はじまりのうた

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Begin Again (2013)


私は普段、音楽はほとんど聞かなくて。だから家の中も無音だし、TVもつけっぱなしにしないしラジオもめったに聞かないし。でも、「once ダブリンの街角で」は本当に大好きで、一時期サントラも狂ったようにこればっかり聴いてました。余談だけど私のiPhone内は9割が洋楽と映画のサントラです。

さぁ、その「once」の監督、ジョン・カーニーの新作です!舞台はNY、主演はキーラ・ナイトレイが演じるシンガー、グレタ。彼女を見つけてプロデュースするのがマーク・ラファロ演じるダン。そこに、友人のスティーヴ、元彼のデイヴ、ダンの妻と娘が絡んでいく進行がうまいし、なにより最初にグレタがNYのライヴハウスでいきなり舞台にひっぱりだされて歌う設定がリワインドで描かれる前半がむちゃくちゃいい流れで分かりやすいし、グレタとダンが出会うまでの経緯が分かって、すっと2人に感情移入できるし、これすごく脚本がいいです。

自分が起こしたレーベル会社をクビになっちゃったダンは、ある意味発掘したグレタに対しては儲けとか考えずにもう無心で、純粋に良い音楽を世の中に送り出したい気持ちが強いし、グレタは、有名になりたいわけじゃない、自分の生み出した大切な曲を、何かしらの形で残したかったんだろう。両者の気持ちが一致して、バックバンドを集めて、メンバーはもちろん無報酬なんだけど、グレタとダンに共感した、いやこれ音楽だから、共鳴、かな?共鳴した人たちが集まって、レコーディングを重ね、アルバムを作り上げていく過程が、もう涙で。ずーっと泣きながら見てました。最近私の涙腺どうしちゃったんだ!

そしてゲリラライヴならぬ、ゲリラレコーディング。これ、すっごく素敵ですよね!コンサート会場で録音したライヴ盤はあるけれど、レコーディングを外で1発録りするって素晴らしいアイデア!!

NYの象徴的な場所、セントラル・パークやワシントン・スクエア・パーク、地下鉄の駅で録ることもあれば(そして無許可なので地下鉄でNYPDに追いかけられる)、ビルの屋上や、路地裏も使って。録音に騒音が入っちゃうから、と、うるさい子供たちを買収(笑)して、さらにバックコーラスまでやらせるダンのやり手な姿も垣間見えて。

そしてバックバンドに、ベースを弾いてるダンの娘も引き入れるのだけど、ダンと娘のヴァイオレットのセッションがまたいいんです!曲の合間に、ヴァイオレットを誘ったグレタが彼女のアンプを調整してあげたり、曲が終わるとダンが「最高だよ!」って娘に近づくんだけど、ヴァイオレットは持ってたピックを父親に投げつけて、ダンからのハグもちょっとイヤそうに、でもやり遂げた満足感もあって、受け入れてるのが、とーってもリアルな「難しい年頃の娘と問題を抱えたお父さん」な図でね。作ってない感じがすっごく良かった。ものすごく何気ないシーンなんだけどね。

何気ないシーンと言えば、グレタからの電話を受けたダンが、よし、やろうってアルバム作りにGOサインを出すと、それを聞いたグレタの顔に、カメラが少しだけズームして顔がアップになるの。これも、ものすごく良かった。

グレタの元彼、デイヴ。一緒に住んでたロフトで、LAから帰ってきたデイヴが新曲をグレタに聞かせるんだけど、その曲調が以前と変わった=浮気をしてる、に気付いたグレタ、すごい。でも、音楽でつながっていた2人だもの、気付くのは当然かも。

デイヴの携帯の留守電に、別れの曲を吹き込んだグレタ。彼女はもうここで、彼への気持ちはすっぱり断ち切ったんだれど、デイヴの方は未練たらたらで。成功して、商業主義に進んだデイヴ。自分が好きな方法で表現することを優先したグレタ。どっちが良い、悪い、ではない。でも、デイヴとグレタが一緒に作った曲が、ライヴ会場で、グレタがこの曲はこうあるべき、と主張した、オリジナルのバラードバージョンで歌われても、あぁ、そうか、グレタは悟ったのだろう。2人で作った曲は、もう自分たちの手を離れてしまったんだ、と。

ラストは、制作したアルバムを、グレタとダンが、せーの!でネットにアップロード。儲けはいっさい考えず、売価は1ドル。それを、ダンにお世話になったラッパー、トラブルガムがツィートしたことで、1晩で1万DL。このあたり、いまどきな展開でいいよね。私も買うよ!

冒頭に、ダンの車のバックミラーにぶら下がってたイヤホン用のスプリッター。あれはちゃんと深い意味があったんだね。うまい演出です。

デイヴ役の人、歌がめっちゃ上手だなぁって思ってたら、マルーン5のアダム・レヴィーンだった。そりゃうまいはずだよ!

久々にキーラ・ナイトレイが魅力的で。彼女が着ているワンピースがどれもとっても素敵。ヴィンテージなのかな?ちょっとクラシックな服が多くて、真似したくなります。


そうそう、これは余談&びっくりだったんだけど、イギリスからNYにやってきたデイヴとグレタが一緒に住む広~いロフトが、なんと「パーソン・オブ・インタレスト」で、リースがフィンチから贈られたあのロフトと同じだった。びっくり。





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