POI S5 Ep13 (Grand Finale)

私はS5はEp05あたりから冷静になってちょっと醒めた感じで一歩ひいた見方をするようになったので、最終話も淡々というか粛々と落ち着いて見るんだろうなと思ってたんです。でも見始めたらそんな気持ちはどこかへ吹っ飛び、もうこれで最後なんだ、この先新しいエピソードはもうないんだと思ったら、かなり最初の方で涙腺崩壊してしまって。あとはずーっと泣きっぱなし。握りしめていたタオルハンカチがびしょびしょになるまで泣きました。人間こんなに泣けるのかってくらい泣けて泣けてどうしようもなかった。見終わった後も大号泣で、結局その夜は一睡もできませんでした…。なので冷静なレビューではないし正確さには欠けます。

Return 0

冒頭でビルの屋上にやって来たフィンチ。押さえている手を腹から離すと、着ているベストも手も血でぐっしょり濡れている
マシンはとうとう声だけでなく、姿もルートとなって可視化されました。そしてこのルート、息を飲むほど美しい。とにかくこのエピソードは誰もが非常に美しく撮られています

 

全編を通してマシンが学んだことが随所に挟まれていき、冒頭ではいくつかほんの短いフラッシュバックがスローモーションで差し込まれるんだけど、跪いた状態で銃を向けられて目を閉じ、再び開けるリースの瞳の色が独特でめちゃくちゃ美しくないですか!?あまりに綺麗でここ何度も見返しちゃいました
八分署に戻ってきたリースとファスコ。しかしここも既にサマリタンに押さえられてて、署内でそのまま逮捕という形で捕まったリースとファスコ。手錠と足かせつきで港に連れてこられてしまう
リースに「ルルー捜査官はどうした?」と訊かれて、トランクに詰めてある、とニヤリとするファスコ。そう、これはS1Ep01を思い起こさせる台詞ですね。ここで私の涙腺は崩壊しました。思えばこのふたりはいちばん最初のエピで、片や得体の知れない男を車に乗せてオイスター・ベイで殺して埋めるつもりの悪徳刑事、片やその悪徳刑事が防弾ベストを着けてることを確認するといきなり背中から至近距離で数発撃ちこむ元CIAっていうすごい出会いをしたのですが、あそこでファスコが生かされた意味は間違いなくあったんだなぁ…
あわや射殺というところでソーンヒルインダストリーズの人間が遠方から狙撃してふたりは助かるのだけど。ここでこうやってふたりの命を助けることができるなら、他の場面ではなんでできないんだって思っちゃうけど、マシンは死にかけてるからもうそういう手助けは出来なくなってるんだね
「あんたには借りができた」「なるべく早めに返してくれ」「いつかまとめて返すよ」…フィンチとリースのこのやり取りは、のちの屋上でのシーンに繋がります
港を立ち去る時の監視カメラに映ったファスコがとうとう黄枠になってるー!!!ってもう前になってましたっけ?あ!リースにあの橋のたもとに連れてこられた時になってたか!なってたね!なってたよそういや
フィンチと対話するマシン。シャットダウンまであと8分半。マシンはたくさんの人の死を見てきた。でも、死は美しいものではあるけれどそれに意味を見いだせない、と
マシンの「誰もが最後は一人で孤独に死んでいく」("Everyone dies alone.")は、リースがジェシカに言った言葉、「人は結局最後は独りだ」("In the end, we're all alone.")を思い起こさせます
地下鉄の基地で、リースはファスコに"Try not to die."と言いましたが、これが彼らが最後に交わした言葉になったんだね…
マシンはルートのメッセージをショウに伝える。あなたはあなたのままでいい。それがいちばん美しい。あなたはまっすぐな矢印。他人の感情を理解できないショウは、今まで自分を欠陥品だと思っていた。だからこの言葉は嬉しかったと思う。自分を肯定してもらえたから。一筋の涙を流し、そのままそれをぐいっとぬぐい取ったショウ。ここからラストまでのショウはとても美しい。私は彼女のすがすがしい笑顔がいつも好きなのですが、ラストでは口紅も心なしか明るい色になったし、ファスコと話す顔が本当に爽やかで。前はリースから怒(おこ)り顔って言われてたくらいなのにね
ショウがマシンに"Good-bye"と別れを告げました
そしてあの古い地下鉄の車両が動くことにはびっくりしました!まだちゃんと通電するんだ!
ちなみにニューヨークの地下鉄には閉鎖された駅があって、今もそこを見ることが出来るよ、という記事をたまたま読んだのですが、その記事の写真を見てみるとこのドラマの地下鉄の駅は間違いなくこの廃駅をモチーフにしてますね。しかも今も訪れることが出来るそうです

『70年前に閉鎖となった美しい廃駅The Ghost Station / ザ・ゴースト・ステーション』

ファスコとショウがサマリタンの戦闘員やジェフ・ブラックウェルに立ち向かう一方で、フィンチはマシンのコア部分のコピーが入ったブリーフケースと共に、リースを連れて連邦準備銀行の地下の巨大な金庫に到着。ここにはサマリタンのサーバーのコピーがあるのでそれにもウィルスを入れて潰してしまおうというわけで
銀行の入り口の警備員に、このブリーフケースの中には熱核兵器があるよって大嘘をぶちかますフィンチ。フィンチの少し後ろにいるリースがそれを聞いてる時の表情がなんともおかしくて
「あんたにそんな新しい面があったなんてな。空恐ろしいけど そんなあんたも好きだよ」(Oh, I like this new side of you, Finch. It's terrifying, but I like it.)…この後の展開を思うとリースのこの台詞さえひどく愛しい。だって2回も"like"を言ってるんですよ!もうリース君どんだけフィンチが好きなのよ
そしてガスで館内の人間をみんなを眠らせてしまう計画に、なんだかとっても楽しそうなリース…(笑)
リースとフィンチ、ふたり揃ってガスマスク姿だよ。ちなみに眼鏡は外さないといけないんですね?
マシンが開けてくれた巨大な金庫。ものすごく重厚な扉には圧倒されました。ここで敵に襲われたリースが最後は近くにあった金塊をひっつかんでぶん殴ってとどめを刺すのですが、この敵役の男性はジム・カヴィーゼルのスタントをずっと務めてきた方だそうです。なかなか憎い演出だし、同時にお互いやりにくくないのか?とも思うし(笑)
フィンチは腹を撃たれるのですが、もしかしてリースってフィンチが撃たれたことに気付いていない?
感染を逃れようとサマリタンは回線を伝って地球を脱し、なんと宇宙にある衛星に逃げ、さらに邪魔されないよう軍艦内のプログラムを乗っ取って巡航ミサイルを作動させる行動に出る。これ、私は見てて本当に怖いと思いました。意志を持ったAIがここまでできるなら、人類なんかあっという間に滅んじゃうよ
巡航ミサイルの標的にされたアンテナがあるビルに行って、マシンのコピーをアップロードした人間は生きては帰れない。マシンからそれを聞いてフィンチはちらりとリースを見るのですが、ここで決意したかな、リースを死なせないようここに閉じ込めよう、と。そしてフィンチがそう考えたようにリースもまた、フィンチと同じ決断をするのです。悲しいほど似た者同士
シミュレーションでは一度もサマリタンに勝てなかったマシン。やはりここで、誰かの犠牲があればもしかしたら勝てるかもしれないという、かなり不確定な要素の上に成り立つ最後の大きな賭けに出るんですね。もし失敗したらマシンは完全に敗北するのだから
そのミサイルを阻止するために、ブリーフケースを手にしたフィンチは先に金庫を出て、リースがまだ中にいるのに柵を閉めてしまう。愕然とするリース
金庫の柵越しのフィンチとリース。この「柵越し」という、お互いがお互いを助けたい、生きていてほしいという同じ気持ちを持っているのに、その結果取る行動は相手がいちばんしてほしくないことになっちゃうのが、彼らが永遠に越えようとしない、越えられない境界線がある描写に思えて。フィンチもリースもいつも自分のことは二の次で、相手のことだけを一番に考えてて。そして大切に思えば思うほど相手を遠ざける。もしもここで、お互いの生死にかかわらず、共に、一緒に、と考えれば良いのに、でも決してそうはならないのがこのふたりなんだよね…
そしてフィンチがリースに言った言葉。

When I hired you, I suspected you were going to be a great employee.
What I couldn't have anticipated was that you would become such a good friend.
I'm afraid this is where our partnership ends.
Good-bye, John.

雇った時に、君は優秀な部下になると分かっていた。だけど予想外だったよ、こんなにもよき友人になれるとは。
でもその関係はここでおしまいだ。さよなら、ジョン。
そう言って立ち去るフィンチ、ゆっくりと閉まり始める金庫の扉。フィンチの後ろから、必死に彼を呼ぶリース。
フィンチ 待て ハロルド ハロルド!
リースは普段からあまり取り乱すことはないしいつも冷静な話し方をするけれど、だからこそこの時のリースがフィンチを呼ぶ悲痛な声が本当に本当に切なくて。こんなリースは今まで見たことがない。ここは断然原語で聞くに限ります!
あんな頑丈な金庫に閉じ込めてまで、フィンチはリースを守りたかったんですね…
リースはどうやってあの金庫から出られたのかと謎だったのですが、入る時もマシンが開けてくれたから、マシンが助けて開けてくれたのか。またこれは後述する、リースはマシンと取引をしたからなんですよね
外に出たフィンチに、マシンは他に誰かあなたを手助けできる人を見つけるわ、と言うのですが、フィンチはそれを断り、私が始めた事だから、私が終わらせる、ひとりで。ときっぱり断っている
翌朝、ようやくビルの屋上にやってきたフィンチ。背後で聞こえた物音に過剰に反応して、とっさに銃を向けている。S4で「私が銃を手に取るのは全てを失った時だ」と言いましたが、まさしく彼は、リース以外は失った、または失おうとしている時だと思っている
フィンチが訝しげに「本当にこのビルでいいのか?」と問うたのに対し、マシンは「あなたはここでいい」、そして向かいのビルの屋上に現れたリースも「フィンチ、あんたはそこでいい」 ("Right building, Finch. For you.")と
マシンとリースの言う「その場所で合ってる」は、フィンチを助けるための場所という意味で「合ってる」で、フィンチにとっては自分の場所は間違っている、というこの台詞のうまさとそれを知ったフィンチの絶望の深さ
マシンはAdminのフィンチに嘘をついた。なぜならリースと取引をしたから。ずっと前にした、とリースは言いましたが、いつ取引したのだろうか。これはすごく重要に思えます。だってマシンはその取引後はフィンチに対して出す指示が変わってくると思うので
そして屋上でのフィンチとリースのやり取りは、すべて書き起こしたいくらい素晴らしい
「言ったろ?借りはまとめて返す主義なんだ」…これは冒頭で射殺されそうになったことだけでなく、2011年に死ぬ間際だったリースをフィンチが雇ったことも含まれている
フィンチの持つブリーフケースの中は実は空(重さで気が付かなかったのかな?とは思いましたが撃たれてたしギリギリの状況だったからかな)。金庫の中でリースがフィンチに背を向けて何やらこっそりしてましたが、中を入れ替えていたのですね

At first, well, I had been trying to save the world for so long, I saving one life at a time seemed a bit anticlimactic.
But then I realized sometimes one life If it's the right life. That's enough.

長い間、世界を救おうとしてきたけれど、ひとりずつ助けるのは物足りなかった。でも気付いたんだ たった1人の命を救うことが大事なんだと。それで十分だ

「君には生きる目的が必要だ」。そう言ってフィンチはリースを雇ったけれど、長い時間を掛けてリースが知ったその「生きる目的」はたった一つ、フィンチの命をまもること。向かいのビルの屋上から立ち去るフィンチを見送ったリースが見せた笑み。なんて穏やかなんだろう
私は出来る限りジョンを助けるわ。あと30秒しか残されていないの。そしてマシンはそっとリースの肩に手を掛ける。彼らはどちらもまもなく死にゆく身。リースの最期はマシンと一緒だったことも感慨深い。同じ目的を持ち、意志を分け合い、共にフィンチを守り切ってこの世を去っていきました。リースはフィンチの前で、スーツの男として最後まで自分のなすべきことをしたんだね
そして最後は銃弾を浴びて死んだリース。それは軍人を経てCIAに行き、その手には常に銃が握られ、多くの人間に手を掛けてきた彼にはある意味ふさわしい最期なのかもしれない

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雨の中、父親の葬儀で立ち尽くす幼いジョンの肩にもそっと手をかけていたマシン。私はここはちょっと分からなくて。4人の命を救って亡くなった父親は、リースが「死ぬ時は誰かの役に立ちたい、誰かのために死ねたら」という思いを持つようになった存在だったという意味なのかなぁ

たくさんの間違いをおかしてきた。助けられなかった命もたくさんあった。それでも助けられた命もあった。そうでしょう?そう尋ねたマシンに、"Yes, we did."と、一言一言区切って肯定したフィンチ
マシンがたくさんの死を見てきて学んだものはなにか。人はみな一人で死んでいく。でも、助けたひとや愛する人が、ひとりでもその助けてくれた人のことを覚えているのなら、それは生きているのと同じ。彼らの思い出の中で生きる。だからリースも今まで助けてきた人たちが彼のことを覚えているならその中で生き続ける。フィンチの中でも。そしてフィンチが死んだ時がリースにとっての本当の最後の死。
リースを見つめるフィンチがものすごく透明度の高い表情で。今までふたりとも何度も生き延びてきた。どちらかが危機に直面すれば、なんとしても助けに行った。でも今回ばかりはリースを助けることはもうできない。彼が生きて帰る可能性はもうない。自分を生かすためにリースがこれからしようとすることを全て受け入れた顔なんだよね、あれは…



ラスト、フィンチがグレースの元に行ったことは、私はそれが特にいいとも悪いとも思わなかったです。フィンチにはそういう人生が選択肢として残されていたんだな、と。ただ、この時のフィンチの表情がとても悲しげなのが私は気になって。マシンの創造主としてやるべきことをやりげた彼が最後を飾るには、あまりに悲しい顔で
すべてが丸く収まってめでたしめでたし、で終わるドラマではないことは重々承知だけれど、フィンチの中では何かこう、心残りなものがあるままで幕が下ろされたことで、笑顔になれないというか。グレースと再会はできたけど、でも…みたいな感じかなぁ…。フィンチはこの先も生きないといけないですが、これはこれで辛いことだと思う

そして墓標。リースはずっと前に「俺も本名では死ねそうにない」(S1Ep08)と言ってましたが、墓標は "JOHN TAL"までは映ったので、本名で死ねたのですね(でも刻まれている誕生日が5/1じゃないんだよねー!)。リースの本名は最後まで明かされることはなかったですが、私はこれでじゅうぶん満足。彼は他の誰でもないジョン・リース。その方がミステリアスな感じでいいな。それを言ったらフィンチもですが。そしてリースの墓はフィンチが弔ってくれたのでしょう。棺の中は空っぽだけどね…

ファスコは刑事の職を続けました。そして死ななかった。良かった。私の予想はあたり!あの遠慮ない物言いと、良い意味でリース達の場所にずかずかと入ってくるファスコは間違いなく最後まで愛されていました。今回はリースの"Try not to die."の返事が"Yeah, I love you too."には、どこまでもファスコらしいぜ!って思いました。もう大好き!
彼は最初こそ悪徳刑事として登場だったけれど、誰よりも普通の人生を送ってきたとも思うの。だからこそファスコもまた、人生のある短い時期にメガネのジーニアスとワンダーボーイとイカれねーちゃんと暴力女と一緒に過ごした時があって、長い時が経ち、歳取って振り返った時に、あぁそういやそんな奴らがいたなぁ、あいつらほんとどうかしてたよなって笑いながら思い出すんだろう
ダイナーでショウと会話してた時は、ふたりともフィンチとリースの行方は分からないと言ってましたが、おそらくファスコはファスコなりの解釈をしていると思います

マシンは生き残った。そして無人の地下鉄駅に壁にある公衆電話が鳴ると、そこから線が伸びた先にあるオープンリールデッキ(これはS1Ep01でフィンチがリースにDV被害者の声を聞かせた時に使ったものかと)が動き出し、S5冒頭の「私たちが残せたのはこの声のみ」(マシンが選んだルートの声ではなくて、ルートが予めデッキに吹き込んだルート自身の声)が流れ、そしてPCが起動、システムが動き出して指示待ちの状態に。電話のベル音でデッキが動き、システムが再起動する条件に設定されていたんですね。これは生前のルートが仕込んだコードでこうなったのかと。でもフィンチの指示でしか作動しないって言ってたし。そう考えるとフィンチ自身の声と、マシンに言った"Good-bye"という言葉が作動の条件なのかな。そうするとやっぱりこのシーズンの鍵は間違いなく「声」ですね。
ラストは、S1Ep01とS1Ep23でリースが監視カメラを見上げたあの交差点にベアーを連れたショウが現れ、そしてS1Ep23とS2Ep01でリースが出たあの公衆電話が鳴り、ショウがその受話器を取りました。そしてS1Ep01のリースのように笑みを見せるとショウはそのまま人ごみの中に姿をくらませるシーンで締めくくられました。音楽も過去の同じシーンとほぼ同じ。同時にこの世界からリースがいなくなったことをはっきりと認識させられたシーンでもありました

このエピはたくさんの"Good-bye"がありました。フィンチがファスコとショウに、ショウがマシンに、フィンチがリースに、リースがフィンチに、マシンがフィンチに、そしてフィンチがマシンに。どれもみな、涙なしでは見られない別れの言葉
しかしこうやって書き並べると、ファスコだけはさよならを言ってないんですね!いやほんと、ファスコ愛しすぎる。以前リースが「あいつの生命力はカビ並み」って言っていたのを思い出しました。ファスコ本当にすごい

あまりにも美しく圧倒され、忘れがたい13話のレビューはこれにて。これとは別にもう一本記事を別立てします。

劇中に使われた曲は以下の通り。1曲目は映画「エクス・マキナ」の挿入曲でもありました。あちらも人工知能を描いた作品なので、この曲が選ばれたことは非常に興味深い

CUTS - Bunsen Burner (Ex Machina)

この曲はもう…涙が止まりません。ダメだろこんなぴったりすぎる曲探してきてさぁ…

Philip Glass - Metamorphosis 1

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