POI S1 Ep15



Blue Code

このエピのアメリカでの放送日は2012年2月16日なので、S1はもう5年も前のドラマなんですね。具体的な日付を知るとぐっと時が流れた感がします。私の中ではまだまだ熱いドラマなんだけどね
警察学校を卒業後個人データを削除して潜入捜査官になるのは当然、映画「インファナル・アフェア」を思い出させるお話です。ついでに携帯をタップしてモールス信号送るシーンもあったら良かったのに、なんて思ったけどそれはS4Ep14で叶えてもらえたかな
このエピは潜入してるので珍しくほぼ全編いつものスーツ姿じゃないリース
この頃のリースはねー、後ろから殴られてもそれさえかっこよかったんですけどね!S3以降の演出はほんとダメ(泣)



"What are you, a fed or something? "
"...Something."
「あんたFBIか何かか?」
「”何か”だ」
ケイヒルに問われて答えたリースのこの"Something"がすごくいいと思うの。S2Ep10での「あなたいったい何者なの?」と訊かれたリースが「それは自分でも答えに困ってる」にも呼応してるし、実際一言では言い表せないしシリーズ通してよく出てくる"Concerned third party"の別の言い方でもある。リースとフィンチは何者か。何者でもないし、何者かでもある。彼らふたりがしていることを、曖昧だけど端的に表している言葉
車のトランクから出た後地面の上を思いっきり転がってるリースだけど、これはもし衣服に火が点いてたときのために消火するための動作なんだよね

"My lucky day."
"Your version of a lucky day is being shot and lit on fire?"
「今日はツイてる」
「撃たれて焼き殺されそうになったのに?」
の台詞と、フィンチが電話で開口一番「ケイヒルは?」って尋ねてるのにまず最初に俺の身は大丈夫だって答えてるリースが全くかみ合ってない会話ですごく可笑しい(笑)。フィンチが本当はリースのことをとても心配してたのに電話ではそれを微塵も感じさせないのもいい。この頃のフィンチはほんっとにツンツンですなぁ
しかしながら笑える台詞はこのふたつのみで、実はこのエピソードはかなり重くて。ケイヒルがずっと追ってたLOSとの取引現場に現れたのは実はCIA。麻薬の横流しで得た金をCIAが資金として使っているのをリースは既に知っていたし、実際リースが言ったように、ケイヒルが逮捕したそのCIAエージェントはすぐに保釈されるんだけど、逮捕されたことで今回の取引が表沙汰になることを避けたい本部はスノウを使ってそいつを殺してしまう。「言ったろ、敵地では気を付けろ、と」。スノウの「敵地では気を付けろ」は同じくこのエピの冒頭のフラッシュバックでも出てきます。

リースの潜入と並行して、フィンチはファスコに今回の対象者、マイケル・ケイヒルの資料を破棄させるのですが。資料は無事破棄できてケイヒルの身を守れたかと思いきや、ファスコは資料を保管している金庫に来たデヴィッドソンに見つかった上、本来なら入れない金庫室に侵入して勝手に資料を破棄したことで逮捕され、しかもデヴィッドソンはLOSの内通者だったことが分かり、ファスコは夜の雑木林に連れていかれて殺されそうに。そこを救ったのはもちろんリースなんだけど、その見返りというか、お前は悪徳警官のままでいろと強要し、さらにちょうどいい機会だ、これを機にHRに入って中を探ってこい、と。ファスコを助けてはあげたんだけど、デヴィッドソンは問答無用で射殺だし、あの醒めた視線のままでファスコに無茶ぶりを言うわけで、あぁそうだよ本来ジョン・リースはこういう情け容赦ない人間だよなって
ファスコの「俺の手は汚れたままか」の台詞は初見の時猛烈にかっこいい言い回しだと思いました。その時のファスコの表情と共にとても印象に残ったシーン

フラッシュバックは2008年。「パッケージ」を拘束中のリースがスノウから自由時間をもらって街に出ると、そこは何とニューヨーク。そして近場のバーに入ると店内のTVでオバマが大統領選挙の勝利宣言のスピーチをしているのが流れるので、2008年11月4日の夜、ということが分かるのだけど、日付や時間帯がこんなに明確に分かるシーンは珍しいのでは?そこには何かしら意味が込められているのかな、とも考えるのですがどうでしょう?
それとこのドラマでのフラッシュバックっていつも青みがかった色合いの画面なのに、なぜかこのエピとモロッコ(S1Ep20)、そしてS5Ep03は赤みのあるオレンジかかった色合いで。リースとカーラとのシーンはオレンジなのかなとも思ったんだけど、リースの初任務(S2Ep08)のプラハやそのあとのパリ(S2Ep12)、オルドス(S1Ep19)では青みがかってるしなー
バーで隣同士になった男性から出身地は?と聞かれ、「ピュアラップ、ワシントン州」と答えるリース。隣の男性とは実はピーター・アーントで、リースの元恋人・ジェシカの夫。そしてここでリースとジェシカが同郷の出身ということも分かる。私ははじめ、リースがピーターの関心を引くために嘘の出身地を言ったと思ってたんですが、S1Ep20でカーターが取り寄せたリースの経歴を見るとほんとにピュアラップって書いてあったので驚いた
ピーターはニューロシェルに新居を購入してもうすぐ引っ越すことをリースに話す
ピーターが、妻がなかなか来ないから電話してくる、といって席を外した直後、隣に現れたのはカーラ。その途端リースの顔つきが厳しいものに変わる
カーラはリースに、自分もこの仕事に就いてから初めて家に戻った時、車の中から3時間自分の家を見ていたけれど、私の見たことしたことを家族に話しても理解してもらえないと気づいた、と告白。ここは唯一カーラの過去が描かれたシーンでもあり、彼女の人間性を感じられて私はけっこう好きなシーン
そしてカーラの言う
"We are not in the dark. We are the dark."
「私たちは闇の中にいるんじゃない。私たち自身が闇なの」…「闇」はシリーズ通してリースの人生を言い表すのに常に付きまとう表現
結局ジェシカがやってくる前にバーを去ったリース。なので2006年、空港で偶然会うも、自分から別れを告げたのがリースが彼女に会った最後。ジェシカに声を掛けるどころか姿さえ見ることなく席を立ち去ったリースは何を思ったんだろうね……そしてもし会えたとしたら、いったい何を話したんだろうとも



全体的に暗いトーンのエピソードだし、ラストもすっきり爽やかな終わり方ではない。それでも話がよく練られているし人物描写も秀逸。S1、2は全てのエピソードにおいて隅々まで神経を行きわたらせ丁寧に作ってあると感じます。
S3以降に比べてS1、2が好きな理由はそれも含めてそれこそ星の数ほどあるのですが、そのひとつにフィンチがマシンから出た番号や人助けに対して、解決に至るまでの過程において頑なとも言えるほどに揺るぎない態度なのが私は猛烈に好きで。ITの知識と天才的な頭脳をフルに生かして時にはハッタリかましたりしれっと嘘をついたりと、リースが身体面で強いならフィンチは頭脳でガンガン押してくるのが最高で、それでいて時にはフィンチも現場に出て思い切ったことをするのも含めて、その絶妙なバランスがふたりのコンビネーションを見応えあるものにしているのがとてもとても良かったんだな、と改めて思う次第。だから私はS3後半以降の迷っちゃって決断できないフィンチを煮え切らない態度に思えてしまって苦手なんだなとも思った。フィンチのキャラクター自体はとても好きなんだけどね。
フィンチが人助けだと迷わないのにマシンのことになると迷ってしまうのは、自分が生みだしたものと、自分が下す決断で誰かの運命や国、ひいては世界の未来が大きく変わってしまうのを身をもって知っているから、という理由なのはもちろん分かってはいるんだけれど。主役のひとりであるフィンチには、時には揺らいでもまた本来の状態に戻ってほしいし、真ん中に一本筋の通った決してブレないものがあってほしかったな




Fever Ray 'If I Had A Heart'


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