ザ・ウォーク

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The Walk (2015)


原作の「マン・オン・ワイヤー」(To reach the Clouds)はめちゃめちゃ面白いのでおすすめ。確か私がこれを読んでる時に映画化が決まり、その後フィリップ・プティ役にジョセフ・ゴードン=レヴィットが決まったのを知って、あーなかなかいいんじゃないかな?って思いました。実際彼すごくいいですね。すらっとして線の細い体型が綱渡りが本業のプティ役にぴったりだし、ただただ純粋に、あのタワーの間にワイヤーをかけて、その上を渡りたい。たったそれだけのシンプルな願望に自分の全てを懸けた男を演じきってました。そしてフランス語なまりの英語がたまらない~。私、こういうのにめっぽう弱いので…(笑)。

映画はプティの目線かつ彼の心情やモノローグが台詞で入りながらの進行なので、これを鬱陶しく思うとつまらないかも。私は特に気にならなかったけれど、クライマックスの綱渡りのシーンでは少なめにしてほしかったなとは思いました。ちょっと説明しすぎに感じたので。

本で読んだときは感じなかった情景を実感できたのは映像化の強みだしその描写は素晴らしかった。まだ施工中のワールド・トレード・センターの屋上で夜通しワイヤーを張る作業をする上に、アクシデントがいくつも起こって時間もぎりぎりな設営になるんだけれど、その屋上から見えるNYの夜景はもちろん、東の空が少しずつ明るくなってくるのと、朝日を浴びてプティがワイヤーの上に両方の足を置いた瞬間は非常に美しかった。
地上数百m上を、命綱なしでたった1本のワイヤーの上を自分の足で歩く。空が近くて、地面は限りなく遠い世界で彼は何を見て何を考えたのかな。彼以外は誰も見たことがない景色。ワイヤーの上にいた間、通常の脳みそや感覚の人間ではとうてい理解も想像もできない、彼だけの世界が間違いなく存在していたと思うのです。

このビルが最後どうなったかは世界中の人が知っているからこそ、この映画は、悲しみに包まれたあの二棟の建物にも、かつて明るく愉快で酔狂ともいえる出来事があったんだよ、ということを伝えたかったのかも。だから監督は難解でもアーティスティックでもなく、エンターテイメント性を強く押し出すことに長けてるロバート・ゼメキスなのかな、とも思いました。

そしてニューヨークという街はどんなものも受け入れてくれる場所にも思いました。多様性だけじゃなくて、寛容さがあるのかなぁ。こればっかりは実際に訪れてみないと分からない、皮膚で感じるものなので、あくまで私の勝手な想像なんですけどね。

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