ハンニバル シーズン3


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Hannibal Season 3 (2015)


うーん、これはどう感想を書けばいいのか……。思えばS2のラストがあまりにも劇的に美しくドラマチックでクリフハンガーだったから(そのシーンに流れた曲も素晴らしかった)、S3に期待しすぎた感はあった。あと、わたしはS3はレクター博士の逮捕がクライマックスであり、かつエンディングだと思っていたので中盤であっさり、しかも博士の投降というかたちで捕まったので、ええ~!? となっちゃった、というのはある。
打ち切りが決まってしまったので急なエピソードの変更があったのかなとも思いますが。レッド・ドラゴンのくだりはこの「ハンニバル」というドラマに必要だったのか否か、という疑問がどうしても拭えないんだよね。

それらを差し置いても、S3もまたすんごいエピソードの数々がぶっこまれてました。これアメリカではフツーにお茶の間にTV放映されてたんですよね? すげーな……としか言いようがない。
S2のラストで刺されたり撃たれたり落っこちたりした皆さんが全員生きてるってのには本当に驚いた。ひとりくらい死んでいてもおかしくなさそうなのに。ジャックもウィルもアビゲイルもあんなにまでされて血がばーっと出て死ぬ寸前まで行ったのにまだ生きてるって、それってもうほとんど生き地獄じゃないの!?

なんかね、いろんな愛が描かれていたのはまぁなんとなく分かった。でもそれ以上にハンニバル・レクターに関わった人間は全員ひとり残らず運命を狂わされてる、正しいと思っていたことがそうでなくなったりとか、なにかしら良心的なものをみんなどこか失ったように思えて仕方ないんだよねー。ジャックは妻のベラを安楽死させたんだろうし、ブルーム博士も前とはもう同じではないよね。マーゴットと一緒にメイソンを殺した罪をハンニバルがかぶってくれたということもあるし。そのブルーム博士とマーゴットのあいだに愛が芽生えてたのにはびっくりしたけれど。
あー、あと千代、千代が良かったよ! 彼女もまたハンバルに支配された人生で。監視する囚人がいなくなっても彼女はあの場所に戻ってひとりで生きてくのかと思うと。その人生に最後にあるのは絶対ハッピーとは程遠いものだろうし。
千代がいつも持つライフル銃、あれ、彼女に合うよう軽量化とかカスタマイズしてあったら最高だなって思いました。萌える。
そしてチルトン博士は最後まで可哀そうな人だった。
ラストのベデリアにいたっては……もうね、あの食卓で湯気が上がってる料理。形状からいって腕か足だろうな、とは思ったけれど、まさか自分の足だとは……!ここはただただホラーだった。

最後のウィルとハンニバルの運命は……あれも究極の愛なのかな、と。運命共同体というか。生死を共に分かち合えて彼らは幸せだったのだ、と解釈しました。私はウィルとレクターは互いに自分のことを理解してくれる人についに出会った、的な解釈をしてたんだけど、ドラマはもっと濃いものを前面に押し出してました。


このドラマ見てたらマッツ・ミケルセンって意外にも素顔や顔の造りはわりと地味なんじゃないかと思いました。でもくどいほど柄のうるさいスーツがサラっと似合ってしまうのが本当に不思議で。さすが北欧の至宝。素晴らしい。
ヒュー・ダンシーはねぇ、この人ほんっと乙女だなって……すみませんこんな感想で。彼はちょっと被虐心をあおる容姿だなって思う私もだいぶこのドラマに感化されているのかもしれない……?

S3の前半のロケ地、イタリアは本当に美しかったです。特にベデリアが傘をさして歩く後ろに立つ大きな建物。あれ、なんだろう? あんな建造物が普通にあるなんて、言葉を失いました。

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DVDには特典映像もたくさん収録されていて、NG集はもちろん、他のもほぼすべて見ました。イタリアロケは修学旅行みたいで楽しかった、と話すマッツ、ヒュー、ローレンス・フィッシュバーンが本当に嬉しそう。
でもなんでハンニバルのファン(=ファンニバル)はみんな花の冠を被ってるのかよく分かんなくて。あとやっぱり熱狂的なファン(と上手に言い表してましたが)の熱い思いは分かるけどそれをぐいぐい前面に押し出すのはちょっと……。私は遠慮しておきますね……という気分。ああいうのはおおっぴらにはしないほうがいいと思っているので。


しかし今まで人生でたくさん映画やドラマを見てきましたが、ここまでえぐい死体の数々と病的に美しい絵面は出会ったことがない。逆に言うと、あんなにグロいシーンばかりだと、画像が芸術的にまで美しくないととても見ていられないとも言えます。なにからなにまで本当に逸脱したドラマでした。

手紙は憶えている

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Remember (2015)


妻を亡くした認知症の男が過去の復讐に出る旅、と一言で簡単に説明できてしまうだろうけれど、これは重い話だった。ただ、話の緻密さとしてはちょっと穴があるというか、あんまり頭よくない私でも物語の鍵を握るいちばん重要な人物は主人公のゼヴ(クリストファー・プラマー)ではなくてゼヴの友人のマックスだろうな、というのは分かりました。というのは、ゼヴに手紙を渡し、アウシュビッツで家族を殺したナチ党員のルディ・コランダー、元の名をオットー・ヴァリッシュを探して殺せという任務を託すんだけど。ゼヴに対し、オットーの顔が分かるのは君だけだ、とマックスは言うけれど、そのゼヴは認知症がかなり進んでいるからはたしてちゃんと顔を認識できるのかなぁという疑問はあった。
で、その認知症を逆手にとってマックスが書いた手紙をゼヴは疑うことなくその中に書いてあることを順に遂行していくのだけれど。つまりマックスは、ゼヴが自分の過去を忘れてしまうほど認知症が進むのをずっと待っていた、ということになるよね? それってものすごく時間が必要だし、待ってる間にもしかしたら自分が先に死んじゃうかもしれないし、そもそもマックスがゼヴと一緒のケアハウスに入ったのは偶然なんだろうか? ゼヴとオットーが再会したら相討ちで死んだのも偶然の産物だと思うので、マックスのパートというか仕掛けた罠はちょっと説得力に欠けるかなぁと思いました。

嘘の名前で偽の人生を送ってきたってオットーは告白したけれど、ゼヴもそれに当てはまるはずで。彼も罪の意識にさいなまされた人生だったと思うし、だからこそ妻のルースを必死で愛したんだと思う。自分もまた愛されたいと思っていたのではないかな。存在意義を愛で確かめたかったというか。彼女が死んで、ゼヴはすがるものがなくなったという印象を受けました。そんな風にゼヴの過去や心の内をあれこれ考えたくなるのは、演じるクリストファー・プラマーがとてもよかったからでしょうね。それほどに彼の演技はとても素晴らしかった。

新作とか新作とか。

知らないうちにカヴィーゼルの新作がだだーっと決まってた。

・Sound of Freedom
https://www.imdb.com/title/tt7599146/
子どもの性的人身売買を阻止するためO.U.R.(Operation Underground Railroad)という組織を立ち上げCEOを務めるティム・バラードという実在の人物をカヴィーゼルが演じるのですが。この方、プロフィールを拝見したらアメリカ合衆国国土安全保障省(DHS)に10年以上所属して国内外で性的に搾取されている子供たちを助ける仕事に従事していたとのこと。潜入捜査やネット上での国際的な児童売買の捜査経験もあり(つまりネットスキルもそうとう高い)、当然ハイレベルな武力もあるし、さらにO.U.R.のメンバーも元CIA、ネイビー・シールズ、特殊部隊の人たちが揃っててまるで映画やドラマのような組織で、いかにもカヴィーゼルが好んで演じそうな人物だなぁと思いました。
そして役作りで本人に似せるため、カヴィーゼルの髪がなんと金色になっていた! これはめちゃくちゃ盛り上がりました。私が。
6月から撮影スタート、9月まで。コロンビアのカルタヘナとUSでロケ。リリース予定は2019年夏。

Actor Jim Caviezel set to play second most important role in O.U.R. story 'The Sound of Freedom'


・The Wind & The Reckoning
Behind The Scenes W&R Episode 1

ジャック・ロンドンの"Koolau the Leper"を元にした実在のカウボーイ(?)のお話。前述の映画に続いてまたもや、またもや史実かつ現実に存在した人の役です。もうほんと、どんだけ実在の人物を演じるのが好きなの。性癖か。
話はハワイ王朝が終焉を迎えた直後の1893年の設定とのことですが、なにがいちばん嬉しいって、プロデューサーと脚本がヴィゴが出てた"Hidalgo"(邦題があまりにアレなので、ファンは未だに原題で呼んでる)のジョン・ファスコなんだよね~! 彼は他にも「ヤングガン」1&2(1988、1990)を手掛けているので西部劇に強い人なのかもしれない。
そいでもって原作を軽く調べたら早々にネタバレを踏んで見事に爆死しました。まぁ史実と実在の人物を描いている時点でネタバレもなにもないのですが。
いい脚本に出会えたのか、ここのところ精力的に働くカヴィーゼル。こちらは7月23日からハワイ島で撮影スタート。ハワイ島、今キラウエア火山が噴火してたいへんなことになってますが……。
ついでに言うと前述の"The Wind & the Reckoning"と同じ監督でこちらもやはりカヴィーゼルが出てる "Jo, the Medicine Runner" "Running For Grace"がUSで 8/1 8/17に公開予定でして。たぶんすっごくマイナーな映画だろうけどこれもハワイが舞台なので、現地の映画館では絶対上映されると思うの。つまり7/下旬~8月にハワイ(島)に行くとすごく盛り上がるのかもしれない……?

POI S1 Ep01 エクステンデッドエディション & S1 Ep21

今回はS1のDVDに収められている101のロングバージョン&S1Ep21をさらっと。なぜなら今日は5月1日なので。
S1のDVDには101のカット前の55分あるロングバージョンが収録されていて、さらに通常版101だけでなくロングバージョンにもジョナサン・ノーランとグレッグ・プレイグマンのオーディオコメンタリが入ってます。わざわざロングバージョンとTV放映版の両方に別々のコメンタリを入れるくらいなので、彼らにとって1話目はとても思い入れが深いものなのかな、と思いました。
彼らが語る制作者のジレンマ。どのシーンも削り難い。これがあれば登場人物について詳しく説明できるけど、でもスピードも命。泣く泣く削ったシーンもあれば、これは絶対に残したいという強いこだわりがあるシーンもあると話していて、とても興味深く見ました。以下ざっと感想を。

TVドラマは1話が43分42秒と決まっているのを知らなかったノーランは最初に71分で撮ってしまい、死に物狂いでカットして時間内に収めたとのこと。ファンとしてはその71分バージョンもぜひ見てみたかった
コメンタリでも指摘されてましたが、ダイアン・ハンセンのあとをつけるフィンチとリースは彼女のすぐ真後ろといってもおかしくない位置を歩いていて、いくらなんでもちょっと距離が近すぎますね……(苦笑)
個人的にロングバージョンで大好きなシーン3つ
・リースがハンセンの自宅でPCからデータを抜き取るあいだ、机の引き出しに入っていたタブレットを勝手に食べる
・リースが上着のポケットから出した小さなメモ帳に、good w/computer と筆記体で書く (字が繊細ですごく綺麗)
・リースが紙コップのコーヒーを持ちながら空いたほうの手でフィンチのお腹にポンと触れる
カーターが所属する署も外観内観とも1話目だけ違う
「リースの行動(真夜中に車道の真ん中に立ってグレネードランチャーをぶっ放すシーン)はつねに誰よりも一歩前を歩いてほしいからスローでの撮影はしなかった。ポール・グリーングラスとマット・デイモンのボーンシリーズもスローと逆で速いスピードで撮影している」「つねに一歩先をいくリースを、ボーンシリーズのボーンのようにしたかった。アクションシーンの撮影の仕方やカット割りも影響を受けた」って言ってて、あーそれだよ、まさしくそれです!!ってなった。そうか、ボーンとリースが似てるのって撮影方法も同じだからか~ってものすごく納得で、思わずにんまりしてしまいました
そしてエクステンデッドVer.でのリースはフィンチから住まいまで提供されているのですが。なんだろう、フィンチって困っている人に対してやたらとなにかを与えたがり屋さんなのだろうか……最初から度が過ぎた親切心なんだろうかとも思ったけれど、改めて見ると、どうせ必要なら最初から全部渡しておけばいいだろう的な金持ちのどんぶり勘定みたいな発想なのかしら……? フィンチの心理や行動って時おり過剰に逸脱していて、でも本人はそう思ってない、もしくは気づいていないところがまた面白い

ちなみに通常バージョンのコメンタリで一番好きなのは
僕とグレッグは編集室で何百時間もジム(・カヴィーゼル)のことを見てきた。彼はどんな状況でも嫌味なくらいハンサムだ
です。200%同意しかない。

さて私がノーラン&プレイグマンのコメンタリで一番好きなのは、フィンチとリースを“The odd couple”と何度も呼んでいること。POIの主人公であるふたりの魅力はまさしくこの言葉に集約されていると思う。それぞれ単体で見ると全然違うタイプでまったくの正反対、どうやってもそりが合うようには見えないのに、そのふたりが一緒になると不思議な魅力が生みだされるという。
たぶん、フィンチ役とリース役ってM・エマソンとJ・カヴィーゼルに決まるまでにも、いろんな俳優にオファーが出されたはずだし(実際、「LOST」のソーヤー役ジョシュ・ホロウェイにはリース役のオファーがあったとのこと)、他の俳優に決まっていたらそれはそれでまた違う魅力が生まれたとは思います。
これは私の勝手な想像だけれど、ノーランとプレイグマンが描き上げたハロルド・フィンチとジョン・リースというキャラクターをM・エマソンとJ・カヴィーゼルがパイロットで演じた結果、いちばん強い印象となったのがこの"The odd couple"だったんじゃないかなぁ。だからそれ以降ふたりのキャラクターはその路線で行くのを決めたんじゃないかなー、などと思ってます。思いっきり私の勝手な推測ですが。でもいいね、フィンチとリースが"The odd couple"っていうの、ほんとその通りだと思う。最後まで謎で不思議でおかしなふたり。とても良い。

あーあとこれは告白というか懺悔というか……さんざん入れこんで延々レビューを書きまくってるこのドラマだけど、実は私は101を見た限りではフィンチとリースの容姿に心惹かれるものがほとんどなかったのです。今見るとフィンチ役のエマさんはかなり青白い顔で心配になるくらいだし、なによりリースの髪が少し長め、しかもオールバックってのがちょっとかっこつけすぎに思えてどうにも受け付けられなくて。キャメル色の革ジャンはお世辞にも似合ってるとは言えないし、あまり魅力的な人物に見えなかったんだよね……。
だから2話目で髪型や服装ががらりと変わって1話目とまったく違う雰囲気になったのにはびっくりで、なんかこの人ずいぶんさっぱりしたな!?って思ったし、それがとても好印象かつ自分の好みに合ってた。もしリースが1話目と同じビジュアルだったら、私はここまでこのドラマを好きになっていなかった。ほんっと2話目からジョン・リースに黒いスーツを着せてくれて、これは誰に感謝したらいいの? 衣装デザイナーさん? もしそうならありがとう衣装デザイナーさん(と、遠い日本から感謝の念を送ってみる)


続いてS1Ep21ですが、このエピはS1Ep01のあとに続けて見るとつながりがよく分かっておすすめ。Ep01のオープニングで出てきたシーンがこのエピでもう一度繰り返され、台詞(孤独から救ってくれた人に出会えたら人は変われる。だがその人を突然奪われたらどうなる?)も同じ。さらにこの台詞はリースがピーター・アーントの家に勝手にあがりこみ、帰宅した現れたピーターに対して言った言葉であることも分かる。

警察はあてにならない、なすべきことをするとカーターに言ったリースの顔には内にあるすさまじい怒りが現れ出ておそろしく冷ややかなのに、悲しいほど美しい
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カーターがフィンチに言った「あなたたちは間に合わなかったのね」という言葉もとても重く感じました。カーターの言う「間に合わなかった」とフィンチ、リースにとっての「間に合わなかった」は意味が違っていて、おそらくカーターはジェシカが亡くなった時すでにフィンチとリースは今のように一緒に人助けをしていたと思っているのだろうけれど実際はそうではなくて、それどころかふたり別々のところで違うことをしていて出会ってもいないのにどちらも同じ人物(=ジェシカ)を救うのが「間に合わなかった」って、ものすごく業が深く感じられて。とても泣けてくる。
そしてこのエピの最後はクイーンズボロ・ブリッジのたもとのベンチが出てきて、これも見事にEp01と呼応していて見事としか言いようのない作画。とても悲しいエピソードではあるけれど、だからこそ贈られた部屋の窓から下を見て、友人のハン老人を見つけたリースが窓ごしにさす日差しの中で穏やかな笑みを浮かべるラストは救いのある終わり方でした。


いくつか小ネタ
・確かグランドフィナーレ放映後だったかな……ちょっと記憶が定かでないですが、ネットに上がった101の初稿
http://www.dailyscript.com/scripts/PERSONOFINTEREST-(PILOT)-JonathanNolan(02.04.11).pdf

・リースが贈られたフラットとして使われた部屋の見取り図
https://www.homestudiosinc.com/studio1/studio1floorplan.pdf

廃図書館の見取り図(=セット)とは違い、現実に存在する部屋の間取りですが。でも気持ちの上では盛り上がりますよね……?
キッチンがふたつもあるので料理教室に使えそうだなって思ったら、ソースは失念しましたがこのスタジオ、パーティや撮影だけでなく、ほんとに料理教室にも使われてもいるらしい。


以下、最終話(S5Ep13)のネタバレありの感想をちょこっと。

Ep21でピーターにあんた誰だと訊かれたリースは「自分が誰なのか、長いこと探していた」。この台詞は114や210でも別の言葉で言いかえられてはいますが繰り返し何度も出てくることから、リースは自分が何者か分からず、ずっと探して続けていたことが分かる。そっか、このドラマは103話かけてリース君の自分探しを描いていたんだね~、なんて軽~く考えたけど、その答えがS5Ep13なのかと思うと……! 最終話は第1話目から描かれてきた、リース自身が長いあいだ見つけられなかったものをあの屋上での台詞にすべて集約して見事に回収して終わったんだな、と改めて思う次第。だからリースが最後ああなったことも私は納得かつ満足できたのかな、と思いました。

女神の見えざる手

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Miss Sloane (2016)


5/11公開の「モリーズ・ゲーム」(監督はアーロン・ソーキンなのだ)が楽しみで、ジェシカ・チャステインが出てる作品を選びました。「ゼロ・ダーク・サーティ」、「オデッセイ」などなど、彼女は賢くて強い女性を演じるのが好きみたいですね。
最後の切り札の部分はうわー、と驚いたし、話もスリリングに進むので面白かったのですが、主人公のエリザベス・スローンに共感が持てなかった。頭がものすごく切れて、自分の才能をフルに活かせる仕事を手に入れた彼女は結婚せず、家庭を持つこともなく、不眠症に陥っても薬を飲みながらバリバリ仕事をこなす彼女はものすごくやりがいのある人生を送っているんだろうけれど、人間らしさが感じられなくて。
エズメの過去を最初から知ってたうえでエリザベスがしたことはやっぱり卑怯だと思うし、自分が勝つために手段は択ばないし、法をも犯すその冷血冷酷で強引なやりかたをするにいたった彼女は今までどういう人生を送ってきたのか、そっちがすごく気になって。彼女の過去や背景が知りたかった。

エリザベスを引き抜いたライバル会社のトップ、シュミット役マーク・ストロングが良かったです。最初ちょっとおとなしすぎ、物静かすぎなキャラクターではないかと思ったのですが、ジェシカ・チャステインがめちゃくちゃ強くて剛腕なので、ソフトな物腰が劇中で緩衝材みたいな役割をしていて、彼が出てくるとホッとしました。エリザベスが違法な盗聴をしかけようとしていたことに一度だけ声を荒げて怒ることはあったけど、それ以外はいつも落ち着いた話しかたなのも良かった。シュミットがエリザベスに提示した報酬は0ドルだったと分かったあのメモには最高に痺れました。


最後にささいなことですが、なんとこの映画にもジョン・リスゴーが出てまして。「ザ・コンサルタント」、「ピッチ・パーフェクト3」に続いて3作連続でジョン・リスゴーが出演してる映画を見ちゃった。すごいね私……(笑)。