リリーのすべて


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The Danish Girl (2015)


無事手術を終えて、リリーはその後の人生を自分らしく生きていったと思っていたので、二度目の手術が事実上失敗に終わって亡くなってしまったのには、ものすごくショックを受けました。だからラスト、生まれ故郷をリリーの幼馴染ハンスと一緒に訪れた妻のゲルダが身に着けていたスカーフが、強風に乗って遠くへと飛んで行ったシーンは、やっと幸せになってすべての事から解き放たれたリリーの精神だったんだな、と思うとこれはとても泣けました。

リリーはアイナー・ヴェイナーという男性として生まれ育ったけれど、私はリリーはアイナーの中にいたもうひとりの人間で、それが女性だったから辛かったのでは、という解釈をしましたが、こればかりは当事者でないと分からないのかなぁとも思いました。アイナーは自分ではない。本当の自分はリリー。それを抑圧してずっと生きてきた。男性としてアイナーはゲルダを伴侶に選びましたが、私、最初の方この夫婦あんまり合ってないのでは?と思いながら見ていたのだけれど、もしかしたらアイナーは自分が女性的だから、強く、少し男性的にも感じられるゲルダを無意識に選んだのかな、とも感じました。そして最後まで見ると、彼女のその強さはアイナーにとって最後は救いだったと思う。リリーは彼女を妻というよりも、よき理解者になってほしかったんだろうし、事実ゲルダはリリーになったアイナーを、最後まで見捨てることなく傍にいてくれたのは、リリーにとって幸せなことだったと思う。

女性性を圧倒的な演技で魅せてくれたエディ・レッドメイン、夫を理解しようと務め、それでも女性としての本心、妻としての希望や描いたであろう将来の夢を諦めないといけなかった妻ゲルダを演じたアリシア・ヴィキャンデルのふたりは素晴らしい演技でした。
もうね、エディの演技がすごい。男性が演じる、柔らかな雰囲気の女性。それがこの映画のかなめであり、その美しさや可憐さにただただ圧倒されました。はかなげなのに、演技は力強い。ものすごいものを見てしまった、という感想でした。


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