほこりまみれだったり汚かったり、と、リアルなんだよなぁ。

マットのスキンヘッドはデジャブ感があるなぁ、と思ったら、「ユーロトリップ」で坊主頭で歌ってました、そういえば。



ゴージャスな雰囲気のジョディ・フォスター。衣装が素敵なんですが、手がけたのはジョルジオ・アルマーニ。

マックスに手を貸す友人フリオが、この目、この目はどっかでみたことあるなー、と思ってたら、ディエゴ・ルナだった。三つ編みおさげがちょっとかわいい。途中退場が残念、もったいなかったよー。しかし後半スパイダーがマックスに手を貸す展開になるから、フリオには退場していただかないといけなかったのでしょうかね。


そしてクルーガーの造詣が、なぜか忍者!武士道!ほんっとーに、日本のアニメや文化が今、大人気なんですね。手裏剣投げてたし。ラスト、マックスとクルーガーの一騎打ちの背景には、桜っぽい木が植えてあって花びら散ってたし。ああいう情景、向こうの人はすごく喜ぶんでしょうか…。
手榴弾であんなに顔ぐっちゃぐちゃになったのに、死んではいないんですねー。すごい生命力!

演じるシャルト・コプリーも「第9地区」に続いて素敵。彼の台詞は英語なんだかなんなんだか、すごいなまってるのか、さっぱり分かんなかった。他の人物も、英語とスペイン語ちゃんぽんでごちゃごちゃっと話す感じがね、いいです。


スローモーションが多すぎたのはちょっといただけないな。ふつーにさくさく見せてくれていいです。

しかしこの映画、PG12とは。R15+でしょ。まだまだ息子と映画を見に行く日は遠いなぁ。


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2012コミコンの時の、左からシャルト・コプリー、ジョディ、マット。いやー、ジョディ、ちっちゃい、可愛い~

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コメント

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こんばんは♪ またまたお邪魔してしまいました。

いやぁ、ご覧になられたのですね!
読みたいけど、3行で我慢しました(泣)
今週の土曜日に行けそうなので、またまいります。

前作エビエビ、私、見かたを間違ってたみたいで。
南アフリカそのものを描いてるなんて思いもよらなかったアホウです。
監督、すごーい、賢い!と思って、次の作品を楽しみにしておったんですが、これまた社会派…なのかしらん。
いかがでしたか、マット。

ひゃぁ、ジョディの小柄なこと!
というか、男性陣がでかいのでしょうか。
ジョディの悪役も楽しみでございます。

ところで、サード・スター 僕が星になる前に という作品、ぜんぜん知りませんでした!!(迂闊)
関西でどうなのかな?と調べましたけど、よくわからず…
でも、邦題からするに、なんだか天国いっちゃいそうな、あかんようなお話なのでしょうか。

ベネ坊ちゃん、いろいろやっておいでなんですね♪
「ラスト・エネミー 監視国家の陰謀」のときのような天然素材炸裂なうっかり坊ちゃんもまた見たいです(笑)
そうそう、つい先日BS朝日で坊ちゃんがゴッホを演じてるドラマもやっていたそうで、それを完全に見逃して地団太踏んでます。

こんにちは。ネタバレ全開の感想でごめんなさい。3行で読むのを止めてもらうの正解です。観賞後にまた来ていただけるのをお待ちしております♪

ジョディは、身長160cmです。だから決してチビではないのですが、いかんせん両脇を固めるお方がでかいので…(笑)。左のシャルトは180超えですし。でもジョディは、スクリーンで映えます。存在感があるって、こういうことを言うんですね。


サード・スターは、大阪だとシネ・リーブル梅田で11/9公開のようですね。えぇえぇ、いかにもな題名です。死にますね、これ。

ゴッホも私は見てません。ていうか、私、ベネの作品はシャーロックと裏切り~しか見てないわ!今ですと、短編の"Little Favour"が今ネットで予告みられます。血みどろですが。実はこういう方が好きです、ふふふふふ。

妙な時間にこんばんは☆
(久々の映画館で疲れて?爆睡してしまい、今頃もそもそ起き出して活動中です)

教えてくださったLittle Favour見ました!!
うわー、うちの坊ちゃんになにしてくれますのん!て思いつつ、へへへ、私もこういうほうが好きかも。
坊ちゃん、いろんな仕事してますねえ。情報、ありがとうございます♪

さてさてところで、エリジウム見てまいりました~。
いやぁ、やっぱり大画面に限りますね!!
で、そうそう、スケールがでかいわりに、世界がえらくちっこいというか、つっこみどころ満載でしたね(笑)
エビエビの完成度の高さを改めて感じてしまった次第です。

でも、やはり前のめりで鑑賞しました~。
も、マックスに感情移入しまくって、3回くらい涙ぐんでしまう始末でしたヨ
(出勤シーンに涙ぐみ、むちゃくちゃな装着手術前後に涙ぐみ、ラストにかけてまた涙ぐみ、という)

レヴュー読ませていただきながら、(ほんとだ!マックスの血がびゅわっと風に流れてたっけ!)と思い出しました。リアルでしたねぇ。
言語のちゃんぽんも良かったです♪
クルーガーで登場のコプリーったら、櫻に日本刀もどきに手裏剣爆弾て、なんなんもう!!(笑)

ジョディは、相変わらずのクールビューティーで嬉しかったんですが、あの衣装はアルマーニですか!!
長官、マックスと対峙するかと思ったらぜんぜんでしたね^^;

久々の映画館、脚本を堪能するのはもちろんのこと、大画面では俳優を見るというのも大きいんだなあと今更ながら感じました~。
エビ監督、次回作はじっくりせめてほしいです。

おぉ、"Little Farour" 、お好みでしたか~♪紹介した甲斐がありました。短編なんでねぇ、公開っていう形は、特に日本では難しいかもしれませんね。

私は先日、携帯(iphone)の着信音を「シャーロック」のテーマ曲に変え、ひとりでほくそえんでいます。もうキャストに堕ちるのも時間の問題でしょう。


えーっと、エリジウムの話でしたね(汗)。デラコート長官はマックスと対峙しなかったのは、私も残念。自分の部下のクルーガーにやられちゃうとは。あららら、でした。

マット・デイモンって、本当に、普通の感じの俳優さんなのに、逆に普通っぽく見えるから、人間の痛みとか弱さとかの表現が生きるのかな、とも思いました。

ストーリーのアラはともかく、109分、ハラハラドキドキ、涙で見れたので、私はとても楽しみました♪