POI S1 Ep21

Many Happy Returns

今回の対象者、サラ・ジェニングス役ダグマラ・ドミンスクは、なんと「モンテ・クリスト伯」(2002)でエドモン・ダンテス(ジムさん)の恋人メルセデス役だった女優さん。つまり映画で共演したふたりが10年ぶりに今度はTVで再共演してるんですね。すごい偶然だ
リース君、フィンチより図書館に先に来てコーヒーを淹れ、フィンチの机の上に靴のままどっかりとあの長い足を乗せて本を読むって、とってもお行儀悪い~
上司に対して「点数稼ぎだよ」なんて言ってますが、まぁようするにこの人、番号出ないとやることないんですね…
「今日は休むといい」って言われたリースが、「…は?」って見せるこの微妙な表情…対照的に、妙ににこにこ笑顔のフィンチ
「知ってるぞ、今日は誕生日だろう?」とポケットから取り出したのはリボンがかかった小さな箱
「今日は一日好きなことをするといい」と、さー行った行った、とていよく廃図書館からリースを追い払っちゃうフィンチ。でも本当の理由は別にあって
そして残念ながらリースは仕事以外にすることがない…趣味とか一緒に過ごす友人とかそういうのは皆無で、自宅の簡素なアパートに戻ってコーヒーメーカーを火に掛けながら、ラジオか何かで野球の中継を聞く以外の楽しみがない…しかもこの時点でまだ朝の8時台
スーツの男を追うドネリーが、2011年に殺された男性の件で彼の指紋を見つけた、ということで、ドネリーとカーターが一緒に捜査。ニューロシェルに向かう前に、どうすべきかカーターはフィンチに相談するんだけれど。フィンチは自分が彼の過去の顛末をカーターに語るのは適任ではないと思っているんだね。だから優秀なカーターを信頼し、彼女自身でリースの過去を見つける方がふさわしい、と捜査に行くよう勧める
カーター不在のため、フィンチはファスコと組み行動を起こすのですが。ファスコは案の定サラの尾行に失敗、代わりに現場に出たフィンチも同じくサラを追う夫ジェニングスに声を掛けられ疑われちゃって。そこへ助けに現れたのがリース。てことはつまりいつものようにフィンチを尾行してたんですね



自分抜きで仕事をしてたフィンチに怒っているだけじゃなく、今回の対象者サラはDVの被害者ってことでリースの怒りはさらに増長
「今回は君の感受性を考慮して外したんだ」とフィンチは気遣うも、「俺の感受性の問題なんか後回しでいい」となかば脅すようにサラの情報を出させるリース。このエピのリースはずーっと瞳孔が開きっぱなし。悲しいかなそういうリースはたいへんに美しい
サラの夫ジェニングスが勤める連邦捜査局に勝手に侵入したリースが、彼の元に向かいながらスーツのボタンを外す。ボタンひとつで彼の感情やこれから彼がすることを表現するの、すごくうまい
強硬手段でサラに手を出すなと脅したのが逆に夫のジェニングスを暴走させることに。リースの強引なやり方に、仕方ないとはいえフィンチは少々怒っている
このエピのフィンチの上着。風にあおられちらっと見える裏地のピンクがすっごくおしゃれ
捕まってしまったサラを夫から取り戻して逃がすため、フィンチの車とラップトップを手に入れるとリースは一言「車から降りろ」。何も言えないままただリースに従うしかないフィンチは、カーターにリースの居場所を尋ねられても、「今どこにいるか、分からない。もう彼を止めることができない」



ジェシカの母から、以前付き合ってた人だったら娘を幸せにできたかもしれない、という言葉を聞き、彼女の遺品の中から見つけた1枚の写真。これ、見つけたのがカーターで本当に良かったと思う
ニューロシェルでの捜査を終えたカーターはリースの過去を知って、ジェニングスを殺すのではないかと言う危惧を抱いて彼を説得しようとするのだけれど
「自分がすべきことをやる。警察は助けにならない。だから俺は自分がすべきことをする」…カーターの説得さえ聞かず、そのままリースは車を走らせて去ってしまう
翌朝署に戻ったカーターは、取り寄せた資料からリースの経歴を全て知る
ここでリースの誕生日が5月1日、出生地はワシントン州ピュアラップ、ファーストネームはJohn 、ミドルネームはHで始まり、ラストネームのスペルの最後はs ということが分かるけど、リースってホントにピュアラップ出身で、ジェシカと同郷だったんですね!S1Ep15でピーターにそう言ったのは、彼の興味を自分に向けせるため嘘をついているんだと私は思ってました
そのリースの軍歴は、カーターの表情からすると、おそらくそうとう厳しい内容だったんだろうことがうかがい知れる
資料はすべてシュレッダーにかけるも、写真だけはどうしても処分できず、そのままそっと自分の上着の内ポケットにしまうカーター



そしてこのエピソードは、第1話と呼応してるシーンがいくつもあって、1話目最初のリースのモノローグとメキシコでのジェシカと一緒の休暇、そして終盤のクィーンズボロ・ブリッジたもとの公園でフィンチとリースがベンチに座って話をするシーンはこのエピでも再び繰りかえされました。特にS1Ep01冒頭のリースのモノローグは実は過去にピーターの前でリースが言った言葉だということが分かり、ものすごく胸を衝かれました。
何の接点もなかったように見えて実はふたりは過去に関わりがあったことが、シーズン終盤においてようやく全体像が描かれ、ここが着地点になったかと。よって残り2話は、マシンを巡る話へと変わっていきます。

この回は上司が部下に部屋をプレゼントっていうすごい話なんだけど、これって実は、あの部屋の大きさと豪華さはそのままフィンチのリースに対する罪悪感を表しているんだよね。そうでなかったらとてもまっとうなドラマとは思えない…同性の上司が部下に、部屋をプレゼントって…上司が、部下に、部屋を…(もうこの辺でやめとこう…)

フィンチから渡された住所を頼りに見つけた部屋。いぶかしげに思いながら先に受け取っていた鍵を差し込むと確かにドアは開き、中に入るリース。部屋の様子をうかがいながら窓際から下を見ると、そこにはいつもボードゲームを一緒に楽しむ盲目の老人、ハンの姿が見えて。その場所が見える部屋を選んだフィンチの思いを受け取ったのでしょう。やっと穏やかな笑みを浮かべるリース。そんな表情で終わって、本当に良かった。ホッとしました

 

今回の事件でフィンチがリースに強く出られない理由。それは以前から何度も番号が出ていたジェシカの死を止められなかったから。リースが訪れた病院にいた車いすの男性。それは実はフィンチで、リースにぶつかってしまい、"I'm sorry."と言うのだけど、これはもう原語で聞くに限ります。ぶつかってすいません、だけじゃなく、きみたちを助けてあげることができず、本当にすまない、という幾重にも意味が含まれているので。




リースとジェシカの経緯をまとめると
2001年9月(S1Ep01) 付き合って半年。ジェシカは西海岸に住んでいて、リースはフォートルイス基地に勤務の特殊部隊員。メキシコで一緒に休暇中、9.11のテロが起こる
2006年2月(S1ep03) 空港でリースがピーターと婚約中のジェシカと偶然再会。リースはCIA所属
2008年11月(S1Ep15)  ニューヨークのバーでリースはピーター・アーントに近づく。その時ピーターは「家を買って、妻(ジェシカ)ともうすぐニューロシェルに引っ越すんだ」と話す
2010年(S1Ep20)  リースとカーラ、モロッコでの任務の後オルドスへ
2011年2月(S1Ep21)  リース、ジェシカの勤務先の病院で彼女の死を知る

リースが女性や子どもといった力の弱い人に優しいのは、彼の心根がそういう人間なだけでなく、愛する人をDVで失ったからという理由がこのエピで明かされて。それを知ってから改めてS1Ep04を見ると、デートレイプを繰り返すアンドリュー・ベントンに対するリースが、なぜあんな態度(「俺はあんたの処遇をどうしたらいいと思う?」)だったのか今ならその訳が分かるし、このエピでカーターがメキシコの刑務所からかかってきた電話に「そこには他にもアメリカ人はいますか?」という質問は、ベントンのことだろうなという推測が成り立つ。

で、2010年、リースはピーター・アーントを最後はどうしたのか。私なりに出した答えはS4Ep16のレビューで書いてます。


オフショット。「ジェシカとリースの写真」の撮影風景



The Flaming Lips - Revenge



さてここから下は激しくネタバレ。この先のエピを未見なら絶対読んじゃだめです。


オルドスでの出来事と、それに伴うジェシカとの顛末はここでいったん終結し、私は初見ではこのエピでもうすべて描き切ったと思ってたんです。でもそうではなくて、それどころか話が進むに従い、上の時系列には実はフィンチが大きくかかわっていた。だから"I'm sorry."の意味は、番号が出ていたのにも関わらずジェシカを救えなかっただけじゃなく、リースがジェシカの元に間に合わなかったのはあのラップトップ、つまりフィンチが仕込んだウィルスが遠因だということも明らかに。業が深すぎる。
さらにここがフィンチとリースが初めて出会った接点かと思いきや、さらに遡って2010年のダニエル・ケイシーの時が出会いだったという(ただしリースはこのことも知らない)。この時間軸の活かし方が素晴らしいし、このドラマの面白さはこういうところに詰まっていると思う。
S4Ep20では、このエピでカーターが上着のポケットに入れたあの写真。それがカーターの死後、あんな形で再登場するなんて。あの写真をカーターはどうしたんだろう?と疑問に思うも、まさか回収されるとは思ってもいなかったので、本当に驚きのエピソードでした。

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コメント

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過去と現在

このドラマは過去のエピソードがちらばって出てくるので、一回観ただけではそのつながりがわかりにくいです(私には)
なので、トリみどりさんのレビューを読んで、『おお、そうだったのかー』と納得したり補完したり・・・とても助かっております。
リースとジェシカの経緯も書いてくださり、すごくありがたいです!

フィンチさんが病院でリースとぶつかるとこ、テンション上がりました!

私も分かんなかった

こちらにもコメありがとう♪

私も1回見ただけではさっぱりでした。なので他の方のレビューをたくさん読ませていただいて、自分なりに解釈しているところです。
私はどうしてもリース寄りの見方をしてるので、彼の辿った経緯や心境はすごくすごく深く洞察してあれこれ考えるのが好きなのですが、フィンチのことは難しい…多分私の頭がとっても悪いからだと思います(キリッ)。

最初に出てきたぶつかった人が、最後に同じシーンがまた出てきて実はフィンチだったっていうの、うまいですよね。

映画もそうだけど、ほんとに面白いドラマは見ててよく分からない部分があっても、それでもこの先どうなるんだろう、ってぐいぐい引っ張っていく吸引力がありますね。それはやはり脚本がよく練られているからじゃないかなって思います。
私自身が、どんなにキャストや監督の知名度が高かろうが、演技力がすごかろうが、まず脚本ありきで見る人なのでよけいにそう思うかな?