POI S4 Ep20

Terra Incognita

超ド級の重たさを持ったエピソードでした。同時に素晴らしいエピソードでもあり。このエピで、私はリースの見方がガラッと変わった。
今回は、背景にずーっとずーっと悲しい旋律が途切れることなく流れていて、これがまた胸が締め付けられて苦しくなるほど。

S1Ep20で、カーターがそっと上着の内ポケットに入れた、ジェシカとリースが一緒に写った写真。あれがまさかこんな形でリースの元に届くとは。彼女はずっと返したかったのでしょうね。遺品が入ったボックスの中から出てきた時、ちゃんと白い封筒に丁寧に包まれ、ジョンへ、と宛名が書いてあって。

始めは、2008年にまだカーターが新人刑事で、ターニーの部下で仕事してた頃の事件と、2015年の現在に番号が出た人物が同一事件だったことで、カーターが生きてた頃の回想シーンが挟まれてるのかと思ったけれど。そうではなくて、冒頭の、銃声とうめき声と人が倒れた音は山荘で撃たれたリースであり、張り込み中の車内で、カーターは、「私は大丈夫(寒くない)」と言っているのに、車内のヒーターの温度をどんどん上げるリースに、あれ?と思ったら、瀕死の彼が作り出した幻にカーターが現れたのですね。

カーターは死に際のリースの元にやって来たお迎えであり、死ぬ間際にリースが会って話をしたいと強く願ったのは、もう亡くなって会えないカーターだったのだろう。

カウンセリングなんかより、こういう形でリースの過去や本音を引き出してもらう方がこちらもよっぽどスッと受け入れられるし、私はS3以降のリースの描写にどうにもこうにも違和感やそうじゃない感をずーっとずーっと引きずってて、それがおそらくS3以降のPOIを好きになれない大きな一因なんだけれど。

ジェシカを遠ざけたのは、彼女を悲しませたくない、という理由だけでなく、自分が大切に思う人を亡くしたくない、自分自身が傷つくからという恐れ。大事な人がいなければ悲しい思いをしなくて済むから。それは相手への優しさであり、同時に自分自身が抱える弱さ。それがあなたの本当の気持ちなのよ、とカーターは、死の間際のリースに伝える。

そもそもリースは最初っから自分の幸せを投げているけれど、今回はっきりと明かされた、彼の本当の気持ちを聞いてから今までの話を振り返ると、私自身やっと納得できた、というか腑に落ちたし、今までの彼にまつわるストーリー展開もやっと受け入れられたように思う。

愛する人を失う前にその人を手放して、誰か他の人に幸せにしてもらえ、と願ったのに、結局ジェシカの人生は不幸な終わり方でこの世を去った。それはリースにとって取り返しのつかない大打撃。そのショックからようやく立ち直ったはずだったのに、さらにカーターを亡くしてしまったリース。表面上は得意のポーカーフェイスで上手くやり過ごしてはいるけれど、今まで親しかった人間だけでなく、近づいてくる人をも遠ざけようとするのは当然かも。だって、もうこれ以上傷つきたくないから。

それでもカーターは、あなたはひとりじゃない、見守っている人がいる、と告げる。これは、HRを壊滅させるために、一人だけでやり遂げようとしたカーターに、ファスコやリースが言った言葉でもある。そしておそらくその時はカーターの心には届かなかった言葉。だからカーターは命を落とした、というわけではないけれど、自分が掛けてもらったにも関わらずその時は届かなかった大切な言葉を、カーターは同じく大切に思っていたリースに伝えたかったのだと思う。
だから、遠くから車のヘッドライトに気付いたリースが助手席を見るともうカーターの姿はなく、やって来た車の中にはリースを助けに来たフィンチがいたのは間違いないだろうから(S1Ep10と似た状況ってのもあるし)、もう私の役目は終わったわね、と言わんばかりに、カーターは消え去った。

リースは本当に、カーターを大切に思い、心から尊敬していたんだな、と改めて思い返す話でした。リースの、「この事件はひとりで手掛けたかったんだ。君を身近に感じられるように思えて」って、究極の愛の告白にしか聞こえない。


そしてこのエピソードで重要なアイテムは、写真。

全員、写真を持っていたんだ
誰もが写真を持っていたんだぞ

2度も繰り返して言ったリース。彼の初任務中に起こった、人生に強烈なインパクトを残した出来事。リースは写真を持ち歩くような大切な人を自分はもう持たない、と決めた。でもジェシカは、彼との写真を他の人が簡単には見つけられない場所に大事に保管していた。それはつまり、リースが遠ざけたにも関わらずジェシカは彼を想い続けていたに違いない何よりの証拠で。リースにとってはずっと、救えなかった後悔でいっぱいだったけれど、時が流れ、これからはジェシカはずっと自分のことを想っていてくれた女性だった、と、穏やかな心境にシフトする時期なのかも。

ジェシカが持っていた写真が、カーターの手を経由してリースの元にやってきたのも、すごく意味があると思う。彼が心から愛して、今はもう亡くなっている2人。

リースは、自分の弱さを認めて受け入れたら次は明るい場所へと歩き出す時が来たのかもしれない。


このドラマは、メインは人工知能を巡る攻防戦だけど、それと並行して「人は変われる」「あなたはひとりではない」がテーマとして根底に存在しているので、リースも変われる時が来たんだよ、というのを示した回なのかな。


S4まで見てからS1、2を見返すと、その頃のリースって、本当にめちゃめちゃ強くて話し方も一貫して上から目線で強気だし(それがまた見てて小気味いいし爽快だったしね)、相手が誰だろうが、怖いものなしで自分のルールにのみ従って道を突き進む凄腕元CIAエージェントなんだけど。でもそんなリースのメンタル面(主に弱さ)を、良い方向で暴いてくれた今回のエピソードを私はすごく好きだし、こういう表現方法なら大歓迎です。


今エピで、最初に流れるキャストのクレジットの最後に、

Guest Starring  Taraji P. Henson

って名前が出た時、私は本当にうれしかった。セルDVDの特典に収録されているNGシーンや撮影風景を見ても、タラジはいつも明るくてパワフルで、現場を元気にするムードメイカーだったんだろう、と容易に想像できる。今回の、久しぶりのタラジとの共演で本当に嬉しそうなジムの気持ちが伝わってくるし、お互いの演技が、タラジとジム、それぞれの魅力を引き出していて、その結果がこんな見ごたえのある素晴らしい作品になったんだろうな、と感じるの。本当にね、息のあった2人の演技が久しぶりに見られて、カーターが、そのカーターを演じたタラジがいなくなったことが、今更ながら悔やまれます。ジムはタラジのこと大好きだと思う。

こんな素敵な女優さんに出会えて、私は嬉しい。POIに感謝。


それにしてもリースが撃たれたのって、そして死にかけたのって、シーズン通してこれで何回目なんでしょう…。

関連記事

コメント

非公開コメント

No title

こんばんは♪
バスケ漫画に浮かれてたけど、うわぁ、この回はすごかったですよねぇ。
2回しみじみと、かみ締めながら見た我が家です。
でも、その時の細かな思いとか忘れてた(またかい)ので、拝見しながら、うおー、そうだった、そうだよね。そうかもしれん!!もう一回見たい!!って、なりました。
再放送してるんですけど、なかなかタイミング合わず…。
もう少し気合い入れます。

Carter

こんばんは。何かに夢中になれるのは素晴らしいことです。私もPOIに浮かれている間に色々と失っているものもあるかと思います(苦笑)。

この回、地味で暗い話なんですけどね、本当に、すごくいいエピソードだと思うのですよ。そして、見た人それぞれが色んな解釈をするだろうけれど、私はこのブログに書いたのが私なりの解釈です。

もうリースはカーターがお相手なのがいちばんええんちゃうの?と思えてきました。カーターは彼の過去や本名も全部知ってるし、恋や愛もいいですが、同士な彼らはきっと気が合うと思うし。そういう関係の方がなんか長持ちしそう。
カーターはもう亡くなっているのでそれは絶対に無理な相談なんだけどね。

今AXNで再放送してるのね。タイミングよく見られると良いですね。最終シーズンになるS5の放映日は本国でいまだに決まらないので、まだまだ時間はありそうですよん。

武田さんのPOIの感想もいつかじっくり聞きたいです♪