POI S5 Ep09

Sotto Voce

S5でいちばん面白かったエピかもしれません。そしてとてもとてもエモーショナルな回でもありました。

対象者は被害者に見せかけて、実は自作自演で妻を人質に取られて爆弾を仕掛けるよう脅された振りをした上、同時に市内のあちこちに爆弾を仕掛けて8分署から警官を追い払い、署内の警官チェンを抱き込み留置場のテンプル騎士団を逃すように見せかけて、同じく身柄を拘束されて地下の独房に入れられた、声の男の正体を知ったアミール・セディクを殺すのが目的な鍵業者のテリー・イーストン(長い!)。こいつはなんとS3Ep15のオペレーター回の最後にフィンチの電話に掛けてきた相手であり、今回「声の男」と呼ばれる張本人でもありました。
まさかあのエピがここで再登場するとは思いませんでした。あのラスト、フィンチにかかってきた電話の主は何者なのか特に説明もなく尻切れトンボのような終わり方で気になってたので、爆弾の件も合わせて見事な回収の仕方でした。
そして爆弾。S3Ep15の時に出てきたアーロン少年に括り付けられた爆弾は、今エピでイライアスが訪ねたラウールが作ったものであり、イライアス自身が父親を爆殺した時の爆弾もこいつが作ったんですね。うーむ、過去エピをこんな形で絡ませて展開するのって、まさにこれこそがPOIの持ち味であり、こういうのを見たかった!
そしてリースが爆弾を解除したのはS2Ep08、S3Ep15に次いでこれで3回目。この人顔色ひとつ変えず目の前にある爆弾を解除するのがかえって怖い。
8分署の地下に独房なんてあったんだ!?初めて知った。署内の見取り図も欲しいなー。
しかし爆弾騒ぎで立て込んでいるとはいえ、取調室にいる証人のイーストンを誰も見張ってないってちょっとザルすぎる。そして次の指令を受けて部屋を出て行こうとするイーストンの首根っこを長い腕を伸ばしてガッとひっつかんで振り向かせるリースが私はすごいツボでした。こう、猫とか犬とかの小動物を掴んで持ち上げるみたいな感じでね…(笑)。なんかリースって大型獣っぽいところあるし、イーストンめっちゃ怯えてるし。
で、この時のシーンと、その前のリースが部屋に入ってきてファスコと会話する場面。カメラはずっと後ろから前からリースを追いかけて長回しで撮っていて、流れるようなカメラワークがすごく良くてこれとても好きです。それとこの回は停電で真っ暗になっちゃった署内をリースとファスコが懐中電灯持って歩き回るんだけど、その明かりが時々丸いフレアを起こすのもまたキレイで。うーん、これは撮影監督のセンスかなぁ。
署内で大勢のギャングに囲まれたリースとファスコが孤立無援、たったふたりきりで抗戦するのですが、このシーンが!このシーンが!!スローモーションで描かれるだけでなく、リースが後ろから現れた敵を気配だけで察知して見ずに撃つのはS1Ep01のマンション1Fでのシーンを思い出させてくれました。懐かしい!
あとね、比較するのはファスコことチャッピーに申し訳ないけれど、この銃撃戦の時のリース君、というかジム・カヴィーゼルの姿勢がものすごく美しくて、なんというか、この人運動神経もそうとう良いんだろうけれど、基礎がきちんとできてるんだなーって感心しました。
署から逃げるイーストンに電話をかけ、追い詰めたのはフィンチ。彼の冷静さや、出頭してくれと説得する姿もS1Ep21のヘンリー・ペックの時とかで以前よく見られたね。とてもフィンチらしいと思ったし、説得に応じなかったらどうなるか。それはフィンチもよく分かっていたはずだと思う。容赦なくイライアスは「声の男」を父と同じやり方で殺しました。いやー、これも痺れました。
「気を付けろ。思いやりと信頼は 人を弱くする。悪用されやすい」
イーストンが指摘したフィンチの弱点。それを振り切った時、果たしてフィンチはどんな行動に出るのか。前回のエピでイライアスの言ったフィンチの闇が描かれることになるのか。
イーストンと対峙した時のフィンチは美しさと硬質さが同居してて、これまたなんと表現してよいのか、とても素晴らしい表情でした。目の前で燃え盛る車をまざまざと目にしたフィンチは、もう今までのような戦い方はできないし勝てないことをはっきり悟っているはず。
イライアスは準レギュラーながら、決してブレないキャラクターだよね。フィンチとリースに対して恩があって、それをきっちりと返す面がある一方、こいつはやっぱりイタリアン・マフィアのドン。裏社会でトップでいるためには常に冷酷であり、自ら手を汚すことにためらいはないし、彼にはその権利がある。シモンズの最期の時もそうだったね。
アミールを取り調べるファスコのアップ、ものすごい男前でした!チャッピーは普段そんなに目の色がはっきりしないけれど、光が当たるととてもきれいな青なんですね。そして問い詰められてとうとう正体を現したアミールの表情の変化がぞっとしました。この役者さん(Rupak Ginn という方です)、すごい!
ショウとルートのやり取りはもっと丁寧に描いてもよかったと思いましたが何せ13話。巻いて巻いて話が進みます。ここはルートの行動でショウの心境が大きく変化して、仲間の元に戻ろうと決心する場面だから、もっと丁寧に描いてもよいのにな~。ちょっと残念。ショウがひとりでサマリタンの戦闘員をひとりずつコツコツ潰してくのは地味だけどなんか微笑ましかった。ショウってやることがやたら派手に演出されるけど、彼女も優秀な工作員なんだから地味な戦い方でもかっこいいし似合うと思うんだけどね。
今回出てきた8分署内の証拠品保管所はS1Ep03でリースが身を偽って他の仲間と一緒にイライアスと書かれた箱の中身を奪うために襲撃した場所でもありました。過去エピを回収しまくってますね。いよいよラストスパートです。

とうとう8分署も蹂躙され、前エピであの警官人形も捨てられ、ファスコはリースからマシンのことを聞いたので、この先8分署はもう出てこないと思う。もし出てくるとしたら、生き残ったファスコが再び刑事として仕事に戻る時かなぁ…。その時はもう署内は綺麗に片付けられて元通りだろうけれど、そこにライリーの姿はないだろう。
とうとうリースが決心したシーンもよかった。"It's time we had a talk, Lionel."…話をしよう、ライオネル。そう言ってファスコを連れて行った署の屋上。リースは遠慮なくファスコの携帯をポイッと投げ捨て(笑)、フィンチから「本当にそれが正しい道だと思うのか?リース君」と問われて、今じゃ署内も安全な場所じゃなくなった、と。続いて、"So maybe the best we can do is trust each other."…大事なのはお互いを信頼することだ、ですよ!これ聞いたファスコは嬉しかっただろうな。ファスコを見つめるリースの表情が厳しくて、でも優しくて。こんな顔をリースがファスコの前でするなんて。もうもうもう、このエピはいろいろぶっこみ過ぎですね。
そしてあの橋のたもとでの5人の再会。もうね、S5はこれで最終回でいいんじゃない!?そして5人は力を合わせてサマリタンを倒し、世界に平和が戻りました、めでたしめでたしでいいよ!そしたら誰も死なずに済むし。
リースがファスコに真実を話す決心をしたのも、ただなし崩しではなく、もう8分署も安全ではないからという理由なのも良かった。いつファスコにマシンのことを話すの、早く話してあげてよってずーっとやきもきさせられましたが、今まで散々溜めて溜めて引っ張って引っ張って、ようやく話して、てっきり彼を地下鉄の基地に連れて行くのかと思ったら、あの橋のたもとっていうのがね!!!もうここは憎らしいほどこちらの感情を揺さぶってくれました。台詞は一切なし、最初に来て待っていたフィンチの元にやって来たリースとファスコ、ルート、そしてルートが振り向いた方向にはショウ。彼女の姿にフィンチの驚愕の表情。

まぁあのクィーンズボロ・ブリッジのたもとの公園はS1Ep01でフィンチとリースが初めて会った思い出の場所なので、廃図書館もなくなった今、あの場所だけは最後の聖域みたいな感じで彼らふたりだけの場所であってほしかったので、今回のラストは、そっかー、ここもとうとうふたりだけの場所じゃなくなっちゃったんだな、と寂しくもあったんだけど、好きか嫌いかは別にしてこのエンディングへの過程はものすごくエモーショナルな描き方で、もう私は号泣に次ぐ号泣でした。バックに流れる曲もまた素晴らしくて。こんな風に彼らの再結成を描いてくれるなんて、今回は本当に、見事にやられました。

実はリース&ファスコのコンビも、S4以降はあまりにも頻繁に出てくるので、フィンチ&リースはいったいどうなったー!?って悲しかったんです。いや、ほんと言うと今もちょっぴり悲しい。リース君、ファスコを何度も"My partner"って呼ぶしね。S5はまた前の路線に戻って離れててもちゃんとフィンチ&リースしてるのでおっけーなんですが。
なんだろう、リースが刑事の身分を得て今まではそう簡単に入れなかった警察署に堂々と出入りできるようになっちゃったし、ライリーという名前にこっちは思い入れなど何もないのが嫌なんだろうな私は。フィンチの大学准教授の身分はもうないも同然のないがしろな状態だし、ただこれからの展開に便利だからリースをライリー刑事にしただけじゃんって思っちゃうんです。
名前って大事ですよね。彼らはもともと偽名だけれど、それでも「Mr. リース」「フィンチ」とお互い呼び合うその中に、今までどんだけ彼らの感情や状況が丁寧に描かれてきたのかを思うとなおさらね。

廃図書館に続いて今エピではとうとう8分署も踏みにじられ、既にS5Ep01の冒頭で地下鉄の基地も襲撃されることがすでに分かっているので、長いこと見てきて愛着のある場所が土足で踏み荒らされるのは見ていてどうしようもなく苦しくなります。きっと最後に残るのはクィーンズボロ・ブリッジの橋のたもとだけなんだろう。フィンチやリースが彼らの人生を終えた後も、あの橋や川は変わらずそこにあり続けるだろうからね…。
同時に、フィンチとリースが心穏やかに過ごせる場所は永遠にないのかと思うとまた泣けてくる…。


これで残りあと4話。次回は記念すべき通算100話目のエピソード。そして今後の展開が楽しみであり怖いです。

pois5ep09-queensbridgepark.jpg

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