ザ・コンサルタント

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The Accountant (2016)


非常に斬新で展開も見ごたえがあり、最後のオチが、まるでオープニングで子供の時のクリスチャン・ウルフが完成させたジグソーパズルのように、最後の1ピースがカチっとはまったことで全体図が見えるってのが最高に痺れました。

しかしながらいろいろと書きたくも、いざ書こうとすると感想がなかなかに難しくもあるのですが……そうだな、私はクリスチャンの父親の子育てが非常に興味深かった。クリスマスの後に、おそらく障害児の子育てに耐えきれなくなって家を出て行った妻。妻がいなくなって、あのお父さんは腹を括ったんだと思う。どんな理由があろうと、それを「自閉症だから」という言い訳で負けっぱなしだったりうやむやにはしなかった子育ては、おそらく本人が軍人だからというのもあるけれど、やられたらやり返せ、強くなれ、と育てた結果、兄のクリスチャンは会計士となって社会生活を送ることができたという面では成功だったけれど、同時に暗殺者になったという負の面も背負ったかと。でもこれってすごいよな、とも思う。会計と暗殺の両方の仕事がひとりの人間の中で両立している、そしてどちらも一流って、ちょっと普通じゃ考えられない。会計士として優秀だから、超がつく大物犯罪者の傍にいても彼は死を免れている、いうか、もちろん本人の腕もあるんだろうけれど殺されずに済んでいるというすごい人物。
だからこそ、弟はどんな人生を送ってきたのかなとも思ったし、弟から見た家族はクリスチャンとはまた異なった視点があるだろうから、それも見てみたかった。

前半は会計士としてのクリスチャン・ウルフ、15年分の会計監査を任された会社と、帳簿が合わないことを指摘したディーナ(アナ・ケンドリック)との交流。後半は殺し屋としてのクリスチャン・ウルフ、彼を追うレイ・キングの過去、ディーナを殺そうとした相手を追った末に、会社から雇われて自分を狙う敵のボスはなんと自分の弟だった展開は、すごいな、の一言でした。脚本の大勝利。特にオープニングのシーンは後半すべての謎が明かされる劇的な流れで、1度目に見た時と2度目以降に再び同じシーンを見てもその意味が全く違うっていう。

匿名の寄付金(実は寄付しているのはクリスチャン)で自身の娘のためにも自分で自閉症者向け施設を作った精神科医。あの娘さんは、かつて子供の時のクリスチャンが落として見つけられずパニックを起こしたときに、床に落ちたパズルの最後のピースを拾ってあげた女の子だったのも、そう来たかー!でした。
そしてクリスチャンが歌うマザー・グースの歌。あんなに悲しいソロモン・グランディ、今まで聞いたことがないです。

ちらりと映る小物に実は深い意味がある演出も面白くて。明かされた事実を知ると、特にあの水筒はすごい存在感ある。あのへこみ、そういう意味があったんかよ、しかもずっと使い続けてるんかよ、クリスチャン……。

ベン・アフレックの死んだ魚のような目が、つまり今まではマイナスだったその目がこんなにも生かされた映画はなかった。そしてそのベンアフ、でかすぎて(192cm!)、アナケンとの遠近感がものすごい狂ってた。



今回はシネマシティ立川で見てきましたが、ここは極音、爆音じゃなくてもとにかく音響が素晴らしく良いのです。この映画では特に銃撃戦の音が半端なく重低音ですごかったです。特にこのスナイパー銃の威力と轟音は凄まじかった。

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基本は置いて撃つものだと思うのですが、クリスチャンがこれを肩に抱えて撃っているシーンもあって、そうとう重いはずなのにベンアフどんだけでかくて力があるのよ、と感嘆。
私は銃器マニアではないですが、大きい男には大型の銃が似合う。

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あとね、始めは家計のやりくりで相談に乗ってもらったはずの会計士がまさかの凄腕の銃の使い手な上に、自分たちを殺そうと自宅にやってきた男たちを逆に殺しちゃったのを目の前で見たあの老夫婦、びっくりしただろうなぁ……(笑)。ここは唯一お茶目なシーンで笑えました。普段感情を表に出すことはないし、例えや比喩表現といった婉曲な言い方がクリスチャンには伝わりにくいからこそ、ボー然としてる老夫婦に無表情のまま手を振るクリスチャンがね、かえっていいシーンでした。



自閉症に関する本だと
ぼくには数字が風景に見える (講談社)
光とともに…~自閉症児を抱えて~ (秋田書店)
が理解するのに大きな助けになるかと。


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