POI S5 Ep13 John Reese and Harold Finch

S5Ep13の別立て記事です

・ジョン・リース
"When you find that one person who connects you to the world, you become someone different. When that person is taken from you, what do you become then? "
リースのこの台詞で始まったこのドラマ。S4に続いてS5でもリースとフィンチが一緒にいるシーンは決して多くはなかったし、話が進むごとに彼らのいる場所がどんどん離れていくので、ふたりの関係がどのように描かれて終わるのか実はとても心配してました。また、私はリースについてはこちらこちらで書いたように、最後はおそらく彼が死んでしまって終わるのだろうな、とも思ってました。実際、S5で決定的なシーンだったのは、Ep03ラストで普通の人生に背を向けて歩き出すリースの後ろ姿、そしてそこにかかってきた電話と「リース君、新しい番号だ」「今行く」の台詞でした。あぁもう最終話を迎えたらリースにその先はないな、と。
ですが、フィンチとの絆をここまで深く感動的に描いてくれるとは思わなかったです。これはもう、私の予想をはるかに超えていた。そしてこのドラマが完璧に終わるためには、実はリースは生きているのでは、という可能性は微塵たりとも残さないことが求められますが、そういった描写は一切なかったのは潔いくらいでした。打ち切りが決まり、最終シーズンは13話に減ってしまいましたが、それでもこんな素晴らしい終わり方をしたことには心から感謝です。

そしてやっぱり私にとってはこのドラマはジョン・リースの物語。闇と孤独の中にいたリースに手を差し伸べてくれたのはフィンチ。そのフィンチに救われたリースは、自分を世界と繋いでくれたフィンチのために生きて、フィンチを護って死んでいった。彼が死んでしまったことは本当に本当にとても悲しいですが、それと同じくらいこのドラマのラストは彼の死で終わることがふさわしいし、それ以外は考えられない。だから終わり方としては私は大満足してます。完璧でした。
Ep13で、リースの父が4人を助けて死んでいったことでまだ幼かった彼の中に英雄願望が芽生えた描写がありましたが、私はリースがもともとそういう考えを持っていたことより、いったんはすべてを失って死んだも同然だったリースが、救い出してくれたフィンチのために生きたという面を重要視したい。ここにきて突然父親のエピソードが挿入されたのは少し違和感も感じてて、なおさらそう考えてます。リースには英雄願望も自殺願望もないでしょ?って以前考察で書いたしね。

私はS4Ep22の感想で、
自分のせいでリースが死ぬのは望まないフィンチと、自分が死ぬのはフィンチを護る時と思っているリース。このねじれっぷりがまさしく「パーソン・オブ・インタレスト」というドラマ
って書いたけど、ラストはまさにその通りになっちゃったんだなとも思いました。リースもフィンチも、お互いがお互いを絶対に死なせまいと最後の最後まで深く深く思いあっていた。それはどうしてかと問われたら、誤解を恐れず言うならそこには愛があったからだと思う。それはふたりの間に確かに存在していた。なのにどちらも相手を思いあって行動した結果が相手が最も求めていない方向になったり、相手を苦しめてしまうのがこのドラマの核であり、そこから生まれる猛烈な切なさや抗いがたい深い魅力が、見る側を捕えて離さなかったんだと思う。
フィンチもリースも、相手を守ろうとすればするほどその人を自分から遠ざける。お互いがいちばん相手のことを思いやってすることが、相手がいちばん望まないことだなんて、このふたりは最後の最後まで思いが届くことのなかった両片思いのようなもんだったんじゃないかな……。
今までたくさんの命を救ってきた。でも最後、救う必要があったのはたったひとつ。それはフィンチ。リースはこの言葉を屋上で言いましたが、屋上といえば過去にも彼らが死線ぎりぎりのところまで行った出来事があった。S2Ep13でフィンチがリースの体に括り付けられた爆弾を解除したのは夜のビルの屋上。あの時ふたりの間には過去のしがらみは何もかも消え失せ、生きるか死ぬか、その一瞬に全てを懸けた姿が最高に心震えました。そしてその時背景にはライトアップされたクライスラービルが映っていましたが、今回のEp13でも、時間帯こそ朝ですがやはり同じようにクライスラービルが映ってました。しかし爆弾回の時とは違い、フィンチとリースは別々の建物にいてお互いとても遠い距離のところにいたけれど(画面でも、フィンチから見たリースの姿とリースから見たフィンチの姿が本当に小さくてものすごく悲しかった)、でも心の距離はS2Ep13の時以上に、今まででいちばん近かったと思う。
何も持ってなくて、何も残されていなかったリースの人生にたったひとつだけ存在した、いちばん大切な人を護ってこの世を去ることができた。リースはこれ以上ないほど満たされて逝くことができた。それは長い長い旅路に果てにリースがようやくたどり着いた場所。5年かけて描かれた、リースとフィンチの究極の愛の物語だったとも言える。
そしてマシンが学んだこと。人は死んでも誰かが覚えていればその人の中で生き続ける。これはつまり、S1Ep01でフィンチの言った「遅かれ早かれ共に死ぬだろう」が本当になったともいえる。リースは死んだ後もフィンチの中で生き続ける。フィンチが死んだ時がリースの本当の死。だから彼らは一緒に生きて一緒に死んでいく。あくまで私なりの解釈ですが、1話目の最も印象的で、最も彼らふたりのその先の運命を的確に言い表した台詞を、最終話で見事に回収してくれました。これ以上のラストはないです。本当に本当に、素晴らしいエンディングでした。

人は何のために生きるのか。人が生きる目的とは何か。大切な人、愛する人に対して自分はどう生きていきたいか。ハロルド・フィンチと出会って彼からその答えを得ることが出来たジョン・リースは、とても幸せな人生だったと思う。リースは他の誰でもないハロルド・フィンチに出会えて本当に良かった。
今も時々、リースのことを思うと涙がこぼれますが、私は彼の死はそんなに辛くはないと思えるようになってきてます。時間が経てばまた違う解釈も生まれてくるだろうけれど、今の時点ではこう考えています。

・マシンとリース
Ep13でリースは「マシンと取引をした」と言っていましたが、それはいつの時点だったのかな、と考えた。
リースは機械なんて信じてないし、S3Ep13を見ても分かるようにマシンとも仲が悪かった。でも、S4ラストでリースの方からマシンに"Can you hear me?"と尋ねた時には取引は成立していたのかなぁ。いやもしかしてS2Ep01で今までのルールを変えてAdminのフィンチを探せと言った時かなぁ…さすがにそれはちょっと早すぎるか。そうするとやっぱりS5Ep03の直後かなと。その時はオープンシステムだったし。
マシンもマシンで、Ep02で再起動してまだ時系列がごっちゃになってた時、フィンチが一生懸命自分たちを敵ではないと教えていたけれど、フィンチやルートのことは味方と理解したのに、リースのことだけは最後まで敵性ありとみなしていたんだよね。だからそんなリースとマシンの間で取引が成立する理由は何かといったらそれはたったひとつしかなくて、フィンチの命の為なのです。
だからたとえフィンチがリースを金庫に閉じ込めたとしてもそうでなかったとしても、フィンチを守るための他の道はいくらでも用意されていただろうし、どの道を選んでもフィンチは生かされ、リースの死は免れなかったと思う。

・ハロルド・フィンチ
リースに比べて私のフィンチに対する考察は浅いのでちょっと申し訳ないですが…S5の最後の方は、フィンチ自身がどんどん孤独になり闇の中に進んでいったので、最後はどう落とし前をつけるんだろう、というのが私は気になっていました。自分自身に戦闘能力はないフィンチは、最後の方こそマシンの力でゴッドモード化していたけれど、フィンチを守ることができるリースをあんな分厚い扉のある金庫に閉じ込めてまでひとりで片をつけようとした彼は、もう誰も巻き込みたくない、大切な人ならなおさら、と考えているんですよね。もしあの後マシンの助けと共に全ての片を付けて生き延びられたら、そしてリースの命を守れたら、それがフィンチにとっての一番望む幸せな終わり方なのかなぁと思った。
ただ、金庫の柵越しにリースに"Good-bye"と言っているので、その先フィンチは自分はひとりで死ぬだろう、もしくは死ぬつもりであったことは間違いない。
フィンチはリースとはあくまでビジネスライクな関係を保ちたかったんだろう。それは前任者のデリンジャーを亡くしているのもあるし、リースに対してはラップトップにまつわる罪の意識もあったから。ところがジョン・リースという人間は、フィンチが思った以上に情が深く心根が優しくとても繊細で、そしていちばんの誤算だったのは彼がフィンチを恐ろしいほど大切にするようになったことだと思う。フィンチが思っていた以上にリースの愛情は深く大きかったし、そしてフィンチもいつの間にかそれを受け取っていて、リースの愛があることが当たり前の人生になっていたんだと思う。
そのリースがフィンチを救って死んでいったことは、彼にものすごい喪失感をもたらすかと。そしてこの先のフィンチの人生にどう影響を及ぼすのか。フィンチにとって仕事上のパートナーとして存在した人間はネイサン、デリンジャー、リースの3人。そしてその全員を亡くしている。これってものすごい悲惨なことだと思うのですよ。
ラスト、フィンチはグレースの元に行ったけれど、彼女に再会した時の顔があまりにも悲しげで、私は彼が幸せそうにはあまり見えなくて。フィンチは大切な人たちを喪った痛みと共にこの先ずっと生きていかないといけないのが一番つらいことなのでは、と思った。リースの生死にかかわらず、フィンチ自身は死んでしまった方が実は楽なんじゃないかとさえ思う。S5Ep11で「私はまだ裁きを受けていない」と言ったけれど、死ぬまで大きな喪失感と共に生き続けることがフィンチが受ける裁きなのかなぁ。
正直、グレースとハロルドがこの先一緒になったとしても、お互い幸せになれるのかな、という疑問もある。彼は1ドルで世界を売り渡した男。助けることのできた命もたくさんあったけれど、自分が創り上げたもので多くの人生を狂わせてきた。自身の目でたくさんの死を見てきた。そんな壮絶な経験をした後で、5年ぶりに会えた愛する人と、この先ごくごく普通の平和な人生を築いていくことはできるのだろうか……まるでこれは初期のリースと同じではないかとさえ思うのです。そうすると、ドラマの一番最初のリースのモノローグは、全てが終わり、ひとり残されたフィンチにも当てはまるのか……。
グレースもグレースで、彼女から見たハロルドは、IFTに勤める知識が豊富で話や趣味も合う5年前の素敵なハロルド・マーティンのままで止まっているんですよ。だけど数年ぶりに再会は出来たものの、思い出の中のハロルドと違って、目の前にいる彼は大きく変わってしまっているはずでしょう?それってとてもショックを受けるんじゃないかなぁ。
なのでふたりが再会したラストも、決して後味が悪いわけではないけれど、ハッピーエンドではないと思ってます。もしかしたらフィンチはすべてをグレースに話した後、再び彼女の元を去るのかもしれない。
それでも、フィンチがこの先長い時間をかけて笑顔と前向きに生きていく気持ちを取り戻せますようにと願わずにはいられません。




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